platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

雛祭りの日に

2006-10-31 | ボーイ・フロム・オズ
 ピーター・アレンとライザ・ミネリの結婚式の写真を見つけました。もちろんジュディ・ガーランドの姿も。「がしっ」とピーターの肩を抱いているところがいかにも「ゴッドマザー」な感じで、2人の縁の深さを語ってくれます。
 日付は67年3月3日、花嫁のライザが初々しいですね~。ラストシーンの白い衣装の紫吹さんを思い出します。写真下の'More Peter Allen Photos'をクリックすると「新郎新婦ケーキ入刀」の写真もあります。

 ピーター・アレン&ライザ・ミネリ

明日は『ボーイ・フロム・オズ』開幕

2006-10-27 | ボーイ・フロム・オズ
 紫吹淳さん演じるライザの赤い衣装が華やかな"She Loves to Hear the Music"。これが72年の特別テレビ番組<Liza with a 'Z'>をベースにしたリハーサルシーンということは前に書きましたが、この番組をデジタルリマスターして収録したDVDが今年4月に発売されました。
そのお披露目イベントでは観客がスクリーンに向かって拍手喝采したといいます。ボブ・フォッシーとライザ・ミネリの魔力は、アメリカのエンターテインメント史のなかでも別格ということなんでしょう。
 残念ながらこのDVDは北米向けのリージョン1、日本で見るのは難しく、私もずっと買い控えていたのですが、少しだけ視聴できるページを見つけました。番組のロゴの下の"Video"をクリックしてください。

   Liza with a 'Z'

あの真っ赤な衣装でアンサンブルと決める"Gotcha","Ring them Bells"は圧巻ですね~。72年、ピーターとライザの間の溝は明らかになりますが、この熱狂のなかではそれ以外の選択肢が見えなかった、ということかもしれません。
 『ボーイ・フロム・オズ』でも、スターダムにのし上がるライザを象徴するこのシーンは大きな見せ場です、行ける方はどうぞ一足先に盛り上がり、私のように行けない方は、青山さんに置き換えて行ったような気になりましょう・・・でも、もし実際に青山さんが"Gotcha"を踊るところなんて見たら、ちんたら文章なんて書いてられなくなるでしょうね。明日の開幕、本当におめでとうございます

Allen Brothersを舞台に

2006-10-26 | ボーイ・フロム・オズ
 ジュディ・ガーランド(鳳蘭さん)に見出され、64年のロンドンに続いて65年北米ツアーに参加したピーター・アレン(坂本昌行さん)の足跡を見つけました。娘ライザ・ミネリ(紫吹淳さん)との写真の下、ジュディの向かって左がThe Boy from OZですね1964年

そしてカナダ、トロントでの公演チラシでしょうか、アレン・ブラザーズの文字が見えます。
1965 The Judy Garland Show

 この頃のジュディ・ガーランドの体調は不安定で、幾つかの公演がキャンセルされました。カナダ公演では彼女自身が「800万回歌った」という"Over the Rainbow"の歌詞すら思い出せなかったそうです。前座のアレン・ブラザーズを呼び、"I Wish You Love"を歌ったことも、否定的に受け止められていますが、文字通り世界を魅了した歌い手であるジュディが、自分のステージの時間を若いピーター・アレンに委ねた、というのは、今おもえば「歌」というバトンを手渡すようなことだったかもしれません。アメリカでは「芸の継承」という感覚は多分とっても希薄なので、歌姫の末期、というような書き方しか目に付かないのですが・・・

 見出しに'But they still love her'とあるように、アメリカ大陸の中のジュディ・ガーランドの存在は特別です。以前のような声が出なくなり、誰が見ても健康を害している事が分ったといわれるまでに容貌が変わっても、『オズの魔法使い』のあの少女が人々の記憶から消えることはなかったようです。

 上の画像は現在アメリカで販売されているジュディ・ガーランドの39セント(一般の封書用)切手です。「ハリウッドの伝説」シリーズの第12弾、20世紀最高のエンターティナーの一人として選出されたそうです。彼女に見出され、アメリカに渡り、その娘と結婚したピーターがたどった道もまた、故郷オーストラリアにとって初の世界的ミュージカルとして21世紀を彩っています。・・・ジュディ・ガーランドがピーターを舞台に呼んだこの北米公演は、歌舞伎で言うなら「襲名披露」だったのかも知れないですよね。

BFOオーストラリア公演のステージ写真

2006-10-24 | ボーイ・フロム・オズ
 『ボーイ・フロム・オズ』日本公演開幕が近づいてきましたね そんなこんなで今年のオーストラリア公演はまったく違うものらしく、ネタバレにならないようなので、公演パンフレットに掲載されたステージ写真のご紹介です。少し下にスクロールしてください。

  The Boy from Oz '06オーストラリア公演パンフレット

 ジュディ・ガーランドとピーター・アレンが、ツギのあたった燕尾服とシルクハットを持ってる写真があり、曲は"Only an Older Woman'らしいのですが、これは以前ご紹介した映画『イースター・パレード』からの引用かもしれません。ベテラン・スター(フレッド・アステア)にダンスを教えこまれた歌の上手い女の子(ジュディ・ガーランド)が、おなじような服装(といっても映画ではもっとボロボロでした)でコミカルなデュエットナンバーを歌い踊り、大当たりをとる場面がありますので、ベテランとなったガーランドが今度はピーターに・・・という感じなのでしょうか。鳳蘭さん以上に燕尾服が似合う女性はなかなかおられないので是非日本版でもやってほしい気がします~。

 また、製作発表時のインタビューを今頃になって読んだところ、BW本公演でカットされた'Tenterfield Saddler'が復活したことについて、ヒュー・ジャックマンが「でないと僕たちリンチされるよ」と話していました。アメリカでは観客にとって分りにくい、と外された曲なのだそうですが、多少知らないことが織り込まれていても、そんなにオーストラリアの人にとって大切な歌なら、聞かせてほしいと思ってしまいますよねえ。

鶴、ふたたび

2006-10-22 | うたっておどろんぱ!プラス
 空腹は料理を美味しくするための最高のスパイスなんていいますが、島(大陸)流しの私は青山さんの姿を見ることに関して「空腹」なんて生易しい状態ではありません。なので『うたっておどろんぱ! プラス』に対し、批判能力はほぼゼロです。ダンスぬき三忍者にも「ぬか喜び」と嘆くこともなく、ありがたく拝見しました。
 アーリーおどろんぱのコントは根強い人気がありましたが、私は今のあざとさのないコント、好きです♪ 今回のなんか、'05年トニー賞受賞のブロードウェイミュージカル『スパマロット』の母体となった英BBC製作のテレビ番組『モンティ・パイソン』を思い出しました~。『プラス』になってからは番組スタッフの方のお名前が出ないのですが、15分版の構成をご担当だった古川順一さんが続投されているのでしょうか。・・・あえていうなら、ダンスオタクとしては一度ジャンプするぐらいはあったほうが楽しいのですが(と結局愚痴る)
 ハロウィンに向けてサンフランシスコのあちこちがオレンジと黒で彩られています。子どものお祭りとはいっても大人向けコスチュームもかなり豊富に出回っていて、その手のお店には必ずといっていいほど「忍者ルックセット」が・・・。映画でもアニメでも忍者ものは根強い人気がありますし、「三忍者」なんか大人にも子どもにも大受けしそう。『モンティパイソン』が英国営放送のBBCなんですから、NHKでも「三忍者」で特別番組なり、ミュージカルなり作って世界にアピールしてはどうでしょうか。『モンティパイソン』がミュージカルになるなんて、往年のファンは夢にも思わなかったはずですし、アメリカにはNHK教育が朝夕放映しているような子ども向け番組が殆どなく、希少価値もありそうです
 
 そしてちょうど1年前に初放映された「どうぶつケチャ」の鶴、ぜひスローでご覧下さい、という記事をそのときに書きましたが、今改めて見てもいいですね~ 普通なら繋がりようのない、効果的な不協和音のような動きの連続に目が釘付けになります。前回は書きそびれましたが、両腕を広げ、右脚を前方でクロスさせた立ち姿の美しさも、世界に見せたい日本の美のひとつ、です。皆様のNHK、あらため「世界の皆様のNHK」な展開にならないかしら~。

オーストラリア版"I Go to Rio"の動画

2006-10-20 | ボーイ・フロム・オズ
 前の記事と同じThe Sydney Morning Heraldのページに、オーストラリア公演開始前、8月2日に撮影された"I Go to Rio"の動画がありました。大スクリーンに映し出されても小顔感のあるヒュー・ジャックマン、確かにものすごく魅力的ですね~。批評家が、なんだかんだいっても「でもヒュー・ジャックマンは素晴らしい」的なことは必ず書いているのも頷けます。
 オーストラリア公演で使用された1万席以上の会場では客席1500のブロードウェイと同じことは出来ない、ということで全く新しい演出になったそうですが、女性アンサンブルがシャンパングラスに入っていたり、パイナップルや唇になったり、これでもか、的な演出が結構楽しそう 

 'I Go to Rio'

記事の写真の右下側にある<Boy comes back to Oz>をクリックすると動画のページにジャンプします。

2008年9月8日付記:残念ながら上記動画は削除されたようです。動画リストの26ページ総て見ましたが見つかりませんでした。探した方、申し訳ありません。

オーストラリア公演は・・・

2006-10-18 | ボーイ・フロム・オズ
 もうご覧になった方も多いと思いますが、The Sydney Morning Herald 9月11日付けの"The Boy from Oz"オーストラリア公演の評は少し厳しい内容でした。演出はオーストラリアの初演ともブロードウェイ(BW)公演とも違い、アリーナ型の客席に対応していろいろな変更があったようです。日本版の演出家はBW版と同じフィリップ・マッキンリーですが、OZ'06版はケニー・オルテガ。
 もちろん評論家の好みもあると思いますが、チケットの「Hugh Jackman」の活字がタイトルの活字の2倍ある、に始まって「もはやミュージカルというものではなく、ヒュー・ジャックマンならではの自信に満ちた観客との関係に抱き合わせた巨大でピカピカしたセットの連続」とまで書いていますから、よほど派手なステージだったんでしょう。かくいう私も以前ご紹介したgettyimagesの写真を見たときは、'I Go to Rio'のアンサンブルの衣装に引きました~
 ヒュー・ジャックマンの熱演は、BWと比べてなにも遜色はなかったようなので、会場の広大さが問題ということでしょうか。「スタジアム・サイズのイベントと鋭い心理的洞察は相容れない」「このサイズの小屋を愛で満たすことは無理なのだ」・・・日本の青山劇場はそれを思うと、『ボーイ・フロム・オズ』の華やかさの底に流れるドラマを味わうのに適していると言えそうです。
 東京のカンパニーが、オリジナル版ともBW版ともOZ'06版とも違う輝きをこの作品に再び与える日がもうすぐですね。'Tenterfield Saddler'@坂本ピーター、絶対いいと思うんだけどな~。 

ディック・ウールノー

2006-10-16 | ボーイ・フロム・オズ
 今年は日豪交流年ということで『ボーイ フロム オズ』はその記念イベントの一つなのだそうですね。第二次世界大戦では戦闘を交えたふたつの国が、こうしてひとつのステージを見守るのだと思うと、戦争を知らない世代であっても、ある種の安堵感を感じます。
 その戦闘の中にピーター・アレン(坂本昌行さん)のお父さん、ディック・ウールノー(団時朗さん)もいたかもしれません。第二次世界大戦中、オーストラリアはヨーロッパやアジア太平洋域での連合軍勝利に大きく貢献したということですが、終盤になると兵士が不足し、たくさんの市民兵が派遣されたそうです。第一次世界大戦のとき40万人中6万人が死亡したのに比較して第二次世界大戦では55万人中3万人だったので、国としては勝利し、払った犠牲も減少したことになりますが、約18人に1人が死亡しているのですから、兵士一人一人の恐怖は大変なものだったと思います。

 いくつかの映画や、ミュージカル『ムーヴィン・アウト』でも語られているベトナム帰還兵の精神障害は、イラクに派兵される現アメリカ兵士にとっても大きな問題となっているそうです。戦場の悲惨、特に武器を持たない一般市民の死に遭遇した場合、任務はおろか、社会生活に戻る事ができないほど良心の呵責にさいなまれるといいます。
 偶然見たテレビのインタビューで、ある帰還兵の方が「イラク独特の窓の少ない建物に入ると暗くてよく中が見えない。毎日のように仲間が亡くなっていく極限の緊張状態では、物音がするだけで発砲しそうになる」と語っていました。除隊することでやっと自分の心と折り合いをつけることができたとも話していましたが、それは同時に「失業」という彼と彼の家族にとって大きな出来事をもたらしました。それでも、というほどに苦悩は深いのだろうと思います。
 『ボーイ・フロム・オズ』には、ピーターの音楽の才能は父親譲りだと母親(今陽子さん)が語る場面があります。音楽を愛し、妻と子どもを持つ男性が、戦場で何を見たでしょうか。戦後、兵士達は尊敬とともに迎えられ、国は好景気に沸き、オーストラリアは豊かになっていったといいます。そんななか、ディック・ウールノーをアルコールに溺れさせ、引き金を引かせた記憶を癒すかのように、ピーター・アレンの音楽はどこまでも優しくなっていったのかもしれません。

フォッシー・コネクション

2006-10-13 | ボーイ・フロム・オズ
 『ボーイ・フロム・オズ』日本初演時のパンフレットで青山航士さん自身がお気に入り、とコメントされていたライザ(紫吹淳さん)とのナンバー"She Loves to Hear the Music"。"Love Crazy"と同じくTVの収録中、という場面でした。72年に放映された特別番組<Liza with a 'Z'>を元に作られたシーンのようです。
 この<Liza with a 'Z'>の振付はもちろんボブ・フォッシー、エミー賞を獲得しています。同年の映画『キャバレー/Cabaret』でライザ・ミネリはアカデミー賞主演女優賞を、フォッシーは最優秀監督賞を受賞していますから、このコンビにとって最高の年だった、ということになるでしょうか。
 他にも数々のヒット作をつくった、ショービジネス界の寵児・フォッシーには、Fosse Connectionと呼ばれる、個人的に、あるいは仕事上親しい人のグループがあったそうです。
 その一人は勿論、72年の栄光を分け合ったライザ・ミネリ。他には妻であり、優秀なパフォーマーであったGwen Verdon、日本でも上演されたばかりの『スウィート・チャリティ』の主役を務め、以前話題にした98年ブロードウェイの"Fosse"を監修しています。そしてもう一人、これも以前話題にした、『シカゴ』のロキシー・ハート役をVerdonから継いだAnne Reinking。来年2月から来日公演のある『シカゴ』の'96年ブロードウェイ・リバイバル版の振付・監修は彼女です。日本にもこのバージョンで来るのでしょうね。そして・・・忘れてならないのはピーター・アレン。『ボーイ・フロム・オズ』では、フォッシーとの仕事で華々しい成功を収めるライザの傍らで所在なさげな彼でしたが、後に映画"All That Jazz"のラインキングの見せ場で流れるのは、ピーターの"Everything Old is New Again"です。

 さて、WSS,The Boy from Oz, The Beautiful Gameと続いたマクニーリー・コネクションはどんな軌跡を描くのでしょう。それが日本のミュージカルのダンスのレベルを上げていることは確かです。『ビューティフル・ゲーム』の「決勝戦」のようなテンションで全編貫かれたダンス・ミュージカルなんか観てみたいですよね~、もちろん青山さん出演で

 11日、総閲覧数が12万pvを超えました。引っ越しだ工事だと休みがちでしたのに、たくさんのアクセス有難うございました。流刑地から「これからも宜しくお願いします」 

クリスマスワンナイトクルーズ日程

2006-10-13 | クリスマスレビューショー
青山航士さんがクリスマスレビューショーに出演される<ぱしふぃっくびぃなす>のクリスマスワンナイトクルーズ(1泊2日)は10月13日現在以下の通り予定されております。
クルーズ日程
12月18(月)-19(火) 大阪(大阪港・天保山埠頭 発着)
   19(火)-20(水) 神戸(神戸港・ポートターミナル 発着)
   21(木)-22(金) 名古屋(名古屋港・ガーデン埠頭 発着)
   23(土・祝)-24(日) 東京(東京港・晴海埠頭 発着)
   24(日)-25(月) 横浜(横浜港・大さん橋埠頭 発着)
出演者
神崎順さん(大阪のみ)、伊吹あいさん、藤えりなさん、波輝一夢さん、宮澤明子さん、河村和奈さん、寿依千さん、青山航士さん

大阪
<2名1室利用:大人1名/消費税込>
ロイヤルスイート:160,000  スイート:85,000  デラックス:60,000
ステートA:49,000 ステートB(8階):42,000 ステートB(6階):39,000 ステートC:35,000
<3名1室利用:大人1名/消費税込>
ステートB(8階):34,000  ステートB(6階):31,000 ステートC:28,000

神戸・名古屋・東京・横浜
<2名1室利用:大人1名/消費税込>
ロイヤルスイート:160,000 スイート:85,000 デラックス:68,000
ステートA:54,000 ステートB(8階):47,000 ステートB(6階):43,000 ステートC:39,000
<3名1室利用:大人1名/消費税込>
ステートB(8階):38,000 ステートB(6階):35,000 ステートC:32,000

各クルーズ共通事項
<シングル大人1名1室利用>
ステートルームB・Cは2名1室代金の130%、その他の客室は160%です。
<子ども料金>
2歳未満の幼児は大人1名に対し1名無料(食事・ベッドなし)、2歳以上小学生以下は大人代金の75%となります。

各クルーズの乗船時刻等、詳細についてのお問い合わせ・ご予約は日本クルーズ客船(株)様へ。あゆあゆさんが寄せてくださった情報では東京・横浜はキャンセル待ちのようです
各旅行会社でも取り扱いはあるようですが、私が問い合わせた限りでは、旅行社も日本クルーズ客船(株)様にリクエストする形になるとのお話でした。

ああ、書けば書くほど行きたくなる 行けそうな方はぜひ夢を実現させてくださいね! あの世に行くときに4、5万円財産が多かろうが少なかろうが、お子様たちも気付かないことでありましょう。

「おちばとあそぼ '06」美と力の支点

2006-10-11 | うたっておどろんぱ!プラス
 たびたび青山航士さんのダンス/動きは「質が高い」と書いてきましたが、私の不徳もあって「その"質"って何?」と思っておられる方も多いことでしょう。でも、今回の『うたっておどろんぱ! プラス』/「おちばであそぼ '06」は、それがはっきり形として分る曲でした。
 この曲の中で膝を曲げてもう片方の脚を後ろに引く・あるいは下方向に曲げていく動作がありますよね。この時、青山さんのお顔を見たいのをグッとこらえて足元付近を見ると、最初に曲げたほうの膝から下が文字通り「軸」となって動いていないのに気付きます。実際には片脚を動かすと体重が大きく移動するわけですから、支えているほうの膝はどうしても揺れます。でも青山さんの膝から下は前傾したまま、まるで何かで固定したように静止し、それを支点として片方の脚は水を引くように滑らかに、同時にメカのように正確に、後ろに伸ばされたり曲げられたりします。
 人間というのはシンメトリーなもの・中心点の定まっているものを見ると情緒が安定する、という実験結果があるそうですが、この「支点が見えるような」ダンスに人は美や調和を感じ、質が高い、と評しているように思います。一時話題にしていた『雨に唄えば』を例に挙げると、ジーン・ケリーとドナルド・オコナーが2人でタップを踏む場面では、ちょうど2人の腰の辺りにセットの腰板のラインが重なり、彼らの腰の位置が殆ど上下動しないのがよく分ります。
 また、膝関節というのはたくさんある人体の関節のなかでも特に複雑な動きをする部分なのだそうですが、その機能を優れたダンサーのように制御するには、筋力と共に天から与えられた骨の形状や靭帯の質が関わってくるのだそうです。精度の高い、上質のメカのような身体に、物理に叶った、鍛錬された動きが吹き込まれ、さらに青山さんの内面から湧き出る叙情性に彩られて、ああした魅力溢れるダンスになるようです。見逃した方はぜひ今週14日(土)17:40~17:45の再放送をご覧下さい。2コーラス目からしか青山さんは踊りませんが、本当に綺麗でした。

 ・・・とまあ、分ったようなことを書いていますが、こういうのは色々な専門分野の方のお話を私があれこれダンスを見るうちにつぎはぎにしたものです。「膝」については、高砂部屋の力士の方がキーロフバレエ団のファルフ・ルジマトフをご覧になった時の日記がとてもロジックで面白く、分野は違っても究極の動きというのはやはり共通点があるのだな、と思いました。その膝の使い方は、名横綱の双葉山に通じるのだそうです。
 ルジマトフもウズベキスタン生まれでアジアの血が流れているのですが、青山さんのプリエの美しさといい、力士の方の四股の勇壮さといい、本当に「膝」はアジアの美と力の支点だと思います。
 あまりにも畑違いなのでリンクのお願いに上がるのは控えますが、大変な人気サイトですので「高砂部屋」で検索していただくとすぐに見つかると思います。トップページの下部に「過去の高砂部屋」というインデックスがあり、その平成17年7月25日~8月28日をご覧下さい。なお250万のキリ番を踏んだ方は高砂部屋チャンコにご招待のうえ、記念の品がいただけるのだとか。バレエの話もOKな高砂部屋、粋ですねえ~。

青山航士さんが12月18日(月)~25日(月)

2006-10-09 | クリスマスレビューショー
 豪華客船<ぱしふぃっくびぃなす>のクリスマスワンナイトクルーズに出演されます。・・・いつもお世話になっている神崎順様の公式ファンサイト、Jewel様でこのような楽しいニュースが発表されました。管理人のぼのさんの心づくしが端々まで行き届いたサイトで、いつも長居してしまうのですが、青山ファンへのサービスには本当に感謝で目頭が熱くなります
 さすが順様のお膝元だけあってゴージャスな企画、もしも行けたら一生の思い出になりそうですね
 詳細はJewel様で。"Schedule"に記載されています。

 週末、サンフランシスコに海軍の船が着き、街にはジーン・ケリーの『踊る大紐育』さながらに束の間の休暇を楽しむ海軍兵士の姿がちらほらと。海って色々な物語を運んできますね。青山さんのお名前も「航士」さんですし・・・海の上で青山さんのダンス・・・あ~~~、見たいわ~~~

イースター・パレード

2006-10-07 | ボーイ・フロム・オズ
 ネット関係の工事がや~っと終了しました。この間も多数アクセスいただいて本当に有難うございました。
 
 『ボーイ・フロム・オズ』開幕が近づきましたね。青山航士さんの多面体のような魅力が味わえるこの作品、席が遠い~、と嘆いておられる方も多いかもしれませんが、オペラグラス持参で是非さまざまな表情も味わってきてください。私は7倍のものを愛用していますが、オペラグラスはそうモデルチェンジがあるものでもなく、小型化も充分進んでいるので、いいものを選んで長く使うのが結局はお得、のようです。レンズのいいものは立体感があって楽しめますよ。

 さて島流しの私は、BFOでは鳳蘭さん演じるところのジュディ・ガーランドが、フレッド・アステアと共演した映画『イースター・パレード』('48)を見てみました。47年間の生涯を送った彼女の芸暦はなんと45年。この作品ではアステア演じるドン・ヒューズにダンスを一から仕込まれスターになる女性を演じています。彼女とは一番遠い存在とも言える、素人としてのおずおずとした演技も魅力的ですが、ひとたび歌いだしたときの輝きがまたすごい・・・(『ボーイ・フロム・オズ』でも鳳蘭さんが白い衣装で歌い上げるシーンのパワーには圧倒されました)。

 この映画の日本公開は1950年、戦後初めて輸入されたアメリカ製ミュージカル映画なのだそうです。それがガーランドとアステアの共演ですから、戦後まもない日本にとっては、まさに夢の世界という感じだったでしょうね。これにはBFOのブロードウェイ版でちびピーターが真似をしたアン・ミラーも出演していて、素晴らしいダンスを披露しています。
 ピーター・アレンは44年生まれですので、小さなエンターティナーとして酒場で踊る前にこの映画を見たかもしれませんね。さらに嬉しいことには、後半のレビューシーンでアステアのスロー映像が  公開当時59才なのに彼の地上数ミリのところを滑るようなダンスは健在で、大スターの風格が漂います。冒頭、ギフトショップの場面では少年とのからみもあり(これがまた素晴らしいのよ~)この映画を見ていると、ちびピーターのダンスへの憧れがリアルに感じられます。

 この映画の封切り当時ジュディ・ガーランドは26才、娘ライザ・ミネリ(紫吹淳さん)は2才。ライザは49年には母親同様、2才で芸能界デビューを果たします。BFOでは、あの子(ライザ)を生んだ事が自分の人生で正しいと思えるたった一つのこと、というようなガーランドの台詞があったと思います(記憶力悪い・・・)が、確かにスクリーンの彼女の表情には、スターという地位に酔ってしまえない様な複雑なものを感じます。
 そんな影が一瞬消えるのはやはり歌っている時。少し遠い目をして豊かな声を空に放つ数分間、スターとして生きることのもろもろの辛さからも解放されていたのかも知れません。ピーターを気に入ったのも、彼の優しい包み込むような歌声に癒されたからなのでしょうか。
 この映画のラストシーンでも彼女は白い衣装を着ています。どこか現世とは繋がり切らない、生身の女性というより光が創りあげた繊細な映像そのもののような彼女には、やはりこの色が似合う気がします。 

アフリカとアメリカの宝石

2006-10-03 | ダンスファンの独り言
 予想通り、というべきかネット開通はまだです。
 今度は道を横切っている線を水曜日夜に替えるそうです。アメリカとしては「古い」部類に入る住宅地なので、電話線も古いタイプなのだとか。確かにうちの周りはモダンな建物はなく、寒色系パステル調の昔風のつくりの家が並んでいます。
 で、アメリカのモダンアートのビビッドな色彩はどこから来るのかな?とぼんやり思っていたところ、サンフランシスコの現代美術館の近くにアフリカ文化を紹介する機関を見つけました。外側はモノトーン調の建物なのですが、中は眼の覚めるような鮮やかな色彩があふれんばかり!! また動物の体の形をした玩具や、植物の形を模した食器など、とても複雑なもので、あらためて彼らの文化の豊かさを知りました。
 アフリカがアメリカの音楽やダンスにもたらしたものの大きさというのはこれまでもよく感じたことなんですが、あの色彩感覚・造形のセンスは「モダン・アート」と呼ばれているものにどれだけインスピレーションを与えたことでしょうか。
 購入できるものもたくさんありましたが、そこはダンスオタクなのでまずはAlvin Ailey American Dance Theaterの写真集を・・・レジの方も「いいもの選ぶわね」といってくれました 青山航士さんはこのダンスカンパニーのサマースクールで奨学金を得ておられますが、エイリー亡き後、カンパニーはこの学校をとても大切にして、彼らの編み出したものを次の世代に手渡すことを、創作と同様に重視しているそうです。日本から海を越えてやってきた青年も、アフリカとアメリカの必ずしも幸福で彩られているとはいえない歴史の中の宝石に、そこで出会ったのでしょうか。