王宮から出てきたブラットフィッシュが手綱を握る馬車には、月が変われば30才になる物憂げな表情の皇太子ルドルフが乗っています。そして「神の恵みによって・・・になるべく生まれた」とフレデリック・モートンは綴りますが、この「・・・」の部分が恐ろしく長いです。オーストリア皇帝、ハンガリー王、イェルサレム王、ボヘミア王、ダルマツィア王、トランシルヴァニア王、クロアチア・スロヴェニア王、ガリツィア・イリリア王、トスカーノ大公爵、クラコフ大公爵、モラヴィア辺境伯、ザルツブルク公爵、ブコヴィナ公爵、モデナ・パルマ・ピアチェンツァ・グアスタラ公爵、ハプスブルク・チロル皇太伯、トゥリエント・ブリクセン領主、ホーヘンネンブス伯、セルビアVoyvode(この位は日本語でなんて訳されているのか不明)、そして他に30の肩書きがあるとか。「・・・これらすべての領地が馬車の中の痩躯(ルドルフ)に用意されているのだ。」
ときどき名刺に所狭しと肩書きを列挙している方がいますが、これじゃ両面印刷しても追いつきませんね。「彼の未来の民は、共通の言語、宗教、土地、伝統のいずれかによって一つに統合されたのではない。彼らはただひとつ、彼の名前のみを分け合うのだ。」うう~ん、統治するのはいかにも大変そうです~。二つの国だけでも戦争が起きるのに、いくつもの民族がひしめきあって暮らしているのですから、いくらフランツ・ヨーゼフが朝から晩まで働いても仕事は減らなかったことでしょう。そのたくさんの肩書きのなかには「アウシュヴィッツ公爵」も含まれ、モートンは最後に挙げているのですが、ユダヤ系アメリカ人である彼の「もしもルドルフが即位していたら」という思いが伺えます。ただ、これほどの肩書きを背負って、「人間らしく」生きるなんて到底無理なのではないかとも思えますね。hildaさんに頂いたコメントにもありましたが、王子たちの苦悩・不安も底知れないものがあるようです。
ときどき名刺に所狭しと肩書きを列挙している方がいますが、これじゃ両面印刷しても追いつきませんね。「彼の未来の民は、共通の言語、宗教、土地、伝統のいずれかによって一つに統合されたのではない。彼らはただひとつ、彼の名前のみを分け合うのだ。」うう~ん、統治するのはいかにも大変そうです~。二つの国だけでも戦争が起きるのに、いくつもの民族がひしめきあって暮らしているのですから、いくらフランツ・ヨーゼフが朝から晩まで働いても仕事は減らなかったことでしょう。そのたくさんの肩書きのなかには「アウシュヴィッツ公爵」も含まれ、モートンは最後に挙げているのですが、ユダヤ系アメリカ人である彼の「もしもルドルフが即位していたら」という思いが伺えます。ただ、これほどの肩書きを背負って、「人間らしく」生きるなんて到底無理なのではないかとも思えますね。hildaさんに頂いたコメントにもありましたが、王子たちの苦悩・不安も底知れないものがあるようです。