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To Kill a Mockingbird(アラバマ物語)感想

2004-08-15 14:45:25 | 読書
話のネタバレ全開です。(汗) 注意。
日本ではこの本は映画で主役を務めたGregory Peckのファンでもない限りはあまり知られていませんが,英語圏の国では高校生の読書の課題によく使われる有名な本だそうです。

英語のレベル的には,ネイティブの高校生レベルという事で,そりゃもー大変でしたです~。だいいち私は日本語でも高校生レベルの本を読んだ事がないのです。(爆)
でも,なんとか読み終わってみると,いろいろ考える事が多かったです。


時代背景は1930年代,人種差別は当然というより,人々が白人と有色人種が同じ人間という事を認識しなかった時代のアメリカ南部です。
一家の主Atticus Finchは,Alabama州の架空の町Maycombという町の腕利きの弁護士で,Jem,Scoutという,物語開始当初は11才と6才の兄妹のお父さんです。奥さんを亡くし,男手1つで子供達を育ててきました。(と言っても,家には黒人のお手伝いさんCalpurniaがいて食事や子供達の服装などの面倒を見ています。)

子供達は,うちのお父さんは何をする人なんだろうといぶかしがる場面があります。物を作る人でもないし,何かの運転手というわけでもなく,人の役に立っているように見えません。Atticusは元々少し年取ってから結婚したようで,お父さんと遊びたい盛りのJemと一緒に遊んであげることができません。(Jemはフットボールに興味があるようです)

ある時Atticusは,町の白人の中では最下層に属する嫌われ者一家,Ewell家の長女Mayellaをレイプした疑いで逮捕された,Tom Robinsonという黒人の青年の弁護を引き受けます。裁判で,AtticusはMayellaと父のBobの嘘を巧みに暴いて見せます。やがて,白人ばかりの陪審員達は,ある判決を下します‥‥‥。

実はこの本,ヒーロー弁護士が派手に活躍する話でも,人種差別に渇を下す話でもありません。
Atticusは町1番の銃の腕前を持っていても,銃は持ちません。子供達を口汚く罵る隣家のおばあさんは,病気を受け入れる勇気のある貴婦人だと教えます。Mayellaの嘘を暴きながらも,彼女が白人にも黒人にもまともに相手にしてもらえないかわいそうな立場にいるという事を伝えます。

Atticusは息子にフットボールは教えてあげられないけど,自らの背中でたくさん教えてくれます。みんなが正しいと思う事はすぐに実現されるわけではなく,いつも正義が勝つわけでもありません。自分の代では理想は実現されないかもしれません。それでも,それを続けていく事が大切だ,と教えるんですね。

裁判の前に,Atticusは子供達にこんな事を話していました。
Shoot all the bluejays you want, if you can hit 'em, but remember it's a sin to kill a mockingbird.
これはどういう意味なのでしょう? 直訳すれば,「カケスは全部撃ってもいいよ,撃てるならね。でもものまね鳥は殺したら罪になるからね。」でもものまね鳥って一体どんな鳥なのか,いつも子供達にお菓子をくれたり暖かく見守ってくれている隣人のMaudieおばさんはこう説明します。
Mockingbirds don't do one thing but make music for us to enjoy. They don't eat up peaple's gardens, don't nest in corncribs, they don't do one thing but sing their heart out for us.
「ものまね鳥は何もしないけど私達を楽しませてくれる。彼らは人の庭の物を食べたりしないし,とうもろこしの倉庫に巣を作ったりしない,彼らは何もしないけど,人々に彼らの心を歌う」というような意味ですね。

そして,最後に,不思議な隣人Booとの触れ合い,その暖かさ。Atticusと保安官のやり取り。Scoutは,Atticusの言葉"it's a sin to kill a mockingbird."がわかったよと言います。
この話を読んだみなさん,わかりましたでしょうか?(笑)mockingbirdって誰の事だったか。



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