池澤夏樹・訳。2005年第一刷の、新訳だ。集英社文庫。
この年になるまで、本作を読んだことがなかった。
例の、「大切なものは、目に見えないものなんだよ」という台詞をどこからか聞いて、わかった気になっていた。
始めは、もどかしい。主人公と王子のひねくれた考え方に、ついていけない。王子の宇宙遍歴を聞くころになると、だいぶ慣れて読みやすくなる。
その星その星で奇妙な人々に会うのだが、その寓話が優れている。ああこんなしゃちほこばった部分が自分にないだろうか、と考えされられる。
終末、王子との別れでは、読んでいるこちらの胸が苦しくなるほどいとおしい。
ドッグイアー。
#「じゃ秘密を言うよ。簡単なことなんだ――ものは心で見る。肝心なことは目では見えない」
#「何よりも忍耐がいるね」とキツネは言った。「最初は草の中で、こんな風に、おたがいちょっと離れて坐る。おれは君を目の隅で見るようにして、君の方も何も言わない。言葉は誤解のもとだからね。でも、毎日少しずつ近くに坐るようにしていけば……」
#(訳者のあとがきより)翻訳というのはとても丁寧に本を読むことだ。
この年になるまで、本作を読んだことがなかった。
例の、「大切なものは、目に見えないものなんだよ」という台詞をどこからか聞いて、わかった気になっていた。
始めは、もどかしい。主人公と王子のひねくれた考え方に、ついていけない。王子の宇宙遍歴を聞くころになると、だいぶ慣れて読みやすくなる。
その星その星で奇妙な人々に会うのだが、その寓話が優れている。ああこんなしゃちほこばった部分が自分にないだろうか、と考えされられる。
終末、王子との別れでは、読んでいるこちらの胸が苦しくなるほどいとおしい。
ドッグイアー。
#「じゃ秘密を言うよ。簡単なことなんだ――ものは心で見る。肝心なことは目では見えない」
#「何よりも忍耐がいるね」とキツネは言った。「最初は草の中で、こんな風に、おたがいちょっと離れて坐る。おれは君を目の隅で見るようにして、君の方も何も言わない。言葉は誤解のもとだからね。でも、毎日少しずつ近くに坐るようにしていけば……」
#(訳者のあとがきより)翻訳というのはとても丁寧に本を読むことだ。