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ターコイズ別館・読書録

――図書館へ行こう。

23 「超」整理法 野口悠紀雄

2007-04-04 21:45:15 | な行
 副題、情報検索と発想の新システム。中公新書。

 皮肉なことに、本書のメインテーマはA4一枚に「整理」される。

・文書は分類しない(例外あり)。
・書類の棚は、押し出し式にする。時間軸で処理するため、使った書類は必ず棚の左側に(逆でもよい)戻す。
・右側に溜まったファイルは「神様」なので、処分するか別の場所に保管する。
・ファクシミリは便利だが失礼だと思われている。もっと地位を向上すべし。
・パソコンでメモを取るなら、テキストファイルにしよう。

 ああ五点で終わってしまった。
 著者の発想はすばらしい。実際、私も実践している。ただし、本にするほどの分量はない。だが本にしないとお金にならない。そのためぐだぐだと著者が整理に苦労する姿を並べている。A方式も駄目、B方式も駄目、C方式も駄目、だから「超」整理法がよい、なんていう論法は迂遠だ。

 しかし読んでみて、今回の「ドッグイアー」は長い。読むところがあるということである。

 ドッグイアー。

#ユースウェアは、コンピュータを使いこなす方法論であるとともに、「コンピュータに使われない」ための方法論でもあるのだ。

#連絡は手紙で行なうというのが、人間社会が長く用いてきた方法である。電話を日常的に使うようになってのは、せいぜいここ三十年程度のことでしかない。ところで、ファクスとは、基本的には手紙(正確には葉書)と同じものである。だから、ファクスには、人間が永らく慣れてきた方法への復帰であり、自然なものなのである。(略)
 問題は、「ファクスを送りつけては失礼だ」という社会通念があることだ。「投げ出すように勝手に送りつける」というイメージがあるのだろう。(略)ファクス通信に失礼なことなど、何もない。

#(KJ法に対する立花隆の厳しい評価)これが利点となるのは、頭が鈍い人が集団で考えるときだけである。

#アイディアはどこで出るか? (略)北宋の文人政治家欧陽修は、(略)馬上、枕上、厠上をあげた。これがいわゆる「三上」である。

#現在、われわれが個人レベルで持っている情報処理能力は、さまざまな面で六十年代の大型コンピュータより高い。(略)だから、情報処理の方法論も、当然変わらなくてはならない。

2 これがビートルズだ 中山康樹

2007-01-04 19:47:52 | な行
 講談社現代新書。表紙がクリーム色のころだ。このデザインの方がいいと思うが。

 結論から言えば、ファンなら必携の一冊。正確にはファンになって、もっとほかの曲も知りたいなあと思うころに最適。公式曲全213曲について、それぞれ1ページの解説がされている。

 筆者がビートルズを愛しているのがわかる。
 世界最高のおねだりの声を持つポール。。ササッと名曲を書くポール。ジョンやポールが抜けてもビートルズは成り立つが、彼がいなければ成り立たないと言わしめたリンゴ。名曲の打率が高いジョージ(サムシングとヒア・カムズ・ザ・サン)。

 また文章がぞくぞくする。こんな書き方があったのか、というくらい。

 ドッグイアー。

#ポールはオノ・ヨーコと会ったそのときから違和感を抱いていた。想像だがそうに違いない。この日には三曲のレコーディングが行なわれたが、(略)最後の《コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロウ・ビル》が始まる前に帰ったのではないか。(略)いや、これもまた想像に過ぎないが、普通の人間であれば帰って当然だ。(略)ヨーコにいたっては短いながらリード・ヴォーカルまでとっているのだ(!)。しかも、「ジョンが歌えって言うんだもの」だとお(想像だが、スタジオ内でこのような恐れを知らぬ発言があったと思われる)。

 本当にこの人はオノ・ヨーコが嫌いなのだなあ、と実感。ビートルズの解散を速めた人だろうから仕方がないかもしれない。