京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「貧者の一灯3」

2016-05-08 09:32:10 | 時計修理

5月8日大安の日曜日。
やれやれ~っと大型連休最終日です。
3人続けてコピーモデル。4人続けて電池交換で1万円札、熊本の「いきなり団子」は美味しいが「いきなりブルガリ」の修理がやってくるのはちょっとてこずる。

写真はエルメス・クリッパー。ベゼル、ベルトのネジが緩みやすいので固定液をつけて処理しましょう。それでクリッパーが来るとあわただしくなるのです。15分と100円で完了。

この週は年間で一見さんが一番多い季節です。ルールを知らずに迷惑なコピー品を持ち込む人が多い連休でもある。
比叡山を眺めるといきなり黄砂!お山がかすんでいます。連休中の黄砂はつらい!

富者の万灯より貧者の一灯。
貧者の一灯より時計師の一灯。時計師の一灯より漆、西陣織、楽焼など伝統工芸師の一灯!
まだまだ茶道、華道、能楽師もいるぞ!
京都で一番偉い一灯は誰か?

まぁ~京都の五月病と金欠病の合併症は死に至る病が風土病化しています。「頑張れ!」という無慈悲なお言葉はしばらく禁句!

お客さまがセイコーのクオーツ時計を20年間使い続けたモデルを電池交換で来てくれました。
ウラブタにはびっしりと電池交換の日付けが記載されていて今は無くなった時計屋さんの名前を見つける。
1本を永年大切に使っていただけるありがたいお客様です。また2年後に時計もお客様も戻ってくることをお祈りしてお見送りをします。

残念ながら貧者の一灯より富者の一灯のほうが経営上ありがたいのも事実。事実エルメス、ブルガリ、カルティエなど4~5本持ち込んむお客様で経営が成り立っています。
また、京都セレブはクレームレス。高級品の使い方を良く理解しているのが特徴です。
2年毎、一定期間になると時計が動いていても電池交換を済ませるのでこちらも余計なアドバイスは不要になる。

困るのが京セレブに混じって大阪ニワカ・セレブ人が数百万円の時計を持ち込む。
なぜか工房では大型連休中に大阪人が多い。
これは微妙な言葉使いでわかります。コピー品を持ち込むパターンが多いので即座に断ると捨て台詞を一発かませて帰るのが特徴です。
「大阪人と政治家はお断りの店、その心は偽物が多いから!」

また高額時計の修理も持ってやってくる。電池交換料金を1000円でやっているうわさを聞いてくるのでしょう。
海外旅行での購入品が多く百貨店でも当然上客としてちやほやされるので「いつもの外商に頼むとタダやけどな!きょうは急ぐから~」と気分の悪いひと言添えるのも定番だ。
サイズ調整、電池交換は無料サービスと思い込んでいる。

購入したお店では購入費の約20%がお店の利益なので電池交換を無料にしたところで影響はない。
そのお客がそのまま工房に乗り込むと悲劇が起きる。工房は1本千円の端金だがこの修理料金で生活している。
電池交換が無料だという客の思い込みと数百万円の時計修理リスクを1000円でやってあげているというボランティア精神の私の間にギャップが出てくる。
大阪人は時計店で敬語を使わないのも心斎橋の店で経験済みだがやはり解っていても毎回ムッと来る。
まあ~、お互い常時ちやほやされているものだ。
こちらは確実に修理を進める。すると座って待っているだけでみるみる不機嫌になっていく。大阪名物「イラチ」がでた~。
イタチとちゃいます、大阪名物イラチや!これは急がにゃ~!待たされることが出来ない人種が大阪にいるのだ。すぐに割り込んでくるのが特徴です。

大阪の富者の1本より、京都は貧者の一本の街!
大阪人は神社のお賽銭箱にお金を投げると跳ね返って戻ってくると言う。
「そんな、ようさん、いっぱい、いっぱいお願いされても割が合わんのじゃ~!」
お賽銭箱には真上からゆっくり入れましょ~投げたらあかん!

ここが京都でよかった!
5月15日は葵祭り。東京からの観光客の皆さんはきれいな京言葉とやかましい大阪弁、よそいき神戸語の違いを聞き取ることでより一層旅の楽しみが増えることでしょう。
お待ちしておりますよ~ん。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする