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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

2月14日・ジョージ・フェリスの輪

2023-02-14 | 建築
2月14日は、古代ローマで自由結婚を主張した聖職者バレンタインが処刑された日(269年)だが、技術者、ジョージ・フェリスの誕生日でもある。観覧車を発明した人である。

ジョージ・ワシントン・ゲイル・フェリス・ジュニアは、1859年、米国イリノイ州ゲールズバーグで生まれた。父親は園芸家だった。
陸軍士官学校をへて、工科大学で土木工学を専攻したフェリス・ジュニアは、鉄道と橋の建設業界に進み、ペンシルベニア州ピッツバーグで、鉄道、橋梁用の素材の検査をする会社を興した。
折しも、コロンブスがアメリカに到達してから400周年を記念した、コロンブス記念世界博覧会が、1893年にシカゴで開かれることになった。
博覧会を主催する委員会側は、4年前に開かれたパリ万博の象徴であったエッフェル塔をしのぐ何かを、このシカゴ万博の会場に建設することを望み、その案を募った。
それに応じたのが、フェリスだった。彼のアイディアは、機械仕掛けで動く巨大な観覧車を会場に設置して、客はこの観覧車に乗って、会場全体を俯瞰できるというものだった。
委員会側ははじめ、この案に対し、危険すぎると怖じ気づいたが、最終的にはフェリスの案を認可した。
フェリスは建設費を捻出するために投資家を募り、資金を集め、観覧車建設に着手した。
完成した観覧車は、36個の観覧ボックスをもち、それぞれのボックスが40席の回転椅子を備え、60人を収容できた。都合、観覧車はいちどに2,160人を乗せてまわるという巨大なエンタテイメント施設だった。
乗客は、50セントの切符を買い、約20分かけて2周する観覧車の旅を楽しみ、観覧車は毎日、3万8,000人の観客を乗せて営業をつづけ、主催者側にばく大な利益をもたらした。
万博が終わると、フェリスと投資家たちは、利益の分け前をよこさないと、主催者側を訴え、ただちに法廷闘争へと移った。
フェリスは、1896年11月、腸チフスのため、ピッツバーグにて没した。37歳の若さだった。

「エッフェル塔を超える」
この難題にジョージ・フェリスは挑み、空高くそびえてまわる巨大な輪という解答を導きだした。
観覧車のことを、英語ではフェリスの名から、Ferris Wheel (フェリスの輪)と呼ぶ。
恋人たちが愛を誓う日、バレンタインデイと、恋人たちが愛を語らうデートスポット、観覧車とが、不思議な縁でつながっている。
(2023年2月14日)



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