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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

7月26日・ミック・ジャガーの筆力

2021-07-26 | 音楽
7月26日は、映画監督スタンリー・キューブリックが生まれた日(1928年)だが、ザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーの誕生日でもある。

ミック・ジャガーこと、マイケル・フィリップ・ジャガーは、1943年、英国イングランドの、ロンドンの南東にあるケント州ダートフォードで生まれた。ナチス・ドイツによって英国が爆撃されていたころのことで、父親は師範学校の体育講師で、母親は美容師だった。ミックには4歳年下の弟がいた。
ミックは小学校を卒業し、グラマー・スクールに進んだ12歳のころ、駐留米軍兵士を通じて黒人音楽にはじめて触れた。
14歳の時分からミックは学業をさぼりだし、しだいに反抗的になった。学校ではバスケットボール選手で、男友だちと性行為にふけり、チャック・ベリーのレコードを聴き、アマチュア・バンドで歌った。受験前に猛勉強し、名門ロンドン・スクールオブ・エコノミックスに入ったが、ある冬の朝、通学途中に、小学校のとき同級生だったキース・リチャーズとばったり再会し、音楽の話で意気投合した。二人は、ブライアン・ジョーンズが募集した新バンドに加わり、ミックはバンドのボーカリストとなった。
マリリン・モンローを見て研究したという、髪を振り乱し、唇を突き出し、観客を挑発するように歌うミックのステージパフォーマンスは斬新なもので、拒絶する聴衆も多かったが、悲鳴をあげて絶賛する聴衆の声がブーイングの声を上回った。
彼らのバンド「ザ・ローリング・ストーンズ」は、営業戦略上、先にデビューしていた「ザ・ビートルズ」と対照的に不良のイメージを前面に押し出し、人気バンドとなった。ストーンズのステージは、少女たちの悲鳴が鳴り響く一方で、客席から棒切れが飛んできて、若者がステージに上がり殴りかかってきたりする殺伐とした側面があった。
「サティスファクション」「悪魔を憐れむ歌」「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」などの大ヒットを放ち、当初バンドのリーダーだったブライアン・ジョーンズが亡くなり、名実ともにミックとキースの2枚看板のバンドとなったローリング・ストーンズは、その後「ブラウン・シュガー」「ダイスをころがせ」「悲しみのアンジー」「ミス・ユー」「エモーショナル・レスキュー」「スタート・ミー・アップ」などのヒット曲を放ち、21世紀に入った現代も現役をなお続ける長寿バンドとなった。

ミック・ジャガーはスタジオで集中力を発揮し、短時間で曲の歌詞を書き上げるらしい。
ミックはバイセクシュアルで、ブライアン・ジョーンズやデヴィッド・ボウイと関係をもつ一方で、寸暇を惜しまず女体を求めてきた漁色家で、若いころから女性にラブレターをたくさん出していた。彼の元恋人クレオ・シルベスターは言っている。
「あのころでも、男の子があんなにいっぱいラブレターを書くなんてめずらしかった。しかも私たちは週に二回は会ってたのよ。」(クリストファー・アンダーセン著、小澤瑞穂訳『ミック・ジャガーの真実』福武書店)
ミックが何度も婚約しては破棄し、エンゲージリングをいくつも贈った女性クリッシー・シュリンプトンは、彼からラブレターを六〇〇通受け取ったという。短時間で歌詞を書くミック・ジャガーの筆力は、ラブレター書きによって培われたのではないか。
(2021年7月26日)



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