1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

7月7日・マルク・シャガールのリズム

2021-07-07 | 美術
7月7日は七夕。この日は、作曲家のグスタフ・マーラーが生まれた日(1860年)だが、画家、マルク・シャガールの誕生日でもある。

マルク・シャガールは、1887年、当時帝政ロシアだったヴィテプスクのユダヤ人の家庭に生まれた。父親は魚屋で働き、母親は自宅で雑貨商をしていた。マルクは9人きょうだいのいちばん上だった。
19歳のとき、美術学校に入学。それから学校を何度か変えて、絵を学びつづけ、23歳のとき、仏国パリに出た。「私と村」はこのパリ時代、24歳のときの作品である。キュービズムの影響を受けたシャガールは、すでにパリで彼独特の、自由な色彩と画面構成による幻想的な画風を確立していた。
27歳のとき、シャガールはベルリン、ロシアへ旅行に出た。パリへもどるつもりだったが、第一次大戦がはじまり、もどれなくなった。それで、彼は故郷へ帰った。
28歳のとき、ベラと結婚。妻のベラはシャガールのモデルとなって、彼の作品によく登場するようになった。
第二次大戦がはじまると、シャガールは米国へ亡命。妻ベラは大戦中に米国で病死した。
戦後、シャガールはフランスへもどり、フランス国籍を取得して仏国に住んだ。
73歳のとき、当時仏国の文化大臣だった作家のアンドレ・マルローが、シャガールにパリ・オペラ座の天井画を依頼。シャガールはこれを77歳のときに完成させた。
86歳のとき、ニースに「マルク・シャガール美術館」が開館。
1985年3月、南仏のサン・ポールで没した。97歳だった。

シャガールの画集やポストカードをもっている。自伝も読んだ。「誕生日」「私の窓から見たパリ」「花嫁花婿とエッフェル塔」「ヴィテプスク上空のヌード」「恋人たちと雄鶏」など、みんな好きで、シャガール展があると聞くと出かけていく。「私と村」はニューヨークのMoMA(ニューヨーク近代美術館)にあるが、行くたびにその絵の前に長いこと立つ。

シャガールの絵の色彩は、青がまず印象的で、ついで赤、そして白。フランスの三色旗の色である。

シャガールの絵のなかでは、建物や人や動物といった要素によって画面が構成されているのとはべつに、もうひとつ、色彩の塗りわけによって画面が構成されている。
でも、その構成が、ある大きなリズムをもって配置されているために、全体がやわらかく調和して、絵に破綻が感じられることがない。
たとえば、道を歩く農夫に対して、道を案内する女性が天地逆さまだったりするけれど、二人のあいだにはちゃんと構図上のリズムが通っていて、一体感が感じられる。
(2021年7月7日)



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