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日本語教師の見た中国とか…

日本語教師が見た中国をつらつらと綴ろうとはじめました。帰国後、大学院生を経て今はとうとう専任日本語教師だ~。

スニンちゃんの微笑み

2009-05-12 09:59:00 | 日本語教育
 教え子の韓国人は、嫁さんと子供を連れて留学しています。近所に引っ越してきたので、子供を連れてちょこちょこ遊びに来るようになりました。今日のテーマは、バイリンガル児童の言語習得!・・・なんですが、まあ、そんな堅い話ではなく、3歳になる韓国人暴れん坊児童スニンちゃんのお話。

 スニンちゃんは、韓国語しか話せないんですが、親が韓国語で話しかけても、僕が日本語で話しかけても、わかったかわからんのかよくわからんような顔をしてボーっとしています。また、気が向かいないときは、プイっと横向いてしまいます。何語で話しかけてもおなじようなリアクションがでる。そして、そんな大胆な社会規範上大人には許されない態度が許されてしまう。

 それが子供の特権ですね。

僕が日本語学の大家に話しかけられたら、必死で一言一句もらさず聞き取って、ばっちりリアクションするっちゅうねん。ましてや、気が向かなくてプイっと横向いてしまったら、それだけで人生ゲームオーバー。

 そんな話はおいておいて、スニンちゃんは、上述のような傍若無人な態度を連発しても、おかしをバリバリ食べてご飯を残しても、父親のほっぺにチュってするたびに口を服で拭いても、ニコっとするだけで、み~んな周りはゆるしてしまうんですね~。そしてまた、まわりの大人は性懲りもなく話しかけてしまう。

 女の子の言語習得が早いのは、このニコっに秘密があるのではなかろうか。

 性別習得速度に関する微笑み仮説

 そして、またおじさん(わたしね)は性懲りもなく、話しかけるのです。

 スニンちゃん何してるの~???

 プイっ   

アントニオさんの憂鬱

2009-04-13 12:16:14 | 日本語教育
 私が通っている地域日本語教室は毎週土曜日の午後、活動をしています。土曜日の午後だから、日本人スタッフにしてみればちょっと大変な時間帯です。家族を持っている主婦の方に頼っているボランティアの現状は、どうしても動ける時間が平日昼間に偏ります。土日はみんな家族サービスしたいですもん。それを無理して土曜日に教室を開講してくださるスタッフの方には頭が下がる毎日です。

 そこへやってくるアントニオさん(仮称)

多くの日系人がそうであるように、彼も三交代制をとっている会社の社員です。つまりお休みが定期でとれないのです。毎週土曜日に参加したいけど参加できないことを、彼はいつも嘆いています。

 広島市内には約20箇所の教室があります。多くは平日の昼間しかやっていません。土曜日をやっていたとしても、三交替の方にとっては参加できないわけです。「他の地域に行け!」というのも無理な話で、わざわざ遠くの地域まで参加するのはかなり時間とお金がかかります。要は身近なところにないと参加できないのです。

 外国人の受け入れに関して、3月10日の朝日新聞に社説が載りました。子供の日本語の問題も大きな問題ですが、親の日本語についても指摘されています。

 じゃあ、どうやったらいいの?

この質問に答えられるひとは行政にいるんでしょうかねえ。教室活動を行政が行うにしても、地域ごとに時間帯を調整しながら行うとなると、とても現実的には無理です。現在の20箇所をすべて行政の公的支援にするなんてことはありえません。さらに三交替勤務に合わせてカリキュラムを組むなんて!

 結局、ボランティア任せになるんでしょうね。

 アントニオさんの憂鬱は、日本の大きな構造的問題を映す鏡

 ちょっとブルーな週末でした

 私にできることは、問題点をできるだけみんなに知ってもらうこと、行政にも働きかけ続けることくらいです


ジェームズの引率

2009-03-25 06:02:31 | 日本語教育
 大学時代に仲良しだった留学生のジェームズ。現在はイギリスで日本語教師をしているというのは知っていました。突然のメールで、

 「学生の引率で名古屋に行く。時間取れる?」

と聞いてきたので、名古屋まで会いに行ってきました。イギリス人中学生を数人引き連れて、彼はすっかり先生になっていました。イギリスの中学生って幼いな~。みんなヒヨコみたい。小学生ですって言われたら信じてしまう。

 英語なんてしゃべる気もない私は、ジェームズと日本語でおしゃべり。

イギリス人中学生たちはそれが気になるみたいで、チラチラこちらを気にしています。「ひゃ~先生はすごいなあ、日本人のおっさんとしゃべっているもん。」などと思ってくれたらうれしいのになあ。さらに、

 「僕もいつか日本人と日本語でしゃべりたいなあ」

などというモチベーションになってくれたらもっとうれしいんだけど。引率のくせにオチャケを飲みまくる彼は相変わらずでした。
 
 そんな引率でえ~んかいな!  ええんやろなあ。

ファンデの好み

2009-03-08 09:21:57 | 日本語教育
 ボランティア日本語教室でいつも会うのは私の母くらいの年齢の韓国人の方。最初はなにもしゃべれないもんだから、まったくコミュニケーションもとれませんでした。僕に向かって

 「$!%$”#%!%$&%”」

韓国語で話してくるもんだから、いつも慌てていました。それが最近、かなり片言でコミュニケーションがとれるようになってきました。自分のこと、子供のこと、話は展開して81歳になる母のことを話してくれました。

 「私の母は、資生堂のファンデーションしか使いません。」

はははは、なんか違うんでしょうかね~。まあまあ、お母さんの好みなんだから仕方ないですねえ。話を聞いていると、どうもお母さんは、毎日資生堂のファンデを使っており、それをいつも彼女が日本で買わされているようなんです。

 「私だって、週1回しか使えないのに!!」


ははははははは。

日本語でグチが言えるなんてすばらしいですよ!!

オオカミ少女はいなかったんだとさ!

2009-02-27 17:22:17 | 日本語教育
 世の中にはろくに検証もされずにウソッパチが事実になることがあります。そんなことは大人になるとみんなよ~く知っているはずです。「社会なんてそんなもんさ!」的な態度は30を越えると誰でも身についてきます。それでも我々の常識が覆される瞬間ってのはやっぱりドキドキしたり、ワクワクしたりするんですよねえ。

 昔々インドの田舎で、アマラとカマラという少女がいました。二人はオオカミに育てられたために、言葉が話せませんでした。←オオカミ

 この話は、みんなどこかで一度は聞いていますよね?第二言語習得の本なんかにちょこちょこ出てきたり、心理学の概説書ではおなじみです。ある程度年をとったら言語は習得できない!などという理由付けに使われたりします。検証してみるとこれがすごい!

 『オオカミ少女はいなかった』新曜社 ← かなり売れているみたい

まあ、ろくに検証もしなかったために、事実として成立してしまったんですね。そもそもオオカミの母乳で人間は生きられない!!そんな類の話は山ほどあるみたい。「サブリミナル効果」もウソッパチだそうです。

 常識とされる言説について、「ほんまかいな??」と疑ってみる態度、これが教養です。

 まだまだ修行が足りないなあ。

円高と日本語教育

2009-01-23 12:00:36 | 日本語教育
 韓国人の教え子が、まもなく帰国します。試験が終わったら速攻で帰るそうです。せっかくの春休み、もうちょっと遊んで帰ればいいのにと思って聞くと・・・

 「日本に一日滞在するだけで、お金がたくさん無くなります」

どうも、円高が帰国を急がせたみたいです。予定ではもっとのんびりするつもりだったそうですが。仕方のないことです。国費を取っている人ならかまいませんが、仕送り組は今回の円高の影響を直撃しています。来期の留学を諦めるという学生も続々でているようです。本人の意志とは別のところで、自分の運命が決まってしまうなんて悲しいことですね。その帰国する学生曰く、

 「次はワーホリビザで来日します」

うんうん、それはいいねえ。こっちで稼いで滞在すれば円高もあまり関係ないしねえ。

 「来たら、また連絡してや~」

ロッタちゃんの言語習得

2009-01-16 15:14:44 | 日本語教育
 ロッタちゃん(スイス人)は、交換留学生です。どうもみんなと共同生活が苦手なようで、いつも単独行動。日本語の授業も10月頭に、ちょっと出ただけでプイッと飛び出してしまいました。それっきり授業には来ない。

 こういうタイプはどこにでもいるんですよ。

ロッタちゃんが一味違うのは、飛び出した後も独学を続けているところ。たまに私のところに来ては、チョロチョロ質問して帰るんですが、その質問が本当に的を射ている!

 「~んです」に接続できる形を全て教えてください。

私は該当するページをコピーしてあげると、次来るまでにばっちりやってくるんです。ミスはちょこちょこあるけど、基本的にポイントは逃さない。

 たべられる よめる という形の作り方を教えてください

またまた私は該当する練習問題のページをひらいて、いそいそとコピー。そんなこんなを繰り返しているうちに、彼女は基本的な活用をマスターしてしまいました。こんな学生ははじめてですわ。ボトムアップで学習者主導の学びっていうんですかね、こういうやつ・・・

 おそるべしスイス人

 たった一人の例で一般化してもたらあかんあかん。

 
 かんけいないけど、ルイス広島残留決定バンザイ!

ポンさんの嘆き

2009-01-11 12:42:02 | 日本語教育
 知り合いのポンさんはタイ人。料理が上手です。日本人のご主人とバンコクで出合って結婚。ご主人の転勤にともなって、日本について来たんだそうな。日本語教室で知り合いました。

 「日本の習慣には慣れました?」

 「慣れないこともあります」「子供が生まれてたくさんお祝いをもらいましたが、主人は半分でたくさん買い物をしてみんなに配ってしまいました。」

 どうも、ポンさんはお祝い返しのことを言っているみたいです。

 「習慣なので仕方ないけど、本当にもったいない!」

 あはははは、僕もそうおもう。お祝い返しの習慣っておかしいですよね。せっかくお祝いをもらったのに、半額分をきっちり調べてお返しするんだモノ。僕も嫁を見てていつもおもう。結婚祝いくらい素直にもらっておけばええがな~

 「もったいない!!」


 習慣やしきたりって、形式だけが一人歩きし始めると本当に困る。その裏にある理屈や理論がよくわからなくなってしまうようなら、そんな習慣は要らないと思うんだけどなあ。実は、祖父がなくなったとき、部屋には彼が生前お祝い返しにもらったタオル、布団、シーツ、グラス・・・なんと6帖間にぎっしり!!出てきました。すべて未使用のまま処分しました。

 なんか、歪んでいると思う。


 外国人は、そのへんの矛盾がよく見えるのですね。


ちょっとづつの助けあい

2008-12-08 15:23:41 | 日本語教育
 学生からもらったクリスマスプレゼント。

 そのクラスは、ボランティア日本人5人と、私(実はボランティア)と、留学生からなるクラスです。留学生はみんなの分のクッキーを焼いてきてくれたのです。

 日本人はボランティアで授業参加、留学生はボランティアでお礼(クッキー焼きね)。

 みんなちょっとづつ気を使うと、クラスは本当にいいムード。ちゃんと感謝ができることって、実は大切だなあと思う。


 感謝すると脳にアルファー波が発生するとかいう本がありましたねえ。


 ほんまかな。

 「これは誰が焼いたんですか?」

 「サンタクロースです。」


 おいおい、わしは34歳やっちゅうねん。


  

説教の日本語

2008-11-23 10:54:32 | 日本語教育
 地域日本語教室にて、外国人神父さんと話をしました。う~ん気になることがふたつ。

 1.他の宗教を排斥ばっかりするのよ。映画『ショコラ』の神父さんは最後のシーンで「大事なことは排斥ではなく、受容である」みないな説教をするのになあ(『ショコラ』のテーマは敬虔じゃない異教徒を受容することでした)・・・キリストの本当の教義はどうなっているんだろう?

 「キリストを信じない日本人は全員地獄に落ちますよ」

なんて言われて、「へ~そんならクリスチャンになろう!」なんて思う??

 2.外国人が日本語で説教するのはとてもとても難しい。日本語に限らず、自分の母語以外で聞き手を説得して導くというのは本当に難しいなあ~と思った。宗教に限らず、外国でモノを売ったりするんも大変なんだろうなあ。


 説教は、かなり高度な言語コミュニケーションである。 

 
 自分の意志が及ばない大きな力がある。それを信じるかどうか。それが宗教の本質であると思うのだ。その大きな力は仏様でもキリスト様でもアラー様でも大槻ケンヂ君でもいいと思うのよ。

 大事なことは「みんなちがってみんないい」ってこと
 

ちびっこの語彙習得

2008-11-03 22:38:55 | 日本語教育
 近所に3歳の男の子がいます。暇だったので捕まえていじってみた。

 「真っ黒だけど、野球してるの?」

 「・・・」

  「野球わかる?」

  「・・・」

 こっちがゼスチャーしてみたら、わかったらしくポツリとヒトコト・・・

 「カープはおわったよ。」


 なんと、「野球」という語彙よりも「カープ」という語彙を先に習得しているんですよ!こうやってカープファンは拡大生産してゆくのだなあ~


 ところで、「おわった」ってどういう意味やねん!

待っていた言葉

2008-10-27 16:52:46 | 日本語教育
 ずーっと好きだったスウィンギンポプシクルというバンドがあって、そのバンドが韓国限定でCDを出しました。

 そのCDがいかに魅力的かは割愛。とにかく欲しかったのよ。ノドから…

 ほんでもって、ずーーーーーっとチャンスを待っていました。やっとそのチャンスが巡ってきたのです!学生のチョ君が帰国するから、「先生、何か欲しいものあったら言って」。実は数年前に私自身が韓国に行った時、時間がなかったこともあり見つけられませんでした。けっこうレアものみたい。

彼はかなり苦労したみたいですが、見つけてくれたのです。

 いや、日本語教師でよかった!ってこんなに実感したのはじめて


 ほれてまうやろ~~~~!!

 チョくんが男でよかった

研修生の声

2008-10-13 10:50:02 | 日本語教育
 地域日本語教室に通っています。地域で働く外国人をボランティアスタッフの日本人が支えるというシステムです。昨日対応したのは中国人研修生でした。彼らはカタコトで自分たちの窮状を一生懸命話してくれました。なんでも月金びっちり働いて月給が6万5千円(住居付)なんだそうです。結構危険な仕事です。

 ほら、愚痴りたくもなるわなあ。

2年目になると月給固定から時給制になり収入は増えるらしいのですが、広島の最低賃金の750円だそうな・・・。ここで困ったことがあり、中国人帰国者や、中国人留学生も職場にはいるようで、彼らは時給1200円もらっているのです。要は、ビザの種類が違うっつうだけで、これだけ差別があるのです。しかも研修生の給料は必ず誰かがピンはねしています。

 お隣の韓国では2004年から正式な労働ビザを発給して、3年期限の外国人労働を受け入れることになりました。日本も労働ビザの発給議論が続いています。現状のまま研修制度を続けているとかならず大きなトラブルが起こります(毎回給料から誰かにピンハネされて気持ちいい人間なんていませんよ!)。僕は彼らのグチを聴くくらいしかできないけど、彼らに対する扱いには憤りを感じます。 

 結果どうなるか・・・彼らは必ずこういいます。

 「実は、大学に入学してビザを切り替えたい・・・」

 それはそれで困るのだ。大学は労働目的で入ってきても続かないしね。でもでも、彼らの気持ちはよくわかる。現在日本で合法的にピンハネされず単純労働をするには、学生ビザ(就学ビザ・留学ビザ)しかありません(配偶者という手もあるにはあるけど…)。

 要は、「労働力は欲しいけど労働ビザは出さない」という日本政府のやり方が、もう限界なんですわ。


 地域日本語教室は日本社会を映す鏡です。

言葉か常識か!?

2008-08-18 15:45:34 | 日本語教育
ニュース見てたら、こんなんありました。

http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2008081800054.html

長崎で、アメリカ人男女12人が6人乗りエレベーターに詰め込み、エレベーターが2階から1階に降りる途中で止まってしまったというもの。日本語のアナウンスが聞こえなかったとかなんとか言い訳してはります。

つっこみどころはいっぱいある。

1、12人もいて、誰一人日本語が聞き取れないんかよ!

2、未開地ジャングルから来た人々ならいざ知らず、アメリカ人。あんな小さな箱に詰め掛けたら、当然定員オーバーになることくらいわかっているはず。言語云々ではなく常識の問題!

3、2階から、1階までくらい歩けよ~!

酔っていたのかな~

なんとなく陽気なニュースに、ほのぼのしてしまいました。

関係者にとっては災難でしょうが…






地域日本語

2008-07-22 09:16:44 | 日本語教育
 現在広島の山の中に住んでおります。山の中にもそれなりの集落があって、それなりの公民館なぞというモノがあるのです。公民館に「日本語教室 毎週土曜日」っていうチラチが貼ってあり顔を出すようになりました。

 ボランティア教室を支えている人って、どこでも女性なんですよ。

 年齢的に男性が来ててもおかしくないはず(定年後の人たちだから)。

 地域は母性に支えられているのかなあ(ちなみに有給スタッフを抱えている地域は男性が多い、なんか悲しい)。

 こんな山の中でも土曜日には外国人が集まってきて地域の人とワイワイやっているのですね~。中国、韓国、フィリピン、タイ、カンボジア、みなさんカタコトでいっしょうけんめい話すのです。日本人ってついつい日本語が通じないと英語の単語を口にしてしまいますが、よけいに伝わらなくなります。そんなことより、ゆ~っくり日本語で話してあげたほうがよっぽど伝わる。

 おどろくほど低賃金で働く研修生

 言葉もできないのに、日本人家庭に嫁いでくる配偶者

 仏教の修行で来日するお坊さん

人と人が交わるということは、時にショッキングな現実を伴います。国際都市広島とか、国際交流という言葉には、なんだか能天気で楽観的なにおいがプンプンします。もっともっとリアルな現実を若い日本人にも見せたいなあ・・・と思うのです。そのための風穴をいろんなところに開けていきたい。


 来月からインドネシア人介護士が来日されます。


 ますます地域日本語教室は盛り上がって行かねばなりません


 そのために僕には何ができるのか??