ota-broadcast

日々の気になる出来事を私なりの切り口で動物たちに報道させます。
時事ネタ、エンタメなんでもありの駄ブログです♪

[リレー小説]ロKンローライフ 第15話 後編

2006年06月17日 | リレードラマ[創作ネタ]
リレー小説「ロKンローライフ」
書き手も続きが"読めない"リレー小説デス




「ロKンローライフ」
この物語はある無名のギター野郎が
紆余曲折を経て武道館のステージに立つまでを
余すところ無くドラマ化したものになるはずであーる


前回のお話はコチラ

第15話 「ドッキリ」後編

ステージ裏に作られた簡易プレハブ小屋。
ここに俺たち出演者のための個室の楽屋が設けられている。
ドッキリの仕掛け人としてそのままはけてきた俺たち。
俺は今朝と同じように葵たち共々"ガングロ"の楽屋に入っていった。

すると間髪いれずにやってきたのはイベントの統括本部長であるリッキー山口だった。
俺は薄々「このままガングロ共々帰れって事になるんやろうな」と思っていた。
その覚悟は出来ていたのだがリッキーの言葉は意外なものだった。

「オイ、オマエ、リハ無しでも行けるな?」
「?」
「ピンだ、出来るな?」
「え?」
「もしもがあってもアレだぞ、オマエ、分かってるだろうな。
コッチは責任なんてアレだからな。
全て自己責任だ。わかってるよな。あぁ?」

俺はすぐさま頷いた。
するとリッキーはそれを確認するやいなや「オイ、アレだ!鯉貝呼べっ!」と
大声を出しながら楽屋を飛び出した。
そうだ。
この瞬間俺が決勝の舞台にピンで立つ事が決まった。

普通に考えればリッキーにとってこれほどリスクの高い賭けは無いだろう。
俺がもし決勝で下手をしたらこのイベントそのものが台無しになってしまう。
その損害はとんでもないものになりかねない。
しかしあえてそれを逆手にとって利用するようだ。
俺が本番でしょっぱい演奏をやったところで所詮アマチュアが集う決勝。
さっさと俺の時間を終わらせて粛々とイベントを続行すればいいんだ。
さっきもそうだ。
あの異様な雰囲気を打破し、
イベントの空気を持ち直すために取った「ドッキリだった」という手。
そのリッキーの臨機応変な仕切りに頭の片隅でつくづく驚かされた。

もちろんリッキーの中で俺というミュージシャンとしての何かに
そこまで信用できる確信があったからこそだろう。
後で聞いたがどうやらそれはケインの助言があったらしい。
クマジルやユキムラからも俺の事を聞きだしていたようだ。
ただ、思い通りに事が運んでいてますます俺はノリノリになっていた。
そしてもちろんこの時の俺にとってケインは裏切り者以外の何者でもなかった。
押し寄せるケインへの怒りの再点火とともに
時折メガネの親衛隊を思い出してはまた涙したのだった。
メガネ親衛隊のためにも必ず優勝してやる・・・・。
そう今一度気合を入れなおした俺だった。


「さぁみなさん、お待たせしました。
いよいよ天下一音楽会'06のメインイベント。
今年度のチャンピオンを決する決勝戦のスタートです!」

「ウォーーーーーーーーー!!!!!!」
「バモラーーーーーーーー!!!!!!」
「バーミヤンーーーーーーー(桃)!!!!!!」

楽屋に居ても十分伝わるほどの拍手と歓声が場内に響きわたっている。
その歓声は明らかにイベント開始当初と違っていた。
どうやら先ほどの「ドッキリ演出」が逆に功を奏し、
「何が飛び出すかわからない」
そんなイベントを楽しもうとする雰囲気に場内は見事に変わっていたのだ。
俺たちの跳ぶハードルは確実に上がっていた。

このオーディエンスの大きな返りに手ごたえを感じ、
司会の鯉貝ケンも興奮からか声がよりいっそう弾んでいる。
そして満を持して決勝進出者の名を読み上げていった。

「まず北海道ブロックからは、札幌のカラオケボックスで火がつき
狸小路商店街のストリートから飛び出した女子高生デュオ
"狸小路小町"の理恵&絵里」

「ヒューーーーーーーーーー!!」
「おういぇーーーーーーーー!!」
「理恵さまーーーーーーーー!!」
※札幌かにっこフィーバーな男

決勝というだけあって、各ブロックからそれなりに人気のある
アマチュアミュージシャンがやってきたようだ
青森で結成した"ガングロ"もさっき俺にそれを証明してくれた。

「東北ブロックからは今乗りに乗ってるインディーズガールズバンド
先ほども演奏してくれた"ガングロ エンド ザ ルーズソックス"」

「うぎゃーーーーーーがんぐろおぉぉぉぉ」
※メガネ親衛隊(テレフォンサイン)

「関東甲信越ブロックは最近メキメキ力をつけてきた実力派ロックンロールバンド、
ケリーカリー!!!!」

「いぇぇぇぇぁぁぁぁ!!」
※小さいオッサン
「イエーっていえええぇぇぇぁぁぁぁ!!」
※大きいおっさん

俺の代わりにケリーカリーに参加したクマジルも
実力あるケリーカリーのサポートメンバーとして上手くやってるようだ。
やっぱりここに残ってくるだけの力があるんだな。
そして俺の紹介の番がきた・・・。

「関東ブロックからはもう一組。さっきも驚かせてくれた
サプライズゲストのインディーズの新星、
デル・ダイヤモンド☆ローリングクレイドル!!」

・・・・・・・
俺のアーティスト名はいつの間にかそう名付けられていた。
というのも決勝に登場する上で本名で出るつもりだったが
「オマエ、ああいう派手なお披露目しておいてそんな地味な本名で決勝は無いな」
と、さっきリッキーに一喝されたからだ。
もちろん俺の目的はケインを打ち破ること。
ローリングクレイドルというプロレス技自体がそもそも地味じゃないかと
ツッコミを入れることもできたが、
もはや名前などどうでも良かったので素直に受け入れた。

その後中部・北陸ブロックの爽やか系男性デュオの"KAJI"、
四国ブロックのヘヴィメタルバンド"魔タンゴ"、
中国ブロックの謎の覆面ミュージシャン"山田光雄"
九州沖縄ブロックのHIPHOPユニット"黒蝿"と紹介され
そして最後に奴の名が読まれた。

「近畿ブロックからは4月にメジャーデビューしたダンスユニットチーム
"ケインwithテューン"!!!」

「キャーーーーーーーー!!!ウキャーーーーーーー!!!」
※黄色い歓声

わかってはいたけどやっぱり人気あるんだ・・・。
その黄色い声援がますます俺を刺激する。
決勝が始まる前から一方は女の子からの熱い声援、
一方は野郎どもからのブーイング。
悔しさと羨ましさからちょっと気分を落ち着かせようと楽屋を出た俺、
すると通路でバッタリ"狸小路小町"の理恵とはちあわせた。


第15話「ドッキリ」 後編 終わり

この小説はフィク・・・です



で、あとがき。

ということで第15話引っ張りましたがこれで終了です。
さぁこれから決勝です。
皆さん思うがまま描いちゃってください。
とりあえず各バンドやキャラについても適当に作っただけなんで
気にせず自由にキャラ付けして転がしてちょ。

オイラはメガネ親衛隊、
今後完全レギュラーで行きます。

さて、ではきゃす☆さん、理恵との会話からよろしくね。

ロKンローライフ 第15話 後編 終

[リレー小説]ロKンローライフ第15話 中編

2006年06月01日 | リレードラマ[創作ネタ]
リレー小説「ロKンローライフ」
書き手も続きが"読めない"リレー小説デス




「ロKンローライフ」
この物語はある無名のギター野郎が
紆余曲折を経て武道館のステージに立つまでを
余すところ無くドラマ化したものになるはずであーる


前回のお話はコチラ

第15話 「ドッキリ」中編

俺のケインへの挑発行為は転じて観客への挑発行為に変わっていた。
もたつくイベントへの苛立ちもあって
殆どの客が俺に対する怒りの帰れコール。
それは野外特設ステージ全体に響き渡る。
だがその凄まじさから俺は恐怖心など吹き飛び、
気分が余計に高揚してしまっていた。

「カ・エ・レ!カ・エ・レ!カ・エ・レ!カ・エ・レ!
カエレー!!カエレー!!」


もはや満場の「カ・エ・レ!」は
広島東洋カープの往年の応援よろしく、「マ・エ・ダ!」にしか聞こえなくなっていた。
落ち着いて会場を見やる、
するとその前田帰れコールを中心になって先導しているのは
"ガングロ"と書かれた派手なハチマキとハッピを身にまとった
いわゆる"ガングロ エンド ザ ルーズソックス"の親衛隊らしきメガネの男だった。

そいつは拳を高々と振り上げ、今にも俺に襲い掛からんばかりの形相で
近くに陣取っている仲間と見られる親衛隊達に対し「帰れコール」を煽っていた。
「なんでコイツらにここまで言われなきゃいけないんだ??」
これにはさすがの俺も腹が立ったのでその挑発についつい乗ってしまい、
中指を立てて"FUCK YOU!"とメガネ野郎に威嚇した。
するとそいつは一瞬驚いた顔を見せたが、
次の瞬間右手をスッと差し出したかと思うと
おもむろに中指を立ててきた。
しかしどうもおかしい。
よく見ると中指と一緒に薬指も立てており
まったく意味不明なサインで応戦してきたではないかっ!

「ツ、ツーフィンガー!!・・・・てか、その方がやりにくいやろ」

しかもやり慣れてないからか、その薬指は少し震えている。
俺は怒りとともに笑いをこらえるのが必死で涙が出てきた。
喜怒哀楽をいっぺんに体感できた瞬間だ。
と、悶え苦しみそうな思いの俺にリッキーが怒鳴った。

「オイ、オマエ、ココをどこだと思っている?
子供の遊び場じゃないんだよ。あぁ?
わかってんのかコラ!
・・・アレだぞ、オマエ・・ただじゃすまんぞ」

さすがに俺も今おかれてる立場に気付き我に返る。
すると今度はバツが悪そうに隅っこで小さくなっていた
葵に向かってリッキーが問いかけた。

「オマエら、アレか?コイツは正式なメンバーなのか?あぁ?」
「あ・・・・えっと・・・実はちょっと・・・・・」
「何だ?予選もコイツがギターやってたんじゃないのか?」
「えっ・・・あのっ・・・予選は本物の優衣で・・・・」
「あぁ?読めないな」
「・・・・・・・」
「・・・・ちゃんと全部話せコラァ!!!」
「キャッ」

持っていた台本を思いっきり葵の顔めがけ放り投げたリッキー。
これには観客も一瞬引いた。
いや、むしろドン引きだ。
だが俺はその高慢な態度が気に入らなかった。

「ちょ、待てや。俺が悪いねんから葵らはカンケーないやんけ!
文句があるなら俺に言えや!」

するとどうだ、
この発言にさっき俺に対して挑発してきたメガネのガングロ親衛隊が
「そうだそうだ!」と呼応したのだ。
どうやら葵たちを責めるリッキーが今度は敵になったらしい。
俺はすぐさまそいつに親指を立てて「グッジョブ」と合図を送った。
するとそいつも俺の気持ちを察したらしく、
ニヤッと笑みを浮かべたかと思うと、
親指と今度は何故か小指も立てて「テレフォン」サインを送り返してきたのだ。
その姿を見て俺は再びはらわたがよじれそうな思いをし、
さらに「何でオマエに俺が電話せなあかんねん」
というツッコミが脳裏を駆け巡り、また涙が流れてしまった。
その時だった。

「はい、はい、はい~皆さんお疲れさま~」

ステージの奥からこのイベントの司会者でもある、
ラジオのDJでお馴染み、鯉貝ケンがニコニコしながら入ってきた。

「皆さ~ん、コレコレ」

持っていたのは近くにあったもので適当に作ったとしか思えないプラカード。
そこには大きく「ドッキリ」と書かれていた。
これには俺も客も、
いや会場全員の頭の上に「?」マークが3Dで飛び出した。

するとリッキーがいきなり笑いながら言った。

「なんだぁ・・・驚かすなよぉ・・・何々?どこからでつか?」

と何事も無かったかのようにわざとらしい安堵の表情を浮かべた。
そのにこやかなリッキーの笑顔に、
さっきまであっけにとられていた観客もほっとした様だ。
瞬間「なんだそういう事か」という雰囲気が会場内に立ち込めた。
この1枚のプラカードによって
"ガングロ"の一連のエキシビジョンステージから俺の登場、リッキーの暴行も
ただのドッキリ演出だったという事で落ち付いたのだ。

俺たちは複雑な表情を浮かべながらも
"仕掛け人"という体(テイ)でそのまま舞台袖にはけることができた。
だが、"ガングロ"の楽屋に帰るとすぐさまリッキーが睨みをきかせ入ってきた。


第15話「ドッキリ」中編 終わり

この小説はフィク・・・です



で、あとがき。

この混乱をこの方法でまとめちゃいました。

さぁさぁ、
一旦は観客を静められたものの、
主人公が決勝の舞台に出場できるとは限らない。
果たしてリッキーの出した結論は!
ガングロ親衛隊の運命は!
そしていよいよ天下一音楽会決勝進出者の全貌が明かされる!

と、
とりあえず盛り上げて次回の後編へ。

(3編に分けたけどお話自体はそんなに前に進んでないです)

ロKンローライフ 第15話 中編 終

[リレー小説]ロKンローライフ 第15話 前編

2006年05月27日 | リレードラマ[創作ネタ]
リレー小説「ロKンローライフ」
書き手も続きが"読めない"リレー小説デス




「ロKンローライフ」
この物語はある無名のギター野郎が
紆余曲折を経て武道館のステージに立つまでを
余すところ無くドラマ化したものになるはずであーる


前回のお話はコチラ

第15話 「ドッキリ」 前編

それは俺が「ケイン勝負だ」とタンカをきってからの
わずか数秒の間にクロックアップしてるかのように思ったことだ。

葵のバンド"ガングロ エンド ザ ルーズソックス"にコッソリ参加して
NOHの夏フェス、「天下一音楽会'06」のステージに立った俺。
ケインに対する嫉妬からきた子供じみた真似だと分っていても
こうまでしなければ気持ちが収まらなかったんだ。
アイツが俺たちのバンドを辞めてわずか数ヶ月
のうのうとメジャーデビューしているなんて・・・
やっぱり納得できなかった。
見返してやる舞台は・・・・ここしかなかった。

「Boooooooooooooooo!!」

場内に今まで聞いた事の無いブーイングが響き渡る。
これはプロレス会場にお呼びでないタレントがやってきてリングインした時のような
そんな殺伐としたブーイングだった。

「殺されるかもしれない」

俺はそう思い一瞬震え上がった。

そう、・・・・・つい調子に乗ってしまったんだ。
"ガングロ"のメンバー、「優衣」に変装して舞台に立っていた俺だったが
ガングロがこんなに人気のあるバンドとは正直思わなかった。
そのあまりの観客からの歓声のウェーブに
俺は気持ちがイッちゃって今置かれてる"ガングロの一員"という立場など
どこかへすっかり飛んで行ってしまい、
気付けば"自分が売れている"と錯覚していた。
そして打倒ケインという自分の目的だけをいきなりこの大舞台で声高々に訴えてしまっていたのだ。

そりゃあ客も驚くよな・・・。
そして怒るよな・・・。
目当てのバンドのギターがどこの馬の骨とも分からん野郎だったわけだから・・・。
モーニング娘。のコンサートを見に行って
メンバーの一人に女装した男が含まれていたとしたらファンなら誰でも怒るだろう。
"岡村さん"がこっそり入っているのとはワケが違う。
しかもその男がモーニング娘。とはまったく関係の無い
「AKB48!勝負だーー!」といきなり言ったようなもんだ。

・・・・戦略をミスった。
本戦でガッツリ決めてから正体をバラせばよかったんだ・・・。
どうせ今日は優衣は来れないんだし・・・・。
でも・・・・今となってはもう遅い・・・。

そう思いめぐらせながらあまりのプレッシャーに自然とステージを去ろうとしたときに
このイベントの統括本部長、リッキー山口が俺に問いかけてきたんだ。

「オマエはアレか?ケインの知り合いか?」

その時の俺にとって"ケイン"は禁句以外の何者でもなかった。
条件反射のように俺は言った。

「・・・俺はケインを倒すためにここに来た。今ここで、アイツと勝負させろ。」

またやってしまった・・・・・。
えーーいままよ!とやってしまった。
調子に乗ってしまうと俺はついつい自信過剰になって回りが見えなくなる。
友達と飲みに行って喋るだけ喋ったあと気持ちよくなったら
いつの間にか寝てしまうタイプなんだ。
でも・・・気持ち良いんだから仕方が無い。

「カ・エ・レ!カ・エ・レ!カ・エ・レ!カ・エ・レ!」

しばらく落ち付いていた観客たちだったが
俺のあっちょんぶりけな発言によって再び怒りの帰れコールが始まった。
あまりのパワフルな群集心理に俺もリッキーも顔が引きつった・・・。


第15話「ドッキリ」前編 終わり

この小説はフィク・・・です



で、あとがき。

すいません。
とりあえず思いついた続きを書いてみたら
とんでもない長さになったんで、
区切りのエエ所で3つに分けました。
このあと中編、後編と続きます。

この殺伐とした状況に主人公はやはり追い出されてしまうのか!
リッキーがステージに上がったその訳は!
そして天下一音楽会決勝進出者の全貌がついに明かされる!

と、とりあえず盛り上げておいて次回も宜しくね。


※リレー小説「ロKンローライフ」のバックナンバーを
seesaa支局にて全話続けてお読みいただけます。
コチラからどうぞ→ota-broadcast seesaa支局

ロKンローライフ 第15話 前編 終

[リレー小説]ロKンローライフ 第12話

2006年04月15日 | リレードラマ[創作ネタ]
リレー小説「ロKンローライフ」
書き手も続きが"読めない"リレー小説デス




「ロKンローライフ」
この物語はある無名のギター野郎が
紆余曲折を経て武道館のステージに立つまでを
余すところ無くドラマ化したものになるはずであーる


前回のお話はコチラ

第12話 「計画」

そんな計画があったなんて想像もしなかった・・・・。


-----------1年前------------

「おい、ケイン、アレだ、アレが決まったから、
オマエ、・・・・・ちゃんとアレしとけよ、
あぁ、俺に言われる前にアレしとけば大したもんだ
ホントだぞ。ホントだぞ、オマエ」

事務所に顔を出したケインに対し
椅子にどっかと腰をかけたリッキー山口が投げやりにまくしたてた。
ここはこの業界でもそこそこ名の知れたレコード会社「NOH」の関西事務所。
ケインがリッキーのその言葉の意味を理解するのに
そう時間は掛からなかった。

「そうですか。・・・・で、いつ頃なんです?」
「来年のこの時期になるだろうな!あぁ、春だ。
これはアレだぞ、オマエ、・・・・かなりデッカイぞ。うん、
いいか、心して準備しとけよ!あぁ?」
「・・・・まだ・・・もう少し時間もらえませんか」
「オマエ、アレだぞ、これを逃したらオマエ、ホント無いぞ」
「分かってます、ありがたい話です。でももう少し"アイツ"らとちゃんと話しますんで」
「まぁ、アレだ、オマエ、さっさとケリつけろよ」
「はい・・・・」

ケインはリッキーに軽く一礼するとスタジオに向かった。

この頃、すでにケインは「NOH」専属のコーラスヴォーカルとして所属していた。
だがそれまで親しんで組んできたバンドと縁を切る事ができず、
会社に所属しながらもバンド活動を続けていたのだ。
規則違反ではあったがケインをスカウトしたリッキーの計らいもあり、
デビューまでは続けてもいいという条件でやってきた。
だが、どうやらその日は決まったようだ。
ケインはスタジオに向かう道中ふと思った。

「・・・・せめてアイツだけでも」

ケインにとって"アイツ"のギターは自分の声に一番合うと感じていた。
これまでにもリッキーに推薦してきたのだが
「ギターやる奴なら山ほど居る」と体よく断られてきた。
バンドの解散よりも大切な何かを失いそうなそんな気持ちのケインだった。

-月日は流れる。

未だバンドのメンバーに何もいえないまま年末を迎えた。
「NOH」ではケインのデビュー準備と平行して重要な会議が開かれた。
本来は呼ばれる事の無いこの会議にケインも出席していた。

「・・・という事でここまでの経緯をまとめると、
プロアマ問わず全国8ブロックに分けて各地で予選を開く。
ブロック優勝者は予定してる野外フェスの決勝戦に出場。全国優勝を決めると・・・」
「ははっ、こりゃまたえらい大掛かりやなぁ」
「ウチにとってもココで決めておかないとますます厳しいんだよ」
「例のタイアップの子も販促増やした割にはイマイチ伸びてないって?」
「それだけにこれでケインには頑張ってもらわないと」
「ダンサーもつけるって決まったんだろ?」
「まぁ、アレでつよ、間違いないでつよ。これでキレたらたいしたもんだ」
「"優勝してデビュー"よりも"デビュー直後に優勝"なら話題もハクもつくって事だな」
「そううまくいくかね。いざフタ開けてみたらイマイチ乗りきれないかもなぁ」
「それはそれで、アレですよ。そのための予選ですよ」
「ああなるほど、しかし毎度毎度ゲッスイ話やなぁ」

ケインにはデビューの話以外はレコーディングやらレッスンなどで
フロントの話は全く聞かされておらず寝耳に水だった。
だが、なぜこの会議に呼ばれたのか薄々気付いたケインは
会議が終わった後リッキーに声をかけた。

「今の何?何の話?」
「あぁ、オマエは深く知らなくてもいいが、アレだ、イベントやるんだ」
「ええ、で、それにオレも出るって話ですよね?」
「まぁアレだ、・・・・結果的にはそうなるな」
「結果的に???」
「そうだ、・・・・つまりアレだオマエも予選に出るんだ」
「それって」
「そういうことだ、オマエ、アレだぞ、(口を)滑らすなよ」
「・・・・・・」

大よその見当がついた。
どうやらケインをデビューさせると同時にイベントで優勝させる算段らしい。
レコード会社にとってCDの売上が厳しい現在、新人で博打を打ちづらい。
そこで新人をデビュー後にプロアマ無差別イベントに参加させ優勝。
一気にインパクトをつけようといういわば出来レースだ。
しかも希望していたソロではなく流行のダンスチームと組ませるらしい・・・。

「はぁ・・・・・」

自分の歌が認めてもらえてるのは分かってる。
だからこそここまでプッシュしようとしてくれているんだ。
そう感じながらもやっぱり納得できなかった。
モヤモヤした気持ちのままケインは"アイツ"に電話した。

「今度のライヴ、クリスマスやったっけ?ちょっと気合い入れよう」
「おう、んじゃ新曲でもテイクしてみよか」
「ああ、・・・・で、終わったらちょっと話がある」
「は?何やねん?」
「まぁそん時に・・・とにかく楽しくやろう」
「なんじゃそら?」

-やがて春がやってきた。

・・・・・・・・
ケインと電話していた時、
オレはまさかそんな事になっているなんて当然知らなかった。
ケインがあのライヴの夜、あそこまで怒っていたのは、
てっきり彼女とデートできなかったからだとばかり思ってた。
でも、この時ケインは決心していたんだ
ライヴの結果次第でバンドを取るかデビューを取るかを・・・・・。

ユキムラと飲みにいった時に聞かされた
「NOH」が協賛するイベント「天下一音楽会'06」
その予選にユキムラのバンド、ケリーカリーも出る。
頼みとはギターのサポートで参加して欲しいという事だった。
ありがたかったが返事は保留した。

実は葵から"奴"も出るって聞いていたからなんだ。


第12話「計画」 終わり

この小説はフィク・・・ってかまたぐなよ!って事です



で、お知らせ兼あとがき。

このリレー小説「ロKンローライフ」はココでアップすると同時に
seesaaのウチの支局(いつの間に作ったんだ)で
全話続けて読めるようにしておきました。
コチラからどうぞ→ota-broadcast seesaa支局

CM
ども、みのもんたです。
奥さん、もう食べましたぁ?
ソイジョイ、大豆の栄養がたっぷり!
僕も毎日食べてます。
今じゃすっかりファンなっちゃいましたよ
おかげで栄養過多ぎみです。
CM終わり

で、本題はまたしてもこういうわけわかめな伏線を張ったワケです。
一応補足、天下一音楽会には別にバンド形態じゃなくても参加できます。
"アイツ"がこれを受けて出るのか出ないのか。
それは次回オイラに回ってくる前に誰かが決めてくれるかな??
そういえばアイツはギターヴォーカルで何を演ってるんだろう。
その辺も誰かが決めてくれるかな??

ってか「ユキムラ」出すのはアンフェアだぜ!!

って事で次回はそんな誰かがアップします

あ、リッキー山口の山口は長州藩からきているという話は
アレだ、(口を)滑らすなよ。

[リレー小説] ロKンローライフ第9話

2006年03月26日 | リレードラマ[創作ネタ]
リレー小説「ロKンローライフ」
書き手も続きが"読めない"リレー小説デス



「ロKンローライフ」
この物語はある無名のギター野郎が
紆余曲折を経て武道館のステージに立つまでを
余すところ無くドラマ化したものになるはずである


前回のお話

第9話「親父」


メールは親父からだった・・・・。

思えば東京に来てからというもの、両親には一度も連絡してなかった。
俺が一人暮らしを始めたいと言ったとき、
母は猛反対したが、親父だけはただ無言で送り出してくれた。
一人暮らししてる間、母からは何度か電話もあったし
メールもくれて気遣ってくれていたけど
親父からは一度も無かった。
でも東京に出るって母にメールしたら猛烈に怒られた。
断っても「今からそっちに行く」と言って聞かなかった。

ただ、やっぱ何かを変えたくて。
結局親が来るまでに東京に出るしかなかった。

それなのに・・・・

今、俺・・・・何やってんだろう・・・。

俺・・・・・・・

そう想いながらメールを読んだ。



「元気でやってるか。母さんも心配している。
困ったことがあったらいつでも帰って来い」

※BGM coba「過ぎ去りし永遠の日々」試聴



短い文章に込められた親父のメッセージ。

こんなバカ息子のことを、それでも理解してくれてる・・・・

俺の目に自然と熱いものがこみ上げてきた。

そして親の愛を・・・・・

・・・・・・知ったと思おうとしたが、
この程度のことで親の愛が分かっていいのか自問自答した結果、
まだまだ"おこがましい"と気づいた俺だった。
「とにかく、音楽やらなきゃなぁ・・・
音、作るか・・・」

そう思いギターを担いだが、
このまま無視するのも何となく嫌なので
とりあえず親父に返事を出すことにした。



第9話「親父」 終わり
  
この小説はフィクションであり、実在する人物・場所・事象とは一切関係・・・って事です


次回はメールの返事の内容が明らかになります。

って事で親父にメールを出したい誰かが次回アップします

[リレー小説] ロKンローライフ第7話

2006年02月12日 | リレードラマ[創作ネタ]
リレー小説「ロKンローライフ」
第1話第4話 ・・・ota-broadcast
第2話第5話 ・・・きゃす☆のわがまま
第3話第6話 ・・・大きい子≫でっかいブログ
書き手も続きが"読めない"リレー小説デス



「ロKンローライフ」
この物語はある無名のギター野郎が
紆余曲折を経て武道館のステージに立つまでを
余すところ無くドラマ化したものになるはずである


前回のお話

第7話「破壊」

♪あーーーーいあーーむあーーんちキュイリストッ!
 あーーーーいあーーーーんあーーあーーーなぁきーーすっと


am10時
目覚まし時計代わりにしている携帯の着うたが鳴った。

「うおっ!?ヤベ!!!寝過ごした!!!」

今日予定していたバイトの面接は9時だった。
だがいつもの癖でタイマーセットし直すのを忘れていたのだ。

「あーーーーーー・・・・・・」

髪の毛をバリバリかき上げ、タバコを鷲掴みにするととりあえず一服した。
そして頭の中で状況を整理する。
だが、出てくる答えはみな同じだった。
そんな時、俺はいつも逆を取るようにする。

「しょうがない。一応ダメ元で行ってみるか・・・・」

とりあえずこっちに出てきてから買っておいた似合わないリクルートスーツに身を固め
寒空の下を歩き出した。
道中不動産屋をみつける。
ガラス一面に張り出された賃貸物件の数々を眺めるうちに
今のホテルからも近くライヴハウスにも乗り換えなしでいけそうな
格安のワンルームマンションを見つけた。

「震度5強で倒れたりしないかな・・・」

不謹慎だとは思ったがあまり安いと何かあるんじゃないかと考えるようになった。
だがよく考えれば今のホテルだって都心からは少し離れてる。
それにこの広さと間取りならこんなもんかと納得して
また帰りにでも寄ろうと歩を進めた。

やがて面接する引越し屋の本社ビルにやってきた。

「えーーっと・・・ハカイ引越センターは・・・ここか
ネーミングセンス悪い会社やなぁ・・・
ま、そんなトコ面接くる俺もどうかやな・・・」

ぶつぶつ独り言を言いながらビルから出てきたOLらしき女性に声をかけた。

「あの~今日バイトの面接に来た者ですけどどこに行けば・・・」
「え?あ、はい、えーーっと・・・・・アレ!?」
「あーーーー!?葵???」
「何してるの??こんなとこで?」
「ってかそれこっちのセリフや!・・・オマエここで働いてんの?」
「あのねぇ・・・気安くオマエなんて言うなよなキミィ!」

そういうと葵は辺りを見回したあと、
俺の腕を引っ張り人気の無い自販機の前に連れて行くと小声で言った

「・・・私ここではそれなりの役職就いてんだからね」
「えっ!・・・・マジ??」
「私の父さんがココの重役だからね~」
「え!!重役?」
「そ、」
「・・・・は、・・・えっと・・・とりあえずごめんなさい」
「なんで謝るの?」
「いや、・・・・ふーーん・・そうなんや・・・・」
「恐れ入った?」
「まいった。コーヒーおごるわ」
「ありがと・・・で、それはそうとそんな変な格好してココで何してんの?」
「変・・・て、あ!そうそう、いや・・・」

そうだった・・・・俺は面接に来たんだった。
今朝の事を話すと葵はゲラゲラ笑った。
少しカチンときたが自業自得だし仕方ない。
葵は「何とかかけあってあげる」と言って階段を駆け上がっていった。
俺は恥ずかしさから何としても早くここを脱出したいと思ったが、
葵の好意を無視するわけにいかないし、
とりあえずここは休みが必要だ。
コーヒーで一息入れながら待つことにした。
「そういえばどっかのアーティストもそんな歌を歌ってたなぁ」
などと考え事をしながら数分が経った頃、葵が帰ってきた。
葵は開口一番「面接OKだって」と不服そうに言った。
何でそんな顔しとんねんと文句も言う間もなく面接を受けさせられた俺だった。

「お疲れさま」

面接も終わってビルを出ようとした時に葵が声を掛けてきた。
俺は深くため息ついたあと・・・・。

「ヤバイわ~。めっちゃ恥ずかしいわ~。面接官ずーーーっと半笑いやったで」
「まぁアンタの軽ーい情報と今日の事情を説明しておいたからね」
「はぁ~それでか・・・・・ってか情報ってなんじゃい!?」
「まぁ、ほどほどに・・・あることも・・・・・無いことも」
「はぁ?怖ッ!オマエ個人情報保護法で訴えてやる!」
「いつでもどうぞ」
「まぁでも・・・助かったわ。ありがとな」
「採用されてご飯でもオゴって貰ってから聞きたいねぇ、それ」
「はぁ?・・・ああわかったわかった。採用されたらな」
「じゃね」
「んじゃ」
「あ、そうそう、アンタのそのスーツ、ハッキリ言って・・・」
「?」
「はふふフニャフニャ」
「ハッキリ言えボケ!」

・・・・久しぶりに、
それもちょっと胸躍る清清しい気持ちの帰り道だった。
清清しいついでに不動産屋によると、
今朝目をつけていたワンルームマンションを現地でチェックした。
なかなかいい部屋だった。
一応仮押さえしてもらい、ホテルへの帰り道にふと思った。

「・・・・東京にやってきてちょっと後悔したけど、
東京も結構ええやんかと感じるなぁ・・・おっ、出来た。
~TOKYOは 怖いばかりじゃ 無いぞYUI
・・・サラリーマン川柳にでも冷やかし応募するかぁ」

浮かれ気分ならロッケンロー状態のままフラフラ帰る俺。

「今晩のメシ買わなきゃ・・・・あ・・・・?」

ふとコンビニの横にあるCDショップに張り出されていたポスターを見て愕然とした。
そこには"メジャーデビュー"の大きな文字が躍ると共に
とっても見慣れた顔があった。

「・・・・・・ケイン」

清清しい気持ちはあっという間に破壊された



第7話「破壊」 終わり
  
この小説はフィクションであり、実在する人物・場所・事象とは一切関係・・・って事です


みんなやってるからオイラもあとがき。
とりあえず、葵との再会シーンとか設定は「ベタやなぁ~」
っていうツッコミはやめてください。
これしか・・・ないやろ・・・・。

で、次に書くであろう人にお聞きしたいんだけど。
"スタバでキャラメルマキアートなのか何なのかは知らないけど、
そいつで服汚されて平手打ちした相手に気安く携帯教えちゃって
しかも主人公からかける前に自分から電話しちゃって
あげくライヴに誘われたからって気軽に付いて行って、
あまつさえ飲み会にも夜更けまで参加しちゃうという
超ゴキゲン娘な葵と主人公がそこまで親密になったきっかけとなる
多分かなーーーーりムズ痒くなるであろう熱いエピソードは
いつか語ってくれるんだよね?"

オイラその辺かなーーーり楽しみです。
(楽しいからこうなったらとことんハードル上げまくってみよう)
でもそれをあえて語らない方が斬新で面白いのかな・・・
そんな魅惑の第5話はコチラ

って事で次回はそんな誰かがアップします

[リレー小説]ロKンローライフ第4話

2006年01月21日 | リレードラマ[創作ネタ]
リレー小説
この物語はオリジナルリレー小説です。
大まかな舞台設定、結末は決めていますが展開は書き手の自由。
登場人物をどのように転がしてもOK。
次に書く時はストーリーが大きく変化しているかもしれない
まさに書き手すら続きが"読めない"小説
それがリレー小説の醍醐味です。
つまり結末も変わるかもしれません。
もちろん書き手は素人なので、んな面白い小説になるとは思いませんが
気が向いた人は気軽に読んでやってくださいね。
リレーしてみようかなって方は遠慮なくご一報を!



「ロKンローライフ」
この物語はある無名のギター野郎が
紆余曲折を経て武道館のステージに立つまでを
余すところ無くドラマ化したものになるはずである

第1話 from ota-broadcast
第2話 from きゃす☆のわがまま
第3話 from 大きい子≫でっかいブログ


第4話「東京」

ホームに降り立つと冷たい雨粒が吹き付けた。
これからの道のりを暗示するかのようにどうも天気が悪い。
キオスクでフリスクを買うとベンチに腰掛け4、5粒一気に頬ばる。
そして長いため息をついた後つぶやいた。
「東京か・・・・・・」

着の身着のまま、ただ無計画にこの街にやってきた俺だった。
自宅マンションの電灯は多分つけっぱなしかもしれない。
でも何かを掴みたくて仕方がなく、気付けば電車に乗っていたように思う。
旅の相棒は長年付き添ってきたギターとノートパソコン。
そして銀行から下ろしたあり金だけ。
きっとそのうちトルネコから勇者の剣みたいなものでも買えば人生も変わるだろう。
そんな軽い気持ちがどこかにあった。
どこまでやれるか分からないけど、やってみなきゃ分からない。
「・・・・フリスク高ッ・・・・・・」
そう呟いてベンチから立ち上がるとホームを後にした。

年も明け世間では正月気分の抜けた頃、
俺は安いカプセルホテルに寝泊りしながらライヴハウスを転々としていた。
もちろん演者としてじゃなく客としてだった。
一日中入り浸っているので店員ともたまに話したりする。
とにかく音楽には触れておきたかったからだ。
でも、どこかで音楽をやめようかなと思う事もたまにあった。

そんなある日俺はあの場所へ行った。
そう、それは俺のような奴にとっては夢の舞台であり聖地。
玉ねぎの皮のように光り輝くその建物の前に立つとまずその大きさに驚いた。
そして俺は言った・・・・・。

「これが・・・・・・六本木ヒルズかぁ!」

兼ねてから株に興味はあった。
そして以前の飲み屋で見たニュースの事もあって、
その後デイトレーダーの知識も少しは頭に入れておいた。
「ひょっとすると俺が目指すものはコレかもしれないな」
そう感じた時何か大きな扉が開きかけた気がした。
と、その時だった。
背広の大群が重々しい雰囲気の中ビルに吸い込まれて行く。
気付けばカメラを持った多くの人間がその群れの後を追うように、
また前に回りこんでは撮影をしているので一面そのフラッシュで明るくなった。
帰宅途中のサラリーマンらも何事かと戸惑っているようだ。
聞けばどうやら俺が興味を持っていた会社に強制捜査が入ったらしい。
東京の雑踏には慣れたはずなのにそこには独特の世界が広がって
やがて俺の聖地は静寂を取り戻した。

明暗を目の当たりにした俺は日に日に株価が下がってゆく報道を聞きながら
次第に株への期待も薄れていったのだった。

ブ.い~ン ブ.い~ン ブ.い~ン
昼飯に真っ黒なダシのうどんを食べていると携帯が鳴った。
ライヴハウス「修羅シュシュシュ」の店長からだった。
ここの店長とは音楽の趣味も合って結構親しくさせてもらってる。

「実は明日予定していたバンドが出れなくなってね、
よかったら君演ってくれないか?」
「え?でも俺弾き語りとかってやってないっすよ」
「いやいやウチの店の奴らでとりあえず即興バンド組むんだ。
で、君もギターで参加してくれると嬉しいんだけど」
「マジっすか?あ、やります!やらせてください!!」
「じゃあ早速なんだけど今からウチ来て音合わせてくれないか?」
「はい!喜んで~」

閉まりかけていた扉がストップ安となった。



第4話「東京」 終わり  
  
この小説はフィクションであり、実在する人物・場所・事象とは一切関係・・・って事です



次回は誰かがアップします

リレー小説「ロKンローライフ」第1話

2005年12月28日 | リレードラマ[創作ネタ]
リレー小説
この物語は大きい子さんとの共同企画によるオリジナル小説です。
大まかな舞台設定、結末は決めていますが展開は書き手の自由。
登場人物をどのように転がしてもOK。
次に書く時はストーリーが大きく変化しているかもしれない
まさに書き手すら続きが"読めない"小説
それがリレー小説の醍醐味です。
もちろん書き手は素人なので、んな面白い小説になるとは思いませんが
気が向いた人は気軽に読んでやってくださいね。



「ロKンローライフ」
この物語はある無名のギター野郎が
紆余曲折を経て武道館のステージに立つまでを
余すところ無くドラマ化したものである


第1話「解散じゃボケェ」


「解散じゃボケェ!」

寂れた片田舎のライヴハウス。
その楽屋から大きな怒号が響き渡った。
大声の主はボーカルのケイン。
アメリカ人だがガキの頃から関西育ちのため英語は喋れない。
その代わりにかなりエグイ関西弁を使いこなすつわものだ。
そんなケインが顔を真っ赤にして怒鳴り上げた。

「もうええ、あーーーもうやってられるか!
うーーんなんやーーー!!
こんなバンド今日で解散じゃ!!!!」

どうやらかなりのご立腹だ。
顔が真っ赤なのは多少バドワイザーの影響もあるようだが
やっぱりかなりのご立腹だ。
それもそのはず、今日はクリスマス。
本当は今頃彼女とデートでもしたかった事だろう。
だがその他の彼女無しメンバーの都合でこの日しか揃う事が出来なかったのだ。

もちろん、これでバッチリステージが決まればいいのだが、
客といえば音楽なんて聴く気の無い酔っ払った酒目当ての中年や
在りし日の川崎球場によく居たロッテ戦そっちのけのカップルのような連中。
おまけに今日も俺たちの音は酷かった。
ベースは当日にドタキャン。ドラムはスティックを忘れてくる。
キーボードは先日加入したばかりで殆ど適当に鳴らすだけ。
唯一エエ声を持っているボーカルは、
初めから妙に怒っていて怒鳴り声でシャウトする一方。
俺はといえばとにかく夢中でギターをかき鳴らした。

一体何をやったんだろう。
確か1曲目は「アメージンググレイスをロックでシェイクロバーツ」だった。
ケインが余りにシャウトしていたので違和感がありすぎて覚えている。
持ち時間は30分。
でも15分ほどでケインがマイクを突然ステージに投げ飛ばして
ステージを降りてしまったのだ。
最初はそんな演出聞いてないぞとこっちもパニくった・・・。
それから支配人が激怒して、客がざわついて、あとは・・・・覚えてない。
気づいたら帰り支度をしている所にあのケインの怒鳴り声だ。
俺たちは殆ど会話を交わすことなく一人、また一人ライヴハウスをあとにした。

外は白い雪の夜

この日のために新調した黒のジャケットが
横殴りの雪でみるみる白くなっていった。
人もまばらな駅前で居酒屋の店員が寒そうにチラシを配っている。
「そこの"養老の滝つぼ"です!ワンドリンクサービスやってます!いかがですか!」

・・・こんな夜は独り酒もいいかもな・・・・
そう思った次の瞬間、
店員に促されるまま店に足を運ぶ俺だった・・・・。



第1話「解散じゃボケェ」 終わり    



次回はそのうち大きい子≫でっかいブログで大きい子さんがアップします。