バットマンの苦悩

 

 

	闘いに疲れたバットマンは、憂鬱に襲われていた。しかも、バットモービルがエンコしてしまった。
	やむなく彼は、徒歩で家路を辿った。 トボトボ
	贅を尽くした屋敷と忠実な執事アルフレッドが、疲れ果てたバットマンを暖かく迎えてくれるだろう。 「なんだ　このペットボトルは？　アルフレッドの奴、掃除をさぼったな。おーい、いま帰ったぞー」
	「うわぁっ」 ダダッ
	「ほほほ。この屋敷、あたくしキャットウーマンが占拠したわよ」
	ガーン 「な、なんだってー」
	「しょうがない、今夜はここで野宿だ。たまには野宿もオツなものさ。ふふふ。ふ……。ちくしょう……」
	「ちくしょおぉぉぉーーー！！」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だってお金ないんだもん

 

	あっ　ミーコさん　こんにちは！ あら　チッチ　こんにちは
	じゃあね　さよなら あっ　いきなり去りますか
	……なかなかミーコさんと仲良くなれないなぁ
	へっへっへ　チッチさん
	なぁに？ 実はね　イイモノがあるんですがね
	これなんですがね わぁ　ミーコさんの写真だぁ！
	わぁい　僕にくれるの？　ありがとう！ こりゃ参った　へっへっへ　ちと値が張るんですがね
	じゃあね　さよなら あっ　いきなり去りますか

 

 

 

 

バットマンの闘い

 

 

	「私はバットマン」
	「この街の平和のため、私は今日も闘う！」
	「むむっ、貴様は！　宿敵、ベンチのカド！」
	「これでも喰らえ！」 ぐりりん
	「ふふふ、楽勝だ」
	「貴様ぁ！　宿敵、吹き寄せられた桜のシベと花びら！　押さえ込みだぁ！」 がばぁっ
	「うおおおーっ」 ばばばばばっ
	「激しい闘いだったが、私の勝ちだ……と思う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いのち

  

	「ねえ　チッチ。」 「ん？　なあに？」
	「リリーさん、最近来ないね 。」 「ああ……リリーさんか……。」
	「リリーさんはね、3月の31日に、 ほら、このフェンスの向こうの駐車場で、 車の下になってたって。」 「ええっ！？」
	「ずうっとずうっと遠くへ いっちゃったって おばちゃんが言ってたよ。」
	「……し、失礼だけどチッチ、君は おばちゃんが言った意味、わかってるの？」 「もちろん、わかってるさ 。」
	「花で言えば こうなっちゃったってことだろ。」 「う、うん。そうだね。ごめんよ。」
	「思い出すと、涙が出てくるよ。」 「そうかあ……。 リリーさん、素敵だったね。 シャム猫の血が混じってたんだってね。」
	「あのね、リリーさんには リカちゃんって子がいるんだよ。いい子だよ。 リリーさんのいのちは、続いてるんだね。」 「そうなのか！　会ってみたいなあ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小気味良い割れっぷり

 

　初めて見る顔である。

　鉢割れの割れっぷりが実に小気味良い。

　いまのところ性別不明。

　四肢が白くて尻尾が真っ黒というのも良い。

　絶対に通れない細い隙間を通っている ―― ように見える、この写真では。

　「よいしょっと」と跨ぐ。

　また会えるかな。

 

 

 

ちゅっ

 

	「私はバットマンである。今日は私の必殺技、愛のキッスをお目にかけよう」
	「むっ、私の手の甲にヘンな虫が！」
	ちゅっ
	「ふふふ、どうだね？　私の圧勝だ！　いや、まあ、なんとなくだが」
	「むむっ、あそこに宿敵キャットウーマンが！」
	くんかくんか 「ちょ、ちょっと、何よ、あんた？」
	ちゅっ 「キャー！」
	「いきなり何すんのよ」 「どうもすみません」

 

 

 

 

 

ち・つ・て・と

 

　猫ではない。狸だそうである。

　野良猫たちのために置かれた餌を、食べていた。

　野生だそうである。なお、皮膚病に罹っているらしい。

　見慣れている人もいるかもしれないが、私にとっては実に珍しい。

　このブログの趣旨に沿わないが、敢えて掲載することにした。