舌に花弁

2008年04月02日 16時43分00秒 | B地点 おかか

 


images  おう若造、よく来たな
 花はもうどんどん散っているぞ





images  花の命は短くて、と言ったのは林芙美子だったか
 しかし考えてみれば、森羅万象ことごとく「花」だ
 そう、すべてが儚い




images  私も長く生きてきた
 牙も抜けてしまったし、後どれだけ生きられるか
 しかしな、長いようで短かった
 あっという間だったよ



images  ま、ついてこい
 一杯つきあえ
 酒ではなくて、水だがな




images お前のような若造は、花筏という風流な言葉など知るまいな
 どれ、冷たいところをキューッと一口





images ……むッ!?






images 川面を流れる花弁が、舌に触れる、
 その刹那の驚き、一瞬の喜び





images  人生は、その一刹那と同じだ
 ほんの一瞬だよ
 はかりしれないほど豊かな一瞬だよ




 









散る

2008年04月02日 16時15分00秒 | B地点 おかか

 

images やはり牙が抜けちゃってるね。

images いまや桜は散りつつある。

images おそらくは君の人生も……。

images  ―― なあに。

images  ―― どうってことはない。

images  ―― 深刻に考えることもない。

images  ―― ただ生きるだけだよ。

images  ―― 食べて、遊んで、恋して、苦しんで、眠って。それだけだよ。