土佐のくじら

土佐の高知から、日本と世界の歴史と未来を語ろう。

信長の戦いに見る、戦略的国防論。

2013-10-02 16:23:51 | 歴史の読み方

土佐のくじらです。

今回は歴史探求いたします。
消費増税が決定し、日本国内の経済問題にも言及したい所ではありますが、中朝韓らの日本包囲網も着々と形成されつつある昨今、国防への定見もまとめておかなければなりません。

その点において、信長、そして義経ら、戦の天才の戦い方は、貴重なサンプルの宝庫です。
私は細かな戦術に関しては、余り詳しくはありませんし、おそらくサディスティックであったであろう、信長の人柄にも興味がありません。

彼のその、勝てる体制作りに興味があります。
勝つべくして勝つ、その仕組み作りに、どうしても目が向いてしまうのです。

信長を研究していると、ある法則というか、一筋の思想が、見えるような気がします。

それは、信長の生き方には、”合目性”を感じるのです。
どの部分かと申しますと、全ては天下布武のため・・・すなわち、戦国時代そのものを終わらせるため・・・という目的のための、判断や行動であり、彼に関しては、その目的からのブレはほとんどない・・・と思えるところです。

信長は家臣を銭で雇って傭兵軍団をつくり、一年中季節を選ばず戦える体制をつくります。
そのために必要な銭は、楽市楽座で儲けます。

ただ傭兵軍団は、忠誠心も弱く、本来侍には向いていないような人も相当入ってきますので、それでは弱いのですね。
所属する軍隊が弱ければ、このような家臣では、命惜しさに裏切ったり、逃亡したりします。

ですから、圧倒的に強い武器、そして勝つ確率の高い戦術が、何より必要なのです。

織田信長軍は、当時の上杉軍や武田軍と比べると圧倒的に弱かったと言われています。
それは兵隊個々人の技量が低かったのですね。
鍛えられていなかったのです。

織田家臣では、前田利家が「槍の又左(やりのまたざ)」と言われた程度で、この頃もてはやされた、強い武士が見当たりません。
織田軍は、組織戦で勝って行ったのです。

この信長の強さの鍵は、武器の強さであり、戦術の強さなのです。
要するに信長は、弱い組織を強くするための、強い武器・勝てる戦略戦術に、常々アンテナを張っていたのですね。

尾張は強国に囲まれた小国ですから、信長は必死で考えていたはずです。
武器の強さでは、有名なのは、鉄砲の大量使用です。

この頃の鉄砲は、実践的な武器としてはまだ未熟でした。
その鉄砲を大量に使う、改良して使う、そういう使い方の工夫を信長はしています。

戦術面では、桶狭間の戦いなどに、その片鱗がうかがえます。
今川2万の軍隊と織田5000の兵です。

通常ですと、とても勝ち目はありませんが、当時の凱旋軍の半分は、食料などを運ぶ補給部隊ですので、実戦部隊としての今川軍は、約10000人です。

信長は近くの2箇所で、おとりの戦いをして、その今川軍20000の内、10000人を引き付けています。
今川本体10000人が桶狭間にいますが、実戦部隊で数えれば5000人ですね。
それが街道筋にいますから、道沿いに縦に長い陣形で休みますね。

織田軍5000人は、全て実戦部隊です。
駆けつけ軍ですので、食料を運ぶ部隊はありません。

実質上は、今川5000vs織田5000の戦いなのですよ。
そして、縦に長い・・・ということは、当然横は手薄ですね。

そこへ、横から山を下って大将首だけを狙って織田軍が駆け下ります。
山中の戦いでは、完全に地元有利の戦いが出来ます。
攻められた方は、どこから攻められるか、全く予想できないからです。

そして、相手の弱いところを、そこよりも強い戦力でたたけば、勝つ確率は、当然上がります。
桶狭間は奇襲戦でしょうけど、決して無謀な戦いではないのです。
これを、

「勝てる相手ではないのに、信長さまは勝ったあ~!!」
と演出して見せるのが、信長の凄いところであります。(笑)

勝つために、勝てる組織にする・・・
そして・・・勝てる戦いをする・・・

このことにおいて織田信長は、日本で一番の演出家だと思います。

源義経、そして織田信長の二人の天才の戦いに共通すること。
それは、

相手の強さを無力化し、相手の弱いところを突く・・・です。
この部分が共通しております。

桶狭間では、大軍を無力化した状態で叩いています。
戦国最強と言われた、武田の騎馬隊に対しては、鉄砲の波状攻撃を行使しています。
水軍最強の瀬戸内海の村上水軍との戦いでは、相手が投げつける爆弾に対応するため、軍艦を鉄板で覆って退けています。

義経は、一の谷という絶対安全領域に平家がいる背後を突きます。
屋島では、制海権のある平家が絶対有利でしたが、嵐の日に海路四国に渡り、屋島に陣取る平家を背後から撃ちます。
嵐の日なら、制海権は無関係だからです。
また、壇ノ浦の戦いでは、海戦になれた平家有利の場所ですが、禁じ手ですけど、平家の船頭を射抜いて平家の水軍を無力化しています。

相手の強さを無力化し、相手の弱いところを突く。
これは戦の鉄則であり、日本が侵略されるならば、敵はここを突くはずです。

日本はむしろ、相手の強さを無力化させ、相手の弱いところを研究し、自身においては、弱みを克服して強い国家にすることです。
そうして相手に、攻める気をなくさせることです。

さすれば、無用な戦いによる悲劇を、避けることができるでしょう。
逆を言えば、これをしなければ、無用な戦いが起こり、占領されても致し方ないということです。

それが、歴史に学ぶ国防論の一つです。

                                                  (続く)


安倍首相は、歴史に汚名を刻んだ。

2013-10-02 10:19:10 | 増税亡国論

土佐のくじらです。
昨日安倍首相が正式に、来年4月からの8%消費税の導入を決定いたしました。

これが現すところは各種ありますが、確実なのは、安倍政権の長期政権化の道は絶たれたということです。
首相が、消費増税を延期もしくは消費増税法案廃案への動きにしていれば、安倍政権は長期政権となっていた可能性があります。
これで安倍首相の、自民党内での使命は終わってしまいました。
安倍氏は自ら、先の参院選挙対策用の、担がれる神輿(みこし)となってしまったのです。

増税慎重派であった安倍氏ですが、恐らく内閣、そして財務官僚の増税包囲網に屈したのでしょう。
第1次安倍内閣の時に安倍氏は、公務員削減法案などを進めていて、官僚側から激しい妨害に会いました。

当時、安倍内閣閣僚のスキャンダル報道が相次ぎました。
これらは月1回の感覚で、報道されていた経緯があり、「閣僚のことを良く知る筋からのリークだ。」と当時の私は認識していたのです。
つまり、官僚からのマスコミリークです。

恐らく、「こういう手を、また使うぞ。」と財務省側から言われれば、安倍首相は当時のトラウマもあるでしょうから、屈してしまうのかも知れません。

「弱いな。」と思わざるを得ません。

そして何やら、5兆円規模の財政出動・・・と、景気対策をやるおつもりのようです。
しかしこれでは、アベノミクスによる景気浮揚策にはなりません。
景気腰折れ防止ならば、増税してはいけません。

土台、500兆円規模のGDPを持つ日本経済において、5兆円規模の財政出動では少なすぎます。
また、利益が出る前の売り上げ段階で税を徴収する消費税制度では、いくら売り上げを伸ばしても国民の利益になりません。

そして500兆円のGDPの内、消費は6割を超えます。
つまり日本は消費大国なのであり、その消費を止める消費税増は、確実にGDPに打撃を与えます。

かつて麻生政権時、エコポイントとやらで、年間12兆円の財政出動をしました。
これは日本の経済財政出動では、過去最大規模です。

結果は・・・やらないよりはまし・・・であった・・・というくらいのものでした。
12兆円の財政出動をするくらいなら、税収がほぼ10兆円の消費税を撤廃するべきでした。
その方が、国民には利益が出るからです。

消費税3%増で、消費税収は5兆円ほど上がるでしょうが、それを財政出動するくらいなら、最初から取らない方が良いのです。

巨大な東日本大震災復興事業。
金融緩和・・・つまり、お金を刷れるアベノミクス。
世界のメガシティー、東京オリンピック開催。

これらは単独でも、日本の景気を大幅に上げるだけの力を秘めたものです。
つまり今の日本は、大幅な経済成長が可能な地点におり、好景気が嫌いな官僚は、増税によって日本の好景気化を阻止しようとしているのです。

消費増税によっても、日本の問題点は何一つ解決しないからです。
財政を司る財務官僚は、そのことを熟知しているはずです。

日本の抱える問題点を、必要なとき(好景気が来そうな時)に増税できるために、むしろ温存しているとしか、私には思えません。
しかしこれは、官僚側の事情です。こんなことに巻き込まれては、日本国民はたまったものではありません。

これは、江戸の三大改革と同じメカニズムであり、現代日本はその点で、江戸時代から一向に進歩していないことを認めなければなりません。

日本の政界に、この官僚の思惑を知り、それに対応できる政治家は既にいません。
既存の政治勢力も、もうありません。

日本の皆様。
「自民だ。」「いや、民主だ。」と言われる時代は、もう終わりにしないといけないと思います。
なぜなら、この増税法案には、自民も民主も、その他多くの政党も賛同したからです。

今テレビをつければ目前に見える、選挙で選ばれた国会とやらは、私には時代遅れの江戸幕府にしか見えません。
ならばもう、倒幕する必要があると思います。