釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「失われた30年」は政府と企業の間違った方針が招いた

2017-07-21 19:18:36 | 経済
企業は消費が見込まれれば、生産設備を更新して、生産量を増やそうとする。また勤労者は所得上昇が見込まれれば消費を増やそうとする。こうした条件が揃えば、GDP(国内総生産)は増加する。日本では1991年までGDPが順調に伸びて来た。1991年のGDPは実質で417兆円であった。しかし、以後はGDPの伸びが鈍化する。昨年のGDPは521兆円であり、100兆円増えるのに25年もかかっている計算になる。政府はバブル崩壊直後の1992年から公債の発行を増やして行った。それまではむしろ発行額を減らして来ており、1991年はわずか6.7兆円である。それが1992年には9.5兆円に増え、以後増え続け、1998年にはついに34兆円になり、その後も毎年30兆円前後を発行して来た。そして2010年には40兆円となった。現在までその傾向が続いている。今や一般政府(国・地方自治体・社会保障基金)の債務は1307兆円にもなる。1992年から2016年までの25年分の国だけの債務は791.3兆円である。これだけ国が借金したにもかかわらず、GDPはその間に100兆円しか増えていない。1999年には年収が300万以下の人は33.15%であったが、その後は毎年のように増え続け、2009年からは毎年40%を超えるようになった。年収300万は一般に結婚の境界線と言われる。年収300万以下の人が増えれば、結婚出来ない人が増えることにもなる。中間層の減少をも意味し、消費が減少する原因でもある。日本は世界に先駆けて、バブル崩壊後に政府の借金を増やすことで、景気の刺激策をとった。欧米は2008年のリーマンショック後に金融機関を救済するために同じく政府借金を増やして行った。しかし、いずれも効果を上げられないで来ている。ギリシャやローマも衰退の原因は中間層の減少による経済崩壊である。企業は需要が見込めないために生産設備の更新を行わず、コスト削減と自社株買いで利益を上げようとした。容易なコスト削減は人件費を減らすことである。しかし、結果的に、企業のそうした行動がさらに消費の減少を招く。日本の「失われた30年」は政府と企業の間違った方針が招いたものだ。いずれやって来る経済崩壊では、いずれの国も政府が大きな借金を抱えているために、これまで経験のない凄まじい経済状態をもたらすことになる。
夾竹桃