釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

再審請求中の刑の執行

2017-07-15 19:13:03 | 社会
法務省は一昨日、再審請求中の一人を含む二人の死刑を執行したと発表した。NPO法人「監獄人権センター」代表の海渡雄一弁護士はその日、記者会見で、「請求を繰り返して最終的に認められたケースもある。今回の執行は無実の人でも死刑を執行してよいというのと同じで、恐ろしい展開だ」と述べている。また、共同通信によるると、ドイツ外務省は日本を名指しで、「非人間的で残酷」と非難し、2012年12月以降、19人の死刑が執行されたと指摘し「ドイツ政府はいかなる状況であろうと容認できない」と述べた上で、日独両国は緊密なパートナーだとして「死刑制度を再考することを願う」と訴えた。EUやEU加盟国、ノルウェーとスイスそれぞれの駐日大使たちも改めて極刑に反対する共同声明を発表し、日本当局に対しこの問題に関する国民的議論を促すことを求めた。現在、確定死刑囚は124人いて、そのうち91人が再審請求中だ。これまで日本では冤罪事件がいくつもある。免田事件、財田川事件、島田事件、松山事件などがあり、袴田事件では死刑が確定した被告に再審が決定され、48年ぶりに釈放された。袴田事件は死刑判決を下した主任裁判官自身が無罪を確信していたが、合議制のため、有罪となり、主任裁判官は罪悪感から判決を下した半年後に裁判官を辞職している。日本では戦前からの官僚統制が強く残っており、警察や検察の裁量範囲が広く、証拠品の開示も検察官が決められ、弁護側は対抗出来ない。さらに自白偏重が未だにあり、見込み捜査なども冤罪の原因となっている。1992年に福岡県で起きた飯塚事件では2008年にすでに死刑が執行された後に、妻が再審請求を行なっている。厚生労働省の官僚であった村木厚子氏の凛の会事件では、担当の大阪地検特捜部主任検事が証拠の改ざんまで行っていた。現在の警察や検察は透明性に問題があり、今後も冤罪が発生する可能性がある。そんな中で、再審請求中の死刑囚の刑を執行するなどと言う暴挙が行われた。現政権は特に歴代政権に比べても、強権的であるが、直接人の命に関わることであり、しかも無実である可能性も秘めていた。警察や法務省のメンツにこだわるのではなく、人の命を第一にすべきだ。せめて再審請求中の刑の執行は止めるべきだ。人は過ちを犯す。
赤詰草