釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

国民皆保険

2017-07-12 19:21:32 | 社会
昨年9月に厚生労働省が発表した、2015年の医療費は41.5兆円で、13年連続増加している。実質で年2%を超える伸び率になっている。医療費の6割ほどは窓口負担と保険料で賄われるが、4割は税金が使われている。国民一人当たりの医療費は321100円で、75歳以上の医療費が35%を占め、高齢になればなるほど医療費も高くなっている。2000年の医療費は30兆円であったので、15年間で10兆円増加しているが、今後の15年間ではさらに増加が大きくなるだろう。高齢化がさらに進んで行く。現在、国の一般会計予算の35%は借金に頼っている。日本の財政の膨張は2000年までは公共事業の増大が原因であったが、2000年以後は年金や医療費を初めとする社会保障費の増大が原因だ。年金と同じく医療費も現実には若い世代の保険料が高齢者の医療費を支える形になっている。しかし、その若い世代は減少し、高齢者の比率が増加して行く。その意味でも税金での穴埋めも増えざるを得なくなる。最近の日本経済新聞などの調査によると、調査対象の半数以上になる52%の医師が現在の医療保険制度は破綻すると見ている。生産労働人口が減少して行く一方で、高齢者はますます増えて行く。医療保険料も税収もむしろ減少して行くのだ。実際、今月5日に財務省が発表した2016年度の決算概要では、所得税、消費税、法人税揃って減少している。企業収益は高止まりになっているにもかかわらずだ。2008年のリーマンショック後、日本や欧米各国の先進国は大きく財政赤字を膨らませた。財政赤字は税収を超える政府支出が原因だ。従って、赤字の原因として、税制と政府予算の両方を検討しなければならない。税制ではどの先進国にも見られる格差が問題だ。格差の原因や税収の減少の原因は富裕層や大企業への課税を怠ったことにある。各国の異常な金融緩和は資産価格を高騰させたが、そこへの課税は強化されていない。日本では消費税の増税分が法人税の減税で消えている。大企業は300兆円以上の内部留保があるにもかかわらず。本来、税制や社会保障は所得の再分配の役割を持っているはずだが、日本ではバブル崩壊後、税の所得再分配機能が全く顧みられていない。米国発の金融資本主義を日本も欧州もそのまま受け入れたため、米国に典型的に見られるマネーがマネーを生み、金融業と資産家だけがさらに富む構造が定着し、格差を拡大させた。税制が変わらなければ、医療保険制度は確かに崩壊に向かわざるを得ないだろう。
浜茄子の花