釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

異常な米国経済

2017-07-19 19:10:57 | 経済
日本経済新聞によると、5月末の世界の株の時価総額は76兆6000億ドルになり、世界的に史上最高値となった。6月の米国の時価総額だけで21.5兆ドルに達しており、現在も史上最高値を更新している。米国の中央銀行である連邦準備制度理事会FRBに始まり、EUの欧州中央銀行(ECB)や日本の中央銀行である日本銀行はこぞって、大規模な金融緩和を行なった。要するに大量の紙幣を印刷した。実物経済は決して順調ではなく、各国とも賃金上昇は思わしくない。にも関わらず、中央銀行の紙幣の大量増刷により、株や債券、不動産などの金融資産のみが高騰した。日本の株の時価総額は同じく6月で3.5兆ドルで世界2位になっている。中国でさえ9928億ドルでしかない。ヨーロッパでは英国2.5兆ドル、フランス1.4兆ドル、ドイツ1.3兆ドル、スイス1.2兆ドルとなっている。米国の株価は突出している。しかし、その米国は返済が不可能な負債を抱えている。20兆ドルの財政赤字に加えて、支払い義務のある一時借り入れの負債が240兆ドルもあり、クレジット(デフォルト)スワップCDS・デリバティブズの負債が2500兆ドルと言う途方もない数字になっている。金利だけで昨年は505兆ドルもあった。本年4月のIMFの推計では米国の2017年のGDPは19.4兆ドルとなっている。米国では2015年の企業倒産申請件数が29927件、2016年は37921件となり、2017年上半期は19765件で昨年のペースをさらに上回っている。国内での大手小売りチェーン店も次々に閉店を余儀なくされている。自動車販売も今年に入り急激に減少している。米連邦預金保険公社(FDIC)の加盟銀行の5行が昨年破綻し、支店数は合計18支店で、資産総額も計2億7700万ドルであったが、今年はすでにやはり5行が破綻し、しかも規模が大きい、資産47億ドルで29支店を持つニューオーリンズのファーストNBC銀行や資産10億ドル、支店数119のミルウォーキーのギャランティー銀行が閉鎖に追い込まれている。2008年のリーマンショックでは前年のサブプライムローンの破綻が引き金になったが、現在、米国では同じく住宅ローンや自動車ローンが返済不能の危機にある。常に経済危機は誰もが気付かない「蟻の一穴」が発端となり、拡大して行く。現在の米国経済は極めて危険なゾーンに達している。世界最大の債務国でありながら、これまで生きながらえて来たのは、「ドル基軸通貨」を実質的に支えて来た日本や中国のおかげである。しかし、今、その米国が経済破綻の瀬戸際にある。米国が破綻すれば、世界中に波及し、世界最大の資金を持つ郵貯や年金基金、日本銀行などの米国資産が暴落し、リーマンショック時とは違って、庶民への影響は免れないだろう。
朝顔