目の愛護デー
2つの10を横に倒すと、眉と目の形に見えることから10月10日は目の愛護デーとされています。
乳幼児期は、こどもの目がもっとも育つ時期です。生まれたばかりの時は0.01くらいだった視力は、生後6週ころからぐんぐんと発達します。5歳で1.0以上となり、その後の発達程度は緩やかになり、8~10歳くらいで完全に止まります。なので、乳幼児期になんらかのトラブルで視力の発達が上手くいかなかった場合、その後視力を伸ばすことが難しくなります。
この機会にお子様の「目」の健康を改めて見直してみましょう。
目の役割
目はとても傷つきやすいので、色々なものに守られています。
まゆげ:落ちてくる汗や雨から目を守る役割をしています。左右合わせて約1300本生えています。
まぶた:飛んでくるものが目に当たらないようにブロックをしています。
まつげ:ほこりやゴミが目に入らないように守っています。片目で上まつげは約100~150本、下まつげは約50~70本生えています。
なみだ:目が乾かないように潤して、栄養分や酸素を届けています。ゴミが入った時は、きれいに洗い流す役割もあります。
まばたき:一目に何度もまばたきをして、涙を全体に行き渡らせて目をガードしています。
涙がでるのは何のため?
目に栄養や酸素を届ける:目の角膜には血管がないため、かわりに涙が栄養や酸素を届けています。
感染を防ぐ:目に入った異物は涙で洗い流されます。また、涙には細菌の感染を防ぐ殺菌作用もあります。
目の乾燥を防ぐ:目の表面を潤して、刺激から目を守っています。
目の表面の傷を治す:涙には目の表面の傷を治す成分が含まれています。
目の表面を滑らかにする:目の表面が涙で滑らかになると、光が正しく屈折して、物を鮮明に見ることができます。
視力の発達
3ヶ月頃 視力:0.01~0.02 抱っこしている人の顔がぼんやり見える
6ヶ月頃 視力:0.04~0.08 動くものを目で追う
1歳 視力:0.2~0.25 立体的に見る力、動くものを見る力など、視覚が急速に発達する
3歳 視力:1.0以上 大人とほぼ同じくらいまで視覚が育っていく
6歳 視力:1.0~1.2 行動範囲が広がるにつれて「見る」働きが発達する ほとんどのこどもが大人と同じ視覚を身につける

目を大切に
1度下がった視力は、元には戻りません。視力の成長過程になる6~7歳までなら、多少の視力は回復する可能性がありますが、8歳を過ぎてしまうとそれも望めません。これ以上低下させない努力が必要です。
また、見る力は目から情報を取り入れ、脳で処理をすることを毎日繰り返して育ちます。ところが、目に異常があると脳に情報が届かず、見る力が育ちません。早く治療を始めるほど回復しやすいため、見え方の異常に気付いたら、早めに眼科で相談しましょう。
生活を見直してみましょう
①前髪は目にかからないようにしましょう。
前髪が長いと、毛先が目に入って目に傷をつけたり、炎症(結膜炎)を起こしたりする原因にもなります。前髪は短めに切りそろえるか、結んであげましょう。
②姿勢を気をつけましょう。
背筋を伸ばした正しい姿勢をとります。背中が曲がった姿勢は、目と物の距離が短くなり、目に負担がかかってしまい、視力低下につながることもあります。
③照明の明るさに気を付けましょう。
④寝るときは暗い部屋で寝ましょう。
明るい部屋で寝かせていると、脳や体も休まりません。また、睡眠の質にも影響が現れる恐れがあります。
⑤緑黄色野菜を食べるようにしましょう。
⑥汚い手で目をこすらないようにしましょう。
⑦目やにはそっと、外側に向かって拭きましょう。
清潔なタオルや清浄綿を目やにに当て、そのまま外側に拭き取りましょう。汚れが目の中に入るのを防ぎます。乾いた目やにはふやかしてから取ってあげましょう。
⑧目やにが多い時は受診しましょう。
目やには自然に出るものですが、
・目やにの量がいつもより増えた
・2~3時間で目やにがたまる
・黄色や緑色の目やにが出ている
などのときは、炎症が起こっている可能性があります。早めに受診しましょう。
見る力を育てるポイント
①明るさ、暗さのメリハリのある生活をしましょう。
日中は光を浴び、夜は暗くして寝ましょう。
②広い空間で身体と目を動かす機会を作りましょう。
全身運動は眼球、視神経・脳の発達を促します。
③様々なものを見る体験をしましょう。
止まっているものや動いているもの、小さなものや大きなもの、遠くにあるものや近くにあるものなど、様々なものを見る体験が目に良い刺激となります。
④テレビやゲーム、スマートフォンやタブレット、Youtubeは、時間を決めましょう。
テレビは正面から見ましょう。いつも横目で見ていると、視力に左右差が出ることもあります。また、スマートフォンやタブレットなどの狭い範囲の平面画像を見続けることは、目の負担になるので避けましょう。
テレビなどの動画を長時間見せていませんか?
成長するにつれてスマートフォンやタブレット、テレビなどの視聴時間が長くなりがちです。しかし、無制限にそれらと付き合うことが、こどもの発達に悪影響を与えることが分かってきました。とくに乳幼児がテレビなどを長時間視聴することは、目に影響を与えるだけではなく、言語の発達や社会性の遅れにつながることを日本小児科学会が報告し、どう付き合うか6つのアドバイスを出しています。
①2歳以下のこどもには、長時間見せない。
内容、見方に限らず、長時間視聴は言語発達が遅れる危険性が高まります。
②つけっぱなしはせず、見たら必ず消す。
③乳幼児に一人で見せない。
大人が一緒に歌ったり、こどもの問いかけに応えたりすることが大切です。
④授乳中、食事中は消す。
⑤乳幼児にも付き合い方を教える。
見終わったら消すこと、連続して見続けないことを約束しましょう。
⑥こどもの部屋に置かない。
※家族でルールを決めましょう!
スマートフォンやテレビを見る時間を決めましょう。大人がスマートフォンを使いすぎていたりしていると、こどもがルールを守る意欲を削いでしまいます。大人がまずは見本を見せましょう!!
こんな見方は危険信号
・テレビや絵本に近付いて見る。
・明るい戸外でまぶしがる。
・目を細めて見る。
・上目遣いに物を見る。
・目つきが悪い、目が寄っている。
・片目の焦点が合わない。
・片目をつぶって見る。
・横目で見る。
・見る時に首を曲げたり、頭を傾けたりする。
このような症状が見られると斜視や弱視の可能性もあります。
こどもは視力が悪いことを自覚できないため、上記の症状がないか普段から気にかけてみるようにしましょう。
乳幼児期から目を大切にする習慣をつけていきましょう。