温泉にゃんこのネコ散歩

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祖母の紫

2016-02-07 20:00:00 | アートの話
NPO川越きもの散歩の新年会で、祖母の桐箪笥の奥底から出てきた85年前のきものを着てみました。大きな紋、こっくりとした紫に手描きの梅、裏地は紅絹、袖は昔の長いまま。普段は濃い色の着物は似合わない気がして滅多に着ないので勇気が要りましたが、今回はどうしてもこれを着てみたいという思いが強く…。帯も同じところから出てきた、紫地に金と花の刺繍が施されたものを合わせ、押し出し強めな組み合わせになりました。

       
明治45年生まれの祖母は、20歳で結婚しました。嫁ぎ先は、自分の姉が嫁入りした家。姉がお産で急死してしまったため、その後添えとして嫁いだのです。夫はかつての義兄、すでに物心ついた跡取り息子や、強気な舅の面倒もみなければなりません。しかも40名ほどの職人を抱える大鍛冶屋も営んでいたので、弱冠20歳にして、母と妻、さらに大店の女将という役もこなさなければなりませんでした。

その後、自分の子供も生まれますが、跡取りの長男を立てるためなのか、もしくは忙しくて手が回らなかったためなのか、自分では育てずに子守を付けました。ふたりいた娘をわずか1ヵ月の間に相次いで亡くし、どれほど寂しかったか…。晩年は民生委員や赤十字や婦人会、自民党婦人部の会長を務めていました。昔の人にありがちな、波乱万丈の人生です。

       

私が知っている祖母は「会長さん」と呼ばれ、プライドが高く近寄り難い存在でした。そんなわけで、子供の頃から「おばあちゃん」と呼んだ覚えがありません。不詳の孫である私には、祖母は距離のある存在でした。

が、好きな色が同じ、趣味もかぶっているなど、DNAを感じることも多々あり…。祖母も私も一番好きな色である紫の着物を着たら、少し距離が縮まるのかな?と思った次第です。この他にも、実家の紋が入った鮮やかな振袖や、金糸銀糸の刺繍がふんだんに施された留袖なども出てきました。20歳で嫁ぐことになった祖母は、はたして振袖を着ることができたのかしら?

       
今年のNPO川越きもの散歩の新年会は、60名あまりの方にご参加いただき、とても盛大なものになりました。私の他にも、お母さまやお嬢さまの着物をお召しになった方が何人もいて、着物と血縁の関係性を感じることになりました。

       
ひとりっこの私は、実は大勢の人と関わるのが苦手です。できればひとりで好き勝手にしていたいのに、なぜかNPOの副代表をやっています。少しでも皆さまの楽しみのお手伝いができればと思ってのことですが、苦手なことを続けているのは、もしかしたらそうやって勉強しろっ!という、厳しかった祖母の導きかもしれません。長年の活動で、かけがえのない仲間もできました。不義理をしていても理解をしてもらい、とても感謝しています。紫の着物と帯に勇気を得て、いろいろなご縁を感じた1日となりました。

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85年の時を刻みし着物

2016-02-02 20:23:00 | アートの話
 思い立って明治45年生まれの祖母の着物を開いてみました。あれま斬新!

       
こちらはお振袖。20歳の時に誂えたとすると85年前のものになります。それにしても、緑の地にド派手な大輪の花がドカドカ描かれています。「京呉服・光永」のたとう紙に大事に包まれていました。

       
裏地は時代を感じさせる紅絹(もみ)。八掛の部分も表と同じ柄になっています。なんと祖母の実家の家紋が染め抜かれていました。そうですよね、この時代は既製品なんか無いもんね。

       
振袖と一緒にしまわれていた全通の帯。ラブリーなピンクにこれまた大輪の花が咲き乱れています。

       
こちらも同時代に作ったと思われる梅柄の着物。こっくりとした紫が印象的。紫好きだもんね~。この辺、私も受け継いでいます。血ってやつですか!

       
そして、この着物にも祖母の実家の家紋、しかも五つ紋が入っています。でも紫だし、留袖じゃないよね~?実家の紋ということは、嫁入りの時に持ってきたのかしら?ん~、わからん!

       
こちらも裏地は紅絹。同じく裏まで同じ柄になっていました。この時代は八掛ではなく、こういうのが当たり前だったんでしょうか?

       
同じエリアにあったのが黒の留袖。裾にはふきが入っています。鶴だから婚礼衣装?それにしては地味?これは伊勢丹のたとう紙に入っていました。

       
こちらには嫁ぎ先の紋が入っていました。丸に桔梗、私も見慣れた紋です。嫁入りの時は、実家の家紋の着物なのか?嫁ぎ先の家紋にするのか?謎は深まるばかり…。

       
鶴も花もすべてものすごく細かい日本刺繍になっていて、金糸銀糸のぽってりとした質感が圧巻です。昔の手仕事にはため息が出ますね。

今日はこの4枚の他に、落款がついた色留袖とこれまたすごい刺繍の帯にドキドキしながらアイロンをかけ力尽きました((+_+)) 今週末はNPO川越きもの散歩の新年会、さてこのうちのどれかを着てしまおうかなぁ~。しかし、85年経っても着られるって…着物ってやっぱりすごいかも!!!

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