NPO川越きもの散歩の新年会で、祖母の桐箪笥の奥底から出てきた85年前のきものを着てみました。大きな紋、こっくりとした紫に手描きの梅、裏地は紅絹、袖は昔の長いまま。普段は濃い色の着物は似合わない気がして滅多に着ないので勇気が要りましたが、今回はどうしてもこれを着てみたいという思いが強く…。帯も同じところから出てきた、紫地に金と花の刺繍が施されたものを合わせ、押し出し強めな組み合わせになりました。
明治45年生まれの祖母は、20歳で結婚しました。嫁ぎ先は、自分の姉が嫁入りした家。姉がお産で急死してしまったため、その後添えとして嫁いだのです。夫はかつての義兄、すでに物心ついた跡取り息子や、強気な舅の面倒もみなければなりません。しかも40名ほどの職人を抱える大鍛冶屋も営んでいたので、弱冠20歳にして、母と妻、さらに大店の女将という役もこなさなければなりませんでした。
その後、自分の子供も生まれますが、跡取りの長男を立てるためなのか、もしくは忙しくて手が回らなかったためなのか、自分では育てずに子守を付けました。ふたりいた娘をわずか1ヵ月の間に相次いで亡くし、どれほど寂しかったか…。晩年は民生委員や赤十字や婦人会、自民党婦人部の会長を務めていました。昔の人にありがちな、波乱万丈の人生です。
私が知っている祖母は「会長さん」と呼ばれ、プライドが高く近寄り難い存在でした。そんなわけで、子供の頃から「おばあちゃん」と呼んだ覚えがありません。不詳の孫である私には、祖母は距離のある存在でした。
が、好きな色が同じ、趣味もかぶっているなど、DNAを感じることも多々あり…。祖母も私も一番好きな色である紫の着物を着たら、少し距離が縮まるのかな?と思った次第です。この他にも、実家の紋が入った鮮やかな振袖や、金糸銀糸の刺繍がふんだんに施された留袖なども出てきました。20歳で嫁ぐことになった祖母は、はたして振袖を着ることができたのかしら?
今年のNPO川越きもの散歩の新年会は、60名あまりの方にご参加いただき、とても盛大なものになりました。私の他にも、お母さまやお嬢さまの着物をお召しになった方が何人もいて、着物と血縁の関係性を感じることになりました。
ひとりっこの私は、実は大勢の人と関わるのが苦手です。できればひとりで好き勝手にしていたいのに、なぜかNPOの副代表をやっています。少しでも皆さまの楽しみのお手伝いができればと思ってのことですが、苦手なことを続けているのは、もしかしたらそうやって勉強しろっ!という、厳しかった祖母の導きかもしれません。長年の活動で、かけがえのない仲間もできました。不義理をしていても理解をしてもらい、とても感謝しています。紫の着物と帯に勇気を得て、いろいろなご縁を感じた1日となりました。
明治45年生まれの祖母は、20歳で結婚しました。嫁ぎ先は、自分の姉が嫁入りした家。姉がお産で急死してしまったため、その後添えとして嫁いだのです。夫はかつての義兄、すでに物心ついた跡取り息子や、強気な舅の面倒もみなければなりません。しかも40名ほどの職人を抱える大鍛冶屋も営んでいたので、弱冠20歳にして、母と妻、さらに大店の女将という役もこなさなければなりませんでした。
その後、自分の子供も生まれますが、跡取りの長男を立てるためなのか、もしくは忙しくて手が回らなかったためなのか、自分では育てずに子守を付けました。ふたりいた娘をわずか1ヵ月の間に相次いで亡くし、どれほど寂しかったか…。晩年は民生委員や赤十字や婦人会、自民党婦人部の会長を務めていました。昔の人にありがちな、波乱万丈の人生です。
私が知っている祖母は「会長さん」と呼ばれ、プライドが高く近寄り難い存在でした。そんなわけで、子供の頃から「おばあちゃん」と呼んだ覚えがありません。不詳の孫である私には、祖母は距離のある存在でした。
が、好きな色が同じ、趣味もかぶっているなど、DNAを感じることも多々あり…。祖母も私も一番好きな色である紫の着物を着たら、少し距離が縮まるのかな?と思った次第です。この他にも、実家の紋が入った鮮やかな振袖や、金糸銀糸の刺繍がふんだんに施された留袖なども出てきました。20歳で嫁ぐことになった祖母は、はたして振袖を着ることができたのかしら?
今年のNPO川越きもの散歩の新年会は、60名あまりの方にご参加いただき、とても盛大なものになりました。私の他にも、お母さまやお嬢さまの着物をお召しになった方が何人もいて、着物と血縁の関係性を感じることになりました。
ひとりっこの私は、実は大勢の人と関わるのが苦手です。できればひとりで好き勝手にしていたいのに、なぜかNPOの副代表をやっています。少しでも皆さまの楽しみのお手伝いができればと思ってのことですが、苦手なことを続けているのは、もしかしたらそうやって勉強しろっ!という、厳しかった祖母の導きかもしれません。長年の活動で、かけがえのない仲間もできました。不義理をしていても理解をしてもらい、とても感謝しています。紫の着物と帯に勇気を得て、いろいろなご縁を感じた1日となりました。