なだれ込み研究所の一日

物語作家を目指すもの書きが、ふとしたことから変な事務所で働くことに!
日々なだれ込んでくる人や仕事、モノやコト観察記。

「楽しい」というキーワード

2006-10-19 00:58:53 | スローライフ

10月18日(水)に、静岡文化芸術大学 デザイン学部 空間造形学科教授 宮川潤次氏の講演会が行われた。題して「サステイナブルデザインが生活を変える」。
参加者は、受講生、一般参加者、スタッフ含め70名以上となり、準備した椅子はほぼ満席となった。

講演は、生き物を支える要素(水、空気、食べ物、エネルギー、地域コミュニティー)の現状からはじまり、これら、あるのが当たり前と思われてきたものだが、今は、自ら創っていく時代になっているというお話があった。

昭和30年代以降、大量生産、大量消費の価値観により、自立、自給型の社会が大きく変わったが、バブルがはじけ、今、人は本来あるべき姿を求めていると。
一人一人が何かに気づき、行動を起こしていこうとしているとき、大切なのが「楽しい」というキーワードなのだと、宮川先生のお話を伺いながら思った。

先生は今、浜名湖で畑を借り、様々な農作物を栽培している。その中で、綿をつくり、藍をつくり、究極の目的は、とった綿を糸にして、藍で染めたハンカチをつくることだとおっしゃった。先生の研究室には、なんと綿繰り機(わたくりき)と糸車(いとぐるま)があるという。
「農業が、ものをつくるだけの生産業から、喜び幸せを提供するサービス業に変わってきている」
放棄農地の話とからめながら、現金を使わなくてすむ豊かな生活を提示して下さった。

「環境!」とか「持続可能な社会!」とか大上段に構えるのではなく、まず自分が「楽しい」からやってみる、という考えは、いい加減に聞こえるようで、実はとても高度で厳しいことを問われているのだと私は思う。どんなことに「楽しさ」「気持ちよさ」を感じるか、それがそのまま自分の「自然観」「環境感」「生き方論」にまでつながってしまうから。

「スローライフ掛川は、若い人が多く関わっているのが素晴らしい」
という評価をいただいたが、ある意味、スローライフ掛川につながろうとしている人たちは、この「楽しい感じ」を重要だと感じ、集ってくれている人たちだ。
年令を超え、職業を越え、様々な人が集まるのは、マスマーケティングのターゲット論を越えたところに人が集まるのだということを、そのまま実践しているとも言える。

さらに、「サステイナブルトライアングル」の話。
これは、宮川先生が活動の拠点としている浜松市、スローライフ掛川が活動している掛川市、そして今回、御前崎市から御前崎市観光協会の皆さんがお越し下さり、この3つの拠点を結んだ「サステイナブルトライアングル」ができれば面白いと。「持続可能な社会」「生活提案」「観光」「足るを知る心」など、共通のキーワードは多い。

最後に、宮川先生にこの言葉をご紹介します。
「情報も、基盤も、気持ちもある。あとは実践するのみ」

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