なだれ込み研究所の一日

物語作家を目指すもの書きが、ふとしたことから変な事務所で働くことに!
日々なだれ込んでくる人や仕事、モノやコト観察記。

椅子から生活が変わる例

2006-10-17 23:41:31 | スローライフ

明日、掛川ライフスタイルデザインカレッジの10月フォーラムが行われる。静岡文化芸術大学の宮川潤次先生の講演会『サステイナブルデザインが生活を変える』である。

横文字に弱い私が、今ではエラソーに「サステイナブル」について語ったりする。まったくもって不思議なものだが、つまりは「持続可能な」という意味である。宮川先生は、持続可能な社会を支えるデザイン(サステイナブルデザイン)を研究テーマにしているのだ。

何やら難しいような気がするが、わかりやすくいえば「椅子」である。
昨年のスローライフ月間で、「スローな椅子づくり」の講師を務め、そもそもその椅子のデザインをされたのが宮川先生なのである。

このスローな椅子は、静岡県産のヒノキを主素材に、静岡県のメーカーが製造した農業用紙ひも(ペーパーコード)で座面を編んである。木と紙、土に戻る素材であり、持続可能とはつまりそういうことである。

一度、宮川先生の大学の研究室におじゃましたことがある。近代的で、ホテルの一室のようなつくりなのだが、研究室の中はまるで職人の工房のようだった。
壁面の本棚には難しそうな本が並び、様々な資料が収められているのだが、中央のスペースにはつくりかけの椅子とテーブル、その周辺には大工道具が、さらに接着剤として使うニカワを温めるためのホットプレートやらお鍋やら温度計やらが置かれている。
そしてそれらを、宮川先生は、一つ一つ嬉しそうに説明してくれた。

もともと宮川先生は、建築関係の仕事をされていた。一度、社会に出て仕事をした経験を持つ大学教授というのは、なかなかに面白い。
この「スローな椅子づくり」のときの宮川先生の言葉が、「なるほど!」とうなるような言葉なのだ。

「森を守るため、またシックハウス対策として木の家が見直されています。木の家を建てている間に、家族で自分たちの椅子を作ることができたら楽しいだろうな。こんな想いを実現するため、自然素材を生かした組み立て家具をつくりました。エコロジカルなライフスタイルを実現する暮らしの中で、家族とともに育つ家具をめざしています」

実は、私も一つ作った。
今、わが家のダイニングテーブルの前にあり、私は毎日その椅子に座ってごはんを食べ、本を読み、ときに物思いにふけったりしている。「エコロジカルな生活をしよう!」などと意識の上にのぼらせたことはないが、この椅子は確かに心地よく、ふいに自分がつくったことを思い出し、大事にしたくなる。

宮川先生のおっしゃるように、家を建てているときに、あるいは家を建てる前に、家族で「自分が座るための椅子をつくる」ことは、何か大事なことを教えてくれる……、って何より楽しいのがいい。

そんな宮川先生の講演会は明日。椅子の実物、組み立て前の部品なども用意していただけるようです。
『サステイナブルデザインが生活を変える』をお楽しみに!

宮川潤次氏講演会
『サステイナブルデザインが生活を変える』

■日時  平成18年10月18日(水)
      受付18:30~19:00 講義19:00~21:00
■会場  掛川グランドホテル2階
■受講料 カレッジ受講生 無料
     NPO会員    2,000円
     一般      3,000円

■講師からのメッセージ
講座では、知識を得るだけでなく、できるだけ自分の手で物を作ることや、自分の足で歩くことの楽しさを感じてほしいと思います。

(ちなみにこのスローな椅子、なだれ込み研究所にも2脚あります)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
残念 (にわかサイクリストO)
2006-10-18 08:04:07
毎回楽しみにしているフォーラム、今回は聴講できないのは本当に残念。毎回、何らかの形で自分に気付きを与えてくれるので、出席できないのは損したと言わざるおえない。皆さん、しっかり聴いて僕に話してください。楽しみにしています。
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フォーラムやセッション (管理人)
2006-10-21 01:13:19
にわかサイクリストOさん、毎度のコメント、ありがとうございます。カレッジのフォーラムやセッションは、毎回様々な「なるほど!」がありますよね。何らかの形でまとめたいと思っていますが、これをライブで聞かないのは、あまりにもったいない。

カレッジ受講生の皆さん、残りわずかな今年度のカレッジ、皆勤賞で行きましょう!
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