今週末は、2つのセッションと「茶と器学」の2回目が続けざまにあり、そのうえ月末締めの申請書類が2件、さらになだれ込み研究所本来の仕事が山積みで、今、私の机の上はものすごい状態になっている。もしかしたら、S藤さんの机の上をしのぐかもしれない。
何の自慢にもならないが、ちょうど何ヶ月か前の日経の記事に『机の上を片づけられない女』という特集が組まれていたが、まさしくそういう状態である。
さて、セッションの方はまず先陣を切って、7月1日(土)に『浜野安宏と歩く―掛川ストリートワークショプ』が行われる。
日本を代表するライフスタイルプロデューサー浜野安宏さんとともに掛川のまちを歩き、自転車で巡り、面白い、楽しい、美しい生活をするための可能性を探る。
浜野さんと言えば――。
昨年7月、NPO設立1周年記念の講演会で初めてお見えになったとき、
「釣りにつられて掛川に来たんだよ」
とおっしゃっていたように、今回も「講演」と「釣り」はセットである。
そのときは台風のあとの土砂崩れで現地に入れず、今年4月にお見えになったときは大雨だった。そして今回、三度目の正直。
というわけで、明日、S藤さんをはじめとする釣り人たちは釣りに行く。……のだが、私はそのメンバーを今日の今日まで知らなかった。S藤さんが電話で、「誰それと、誰それと、誰それと……」といういうの偶然耳にして、初めて知った。別にあえて知ろうとは思わなかったが、その中にはS木くんの名前も含まれていた。
電話が終わって即座に聞いた。
「S木くんも行くんですね」
棘(とげ)と毒の入り混じった口調。つっかかった、けんかをふっかけたと言った方がニュアンス的には合っているかもしれない。私はさらに続けた。
「ちなみに明日は、I村代表が視察対応で講演されるので、私はいっしょに行くつもりでいましたが、さすがに明日は留守番が必要ですから、私は行けなくなるってことですね」
「あ……」
S藤さんが口ごもる。
「い、い、いえ……。ぼ、ぼくは、荷物持ちですから……」
S木くんがフォローのつもりか会話に入った。
「S木くんが釣りに行くのを羨ましいと思ったわけじゃないの」
「あ……、はい」
「どうして予定が決まったら、すぐ言ってくれないんですか。こんなギリギリになって言わないで下さい。もしかして、私が電話を聞いていなかったら、帰り際にチョチョイのチョイって言うだけだったんじゃあないでしょうねえ」
「あ、いや、そんなつもりは……、ははっ」
それ以降、私は貝のように口を閉ざした。ゲド戦記の、だんまりオジオンのように。
そして帰り際。
「では、お気をつけて」
冷たい口調で挨拶し、出て行こうとすると、
「S木ー!」
と、S藤さんがS木くんを呼びつけた。
「ほれ、明日のことを二人で頼むぞ」
「はい!」
二人して、深々と頭を下げる。
「あとのことは、よろしく、お願い致しまする~~」
「お願いします~~」
S木くんなど、ひざをついて頭を下げる。
まったく、「やれやれ」で「人たらし」な人達である。
しかし、ここで「そんなぁ、頭を上げて下さい~」などと優しい言葉を投げかけてはいけない。エラそうにしなければいけないときは、エラそうにするのだと、いつもS藤さんから言われているではないか。
なので、神妙にされようと、土下座をされようと、あくまで冷たく言い放つ。
「私はやるべきことをやるだけですから。では」
引き戸をあけ、帰路につこうとする私の背中に、S藤さんの声がとぶ。
「次はあなたもきっと行けるでねー」
……だから、釣りに行きたいわけじゃないって。
というわけで、明日、私は置いてけぼりで留守番です。
山積みの仕事を、仕事が増えない状態のうちに(T橋さん曰く「親方のいないうちに」)、ガンガンこなしていきましょう。来週は、机の上が、きっと、たぶん……、スッキリしていると、思います。
何の自慢にもならないが、ちょうど何ヶ月か前の日経の記事に『机の上を片づけられない女』という特集が組まれていたが、まさしくそういう状態である。
さて、セッションの方はまず先陣を切って、7月1日(土)に『浜野安宏と歩く―掛川ストリートワークショプ』が行われる。
日本を代表するライフスタイルプロデューサー浜野安宏さんとともに掛川のまちを歩き、自転車で巡り、面白い、楽しい、美しい生活をするための可能性を探る。
浜野さんと言えば――。
昨年7月、NPO設立1周年記念の講演会で初めてお見えになったとき、
「釣りにつられて掛川に来たんだよ」
とおっしゃっていたように、今回も「講演」と「釣り」はセットである。
そのときは台風のあとの土砂崩れで現地に入れず、今年4月にお見えになったときは大雨だった。そして今回、三度目の正直。
というわけで、明日、S藤さんをはじめとする釣り人たちは釣りに行く。……のだが、私はそのメンバーを今日の今日まで知らなかった。S藤さんが電話で、「誰それと、誰それと、誰それと……」といういうの偶然耳にして、初めて知った。別にあえて知ろうとは思わなかったが、その中にはS木くんの名前も含まれていた。
電話が終わって即座に聞いた。
「S木くんも行くんですね」
棘(とげ)と毒の入り混じった口調。つっかかった、けんかをふっかけたと言った方がニュアンス的には合っているかもしれない。私はさらに続けた。
「ちなみに明日は、I村代表が視察対応で講演されるので、私はいっしょに行くつもりでいましたが、さすがに明日は留守番が必要ですから、私は行けなくなるってことですね」
「あ……」
S藤さんが口ごもる。
「い、い、いえ……。ぼ、ぼくは、荷物持ちですから……」
S木くんがフォローのつもりか会話に入った。
「S木くんが釣りに行くのを羨ましいと思ったわけじゃないの」
「あ……、はい」
「どうして予定が決まったら、すぐ言ってくれないんですか。こんなギリギリになって言わないで下さい。もしかして、私が電話を聞いていなかったら、帰り際にチョチョイのチョイって言うだけだったんじゃあないでしょうねえ」
「あ、いや、そんなつもりは……、ははっ」
それ以降、私は貝のように口を閉ざした。ゲド戦記の、だんまりオジオンのように。
そして帰り際。
「では、お気をつけて」
冷たい口調で挨拶し、出て行こうとすると、
「S木ー!」
と、S藤さんがS木くんを呼びつけた。
「ほれ、明日のことを二人で頼むぞ」
「はい!」
二人して、深々と頭を下げる。
「あとのことは、よろしく、お願い致しまする~~」
「お願いします~~」
S木くんなど、ひざをついて頭を下げる。
まったく、「やれやれ」で「人たらし」な人達である。
しかし、ここで「そんなぁ、頭を上げて下さい~」などと優しい言葉を投げかけてはいけない。エラそうにしなければいけないときは、エラそうにするのだと、いつもS藤さんから言われているではないか。
なので、神妙にされようと、土下座をされようと、あくまで冷たく言い放つ。
「私はやるべきことをやるだけですから。では」
引き戸をあけ、帰路につこうとする私の背中に、S藤さんの声がとぶ。
「次はあなたもきっと行けるでねー」
……だから、釣りに行きたいわけじゃないって。
というわけで、明日、私は置いてけぼりで留守番です。
山積みの仕事を、仕事が増えない状態のうちに(T橋さん曰く「親方のいないうちに」)、ガンガンこなしていきましょう。来週は、机の上が、きっと、たぶん……、スッキリしていると、思います。