午前中、漁師の奥さんにインタビュー。
遠洋漁業の船に乗っているときは、ご主人を送り出し、無事を祈願するためお参りすることが日課であり、仕事だったが、ご主人が自分の船(小型船)を持ったのを機に、自分も一緒に漁に出るようになったという。海から車で10分ほどの自宅で取材をさせてもらったのだが、お話だけでなく、倉庫にある様々な道具の数々に、漁師の暮らしというものを感じた。
帰り際、キウイフルーツカントリーの平野園長が始める自然学校(平野ネイチャースクール)のフィールド近くを通りかかる。
「このあたりなんだけどね……」
S藤さんが言ったとき、トラクターが見え、その向こうに平野さんの姿が見えた。
「あっ、平野さんだ!」
車を降り、里山を上りつつ、フィールドの説明を受ける。トラクターで道を作ってくれてあり、なんとか登ることができる。
「本当は、こうした道を作ることも考えたんだけどね」
そのあと平野さんが言った「山を傷つけてしまうから」という言葉が印象的だった。
さて、平野さん、S藤さんは、山道を慣れた調子でずんずん進む。こちとら、小学校のときの「小笠山・歩け歩け遠足」以来の山道である。しかも、まさか、こういうことになろうとは思ってもみないので、靴は革靴。スカートじゃなくてまだよかったが、一人ゼイゼイしながら、必死で二人に着いていく。
「……ま、ま、待って下さいよ~」
待ってくれない二人であった。
でも、ゼイゼイしたあと谷間に池が見えたときは嬉しかったし、木を見上げて緑の葉の間から木漏れ日が見えたときには気持ちよかった。
こんな仕事、いや、こんな事務所で働いていなければ、なだれ込むように山道を歩くことなんて、絶対なかったと思う。
「K住さんは、案外インドア派なんだね」
平野さんに笑顔で言われたので、笑顔で返した。
「いえ、バリバリのインドア派です」
完全なアウトドア派の二人に、胸を張って自慢げに言ったつもりだったが、なんせゼイゼイがひどく、いまいち迫力に欠けていた。
夜7時からは、サイクリストI田さんへのインタビュー。
NPOのサイクルイベントで何度かお会いしたことはあったのだが、じっくりとお話したのは初めてだった。
職場への片道11㎞のコースを自転車で通勤しているという話。
11㎞では物足りないので、わざわざ遠回りして14㎞を楽しんでいる話。
休日は練習のため、50㎞、80㎞、あるいは100㎞のコースを走っているという話。
何の練習かは自分でもよくわからないが、「とにかく練習のため」走っているという話など、私からしてみると「へー」とか「ほー」という様々な話を伺った。
自転車で走ることと、文章を書くという全く違う対象ではあるが、対象へのストイックな感覚がとてもよく似ていると、勝手に思ってしまった。
取材を通じ、仕事を通じ、様々な人と出会わせてもらっていると日々感じる。
だから山道を歩かされようと、無理難題を言われようと、ストイックに、黙々と、あるいはベラベラ喋りながら、頑張っていけるのかもしれない。
遠洋漁業の船に乗っているときは、ご主人を送り出し、無事を祈願するためお参りすることが日課であり、仕事だったが、ご主人が自分の船(小型船)を持ったのを機に、自分も一緒に漁に出るようになったという。海から車で10分ほどの自宅で取材をさせてもらったのだが、お話だけでなく、倉庫にある様々な道具の数々に、漁師の暮らしというものを感じた。
帰り際、キウイフルーツカントリーの平野園長が始める自然学校(平野ネイチャースクール)のフィールド近くを通りかかる。
「このあたりなんだけどね……」
S藤さんが言ったとき、トラクターが見え、その向こうに平野さんの姿が見えた。
「あっ、平野さんだ!」
車を降り、里山を上りつつ、フィールドの説明を受ける。トラクターで道を作ってくれてあり、なんとか登ることができる。
「本当は、こうした道を作ることも考えたんだけどね」
そのあと平野さんが言った「山を傷つけてしまうから」という言葉が印象的だった。
さて、平野さん、S藤さんは、山道を慣れた調子でずんずん進む。こちとら、小学校のときの「小笠山・歩け歩け遠足」以来の山道である。しかも、まさか、こういうことになろうとは思ってもみないので、靴は革靴。スカートじゃなくてまだよかったが、一人ゼイゼイしながら、必死で二人に着いていく。
「……ま、ま、待って下さいよ~」
待ってくれない二人であった。
でも、ゼイゼイしたあと谷間に池が見えたときは嬉しかったし、木を見上げて緑の葉の間から木漏れ日が見えたときには気持ちよかった。
こんな仕事、いや、こんな事務所で働いていなければ、なだれ込むように山道を歩くことなんて、絶対なかったと思う。
「K住さんは、案外インドア派なんだね」
平野さんに笑顔で言われたので、笑顔で返した。
「いえ、バリバリのインドア派です」
完全なアウトドア派の二人に、胸を張って自慢げに言ったつもりだったが、なんせゼイゼイがひどく、いまいち迫力に欠けていた。
夜7時からは、サイクリストI田さんへのインタビュー。
NPOのサイクルイベントで何度かお会いしたことはあったのだが、じっくりとお話したのは初めてだった。
職場への片道11㎞のコースを自転車で通勤しているという話。
11㎞では物足りないので、わざわざ遠回りして14㎞を楽しんでいる話。
休日は練習のため、50㎞、80㎞、あるいは100㎞のコースを走っているという話。
何の練習かは自分でもよくわからないが、「とにかく練習のため」走っているという話など、私からしてみると「へー」とか「ほー」という様々な話を伺った。
自転車で走ることと、文章を書くという全く違う対象ではあるが、対象へのストイックな感覚がとてもよく似ていると、勝手に思ってしまった。
取材を通じ、仕事を通じ、様々な人と出会わせてもらっていると日々感じる。
だから山道を歩かされようと、無理難題を言われようと、ストイックに、黙々と、あるいはベラベラ喋りながら、頑張っていけるのかもしれない。