なだれ込み研究所の一日

物語作家を目指すもの書きが、ふとしたことから変な事務所で働くことに!
日々なだれ込んでくる人や仕事、モノやコト観察記。

景観について何ができるか

2007-07-30 19:18:28 | スローライフ

8月5日(日)、掛川市とNPO法人スローライフ掛川が主催する掛川市景観市民講座が行われる。
マイクロバスに乗って、専門家のアドバイスや視点を見聞きしながら、「河口と海岸の景観について」考えるというものである。講師はなんと、掛川ライフスタイルデザインカレッジ講師陣の中でも人気の高いお二人、東京学芸大学准教授の鉄矢悦朗氏とプロカメラマンの小川博彦氏である。

事前の打ち合わせでの鉄矢氏の言葉がいい。

「景観とは何か。景観に似た言葉に『風景』『景色』『佇まい』などがある。『景観』は人が意識を持つことで変えることができる。景観は人が関わり、人が育てるもの」

「日本人とヨーロッパ人の景観に対する意識の違いを考えたとき、歩道と建物の際(きわ)で『公』と『私』に分かれるのだとしたら、日本人の場合、『私』の部分はあくまで『私』であり、自由にしていいのだという意識がある。ヨーロッパ人は、『私』であっても『公』に接している面はあくまでパブリックだという意識がある。だから作法に則って外観を決めようという意識がある。日本の方が民主的だが、逆にそのせいで景観を悪くしているのも事実」

「景観について、自分のこととして関わる意識が大切。エピソードを持つことが大切である」

建築家であり、デザイン教育の専門家であり、市民の視点でまちづくりに関わる鉄矢氏のアドバイスが今から楽しみである。

さて、もう一人の講師小川氏は、たぶんベラベラはしゃべらないだろうが、何に対してどんなふうにカメラを向けるのか、そのものの見方、見るためのポジションの取り方が楽しみである。よく私は、仕事で一緒に撮影に行くと、小川氏がさっきまで写真を撮っていたポジションにこっそりと立ち、「なるほど、ここからこう見て、こう撮っていたのか」と納得する。同じように撮れないのが不思議ではあるが。

この景観市民講座は全3回の講座であり、秋に里山、冬にまちなかのフィールドワークを予定している。1回ごとの参加も可能である。
景観とは何か、まちの見方、景色、風景、景観の見方。自分の暮らすまちのことを知る、あるいはものの見方を広げる、そんな様々な楽しみ方のある講座になればいい。
お申し込みは、NPO法人スローライフ掛川連絡事務所までどうぞ。


平成19年度 掛川市景観市民講座 
第1回 「河口と海岸の景観を考える」

■開催日時/2007年8月5日(日)
      7:30~12:30 (掛川市役所集合・解散)※雨天実施
■参加条件/高校生以上、定員30名 (参加費無料)

【プログラム】
マイクロバスを利用し、海岸と河口の景観を2箇所を巡り(フィールドワーク)、大東支所にてゲスト講師による座学(ワークショップ)を実施します。

【スケジュール】
7:15 掛川市役所玄関集合(市役所駐車場をご利用ください)
7:30 マイクロバスにて移動
8:15 フィールドワーク:菊川の河口と海岸(掛川市国安)
9:45 フィールドワーク:弁財天川の河口と海岸(掛川市沖之須)
10:30 ワークショップ大東支所会議室にて
11:45 マイクロバスにて移動
12:30 掛川市役所に到着・解散

≪ゲスト講師≫
鉄矢悦朗(てつや えつろう)氏
建築家、東京学芸大学准教授、NPO法人「調布まちづくりの会」理事。掛川との関わりは、2004年に「掛川ひかりのオブジェ展」に学生有志と参加して以来。NPOスローライフ掛川主催「掛川ライフスタイルデザインカレッジ」のフォーラム講師を務める。東京都調布市在住。

小川博彦(おがわ ひろひこ)氏
小川写真事務所主宰、プロカメラマン。掛川市市勢要覧の撮影を手がけるなど、掛川周辺での撮影は多い。NPOスローライフ掛川主催「掛川ライフスタイルデザインカレッジ」のフライフィッシングとネイチャーフォトグラフィーの講師を務める。共著に『サイトフィッシングの戦術』。富士市在住。

≪お申込み・お問合せ先≫ 
NPO法人スローライフ掛川連絡事務所 掛川市城下5-10.1F コンセプト株式会社内
 TEL.0537-22-0654  FAX.0537-22-0786  E-MAIL: project@slowlife.info

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3 コメント

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Unknown ()
2007-08-01 17:41:59
なかなか興味深いイベントのようですね。

私も時間がとれたら参加させて下さいね。
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日本人の「公」 (U.ishigaki)
2007-08-03 09:24:15
こんにちわ。ご無沙汰しております。
毎日暑いですがお元気ですか。

ヨーロッパと日本の公私感の違いみたいなものは、よく建物と道路の際で語られていますね。私は建築のことはよくわからないし、景観についてはもっと無知なのですが、でも、昔ながらの日本家屋などで取材しているときに、土間や縁側は日本人にとっては公私どちらでもないスペース…というか、公(つまり他人とか)がなだれ込んできてもいい私(家族とか友人ですかね)になっているんだなあ、ということに気づきました。近所の人が勝手に入り込んで縁側とか土間の上がりに腰掛けて喋ったり、お茶飲んでったりするんだけど、決してそこからは踏み込まない。これってやっぱり村社会でお互いを知っているという安心感がある上で成り立つんだろうけど、親密さを失わずにプライバシーを守れる、すごく賢い空間なんだなあ、と思っていました。マンションだったら、隣の家の人なら玄関先で立ち話となってしまうか、そうでなければリビングにさあどうぞ、となって、なんだか「お客さん」か「友達」かはっきりしなくちゃならなくなる。「ご近所さん」という関係を成り立たせるのが、難しい空間が今は多くなってしまったのかな、とも思いました。そんなことで、お話の内容にとても興味を惹かれました。
…でも、働く母としては日曜日の子どもたちには時間をかけなければならず…事後のレポートもぜひお願いします!

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際(きわ)と間(ま) (管理人)
2007-08-09 08:41:55
Tさん、今回の講座、このキャスティングだけでも本当に面白かったです。次回は秋に実施します。ぜひ、ご参加下さい。

U.ishigakiさん、ご無沙汰してます。
縁側にしろ土間にしろ、日本には外と中をつなぐ間(ま)という文化があったのですよね。区画整理のされていない細い路地では、道さえも、お向かいとをつなぐ、公と私のあいまいな空間だったように思います。いろいろなことを考えた今回の景観講座。レポートを現在作成中です。どうぞお楽しみに。

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