なだれ込み研究所の一日

物語作家を目指すもの書きが、ふとしたことから変な事務所で働くことに!
日々なだれ込んでくる人や仕事、モノやコト観察記。

浜野安宏氏in掛川城御殿

2007-07-09 23:10:17 | スローライフ

7月7日の七夕の日に、今年2度目の来掛となる浜野安宏氏の公開フォーラムが行われた。タイトルは、「人間の街を再生、活性化するために」。
平成19年度掛川市市民活動団体推進モデル事業「金ちゃんカフェ(仮称)実験~報徳図書館と市民をつなぐオープンカフェ」のオープニングとしての位置づけもあり、国の重要文化財、掛川城御殿での開催となった。

掛川城御殿のフォーラムは17:30~19:00という、遅い午後から夕方、夜の始まりにかけての時間帯ということで、外の色合いや空気感が一番変化する時間だった。静かで、どこか懐かしい雰囲気の中、時間の変化という不思議な色合いをおびた講演だったように感じた。

今回は、パリ、バルセロナを最近旅されたということで、その画像を紹介しながら、前半の講義が行われた。印象に残った言葉を以下に。

「道に張り出したカフェを見ると、街路や街角に生活があると感じる」

「ヨーロッパの街に全体として共通項があるのはなぜか。日本の場合、公か私か、パブリックかプライベートかに別れるが、ヨーロッパでは『街はみんなのもの』という意識が中世から染みついている。自分たちも提供する代わりに、街を、道を、私たちも使わせてくれ、楽しませてくれという意識がある」

「セーヌに面した道には、日本と違ってフェンスがない。人と川、人と水のつながりがダイレクトに感じられる。なぜそうなるのか。日本は、子どもが滑り落ちたら国のせい、地方自治体のせい、店のせいになってしまう。人のせいにする国民性のせいで、街がどんどんつまらなくなっていく」

金ちゃんカフェ(仮称)についてのアドバイスもあった。

「金次郎カフェについては、報徳図書館を利用したカフェだけ、ここだけで完結したカフェでなく、全国展開できるような仕掛けがほしい。ケンタッキーカーネルサンダー人形のように、二宮金次郎が本を持ち、店には学術書やビジネス書などの本が置いてあり、『難しい本を読むのが面白い』というストーリーやレジェンドを創る。そして、その本店、1号店が掛川なのだ、そこは本物があり、歴史的建築物であり……というように、逆輸入方式で「掛川」というブランドを高める必要がある。各店舗には、本店である報徳図書館のデザイン的なテイストを取り入れる」

電線が、なぜなかなか地中に埋まらないかの理由をこんなふうに語られ、講演を締めくくった。

「見えるものを作った人は評価されるが、見えていたものをなくす人は評価されにくい。電線を埋めるよりも、上物(うわもの)を作った方が簡単だし、手柄を稼ぎやすい。しかし、これからの日本の社会が成熟するためには、真の豊かさとは何かを考えるようにならなければいけない。自分の生活を、世界の中に立って、世界のことに感心を持ち、感じていただきたい。日本という国の誇りを守るために」


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3 コメント

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電柱 (lemoco-layco)
2007-07-11 16:38:37
電柱好きの私としては埋められてしまうのは寂しいのですが。
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金ちゃんカフェと報徳社 (567)
2007-07-14 20:42:53
二日酔いで、今の今まで寝てました。
金ちゃんカフェは、報徳図書館が中央図書館のすぐそばにあるという利点を生かし、学術書やら難しい本でもすぐ閲覧できる体制が良いのは同感です。
 二宮金次郎が薪を背負って本を読んでいる像はあまりにも有名で、寸暇を惜しんで本を読む、向学心の象徴的なところがありますが、読書好きの人にはたまらない良い空間になるのでは。
だって、知的お洒落を感じます。金次郎さんには違った意味でのカーネル三ダースを演じてもらうのも今的かなと思いました。
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目指すものの一つのカタチ (管理人)
2007-07-15 23:47:25
lemoco-laycoさん、忙しさにかまけていたら個展、終わっちゃったのね。残念。電柱が好きだったりするあなたの感性を大事にしつつ、電柱という文化や社会的背景をも知ると、また新しく見えてくるものがあるかも。←これは、私自身に言っていることなんだけどね。

567さん、私も同感です。読書好きにとってたまらない空間、いいですねえ。知的でオシャレで、その空間、時間を大事にできるようなカフェ。共有している人の空間や時間さえも大事にできるようなカフェ。目指すものの一つのカタチが見えたような気がしました。
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