週末には森町の自然回帰体験ツアーとクライアントさんの現場見学会があり、印刷物の大詰めと報告書のたたき台の締め切りが一気に押し寄せ、さらに、追い討ちをかけるようにS藤さんの北海道出張が重なる今週。なだれ込み研究所は相も変わらずバタバタである。
午前中、御前崎に取材に行った。
60歳から花の写真を撮り続けている85歳のおばあちゃんである。露草を撮ろうとしてしゃがみ込んで、変な人に見られたこともあると笑う。市販の図鑑の索引では調べにくいからと、自分なりの索引を作成。一文字一文字、丁寧に書かれていた。お話していると、次から次へと花の名前が出てくるのにもびっくり。
印象的な言葉を以下に。
「主人に撮ってもらった写真が、自分の撮りたいものと微妙にずれていたので、自分で撮りたいと思うようになった」
「季節が半月ずれると、全然違う花が咲いている」
「昔はあって、今はない花がある」
「御前崎には、名前に『浜』のつく花が70種類もある。浜には浜の豊かさがある」
事務所に戻ると、S藤さんはお昼ご飯をかっ込むように済ませ、「戻りは4時半!」とバタバタと浜松へ出かけていった。どんな用事か、事務所の誰も知らない相変わらずななだれ込み研究所……。
さて、私の方は机の上のごちゃごちゃを無視して、息をつくようにコーヒータイム。「60歳を過ぎたとき、自分はどこで何をしたいと思うんだろうな」などと考えていたら、目の前でアートディレクターのH岡さんがうなっていた。
「どうしたんですか?」
私の声に顔を上げ、相変わらず浮世離れした微笑みを見せるH岡さん。
「他市の『駅前をどうしたらいいか』のアンケート結果を見ていたんだよ」
「どんな答えがあるんですか?」
「もっと駐車場が欲しいとか、だから不便だとか、そういう意見が多いんだよ。みんな、本来人間が持っている足や歩くという機能のことを、忘れてしまっているのかね」
「歩くという機能……」
「ああ」
「そういえば、インタビューをした陶芸家の竹廣さんが言ってました。『まちとは、道があって、路地があって、界隈があって、映画館があって、空が見えて、そんな中を歩くのがまちなんだ』って」
「ほんとにその通りだよ。駅ビルを作って魅力的なテナントをたくさん入れて欲しいという意見もあった。そんなのでは、地方都市の良さが消えてしまうのにね。中央と地方都市を同じに考えているのかな。その土地、その土地の良さを活かしたまちづくりをしていかないと始まらないのに」
それぞれ、頭の中でばらばらのことを考えているなだれ込み研究所。でも、どこかで何かが繋がっているような気がするのは、私の気のせいかな。
午前中、御前崎に取材に行った。
60歳から花の写真を撮り続けている85歳のおばあちゃんである。露草を撮ろうとしてしゃがみ込んで、変な人に見られたこともあると笑う。市販の図鑑の索引では調べにくいからと、自分なりの索引を作成。一文字一文字、丁寧に書かれていた。お話していると、次から次へと花の名前が出てくるのにもびっくり。
印象的な言葉を以下に。
「主人に撮ってもらった写真が、自分の撮りたいものと微妙にずれていたので、自分で撮りたいと思うようになった」
「季節が半月ずれると、全然違う花が咲いている」
「昔はあって、今はない花がある」
「御前崎には、名前に『浜』のつく花が70種類もある。浜には浜の豊かさがある」
事務所に戻ると、S藤さんはお昼ご飯をかっ込むように済ませ、「戻りは4時半!」とバタバタと浜松へ出かけていった。どんな用事か、事務所の誰も知らない相変わらずななだれ込み研究所……。
さて、私の方は机の上のごちゃごちゃを無視して、息をつくようにコーヒータイム。「60歳を過ぎたとき、自分はどこで何をしたいと思うんだろうな」などと考えていたら、目の前でアートディレクターのH岡さんがうなっていた。
「どうしたんですか?」
私の声に顔を上げ、相変わらず浮世離れした微笑みを見せるH岡さん。
「他市の『駅前をどうしたらいいか』のアンケート結果を見ていたんだよ」
「どんな答えがあるんですか?」
「もっと駐車場が欲しいとか、だから不便だとか、そういう意見が多いんだよ。みんな、本来人間が持っている足や歩くという機能のことを、忘れてしまっているのかね」
「歩くという機能……」
「ああ」
「そういえば、インタビューをした陶芸家の竹廣さんが言ってました。『まちとは、道があって、路地があって、界隈があって、映画館があって、空が見えて、そんな中を歩くのがまちなんだ』って」
「ほんとにその通りだよ。駅ビルを作って魅力的なテナントをたくさん入れて欲しいという意見もあった。そんなのでは、地方都市の良さが消えてしまうのにね。中央と地方都市を同じに考えているのかな。その土地、その土地の良さを活かしたまちづくりをしていかないと始まらないのに」
それぞれ、頭の中でばらばらのことを考えているなだれ込み研究所。でも、どこかで何かが繋がっているような気がするのは、私の気のせいかな。