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大倉草紙

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【東京】 特別展 根来 (大倉集古館)

2009年12月08日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
11月15日(日)
当日の行程:【旧乃木邸】【高橋是清翁記念公園】【豊川稲荷東京別院】【「虎屋・寅年・虎づくし」展(虎屋ギャラリー)】【圓通寺】【鈴降稲荷神社】【浄土寺】【激動の明治国家建設〔特別展〕(衆議院憲政記念館)】【藤本能道 命の残照のなかで(菊池寛実記念 智美術館)】【特別展 根来(大倉集古館)】【特別展 幻の京焼 京都瓢池園(泉屋博古館分館)】


根来塗の展覧会、そう聞いて、飛びつく人はどのくらいいるのだろうか?
私自身はというと、根来寺に行っていなかったら、興味を持ったかどうか疑問だ。
根来寺のあの気持ちのよい緑と風を思い出し ― ちょうど5月の連休に訪れたので、それはそれは爽やかだったのだ ― 懐かしい気持ちいっぱいで、大倉集古館を訪れた。
意外なくらいに、賑わっていた。


練行衆盤(鎌倉時代)


足付盤(平安時代)

写真がなかったのだけれど、展示室には、室町時代のものがたくさん並んでいる。
根来塗は、室町時代に根来寺の山内でつくられた古根来が素晴らしいと聞いている。
それ以後のものとは、全く違うのだそうだ。
どれもこれも古いものばかりなので比べてみることはできなかったが、じっと見詰めていると、不思議な高まりが心の中に生じてくるのが分かる。
日常品として用いられるものだけあって、その形は極めて単純だ。
使い込まれるに従って、朱が擦れ、黒地が露われる。
室町時代につくられたこのものは、いま目の前にあるこのものとは同じであって同じではない。
塗師だけではなく、使う者も作り手なのだ。
どれだけの時間、何人の手を経て、ここにあるのだろう、と思う。

【東京】 藤本能道 命の残照のなかで (菊池寛実記念 智美術館)

2009年12月07日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
11月15日(日)
当日の行程:【旧乃木邸】【高橋是清翁記念公園】【豊川稲荷東京別院】【「虎屋・寅年・虎づくし」展(虎屋ギャラリー)】【圓通寺】【鈴降稲荷神社】【浄土寺】【激動の明治国家建設〔特別展〕(衆議院憲政記念館)】【藤本能道 命の残照のなかで(菊池寛実記念 智美術館)】【特別展 根来(大倉集古館)】【特別展 幻の京焼 京都瓢池園(泉屋博古館分館)】


菊池寛実記念智美術館には、初めて足を運ぶ。
建物に入ってすぐがレストランになっていて、本当にここでいいの? と一瞬戸惑う。
展示室は地下。
こういうのって最近はやっているのだろうか?


霜白釉釉描色絵金彩花と虫図六角大筥(1990)


霜白釉釉描色絵金銀彩炎と蛾図扁壷(1991)

作品は、このように蛾をモチーフにしたものや、鳥をモチーフにしたものがほとんど。
いずれも美しいのだが、鳥のほうが好みではあった。


色絵野葡萄文燭台(幻の食器より)(1976)
「幻の食器」と名付けられた昭和天皇皇后両陛下御使用のディナーセットも展示されている。
「菊池寛記念智美術館」の菊池家が経営する茨城県にあるホテルに昭和天皇皇后両陛下が宿泊された際、晩餐に用いられた総数230ピースのセット。
芸術的に質が高いのは言うまでもないが、手描きでこれだけのものを作り上げるのは、相当な労力が必要だったに違いない。
よく見れば、少しずつ構図を変えているものもある。
人間国宝の仕事はやはり違うなあ。

【東京】 第41回 日展 (国立新美術館)

2009年12月05日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
11月12日(木)
当日の行程:(東京メトロ・上野駅) → 【皇室の名宝 ― 日本美の華 2期 正倉院宝物と書・絵巻の名品(東京国立博物館)】 → (東京メトロ・上野駅~三越前駅) → 【夢と追憶の江戸 ― 高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展 ― (三井記念美術館)】 → (東京メトロ・日本橋駅~竹橋駅) → 【河口達夫展 言葉・時間・生命】 【権鎮圭 -韓国近代彫刻の先覚者-】 【平成21年度第2回所蔵作品展「近代日本の美術」】(東京国立近代美術館) → (東京メトロ・竹橋駅~後楽園駅) → 【奇想の絵師・歌川国芳展〈文化末習作期から天保中期 Ⅰ〉(礫川浮世絵美術館)】 → (東京メトロ・後楽園駅~乃木坂駅) → 【THEハプスブルク 華麗なる王家と美の巨匠たち】 【第41回 日展】(国立新美術館)


国立新美術館に着いたのは、遅い時間だったので、早足で観た。
けれど、展示してある作品数が夥しく、しまいには目にとまったものだけを観るという形になってしまった。
日本画はわりとゆっくり鑑賞。
きれいだな、と思う作品はいくつかあった。
今、それが心に残っているかというと、そうではない。
憶えていないというわけではないのだが。
どれも、似たような印象ではあった。
展示は、日本画、洋画、工芸美術、彫刻、書に分かれているけれど、画材の違いだけで、日本画と洋画を分ける必要があるのだろうか?
そんな疑問がわいてくる。
いや、分け方の問題ではなくて、THE日本画みたいなのが好みなだけかも知れないが。

【東京】 THEハプスブルク 華麗なる王家と美の巨匠たち (国立新美術館)

2009年12月04日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
11月12日(木)
当日の行程:(東京メトロ・上野駅) → 【皇室の名宝 ― 日本美の華 2期 正倉院宝物と書・絵巻の名品(東京国立博物館)】 → (東京メトロ・上野駅~三越前駅) → 【夢と追憶の江戸 ― 高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展 ― (三井記念美術館)】 → (東京メトロ・日本橋駅~竹橋駅) → 【河口達夫展 言葉・時間・生命】 【権鎮圭 -韓国近代彫刻の先覚者-】 【平成21年度第2回所蔵作品展「近代日本の美術」】(東京国立近代美術館) → (東京メトロ・竹橋駅~後楽園駅) → 【奇想の絵師・歌川国芳展〈文化末習作期から天保中期 Ⅰ〉(礫川浮世絵美術館)】 → (東京メトロ・後楽園駅~乃木坂駅) → 【THEハプスブルク 華麗なる王家と美の巨匠たち】 【第41回 日展】(国立新美術館)


チラシの右側に、こう書いてある。
「ベラスケスもデューラーもルーベンスも、わが家の宮廷画家でした。」
もう、贅沢極まりない展覧会だ。


アンドレアス・メラー『11歳の女帝マリア・テレジア』
凛とした佇まい。
絵画だと分かっていても、見詰められて、固まってしまう。
スゴイ11歳ですなあ。
美しい。

美しいといったらこちらも。

フランツ・クサファー・ヴィンダーハルター『オーストリア皇妃エリザベート』

そして、こちらも。

グイド・カニャッチ『クレオパトラの自害』
クレオパトラの透けるように白い肌。
そしてその右腕には、毒蛇。
蛇はだいきらいだ。
「蛇の目傘」や「蛇の目ミシン」という文字が目に入っても一瞬ドキッとするほど。
でも、この絵には見入ってしまった。


エル・グレコ(本名ドミニコス・テオトコプロス)『受胎告知』
大原美術館で観た『受胎告知』と比べると、ぼんやりした感じ。


ルーカス・クラナッハ(父)『洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ』
一番印象に残っているのがこちら。
してやったりって感じのサロメがいい。
それにしても、実になまなましいですな。

【東京】 平成21年度第2回所蔵作品展「近代日本の美術」 (東京国立近代美術館)

2009年12月03日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
11月12日(木)
当日の行程:(東京メトロ・上野駅) → 【皇室の名宝 ― 日本美の華 2期 正倉院宝物と書・絵巻の名品(東京国立博物館)】 → (東京メトロ・上野駅~三越前駅) → 【夢と追憶の江戸 ― 高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展 ― (三井記念美術館)】 → (東京メトロ・日本橋駅~竹橋駅) → 【河口達夫展 言葉・時間・生命】 【権鎮圭 -韓国近代彫刻の先覚者-】 【平成21年度第2回所蔵作品展「近代日本の美術」】(東京国立近代美術館) → (東京メトロ・竹橋駅~後楽園駅) → 【奇想の絵師・歌川国芳展〈文化末習作期から天保中期 Ⅰ〉(礫川浮世絵美術館)】 → (東京メトロ・後楽園駅~乃木坂駅) → 【THEハプスブルク 華麗なる王家と美の巨匠たち】 【第41回 日展】(国立新美術館)

東京国立美術館で観た「平成21年度第2回所蔵作品展『近代日本の美術』(前期)のなかで、印象に残ったものをいくつか。


下村観山『木の間の秋』
奥のほうに行くほど、明るい。
木々の中へ誘われていくようだ。


小倉遊亀『浴女 その一』
浴槽の中でゆらゆら揺れるタイルの感じ、女性の肌の美しさ、お湯のすっきりとした緑色、とっても、とっても良かった。


中村彝『エロシェンコ氏の像』
何が展示されているのか知らずに行ったものだから、いきなりエロシェンコが現れて狂喜。
そうそう、同じフロアに展示されていた中原悌二郎『若きカフカス人』のモデルは、ニンツアなのだそうだ。

あ、あと、速水御舟『ひよこ』も愛らしい作品だった。

【東京】 河口達夫展 言葉・時間・生命 (東京国立近代美術館)

2009年12月02日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
11月12日(木)
当日の行程:(東京メトロ・上野駅) → 【皇室の名宝 ― 日本美の華 2期 正倉院宝物と書・絵巻の名品(東京国立博物館)】 → (東京メトロ・上野駅~三越前駅) → 【夢と追憶の江戸 ― 高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展 ― (三井記念美術館)】 → (東京メトロ・日本橋駅~竹橋駅) → 【河口達夫展 言葉・時間・生命】 【権鎮圭 -韓国近代彫刻の先覚者-】 【平成21年度第2回所蔵作品展「近代日本の美術」】(東京国立近代美術館) → (東京メトロ・竹橋駅~後楽園駅) → 【奇想の絵師・歌川国芳展〈文化末習作期から天保中期 Ⅰ〉(礫川浮世絵美術館)】 → (東京メトロ・後楽園駅~乃木坂駅) → 【THEハプスブルク 華麗なる王家と美の巨匠たち】 【第41回 日展】(国立新美術館)



申し訳ないけれど、タダだから入ってみた。
ちんぷんかんぷんな世界なのかもー、と思いながら入ってみた。
カナリ、ヘンケンヲ、モッテイル、ワタシ。

結論から言うと、楽しめた。

会場に入るとすぐに、年号を付された《DARK BOX》なる鉄の箱が、墓石のごとく並んでいる。
箱は、ボルトで封じられている。
中にあるのは、「闇」。
《DARK BOX2010》《DARK BOX3000》は、まだ封印されていない状態で展示されている。


こちらは、《光と石》という作品。
「素材としての素材を併記するならば『光と蛍光灯』となるはず」、「石は物質」では「光は何でしょう」ということらしい。

植物の種を鉛で覆った作品もある。
チェルノブイリ原発事故にショックを受け、生命のエネルギーが詰まった種子を放射能を遮断する鉛で覆い、未来へ伝えることを表現したそうだ。

真っ暗な部屋にひとりで入る。
肝試しみたいだ。
灯りは、手に持ったペンライトひとつ。
壁を照らして、ドローイングを鑑賞。
鉛筆で描かれたこのドローイングもまた、暗闇で作成されたもの。
不思議な体験だ。
体験といったら、実際に暗闇でのドローイングにも挑戦できるようになっている。

こんな風に参加でき、そして、感覚を共有できる展覧会。
作品目録には、各々の作品の解説が詳しく載っている。
読めば、目の前の作品が具体性を持ってくる。
誘導されているから、迷子にはならない。
ん?手とり足とりだから楽しめたの?
これらの作品は、作者の手を離れることはないの?
まあ、楽しければ、いいか。

【東京】 「虎屋・寅年・虎づくし」展 (虎屋ギャラリー)

2009年11月27日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
11月15日(日)
当日の行程:【旧乃木邸】【高橋是清翁記念公園】【豊川稲荷東京別院】【「虎屋・寅年・虎づくし」展(虎屋ギャラリー)】【圓通寺】【鈴降稲荷神社】【浄土寺】【激動の明治国家建設〔特別展〕(衆議院憲政記念館)】【藤本能道 命の残照のなかで(菊池寛実記念 智美術館)】【特別展 根来(大倉集古館)】【特別展 幻の京焼 京都瓢池園(泉屋博古館分館)】


虎屋赤坂本店の前を通りかかった時、ポスターを見かけたので入ってみた。
そうか、来年は寅年。

虎に因んだ国内外のお菓子、虎にまつわる伝統行事、虎を題材とした美術品などが紹介されている。
絵画は、富岡鉄斎の『狂虎之図』以外はパネルでの展示。
とはいえ、ひとつのテーマを多角的に捕えることのできる面白い展覧会だと思う。
富岡鉄斎は虎屋京都店の近くに住んでいて、その縁で、虎屋では鉄斎の作品を多く所蔵しているのだという。

さて、屋号の由来だが、一説には、店主が毘沙門天を信仰していたために「虎屋」になったのだとか。
毘沙門天といえば、信貴山・朝護孫子寺も虎だらけだったなあ。


  虎嘯(うそぶ)く             幸(さち)とら
虎に因んだ虎屋の和菓子。


こちらは、虎もどき。

【東京】 新美術館開館記念特別展 速水御舟-日本画への挑戦- (山種美術館)

2009年11月26日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
11月25日(水)


昨日、速水御舟展を観に新しい山種美術館へ出かけた。
HPには、恵比寿駅から徒歩10分とある。
ひとりだと私は歩くのが速いので何人か追い越して行ったのだが、みんな、山種美術館の地図を手に握りしめている。
おかしく思えてくるくらい、みんな、だ。
みんなが向かう山種美術館は、大混雑。
とても平日だとは思えない。


『炎舞』(1925)
チラシにもなっているこちらの作品、妖しい魅力がある。
観ている者も蛾のように、炎に惹き込まれていきそうだ。
遠くから、近くから、何度も観る。




『翠苔緑芝』(1928)
隣に下絵も展示されている。
下絵にいた白猫ちゃんがいなくなっちゃったけれど、黒猫だけのほうが絵が引き締まっていいのだろうな。
ウサギの寛ぐさまは、我が家の猫のようだ、と思いつつ観る。
アジサイの花びらと、枇杷の色がよかった。


『名樹散椿』(1929)
これは、京都の地蔵院の椿を描いたのだとか。
地蔵院の椿は、加藤清正が朝鮮から持ち帰って秀吉に献上したものだという。
もっとも、その椿はもう枯れてしまっていて、今ある椿も御舟が描いた椿も、2代目であるのだが。
さぞかし美しく立派な椿なのだろう、と思いを馳せる。
椿というと、今までは、その花にしか興味がなかったのだが、椿の枝ぶりを見るのもいいものだな、と思う。


『墨牡丹』(1934)
これを描いた翌年に、40歳で御舟はこの世を去っている。
ああ、なんて惜しいことよ。

【東京】 特別展「江戸園芸花尽し」 (太田記念美術館)

2009年11月24日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
11月18日(水)
当日の行程:(京王井の頭線・駒場東大前駅) → 【柳宗悦の世界 -生誕120年記念特別展-(日本民藝館)】 → (京王井の頭線・駒場東大前駅~渋谷駅…JR渋谷駅~原宿駅) → 【特別展 菱田春草〈後期〉(明治神宮文化館 宝物展示室)】【東郷神社】【特別展「江戸園芸花尽し」(太田記念美術館)】


太田記念美術館にて、特別展「江戸園芸花尽し」(後期)を観る。
こういう企画は面白い。
各作品には、そこで描かれている花の名が添えられていて、江戸時代にどんな花が好まれていたのかということも分かり、興味深く鑑賞することができた。


歌川国貞(三代歌川豊国)『ゑん日の景』
江戸時代に園芸がこんなに流行っていたとは知らなかった。
同じく歌川国貞(三代歌川豊国)の『浅草雷神門之光景』では、浅草寺にお参りに来た人々が、植木を売る露店の周りに集まる様子が描かれている。


歌川芳虎『座しき八景の内 上漏の松の雨』
植木鉢に、じょうろで水をやっている。
このじょうろ、どんな仕組みなのだろう?
植木の生長を楽しみにしているような女性の表情がいい。


歌川国芳『百種接分菊』
一本の木に接木して、百種の菊花を咲かせたものなのだそうだ。
ある植木屋が品評会に出品したものだとか。
短冊には、それぞれの菊の名が書かれている。
この菊を鑑賞しに集まる人々の動作や表情が生き生きとしていて、見応えがある。


染付貼花唐獅子牡丹文正方鉢 肥前・有田 享和~慶応(1800-68)頃
浮世絵の中の植木鉢は、デザインが斬新ものが多く、目をひく。
会場には、その時代の植木鉢も展示されていて、これもまた楽しむことができた。

【東京】 特別展 菱田春草〈後期〉 (明治神宮文化館 宝物展示室)

2009年11月22日 21時00分00秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
11月18日(水)
当日の行程:(京王井の頭線・駒場東大前駅) → 【柳宗悦の世界 -生誕120年記念特別展-(日本民藝館)】 → (京王井の頭線・駒場東大前駅~渋谷駅…JR渋谷駅~原宿駅) → 【特別展 菱田春草〈後期〉(明治神宮文化館 宝物展示室)】【東郷神社】【特別展「江戸園芸花尽し」(太田記念美術館)】


菱田春草展の後期を観に行く。
前期のもようはこちら


『雀に鴉』(右隻)

『雀に鴉』(左隻)
明治天皇の御遺愛の作品。
枝の感じがいいなあ。
この絵もそうなのだが、春草の作品を観ていると、とても懐かしい風景に触れたような気がすることが多い。
『湖畔の夕』なんかもそう。
どこかで目にするような風景なのだけれど、ぐっと心を掴むのだ。


『鹿』
愛らしい動物が描かれていると、反応してしまう。
『栗鼠之図』もかわいらしい。

『月四題』
一番奥の壁に、4点が並んで展示されている。
「桜」、「柳」、「葡萄」、「梅」と月が描かれている。
展示場の解説にもあったが、4点並べると、その枝がいかに計算されて描かれたものであるかが分かる。

『牧牛』
なんだかえらく牛が楽しそうで、印象に残っている。
仔牛がかわいい。

『羅浮仙』
羅浮仙は、梅の精なのだそうだ。
美しく怪しい感じが心に残っている。

『夜桜』
幻想的な美しさを持つ一点。
闇に霞んで消えてしまいそうな夜桜は、何かこの世に未練のある幽霊のようななまめかしさがある。
美しいのだけれど、怖い感じ。
だから、惹かれる。