シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0275■真夜中の出来事Ⅱ

2007-07-29 | ガン闘病記
「メルマガが止まると本当に心臓に悪いのでお忙しいとは思いますが、なるべく更新願います」 
ってメールが来たけど、更新してもワルいかもな。
なんせガンだからね、いろんなことが起きるよ。
==============================
 
「ピッピ、ピッピ、大丈夫?」
「ピッピがどうした?」

いつもは静かな真夜中に、アイツと連れ合いのデカい声。
アニキもとっくに起きてて、そばでハーってやってる。
なんだかわかんないけど、コワいんだ。 

おいらだって、コワいさ。
目が覚めたらノドがくっついてる感じなんだからさ。
デカくなってるガンはおいらのノドをどんどん押してくる。
なんか喰うたびに、ごっくん、ごっくんって感じだからね。
でも、こんな風にくっつく感じは初めてだった。

おいらの背中をなでてたアイツは、おいらをひょいと抱いた。
上に向いたらもっと吐けない。
吐けても、吐いたもんがノドに戻ってちまうじゃないか。 

でも、いつもの横抱き。
毎日毎日、こうやって抱っこのおいら。
アイツのデカい顔が目の前なのも、いつものとおり。そのデカい顔が言う。
「ピッピ、大丈夫?ママが見える?」

見えるさ。
苦しいのはノドだけ。目は関係ない。グェェェってやってるから声も出てる。
抱っこされてからもグェェェ、グェェェってからだを固くしてるうちに、
ちょっとラクになった。下を向いてるより上を向いた方がよかったのかもな。
苦しさが減って、ピッタリくっついてたノドがちょっとは広がった感じだった。

助かった・・・
アイツはおいらの目をジーっと見てる。
おいらもアイツの目をジーっと見てる。
コワかった。
あいつも、おいらも。

アイツの目は泣いて濡れてた。
おいらの目も苦しくて濡れてた。
濡れた目と濡れた目で、ジーっと見た。

これから何度もこういうことが起きるかもね。
でも、一緒にがんばろう。


あんときばかりは、アイツの頭のテレビがはっきりしてたよ。
自分で考えてんじゃなくて、おいらにそう伝えたんだ。
そうだ、これから何度もこういうことが起きるかもしんないな。

(さすがにビックリしたよ、あんときは→)

(つづく)

Vol.0274■真夜中の出来事

2007-07-28 | ガン闘病記
ゴメンよ~。あんまり更新できなくて。おいらじゃなくて、アイツが・・・
おいらはきょうも生きてるし、けっこう元気だ。外はあったかいぜ~。
==============================
 
最近のアイツはまるでネコだ。
夜寝ないで昼間寝たりしてる。なにやってんだか知らないけど、とにかく忙しいらしい。1日中パソコンの前でカタカタやってて、連れ合いがおいらたちのトイレまでそうじするようになった。
誰でもいいんだ、いつもキレイならさ。

そんなある夜に、それが起きた。
おいらはもう寝てたんだ。ストーブは消えてたけど、部屋はまだあったかかった。アニキと連れ合いに挟まれてぐっすりだったのさ。

(ホントにいつもみたいに寝てたんだ→)

急にヘンな感じがして目が覚めた。
苦しい。
ノドになんか詰まってる感じ。苦しい。気持ち悪い。吐きたい。
グェェェェってヘンな音がして、ノドがギューって狭くなってった。

まだ起きてたアイツがパソコンの前からすっ飛んできた。
「ピッピ、どうしたの?」 
おいらはからだを固くして吐こうとした。でもノドはくっついてくばっかりで、なんにも出てこない。苦しい、ホントに苦しい。
「吐きたいの?吐きなさい、ゲーッてやんなさい。」

アイツは下を向いてからだを固くしてるおいらの背中をなでながら言った。
吐きたいよ、でも出ないんだ。ホントにのどがピタッとくっつく感じ。
おいらはベッドの上でバタバタした。
連れ合いも起きた。アニキも驚いて、ハーってやってる。
でも、吐けないんだ。
(つづく)

Vol.0273■ストーブ・ラブ

2007-07-23 | ガン闘病記
なんでか知んないけど、メルマガ読んでくれてる二本足がどんどん増えてんだ。
ありがとニャン。
みんなどっから来んだろね。ガンの四つ足が珍しいのか?
==============================

いや~、ワルい、ワルい。
「更新が止まるとコワい!」
って言われてるそうだけど、大丈夫。おいらは今んとこなんとかやってるよ。

「元気か?」
って聞かれたら、
「うん。ガンだけど。」
って言うしかないかな? ガンは病気なんだろうけど、それ以外のとこは
特に変わってないからね~。こういうのを元気っていうのかね?

ガンも困るけど、寒いのも困る。
でもここんとこ、昼間はあったかいし、夜はストーブがつくし、なかなかいい。
二本足たちはたま~にしかストーブを使わないけど、今年はおいらがガンだし、
「まぁ、ジジイだしなぁ。」
って毎晩、連れ合いがつけてくれる。なかなかいいヤツじゃないか。

ストーブがつくのは二本足のいない部屋。
おいらとアニキのためだけにつけてんだ。しばらくつけてると、
「暑い、暑い。」
「くさい、くさい。」

とアイツらは大騒ぎ。ドアを開けて冷たい空気をガーっと入れちゃう。

(ふん、あったかくていいじゃないか。あごの下の膨らんでるのがガンだぜ→)

「ピッピってこんなに近くで低いところにいてサンケツにならないかしら?」
「おいおい、ガンで生き残って、サンケツであの世、なんて勘弁だよ~」
「もう背中なんかカッチカチよ。よく熱くないわね~」
「そろそろ、消すか?」

おいおい、勝手に消すなよな。
サンケツってなんだよ。あのにおいのことか?
おいらにとっちゃ、大好きなストーブのにおい、いいにおいだぜ!
(つづく)

Vol.0272■完全看護の落とし穴

2007-07-20 | ガン闘病記
ブログの更新が遅れててゴメンよ。忙しいときは、まずはメルマガ優先なんだと。
まっ、おいらはきょうも元気だったってことで。
でもね、声がちょっとダミ声なんだ~。
==============================

2人と2匹で一緒に寝るカンゼンカンゴになってから、アイツらはすぐ起きるようになった。おいらたちを世話するために、アイツらの部屋に閉じ込めてんだろ?
だったら、ちゃんと世話してもらわないとね。

そうそう、アイツらの部屋は外にも出られるんだ。
ドアを開けるとサンデッキになってる。でもこのドアを使ってるのはおいらとアニキだけで、アイツらはここから出たり入ったりはしないんだ。まぁ、デッキで寝てるのもおいらたちだけで、アイツらは寝ないんだけどさ。

いくらトイレが目の前にあっても、アニキは部屋でトイレするのがイヤみたいなんだ。外に出たくて、夜中でもよくドアをカリカリやってる。そうすると、アイツがボーっとしながらドアを開けにくる。
「早く帰ってきてね。」
とか言ってるけど、ほとんど寝てる。だからアニキは早く帰ってきても、入れない。
デッキでカリカリ爪をといだり、小さい声で鳴いてみたりするけど、アイツは起きない。
連れ合いなんか、もっと起きない。

かわいそうに、アニキは外で寒い思いをしながらドアが開くのをずっと待ってるんだ。
冬だからね、な~んにもないデッキにずっといたら四つ足だって寒いぜ。
おいらだったらドアに体当たりしたり、デカい声で鳴いたり、中に入れるまでがんばるけど、アニキはがまん強いんだ。

それにおいらは部屋でトイレするのも、砂をガリガリやるのもぜんぜん平気。
こんなに寒いのにわざわざ外まで行かないさ。ベッドから降りるのだって面倒なくらい。けっこう寒がりなんだよね、おいら。

(←閉め出された日は特にぐったりでよく寝るアニキ。おいおい、だいぶ、日が影ってきてんぜ、アニキ!ちょっとズレないと。)

だからきょうみたいにあったかいと、ホントにいいよ。
でも、アイツらは出かけちゃって、おいらたちは家に閉じ込められてたんだ。なんだよ、
「これからずーっと一緒にいるから長生きしてね~。」
とか言ってても、用があればスタスタ出かけてくじゃないか。
これじゃ、ガンの前とおんなじなんだけど。
(つづく)

Vol.0271■夜の完全看護

2007-07-19 | ガン闘病記
大きい子の学校に、
ダニ
っていう女の子と、
ノミ
っていう女の子がいるんだって。学校ってどんなとこなんだ?
==============================

おいらはガンだし、アニキはときどきテイケットウを起こすしで、最近は夜、アイツらの部屋で寝てるんだ。っていうか、ドアを閉めちゃうから他の部屋に行けないんだ。
だから、部屋にトイレもご飯も水もある。

「まるでカンゼンカンゴの病院じゃない♪」
ってアイツは言ってる。そうなのか?アイツらはグーグー寝てるぜ。
どこが病院なんだ? 夜行性のおいらたちは起きてウロウロしてたりするのに。

最初は嫌でドアのところで鳴いたりしてたけど、今は慣れたよ。
寒いから2人と2匹で一緒にいるのもワルくない。寒い廊下まで水飲みにいかなくてもいいしね。冬の夜の廊下は肉球に冷たいんだ。
(おいらたちの特製トイレの話はコッチで。これ見ておんなじことしてる二本足がいるんだと!)

トイレもほれ、この通り部屋の中でガーリガリだ。
寝てるアイツらも起きるくらい、ガリガリガリガリやる。キレイ好きなんだ、おいら。
(クンクン、この辺キレイそうかな?→)

「大丈夫よ、ピッピ。わかったわ。もう寝なさい。」
アイツがベッドから寝ぼけながら言ってるときもある。

なにが大丈夫で、なにがわかったんだ?
もう寝なさいって言われても、夜行性だからね。
まっ、狭い部屋じゃそんなにすることもないし、アニキとくっついてるとあったかくてついつい寝ちゃうんだけどさ。
(つづく)

Vol.0270■ガンの行方

2007-07-18 | ガン闘病記
アイツは連れ合いと出かけようとしてた。
でも、おいらたちを見て行くのを止めたんだ。
そうだ、そうだ。こんなに天気にいい日は家にいて、ドアの開け閉めやってくれよな。

(最近じゃ、こういうこともあるわけさ。「やだな~」と思うときもあるし、「どーでもいいかな~」って思うときもある。きょうはどうでもよかったから、3匹でゴロゴロ→)

==============================

アイツが、
「指先ぐらいの大きさ」
って言ってたガン。今じゃ、
「ゴルフボールぐらいの大きさ」
らしい。連れ合いにそう言ってたから。

ゴルフボールって、連れ合いがいっぱい持ってるアレだろ?
そうか、あんなにデカいのか。顔の下なんてうまく舐めらんないから、おいらだってよくわかんないのさ。
どうりで邪魔なわけだ。

痛くはないけど、そこだけ固くてうまく曲がんないからヘンな感じだぜ。
喰うのにも息をするのにも邪魔だよ、ホントに。
「3ヶ月でこんなに大きくなるなんて。」
と、毎日触ってるアイツでも信じらんないらしい。舐めらんないおいらにゃ、もっとわかんない。

からだのなかでこんなにデカくなるもんがあるなんて、わかんないよな。
たくさん喰って太っても、こんなにはなんないからな。
寒くなっていっぱい喰って、顔も腹も足もみ~んな太っても、こんな固くも邪魔にもなんないさ。

「このガン、どうすんだろね。」
どんどんデカくなって、おいらが喰えなくなったらガンだって生きてけないのに。
どうするつもりなんだろね。
おいらのなかでこんなにデカくなってさ。
って思うだけで、これ以上は考えないさ。四つ足だからね。
きょうもいい天気で気持ちよかったぜ。
(つづく)


Vol.0269■雨が止んで

2007-07-17 | ガン闘病記
「なんだ~。そんな赤ちゃんみたいに抱っこされて~。ホントはジジイなのに。」
外に行こうとしたらアイツが勝手に抱き上げて、通りかかった連れ合いが一言。
おいらは早く外でトイレがしたいのに、踏んだり蹴ったりだよ。
==============================
 
雨が止んだ。あったかいのはいいよな。

きょうは散歩もしたし、サンデッキで昼寝もした。タビもいたけど、まっ、いっか。
3匹バラバラで寝てたよ。
きのうはテイケットウだったアニキもきょうは元気だった。バグバグ喰ってけっこう長い間パトロールに行ってたぜ。どこまで行ってんだか。
おいらなんか、その辺ちょろっとでおしまいさ。

こういう日は小さい子の部屋がいいんだ。
小さいからあったかい。アイツらの部屋はデカすぎてあんまりあったかくない。それに学校から帰って来るまで、誰もいなくて静かでいい。

(こうやって写真撮りに来るのはちょっとね。いつも言うけど、おいらはホントに写真がキライ。絶対カメラ目線なんかしないからね→)

でも、もっと寒い日はアイツらの部屋がいいんだ。
隣の部屋で仕事してるから、ちょくちょく見に来る。寝てる邪魔もするけど、毛布をかけてくれたり、ご飯を取り替えてくれたり、いろいろやってくれるのはいい。
うまくすれば昼間からストーブがつくかもしれないしね!まっ、あんまりないけど。

四つ足はいっぱい眠るんだ。二本足とは大違いさ。
トシをとったらもっと寝る。
病気になったら、もっともっと寝る。
だからトシで病気のおいらたちはホントに寝るぜ~。
でも、それがいいんだな。

あったかくて、静かで、ちょっと暗くしてくれたらもっといい。
だからおいらは毛布をすっぽりかけてもらうのが好きだ。うまくいけば自分でベッドの中に入り込んだりもする。
「あれ?ピッピどこ行った?外?」
って、アイツらが探しにくるくらい、すっぽりとね。

でも、このせいでご飯を喰いはぐったりするんだ。
姿が見えないからアイツらが出すのを忘れ、
おいらも爆睡で喰うのを忘れちゃうのさ。
寒いときは太んなきゃいけないから、これはマズいぜ。
(つづく)

Vol.0268■アニキの低血糖 

2007-07-16 | 猫の病気
きょうはアニキの調子が悪いから、アニキのツナは花がつお入り。
うまいじゃないか!混合削り節より。
つい、おいらまで喰っちまったよ。
==============================

今日は糖尿病のアニキが軽いテイケットウを起こして、元気なかった。
おいらどころじゃない。アイツが慌てて砂糖水飲ませてたっけ。
ひどいときは、吐いたり下したりするけど、きょうは大丈夫だった。
もっとひどいときはガタガタガタガタ震えが止まんなくなって、ホントやばいんだ。

アニキは小さい子のベッドで1日じーっと動かなかった。

(こういうスフィンクス座りになるとテイケットウのサイン。最近はこうやって足を1本曲げてることが多い。だからパッと見でスフィンクスかどうかわかんないんだと。これで目がパチパチし出したら、アイツらがドタドタドタドタ~って走り出すんだ→)

まっ、きょうも寒かったからおいらも毛布にくるまってグースカ寝てたんだけどね。

起きてもやっぱりガンだった。
いつも目が覚めて首の邪魔くさいものに気がついて、
「あー、やっぱりガンか。」
って思う。そのまま、また寝ちゃうことも多いけどね。

夜になってストーブがついてからはストーブの前へ。
おいらはストーブが大好き。あったかいからね~。なんで1日中つけないのかと思うよ。アニキはそばに来たり離れたり。おいらみたいにずっと近くにはいない。
きょうはずっと違う部屋にいたから、ちょっとナメナメしてあげた。
あんまり元気なかったけど、おいらだってすっごい元気ってわけじゃない。
だからおんなじくらいかな?

一緒に生まれて、一緒に育って、一緒にトシとってるんだよな、おいらたち。
あしたはおんなじくらい元気になって、散歩に行きたいよ。
その前に止んでくんないかな、この雨。
(つづく)

Vol.0267■ヘンな寝かた

2007-07-15 | ガン闘病記
きょうは寒かったな~。朝、散歩に行ってからずーっと寝てたよ。
アイツと連れ合いが何度も毛布をかけにきてくれたっけ。
(これは連れ合いの手→)

寝てるとなんかズレちゃうんだけど手がないからね~、自分じゃかけらんないんだ。
==============================

最初はアイツの指先くらいの大きさだったんだ。
アイツがそう言ってたから。
「ねぇ。ピッピってまたガンになっちゃったみたいなの。このコリコリしたもの、わかる?指先ぐらいの大きさの。」
って、連れ合いに言ってたからな。

「小さいけどガンだと思う。触った感じが前のとそっくりだから。」
「確かに・・・」
「どうして再発しちゃったのかしら?外にも出られて、なんの心配もなくて、こんなに幸せに暮らしてるのに・・・」
「・・・・・・」

アイツが気がついたとおりだった。
前のガンが治ってニュージーランドに来てからも、アイツはときどきおいらの首の周りや脚の付け根を触っちゃ、ガンがないか調べてた。気がつくとしたら、アイツだった。

その前にも、おいらが寝てるのを見て、
「やーねー、ピッピったら、そんなに首伸ばして寝て。ガンのときみたいじゃない。」
って言ってゲラゲラ笑ってたっけ?ずっと気にしてたんだ。

そうさ、そのガンにまたなっちまったんだ。だから、寝かたもおんなじさ。
今は冬で寒いから首をうんと丸めて、小さくなって寝てるときもあるけど、反対にうんと伸ばして寝てるときもある。どっちかなんだ。ガンが大きくなってきて、寝にくくなったんだ。とにかく邪魔なんだよ。いつもおんなじようなかっこで寝て、それにも慣れてきたけどね。
(つづく)

Vol.0266■2度目のガン

2007-07-14 | ガン闘病記
メールや書き込みありがとニャン。
「これからはできるだけUPする」、ってアイツが言ってたぜ。
==============================

「えっ?」

アイツはいつもみたいに自分のベッドに座っておいらをナデナデしててガンに気がついたんだ。今からちょうど3ヶ月前の4月13日のことだったんだと。
もちろん、おいらはそんなことまで覚えちゃいない。まだ寒くなってない頃だった。

「気がついた・・・」
と思ったら、アイツはシクシク泣き出した。頭の中のテレビには次から次へといろんなものが映って、見てるおいらも大変なくらいだった。
アイツの掌に載ってる小さいおいら。草の間で動けなくなってるおいら。
あれは生まれたときのシンガポールだろう。

ベランダのタイルでのびてるのはシンガポールか、香港か?
どっちも暑かったからな~。よくタイルの上にいたよ。アニキ、獣医のドリス、香港で使ってたソファー、まだ小さい子どもたち・・・
ホントにいろんなことが次から次へと映った。
思い出してるってことなんだな。

(これは香港で最後にちょっとだけ住んだ家のベランダ。ガンが治ったばかりでまだガリガリの頃。今は冬だから丸々太ってるけどガンなんだ→)



しばらくしてから、アイツは連れ合いを呼んだ。
ふたりでボソボソ話してる。何度も何度もガンに触ったり、おいらをギューっと抱いたりナデたり。どうしていいかわかんないんだろう。
そういうときは、いつものようにしてるのさ。おいらはそうだぜ。
昼寝して散歩して飯喰って、ちょっとアニキを舐めて、また眠るのさ。

あれから3ヶ月。二本足の時間じゃね。
でも、四つ足の時間じゃ1年経ったんだと。
おいらたちにはそんだけ速く時間が経つらしい。そうなのか? 今じゃガンと暮らしてるさ。ヤだけどね。こいつらおいらの中でどんどんデカくなるだけで、どこにも行かないんだ。
(つづく)

Vol.0265■ガン再発

2007-07-13 | ガン闘病記
どっから来んだかわかんないけど、メルマガ読んでくれてる二本足が増えてんだ。
なんでおいらのこと、知ってんの?
ありがとニャン。
==============================

やっとアイツが書く気になったらしい。
おいらは別にかまわないんだけどさ。

またガンになったんだ、おいら。
前とおんなじ喉のところ。でも今度は反対側だ。
前のガンが治ってから二本足の年でちょうど3年、おいらたち四つ足なら12年なんだと。
まっ、いっぱい時間が過ぎたってことだ。
(またガンになっちまった。やれやれ→)

でも、ガンは戻ってきた。
「なんかヘンだな。」
と思ってからは早かった。あっという間にデカくなって、今じゃ2個ある。
アイツは毎日触って、大きくなった、小さくなったと大騒ぎだけど、とにかく大きく、硬くなる一方さ。

痛くはないけど、とにかく邪魔。
首もなんだか曲がりにくいしね。いつもヘンなカッコで首を伸ばして寝てるよ、曲がんないから。でも、息もできるし、飯も喰えるよ。肉もずっと喰ってる。今じゃ、魚より多いかな?ガンになってから、どんどんいろんな物が出てきて、好きなもん喰い放題さ。

そりゃガンじゃないほうがいいさ。ヘンなもんだぜ、これは
2回目は化学療法ができないんだと。できても、アイツは絶対にやらなかっただろう。あれはガンより辛かったからね。死なずにはすんだけどさ。おいらも、もうヤダね。

だから獣医にも行かないで家にいる。
これはいい。とにかく家でいつも通りにしてるのが一番いいさ。クルマにも乗らなくていいし、日向ぼっこもできるし、夜になればストーブもつく。二本足のいない部屋に、おいらたち用につけてんのさ。あいつらが寝るときもつけといてほしいけど、それはダメなんだと。だから、アイツと連れ合いの間で寝るんだ。

タビの話が途中でゴメンよ。
ヤツは今でも家の下に住んでて、朝昼晩と飯を喰いにくる。これからもずっとそうだろう。ちょっとしたらまた続きを話したいけど、しばらくはおいらの話をするよ。
(つづく)

Vol.0264■タビ物語-家の下の秘密

2007-07-06 | 近所の猫
最近、メルマガ読んでくれてる二本足が増えてるんだってさ。なんでだ?
みんな、どっから来たんだ?
おいらにゃわかんないけど、ありがとニャン。
==============================

家の下に入れるドアが閉まり、もうひとつの出入り口だった隙間にも金網が立てかけられた。金網はちょっとずらしてあったから、無理やり入ろうと思えば入れたけど、おいらもアニキも用はなかった。
ずっと住んでたハリネズミはもういなくなってた。

でも1匹困るやつがいた。タビだ。
クロ猫で暑がりなだけじゃなくて、やつはホントによく家の下に入ってたんだ。
夜はどこでなにしてるか知らないけど、やつの頭の中のテレビを見ると、真っ暗なとこにいることが多かった。こんなに暗いなんて、家の中でも、月の明かりでけっこう明るい庭でもない。

開けっ放しだったドアが閉まって、やつは隙間の方から入ろうとした。
でも金網が立てかけられてて、入れない。前足で金網をかいたら、動いた。
頭さえ入ればこっちのもんだ。タビは頭を突っ込み、デカいからだも押し込んで家の下に入った。入れれば出られる。そんな日が何日か続いた。でも、アイツらはぜんぜん気がついてなかった。

その頃には、アイツは夜、おいらたちにご飯を出すときに、タビにも一緒に出すようになってた。もうタビが来ない日はなくなってた。朝も昼も夜も、必ず喰ってった。
玄関のドアがガチャッと開いて、ボールがコトッと置かれると、タビはすぐに現れた。

「まるでタビちゃんてうちに住んでるみたいね。ご飯を出すと一瞬にして現れるのよ。」
アイツはゲラゲラ笑いながら連れ合いに言ってる。
そうさ、その通りさ。あいつらはそれでも気がついてなかった。なんて頭がワルいんだ!

「タビちゃんてどこの家のネコなんだろう?」
「どこで寝てるんだろうね?」
「どうして朝昼晩と毎日うちで食べてくのかしら?」
「捨てられたのか?飼い主が引越してったのか?」

「大変!大変!大変! タビちゃん、うちの下に住んでるみたい!!!」
ある日、アイツが外からドタドタ走って入ってきた。
「なんでわかったの?」
「あの立てかけた金網に黒い毛がいっぱい付いてるの!あそこから出入りしてるみたいよ。本当にここに住んでるんじゃない?どうして?」

(「やっとわかったかニャン?」「そうみたいだニャン。」)
(つづく)

Vol.0263■タビ物語-ハリネズミともう1匹

2007-07-04 | 猫の海外暮らし
ドアに黒いタビの影が映ってる。連れ合いがドアを開けて言う。
「トラベルくんかね?なんの御用かね?」
トラベル?
==============================

前にも話したけど、色の濃いトラ猫のアニキやもっと濃いクロ猫のタビは、おいらよりずっと暑がりだった。色のせいですぐに暑くなっちまうんだと。だから、夏の間は昼間でも薄暗い家の下に入りこんだりする。暑がりじゃないおいらは行かなかった。
他にも涼しいとこはいっぱいある。なにもあんなとこに行かなくても、って思うけど。

その頃は涼しくなってきてた。子どもの学校もとっくに始まってて、いつもの毎日だった。
そんなある日、あいつらや子どもがワイワイガヤガヤ言いながら、突然家の下に入りこんだんだ。ビックリしたぜ、そんなこたぁ、この家に来て初めてのことだったから。
なにかと思ったら、家の下にあったものを引っ張り出して、外に捨てたのさ。古いクルマまで出てきたんだぜ。この話は前にもしたから、コッチを読んでくれよな。

1日かかってきれいにした後、アイツはいつも開けっ放しにしていたドアを閉めた。
そのドアが閉まってたことは1度もなかったから、引越してきて初めて閉めたんだ。
そして、ずっと閉めとくことにしたみたいで、
ドアは2度と開かなくなった。

(階段の下の二本足がやっと通れるくらいの小さいドアさ→)

家の下には二本足がハリネズミって呼んでる、もさもさした生き物がいた。
もちろんおいらもアニキも知ってた。やつらときたら物みたいに動かないか、動いても目が見えないのか、ホントにもさもさしてるだけ。最初に見たときはビックリしたけど、あとは気にならなくなった。それに家の下から出てこないから、家の下に行かないおいらには関係なかった。

アイツが捕まえて、連れ合いが近くの公園に持ってた。本当はもう1匹いたんだけど、アイツらは気がつかなかった。

夜になって、仲間がいなくなったもう1匹はドアとは違う小さな隙間から出て行った。1匹で家の下にずっといるのは、いくらハリネズミでも嫌なんだろう。庭を横切って出て行くのを連れ合いが見つけた。散歩してたおいらも見た。
「夫婦だったのかしら?かわいそうなことしちゃったわ!!」
アイツは大騒ぎだったけど、もう遅い。うちにはハリネズミがいなくなった。

その後、アイツがどっかから金網を持ってきて小さな隙間に立てかけた。
「これで家の下に入れる場所はなくなったからね。」
と連れ合いとウレシそうに話してる。またハリネズミ来ないように、ってことなんだろう。あんなに動かないやつ、居ても居なくてもかわんないと思うけどね。

アニキはドアが閉まったときと同じように、今までなかった金網をチェックし出した。
金網と隙間の間にはちょっと間があって、入ろうと思えばまだ家の下に入れたけど、アニキは入らなかった。そこまで見回りする気はなかったんだろう。おいらなんて、そんな気ぜんぜんなし。

「もしかしたら、まだ中にハリネズミがいるかもしれないから、出られるように少し開けておいたの。」
「その間に新しいのが入ったらどうするんだ?」
「そうよね、ビミョーよね。どうしようかしら?」

けっきょく金網はずっとずらしたまま置いてあった。もうハリネズミはいなくなってたし、おいらたちも入らないから誰も困るこたぁない。でも、1匹を除いて。(つづく)


Vol.0262■タビ物語-カン違い

2007-07-02 | 近所の猫
ずっと更新してなかっただろ?知ってんぜ。ゴメンよ。
最近、アイツは朝までパソコンをカタカタやってたりしてんだ。なにやってんだかね。
おかげで夜中でも外に出られてトイレができるから便利なんだけどさ。
==============================

「やっぱり妊娠じゃないみたいね。タビちゃんこれだけ食べてるけど、お腹大きくなってこないもの。ただ太ってるだけみたい。」
「頼むよ~。黒い小さいのが庭をゾ~ロゾロなんて、カンベンだよ~。そうしたらSPCA(動物愛護協会)だろ?」
「そうね~。でも、妊娠じゃないと思う。」
「絶対、オスだって。真っ黒だし。」
「色と性別は関係ないじゃない。」
ゲラゲラゲラゲラ・・・

相変わらず暢気な二本足。タビはただ喰ってるだけさ。これから寒くなるからね。しっかり喰って太っとかないと大変なのさ。二本足みたいに服を着るわけじゃないからな。おいらとアニキも喰ってるけど、タビのほうがスゴいから目立つんだ。ホントにタビはよく喰った。必死で喰った。

「じゃ、何でこんなに一生けんめい食べるのかしら?自分の家にご飯がないの?」
「さぁ。魚が気に入ったんじゃないか?ヘルシーだニャン!って。」
「そんなもんじゃないわよ、この量、この食べっぷり。魚でも肉でもボールに入ってればなんでも平らげるわ。どうしてこんなにお腹を空かせてるの?野良猫じゃあるまいし。」

「野良猫かもよ。」
「まさかぁ。こんなに人慣れしてて?でも、飼い主がホリデーで留守番させられてるのかとも思ったけどもうすぐ3月。夏休みは1ヶ月前に終わったわ。」
「棄てられたとか?飯の喰い過ぎで追い出されたんじゃないか。」
「飼い主が引越しちゃったのかしら?前にも見たことがあるから、近所のネコなんでしょうね。こんな大きくなって、置いていく?可愛がられてたんじゃない。元気そうだし、毛並みもいいし。近所で最近越して行った家ってあったけ?」
こんな感じであいつらはタビの話ばっかりしてた。

(喰い終わるとタビはすぐに姿を消した→)

ホントに二本足は「なんで?」が好きだ。
タビがオスだったらなんか違うのか?
タビが誰かに置いてかれた四つ足だったらなんか違うのか?
違わないだろう。やつが玄関に来ればご飯を出す。庭で寝てりゃ声をかける。
オスでもメスでもおんなじじゃないか。
だったら考えないことだな。必要があればそのうちわかるさ、多分ね。
(つづく)