シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0295■ガレージの引越し

2007-08-27 | 猫の海外暮らし
「ひぇ~、“治療なしの場合、悪性リンパ腫では 1、2ヶ月で亡くなることが多い”って書いてある~」
とか言いながら、アイツがパソコンをのぞきながらブツブツ言ってるから、そうらしい。
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「なにやってんだ?」
って思いながらも、外のすんげえ音を聞きながら寝ちまったおいら。
起きたら静かになってた。終わったんだろう。

ちょうどトイレもしたかったし、
「出てみるか。」
と思って玄関に行くと、ドアは開けっ放しだった。外はいい天気。ちょっと寝てる間にずい分あったかくなってた。もう昼だもんな。

えっ?こりゃ、ビックリだ。
外に出るといつもとぜんぜん違う。玄関の横のガレージがなくなってるじゃないか!
あんな家みたいなもんが、どっかに行くのか? ってことはおいらたちも引越すのか?

(朝まで確かにこんなもんがあったのに!→)


どうもそうじゃないらしい。
だって大きい子どもがのんびり濡れた服を干してるし、アイツもキッチンでカタカタやってる。引越しのときはみんな大騒ぎで、それどころじゃない。こんなこと絶対にしてないからな。 そうか、ガレージだけがどっか行ったのか!
(←起きたらこんなになってたんだ。隣の二本足が掃除してるし、いったいどうなってんだ?)

夕方になっても、次の日になってもガレージは戻ってこなかった。
隣のシィンの家のあとはガレージの引越し。
ヘンな話だけど、そういうことらしい。
小さい家みたいだったガレージがあったところに乗ってみた。コンクリートがあったかい。まだにおいがする。クルマのにおいと陽のあたらない埃のにおい。

家の中の箱はガレージにあった箱だったのか。引越してく前に家に入れたんだろう。
とにかく、おいらはどこにも行かなくてよさそうだ。よかった、よかった。
(つづく)

Vol.0294■なんの音?

2007-08-26 | 猫の海外暮らし
「やーねぇ。これじゃ、骨が毛皮着てるみたいじゃない。背中なんかゴッツゴツよ。」
って言われながら、流動食を喰わされてるおいら。
やーねぇ、って言われてもね。自分でなんにも喰わなくなって1週間以上か。
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引越しは隣の家だった。さんざん、おいらたちの庭を歩き回ってたシィンはどっかに行っちまった。
じゃ、うちの家の中の箱はなんなんだ?

前だったら、段ボール箱を見たら徹底的ににおいをかいで、チェックして、上って、爪をといで、中に入って寝心地も確かめて・・・とやらなきゃ気がすまなかったアニキ。
でも、トシとったのかぜんぜん興味がなさそうだ。
おいら?
おいらは元々アニキみたいにマメじゃないんだ。においかいで、それでおしまいさ。
二本足のもんなんて、おもしろいわけないだろ。

きのうは天気がよかったけど、見えないくらい小さい雨が降っててちょっと寒かった。
デッキで昼寝してたけど、中にはいったらアイツが毛布を持ってきたんで、そのままグースカグースカ。外でデカい声がしてワーワーやってたけど、子どもが家にいる日だから、誰か来たんだろうと寝てたんだ。

そのうち、
トンカントンカンギーコーギーコー
トンカントンカンギーコーギーコー
ギコギコギコギコギコギコ


聞いたことない音がして、
キ――――――――――――ン
キ――――――――――――ン
キ――――――――――――ン
キ――――――――――――ン

って、すんげえ音。この近さは庭だぜ。なにやってんだ?

でも、眠くなるトランスファーファクターをしこたま飲んで眠くてしょうがないし、
ガンだし、おいらは見に行かないでそのまま寝てた。
「行くの?行ってもいいけど、おじさんたちいっぱいいるから、気をつけてね。」
ってアイツが玄関で言ってる声がしてたから、アニキは行ったんだろう。

さすが、防人ネコだ。
なにやってんだ?あぁ、眠い。

(庭の安全を守るアニキ。いつもご苦労だニャン。
でっ?変わった事は?→)

(つづく)

Vol.0279■2匹のガン猫

2007-08-05 | 猫の海外暮らし
きのうはアニキが外でケンカ。
ほんのちょっとだけど、手が出たのは久しぶりじゃないか?
でも、おいらは見にも行かない。アイツが、
「イイ年して、いいかげんにしなさいよ!」
って文句言ってるのを聞いてただけ。平和が一番さ。
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うちには2匹のガン猫がいるんだと。連れ合いがブイブイ言ってるぜ。
1匹はもちろん、おいらさ。
本物のガン猫だ。
首にこんなデッカいガンぶら下げて歩いてるヤツなんて、近所じゃおいらぐらいだ。見たことないぜ。

もう1匹?
そりゃ、アニキさ。ガンはガンでも頑固のガン。
前にもこの話はしたけど、これがアニキだから変わんないさ。

タビが来てからすっかり肉食になったアニキ。
特にウシが好きなんだ。それも白いとこがない、赤いのばっかりのやつ。
アイツらはトップサイドとかいうデカい肉を買ってきて小さく切ってあげてんだ。

でも、はっきり言って、切るのがめんどくさい。
「ひき肉喰ってくんないかな?ピッピみたいに。」
って言い出した。でも、それは前に失敗してんだぜ。懲りないヤツら・・・。

おいらはひき肉でもいいんだ。それよりブタが好き。ウシはあんまり、なんだ。
ホントはブタの小さく切ったのなんか出たことないから、ひき肉喰ってんだけどさ。
つい喰っちまうから、小さく切った白いとこがないブタなんてますます出てこない・・・
まっ、いいけどさ。

でもアニキは違う。
白がまじったのはイヤなんだ。
イヤだったら喰わない。
喰わないとインシュリンの注射のあと、ケットウチが下がる。(そのときのことはコッチから)
下がるとフラフラになって、アニキもアイツらも大変なことになる。
だからアイツらはトップサイドを小さく切る・・・。

あきらめるんだな。
アニキに元気でいてほしかったら切るしかないぜ。
そうそう、おいらにも今度、切ったの喰わしてくれよな。
(つづく)

(おいら?なんでも喰うぜ。えっ?ベッドの上でなんて行儀ワルいって?カンベンしてくれよな、ガンなんだからさ→)

Vol.0277■おいらの夢

2007-08-03 | 猫の海外暮らし
ガンは毎日変わる。あっちも生きてんだな。
石みたいに固い日もあるし、ちょっと柔らかくてプラプラしてる日もある。
でも、どこにも行かないけどね。
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四つ足のおいらにだって夢がある。
それは、
ストーブが全部つくこと!

いつも1個しかついてないんだ。なんでかと思ったら、

連れ合いがケチで、
アイツが暑がりだからなんだと。


暑がりはちょっとわかるけど、ケチってのはなんだ?

「ネコには1個で十分だ。」
ってことらしい。
ちぇ。

(ほらな、きょうも1個だ→)

しかもアニキはあんまりストーブの前に来ないから、つけてるのは
おいらのためだけ
ってことになってるらしい。
いっ、いーじゃないか。宇宙一かわいいシロ猫なんだろ?大事にしろよな。
たまには3個全部つけてくれよ。

でも、おいらの夢はかないそうもない。
最近はあったかくなってきたから、夜になってもストーブがつかない日もあるんだ。

ガーン!
(つづく)

Vol.0276■連れ合いのお見舞い

2007-08-02 | 猫の海外暮らし
ノドがくっつくあのコワい感じは、あれからもう1回あった。
でも、アイツもおいらも初めてのときほどコワくなかった。なにが起きたか、わかったからね。そのせいか、そんなに苦しくなかった。こうやってガンに慣れてくんだろうね。
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「ピッピ、どうかニャン?元気かニャン?」
と、連れ合い。どうも連れ合いは『ニャン』ってつけると、おいらたちに通じると思ってるらしいけど、そんなのあってもなくても、一緒だって。単純だよな。

「元気出すニャン、しっかりだニャ~~~~ン。」
しっかりしてるつもりだけど。自分で喰うし歩くし、トイレも行くし寝るし。
ガンの前と変わんないぜ。もっとしっかりしろっ、てことか?
元気はね、いつも言ってるとおり元気なんだ。ただ、ガンだってこと。

「長生きするニャン。」
してるぜ。

「ゴロゴロもいいけど、たまには運動するニャン。からだにいいぞ。」
ゴロゴロ?うんどう?
おいら、四つ足なんだけど。

「風呂入ったり、顔洗ったりもいいぞ。きれいにするニャン。」
ふろ?! んなもんで、きれいになるか? 舐めるのが一番さ!顔なんか、もう一日中掃除してるぜ。ナメナメペロペロ。目ヤニなんかぜんぜんないもんね~。
そっちこそ、もっとキレイいにするニャン、
舐めろニャン!


(↑ちゃ~んと、いつもキレイにしてんぜ。二本足だって「舐めたみたいにキレイ」って言うじゃないか。やってみろよ。あ~、ペロペロ)

「たまには歯を磨いてみるとか・・・」
あの~、おいらもう歯ないんだけど。

「いつも心配してるニャ~ン♪」
そりゃ、どうも。

「優しい飼い主だニャン♪ そう思ってるだろ、ピッピも?」 
「・・・・・・・・・」

(つづく)

Vol.0263■タビ物語-ハリネズミともう1匹

2007-07-04 | 猫の海外暮らし
ドアに黒いタビの影が映ってる。連れ合いがドアを開けて言う。
「トラベルくんかね?なんの御用かね?」
トラベル?
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前にも話したけど、色の濃いトラ猫のアニキやもっと濃いクロ猫のタビは、おいらよりずっと暑がりだった。色のせいですぐに暑くなっちまうんだと。だから、夏の間は昼間でも薄暗い家の下に入りこんだりする。暑がりじゃないおいらは行かなかった。
他にも涼しいとこはいっぱいある。なにもあんなとこに行かなくても、って思うけど。

その頃は涼しくなってきてた。子どもの学校もとっくに始まってて、いつもの毎日だった。
そんなある日、あいつらや子どもがワイワイガヤガヤ言いながら、突然家の下に入りこんだんだ。ビックリしたぜ、そんなこたぁ、この家に来て初めてのことだったから。
なにかと思ったら、家の下にあったものを引っ張り出して、外に捨てたのさ。古いクルマまで出てきたんだぜ。この話は前にもしたから、コッチを読んでくれよな。

1日かかってきれいにした後、アイツはいつも開けっ放しにしていたドアを閉めた。
そのドアが閉まってたことは1度もなかったから、引越してきて初めて閉めたんだ。
そして、ずっと閉めとくことにしたみたいで、
ドアは2度と開かなくなった。

(階段の下の二本足がやっと通れるくらいの小さいドアさ→)

家の下には二本足がハリネズミって呼んでる、もさもさした生き物がいた。
もちろんおいらもアニキも知ってた。やつらときたら物みたいに動かないか、動いても目が見えないのか、ホントにもさもさしてるだけ。最初に見たときはビックリしたけど、あとは気にならなくなった。それに家の下から出てこないから、家の下に行かないおいらには関係なかった。

アイツが捕まえて、連れ合いが近くの公園に持ってた。本当はもう1匹いたんだけど、アイツらは気がつかなかった。

夜になって、仲間がいなくなったもう1匹はドアとは違う小さな隙間から出て行った。1匹で家の下にずっといるのは、いくらハリネズミでも嫌なんだろう。庭を横切って出て行くのを連れ合いが見つけた。散歩してたおいらも見た。
「夫婦だったのかしら?かわいそうなことしちゃったわ!!」
アイツは大騒ぎだったけど、もう遅い。うちにはハリネズミがいなくなった。

その後、アイツがどっかから金網を持ってきて小さな隙間に立てかけた。
「これで家の下に入れる場所はなくなったからね。」
と連れ合いとウレシそうに話してる。またハリネズミ来ないように、ってことなんだろう。あんなに動かないやつ、居ても居なくてもかわんないと思うけどね。

アニキはドアが閉まったときと同じように、今までなかった金網をチェックし出した。
金網と隙間の間にはちょっと間があって、入ろうと思えばまだ家の下に入れたけど、アニキは入らなかった。そこまで見回りする気はなかったんだろう。おいらなんて、そんな気ぜんぜんなし。

「もしかしたら、まだ中にハリネズミがいるかもしれないから、出られるように少し開けておいたの。」
「その間に新しいのが入ったらどうするんだ?」
「そうよね、ビミョーよね。どうしようかしら?」

けっきょく金網はずっとずらしたまま置いてあった。もうハリネズミはいなくなってたし、おいらたちも入らないから誰も困るこたぁない。でも、1匹を除いて。(つづく)


Vol.0261■初めての肉Ⅲ

2007-06-17 | 猫の海外暮らし
夜はけっこう寒くなってきたぜ。湯たんぽ争奪戦に負けてるおいらはアイツらと寝てるんだ。
次男だからね。
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アニキが肉を喰ったのは別にライバルイシキじゃないさ。
ただ、そこに肉があったから喰ってみた。
喰ったらうまかった。
だからもっと喰った。
アイツが見つけて、大騒ぎになった。
まっ、それだけの話。

(ライバルイシキはないけど、やつがいると外に出にくいんだよな~。まさか、いないだろうな?→)

ついでに言えばアニキはもっと前から喰ってた。ほんのちょっとだけどさ。
だってタビはきれいに舐めてくから、喰うほど残ってないんだ。アイツが見つけたときは、タビが喰ってる途中に連れ合いと子どもがワイワイ帰ってきたもんだから、やつは姿を消したのさ。その後、見回りから帰ったアニキがボールに残ってた肉を見つけたってわけ。

もっと言えば、おいらだって喰ってたぜ。誰も気がつかなかったけど。おいらはかっぱえびせんも、コーンフレークも喰わないけど、肉は喰った。うまいとも思った。ただ、アイツは魚しか出さないから、その後も魚を喰ってたってわけ。

その頃は少し涼しくなってた。四つ足が太り出す時期だった。
しっかり太っとかないと、冬は寒いからね。二本足みたいにどんどん服を着るわけじゃないから、とにかく喰うのさ。だから、肉が出れば肉を、魚が出れば魚を喰う。なんでもいいんだ、うまけりゃ。

次の日からおいらたちにも肉が出た。
「この歳になって肉ねぇ。」
なんでトシと肉が関係あんだ?四つ足が肉喰ったっていいじゃないか。
二本足がネコ缶喰ってもいいんだぜ。うまいぜ、試してみろよ。

わかったのは、最初から小さく切ってある肉はベタベタして喰いにくいってこと。デカい肉をアイツが小さく切ったのはうまいし、喰いやすい。
「贅沢ねぇ。ひき肉だと残すくせに、トップサイドだときれいに食べるわ。」
と、アイツは残しても全部喰っても、どっちでもブツブツ。残ってもタビが全部喰ってくからいいじゃないか。

今じゃおいら、ネコ缶もビーフになって毎日、肉喰ってんだ。
アニキはさんざん肉を喰ったあと、またいつものツナのネコ缶に戻ってった。混合削り節たっぷりのやつに。肉も出れば喰うけどやっぱり魚の方がいいみたいだ。ビーフのネコ缶はぜんぜん喰わない。だからおいら、独り占めさ。
(つづく)

Vol.0260■初めての肉Ⅱ 

2007-06-14 | 猫の海外暮らし
チキンは今ひとつかな?ビーフがいいな。なるべく赤いのがいい。白いとこはうまくないんだ。
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「チャッチャ~!!!どうしたの?」
と、小さい子ども。
「たまにはいいよね、肉も。魚ばっかりじゃねぇ。」
と、大きい子ども。
「こんなジジイが肉食?いったいどうなってんだ?」
と連れ合い。

「この間ピッピが空のボールのにおいをかいでたから、チャッチャもにおいをチェックしてるんだと思ったの。でも、ボールに顔を入れたまま頭も上下に揺れてて、“まるで食べてるみたい~”と思って近くまで来たら、ホントに食べてたの!もうビックリよ。「15年も食べてないのよ、肉なんて。」
「どうしたんだ、いったい?」
「ここに来たとき入ってた検疫所でも、“チキンを食べない猫がいるなんて!”って驚かれたのにね。」
「チキンはヤだけど、ビーフならいいのか?」

みんなでアニキを囲んで見下ろしながらワイワイガヤガヤ。
喰い終わったアニキはさっさとずらかろうとした。でも、こんなときは絶対ダメだ。アイツがサッと抱き上げて、
「おいしかった?なんだぁ、チャッチャってお肉食べられたのね。知らなかったわ。」
アニキだって知らなかったさ。だって、ずっと喰ったことなかったんだから。でもアニキは、かっぱえびせんだって、コーンフレークだって喰うんだから肉くらい喰ってもいいはずさ。

「そういえば、20歳くらいのネコが、新入りが来てライバル意識に目覚めたのか、急に若返ってご飯もバクバク食べて元気に走り回るようになったって友だちから聞いたけど、チャッチャもそうなのかしら?タビちゃんがお肉をバクバク食べるから、ついその気になったのかな?」

「若返ったってこと?」
「これからチャッチャが走り回るの?」
「どう見てもジジイだけどね。」
ゲラゲラゲラゲラ・・・・


いいじゃないか、なに喰ったって。なんだよ、ライバルイシキって?
(つづく)

Vol.0259■初めての肉

2007-06-10 | 猫の海外暮らし
おいら、毎晩背中の皮をつかまれてプルプル振られてるんだ。これが四つ足のケンコウホウなんだと。で、スゴいことが起きたんだけど、この話はまたいつか、な。
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ずっとタビの話ばっかりだったから、たまにはおいらたちの話もしよう。まぁ、いろいろあるけど元気にやってるよ。

そうそう、びっくりするかもしんないけど、
おいらとアニキ、肉喰ってんだぜ。
(ほらな→)

「肉なんか臭くて。魚の方がずっといい。」
ってずーっと前に思った。それからアイツは魚しか出さなくなった。おいらもアニキもそれでよかった。毎日おんなじもんでもよく喰った。違う魚が出るとそれも喰った。
アジが一番うまい。でもカツオでもツナでもいいんだ。

でも白い魚はあんまり喰わない。タイとかね。
「高いのよ、これ。」
とアイツはおこるけど、なにが高いんだ?高くても低くても、うまいもんはうまいし、そうじゃないもんはそうじゃない。二本足だっていつもうまいもん喰ってんだろ?
(この最初から小さく切ってある肉はベタベタして喰いにくいんだ→)

なんで肉なんか喰い始めたかっていうと、タビが喰うからさ。
「タビちゃんてさ、やっぱりガイジンだからお肉が好きなんじゃない?」
ってアイツが言って肉を出したら、タビはきれいに喰った。あの頃のタビはホントに腹を空かせてたから、パンだって野菜だってなんだって喰ったかもよ。

「やっぱりガイジンなのね~。生肉食べるなんて、スゴ~い。ピッピやチャッチャと違う生き物みたい~。」
とかなんとか、アイツはワーワー言って、毎日肉を置いた。タビは毎日喰ってった。おいらはプンプンしてる肉のにおいをかぎながら、玄関先で喰ってるタビの横を通って庭に出た。タビは顔も上げないで必死で喰ってる。
肉ねぇ。

(めんどくさがんないで、自分で小さく切ってくれよな。おいらたち、歯ないし。それからなるべく白いとこがない肉、頼むよ→)

タビはボールになにが入ってたのか、わかんないくらいきれいに喰ってくけど、わかんないのは二本足だけさ。四つ足はにおいをかげばすぐわかる。ある日、空になったボールのにおいをかいでチェックしてると、
「ピッピも食べてみたい?」
いつの間にかそばに来てたアイツが聞いた。
ふん、だ。

最初に見つけたのはアイツだった。
「大変、大変、大変、たいっへ~~ん!!チャッチャがお肉食べてるぅぅ!!
「えぇぇぇぇぇぇぇ?」
もう家中、大騒ぎ。
(つづく)

Vol.0240■マニュアル喰いとオートマ喰い 

2007-04-11 | 猫の海外暮らし
また子どもたちが、学校に行かないでずっと家にいるぞ。
昼寝の場所をどこにすっかな?
そうそう、パソコンが壊れちまって困ってるらしいぜ、アイツ。
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ケットウチが下がらないように、糖尿病のアニキの行くとこご飯あり、って話をしたけど、アニキもそうそう嫌がってるばかりじゃない。元々ネコがいいから、アイツらがそうしてほしんいんだったら、一生懸命がんばるほうなんだ。おいらとはぜんぜん違う。

どういう風にがんばるかっていうと、
「寝起き喰い」
これは連れ合いがやるんだけど、グーグー寝てるアニキの目の前、足や鼻先に触るようにボールを置く。わざと起こしてるようなもんさ。アニキは起きたばっかりでビックリ。なにがなんだかわかんない。だから、目と鼻の先のボールに顔をつっこんでとにかく喰いだすんだ。

「ほらね、やった、やった。ネコがいいぞぉ!」
と連れ合いは大得意。喰ってるアニキもなんで喰ってんのかわかんないはずだ。腹が減ってるかどうかも。顔を動かしようがないくらい目の前にボールがあるから、開いたところ、つまりボールの中に顔を入れただけってとこかな。

おんなじように、起きてるアニキの顔にボールをグッと近づけて喰わすやり方、
「はめ喰い」
もある。
これなんかも顔にボールがはまるようなもんだから、後ろにでも下がんない限り喰うっきゃない。
これも連れ合いがやるんだ。なんとかお手々まんまを しなくていいように、自分の手が汚れないように、ってそれしか考えてないんだ。わかるぜ。

アイツもやってるにはやってるけど、連れ合いほどひつこくない。いざとなったらお手々まんまをすればいいと思ってる。まぁ、その詰めの甘さで失敗してるんだけど。アニキの近くにボールを置いとくぐらいじゃダメなことはわかってるだろう?かといって連れ合いのひつこさもね。
こりゃ、大変だ、アニキ。

とにかく、世話を焼かないと喰わないってことで、これは、
「マニュアル喰い」
って呼ばれてんだ。こんなもんにまで名前つけんなよな~、二本足。他にやることないのか?

な~んにも手がかかんないおいらは、
「オートマ喰い」
なんだと。そっ、それがどうしたんだよ?ふん。

(さ~て、これは誰が喰ったか? 答え:2匹→)

(つづく)

Vol.0238■猫のプライバシー

2007-03-30 | 猫の海外暮らし
「さぁ、チャッチャ、富士山だニャン。」
「どうだ!きょうはピナツボ山だぞ!」
糖尿病のアニキに喰ってほしい連れ合いは、毎日ご飯を高~く山盛りにして喰わしてる。
その山にも名前があるんだと!いいかげんにしろっ、二本足!
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おいらたち四つ足にもいちおうプライバシーがある。
みんなの前でトイレをしようが、その後お尻を舐め舐めしてキレイにしようが、プライバシーはあるんだ。トイレも舐め舐めも、そんなのどこでやろうが、誰が見てようがへっちゃらさ。
問題は寝るときだ。

「えぇ!いつでも、どこでも、誰とでも寝てるじゃない!」
って言われるだろうけど、そうでもないんだぜ、ホントのホントは。

「いつでも」 まぁ、こりゃしょうがないよな、四つ足だから。
1日中寝てても不思議はない。特においらたちはトシだし。そりゃ、二本足の何倍も寝るさ。

「どこでも」 これはいろいろ考えてるんだぜ、これでも。まず、あったかいところ。それから柔らかいところ。特に今みたいに涼しくなってくると、あったかいところは大事だ。誰かが起きたばっかりのグチャグチャのベッドなんて最高だ。あったかいし、からだがすっぽり収まるスポットもいっぱいある。ソファーや椅子とは比べらんない。ベットメイクなんて、ホントに迷惑!

「誰とでも」 ここがプライバシーのポイントなんだ。アニキとくっついてアイツらが勝手に「ハート寝」って呼んでるように寝てるときもあるけど、それは昼間ぐらい。昼は二本足の夜みたいなもんだから、なにもかも忘れて必死で寝てんのさ。だから、静かにしてくれよな。頼むよ。
「きゃ~☆ 宇宙一カワイイ猫め~っけ!!!」
なんて、突然抱っこしてくんなくていいから。

でも夜はだいたい違う部屋で寝てる。
最近のアニキは大きい子の部屋で。でもベッドじゃなくて、大きな椅子でぬいぐるみと一緒に寝るのが好きなんだ。昼もけっこうそこにいる。
おいらはアイツらと寝てるぜ。2人に挟まれてるとあったかい。連れ合いの足の間もいいんだけど、うっかり挟まれると大変なんだ。あっちは起きないし。


アニキがアイツらと、おいらは小さい子と。
アニキがソファーで、おいらはアイツらと。
アニキがソファーで、おいらは小さい子と。
だいたい、これのどれかだ。なっ?おいらたちにもプライバシーってあるんだぜ。
(つづく)

Vol.0237■猫の士農工商

2007-03-27 | 猫の海外暮らし
「うちの子どもたちラグビーやってるのに、どうしてテレビの試合は観ないのかね?」
「プロを観れば勉強になるし、面白いのに。ピッピの方がよっぽど観てるわよ。」
そりゃ、どうも。
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>『士』はなんたってタビだろう。
からだも態度もデカいからな。
>特別に大きいものね。ピッピもチャッチャも目じゃないし、2匹のご飯もしっかり食べてくし。チャッチャたちも警戒してるわ。

(←『士』 「あの~、ご飯まだですかぁ?」)



>『農』はチャッチャだな。
国家を支える大事な仕事。でもツラくて、そうそう現金収入もない。色も土色でチャッチャにはピッタリ。
>ここは長男、糖尿病のインシュリン打ち打ちがんばる、ってことね。

(『農』 けっこう仕事がキツくてね~。もうちょっと右を頼むニャン→)


>『工』はピッピだな。
手先が器用な職人。兄貴みたいにツラいのはダメなんだ、次男だから。
>とことんマイペースで寝たり働いたり?

(←『工』 これのどこが手先なんだよう?)




>『商』はシィンくんだな。
人が作った物やサービスを右から左へ流して稼ぐスマートな都会派。現金収入もあってリッチなんだ。
>そうね~、うちに来てもピッピとチャッチャのご飯なんか見向きもしないものね。いいものたらふく食べてるんじゃない?

(『商』 これがリッチなんだと→)


なんだよ、ソレ? おいらがなんだって?手先がどうしたって?
おいら、手なんかないんだけど。
これ全部足だぜ。二本足だって「前足」って言うじゃないか。

コレ、庭の話なんだ。タビとシィンは勝手に毎日やって来る近所のヤツら。シィンは引越して来たときにこてんぱんにやったから、おいらたちを見ると逃げてくか、うんと遠くで様子を見てるか。まっ、家が隣だから、いざとなったらさっさとズラかるまだ子ネコだ。

タビはちょっと遠いところから来てんだけど、最近は毎日、おいらんちで喰ってく。いっつも腹を空かしてて、気になるのはアイツらがご飯をくれるかどうかだけ。だから、おいらたちを見てもへっちゃらさ。からだもデカいしね。この間、タビ用のご飯をチェックしてたら鼻を引っかかれちまった。
イテテテ。

アニキは根性座ってるからな。頑ネコなんて呼ばれたりもしてるし。ツラくても病気でも、がんばる四つ足さ。おいら?まぁね。で、アイツらはなんなんだ、と思ったら、
エタ・ヒニン
なんだって。なんのことかわかるか?
(つづく)

Vol.0236■猫とガス 

2007-03-23 | 猫の海外暮らし
アイツら、外のどっかでラグビー観てきたらしい。ラグビーは家で見ろよな、テレビで。
そうすりゃ、おいらは観てる間ずっとナデナデなんだぜ。
外じゃダメだ、外じゃ。
==============================

家にガスってもんが来た。
これがあるとシャワーが気持ちよくなるらしい。電気じゃダメなんだと。
キレイにするには舐めるのが一番だけど、二本足はしないからね。
ジャージャージャージャー、いつでもシャワーだ。自分でキレイにしてみろよ。

「あ~、気持ちいい。やっぱお湯が違うよな~。どうだい?ピッピ、たまにはシャワーでも浴びてみないか?気持ちいいぞう。」
真っ赤になってシャワールームから出てきた連れ合いはご機嫌だ。ヤだね。いちいちこっちに振るなよ。おいらにゃ、関係ないんだからさ。水は飲むもの。頭からかけるもんじゃない。

ガスが来る前、ガスをつけた所にあった木を、あいつらは別の場所に持ってった。
「なにしてんのかね~?」
おいらは通りすぎただけだったけど、隣のシィンはその辺をウロチョロウロチョロ。
気になるみたいだった。

(←この箱がガスなんだと。前はこの下にも木があったんだ)

木が2本、庭の端っこに引越した。アイツはシャワーみたいにジャージャー水をかけた。
また水か。ホントに好きだよな。木は動かないし、ずっと立ってるだけ。草みたいにおいらたちが喰って吐いて、お腹に溜まった毛玉を出したりすることもない。
まっ、おいらにとっちゃ、関係ないもんだ、と思ってた。
暑いときにその下で寝ると気持ちのいいデカい木もあるけど、アイツらが動かしたのはもっとずっと小さい木だったし。

ところが、関係あったんだ。
引越した木の下には土が出てる。アイツらが掘ったり埋めたりした後だからね。
「いいじゃんか、これ。」
最初に気が付いたのはおいらだった。すぐにそこでトイレをしてにおいを残した。

ニュージーランドは庭に出られて、トイレなんかどこでもし放題。
庭全部、ついでに隣のシィンの庭もトイレと言えばトイレだ。だからどこでトイレするかなんて全然問題じゃない、と思うだろ?
ところが、そうじゃないんだ。

庭はどこも芝だらけ。だから、どこでもってわけにはいかないんだ。
おいらたちは前にも言ったように、トイレのあとはカリカリカリってやる。
だから断然、土や砂の上がいい。芝じゃ、うまくカリカリできないのさ。
土が出てる場所ってそんなにないから、見つけたらすぐにマーキング。

「ここはおいらのトイレ。」
ってね。

すぐにアニキが気が付いて、もう1本の木の下にマーキング。まっ、アニキならいいぜ。
ところがウロウロしてた、子ネコのシィンまで気が付いて、木の下でトイレするようになったんだ。おいおい、マネすんなよ。自分ちでしろよ。おいらを見ると逃げてくくせに。

(「ネコたちがトイレしてくれて木が元気になるかも!」と喜んでるのはアイツぐらい。それどこじゃないんだぜ!→)


ちぇ。ガスのせいで、とんだとばっちりだ。

(おいらとシィン。庭でご対面だ。年寄りだと思ってナメんなよ!→ホントに年寄りだけど→)(つづく)

Vol.0234■家の下のクルマ

2007-03-16 | 猫の海外暮らし
なんか急に寒くなってきた。ずっとアニキとは違う部屋で寝てたけど、ここんとこくっついて寝てる。
「また仲良しになったのね。」
って言われてるけど、どうでもいいんだよね、そういうのはさ。
(おいおい、またおいらが切れてるんだけど、この写真→)

==============================

最近、「ちぇ」って思うことがあった。

アイツらがこのドアを閉めちまったんだ。
このドアは家の下についてて、引越してきてからずーっと開けっぱなしだったんだぜ。
だから、おいらやアニキ、近所の四つ足まで出入り自由だったのさ。

でも、閉めちまった。
閉まったらもう四つ足には開けられない。入れないってことさ。
ちぇ。

なんで閉めたかというと、この中にあったゴミを捨てたからなんだ。
ゴミったって、すごいゴミだぜ。クルマなんだから!
なんで家の下にクルマがあったのかね?
アイツらだってわかんないんだから、おいらにわかるわけがない。
とにかく、ずーっとずーっと前にここに住んでた二本足が、バラバラにしたクルマを家の下に置いといたのさ。

バラバラだから動かない。ずーっとそこにあるだけのクルマ。おいらたちは引越してきてすぐに家の中を探検して回ったから、クルマがあるのを知ってた。でもアイツらは知らなかった。(←こんなもんとか、ね。)

しばらくして、家の下に潜った連れ合いが見つけて、
「クルマがある!」
って大騒ぎになったんだ。

でも、騒いだだけでなんにもしなかった。あの小さいドアも閉めなかった。
だから、おいらもクルマのことは忘れて、あんまり家の下にも行かなくなった。
外にいるとき雨が降ったら雨宿りができる、もっといい場所も見つけたしね。

ところが最近になって、アイツらは急に家の下に潜ってクルマを引っ張り出したんだ。
ドアが出てきて、
クルマの前の、おいらたちが乗っかって昼寝ができるようなとこが出てきて、
椅子が出てきて、
窓が出てきて、
二本足がいつも必死でつかんでる丸いものが出てきて、
黒いクルマの足みたいなものとか、他にもいろんなものが出てきた。

アイツらは4人でフーフー言いながら外に運んで、全~部捨てたんだ。
よくわかんないけど、外にゴミを捨ててもいい日らしくて、家の周りはどこもゴミだらけ。
捨てられる日が来るのを待ってたらしい。そしてドアが閉まったんだ。
閉まるとなんだか口惜しい。そんなに行ってなかったのに。
近所の四つ足も入れないのは、ちょっといい気味だけど。
(つづく)

(アイツが書いた他のゴミの話はコッチコッチから)

Vol.0233■二本足にもノミ取り首輪

2007-03-14 | 猫の海外暮らし
きょうは、すんげぇ雨だった。こういうときはね、家でトイレだ。
濡れてまで外でしないさ。あとはベッドに帰って寝るだけさ。
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ちょっと前だけど、アイツが新聞を読みながらゲラゲラ笑ってたんだ。
なにかと思ったら、「スカイシティー」ってとこにカジノってもんがあるらしい。
もちろん、おいらは行ったことも見たこともないけど、二本足が遊ぶとこらしい。
(なーんだ。新しい年になったときドンパチやってたアソコのことか→)
そこにノミがいるんだと。

遊ぶとこだけど、ずっとそこにいなきゃいけない働いてるヤツがノミに刺されて大変なんだとさ。
そりゃ、そうだろう!
ノミときたら二本足がクルマに乗るみたいに、ひょいひょい乗ってくるからな。
刺されるとかゆいのは二本足も四つ足もおんなじさ。ただ四つ足は二本足みたいに大騒ぎしたり、薬を塗ったりしない。舐めて治すのさ。あとは我慢。

刺されたくなければそんなとこに行かなきゃいいのに、そうはいかないのか?
で、困った二本足のなかには、ノミ取り首輪を足に巻いてるヤツがいるんだとさ。
ほらな、やっぱりいるんじゃないか、こういうヤツ! よく聞けよ、連れ合い。

ニュージーランドの最初の夏は、おいらたちも二本足も初めてのノミにまいった、まいった。
あれは大変だったぜ。とにかく外に出るとノミがくっついてくるんだ。
でも、外に出ないわけにいかないだろ? 

連れ合いはおいらたちのせいでノミに刺されたと、文句タラタラ。
「ノミ取り首輪をしろ!」
だの、
「シャンプーしろ!」
だの、おいらたちにあれしろ、これしろ。

首輪はホントにやられて、まいったぜ。ひどいにおいなんだ。
すぐにアイツが外してくれたけど、気持ちワルくて吐くほどだった。
「そんなに噛まれたくないなら、自分でノミ取り首輪を巻いてりゃいいのに。」
と思ったけど、連れ合いは巻かなかった。でも、二本足でも巻いてるヤツ、いるじゃないか!
いいじゃないか、それで。

まっ、用がなけりゃ、カジノなんて行かない方がいいんだろうな。
(きょうは雨だからこんな感じに見えんだぜ→)

(最初の夏のおいらたちのノミ騒ぎはコッチから。今はいい薬を塗ってるから大丈夫さ!)