シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0222■アニキ、再びⅢ

2007-01-30 | 猫の病気
連れ合いと子どもが帰ってきた。今じゃみんな家で寝てるぜ。
やっぱり家のがいいんだろう。どっか行っても必ず帰ってくるもんな。
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「ワナワナしてるわ。目もパチパチしてるし。」
「チャッチャ、がんばるんだ。大丈夫か?」
「歩ける?」
「無理だろう。」
「意識はしっかりしてそうね。目も見えてそう。すぐ砂糖水を作ってくるわ。」
「パパー、チャッチャどうしたの?」

家の中が急に騒がしくなった。アイツが子どもよりドタバタ走り回ってる。ちゃんと喰わないでインシュリンの注射を打つと、糖尿病のアニキはフラフラになる。いつもだったら注射の後も喰うのに、あの日はぐっすり寝ちまったんだ。いっぱい二本足が来てたから、おいらもずっと部屋で寝てた。

フラフラになったら砂糖水ってもんを飲む。
フツーの水じゃなくて、なんか違う水らしい。おいらもガンのときに使ってたスポイトで口に入れる。
(こうやってね。おいらもこんなことやってたんだ→)
あれはヤなもんだぜ。口を無理に開けさせられてさ。フラフラだってアニキもヤなんだろう。
口を開けない。

「チャッチャ~。がまんしようね。これ飲んだらよくなるよ~。」
アニキを抱っこしてる連れ合いがヘンな声で言ってる。
アイツは黙って、アニキの顔を押さえながらスポイトで飲ませてる。
「もうちょっと。」
「あと1回。」

とかなんとか。

アニキはタオルにくるまれて連れ合いの腕の中。下から見てるおいらには見えない。
「もっと飲ませる?」
「吐くかな?」
「目のパチパチが止まらないわね。」
「まだ、効いてきてないんじゃないか。」
「早く、早く!」
「チャッチャ、苦しいか?」
ふたりでゴソゴソ話しながら、タオルの中のアニキを見てる。
良くないんだろう。アニキの頭の中のテレビはずっと真っ白でなんにも映ってない。

おいらは開いてたドアから外に出た。
こんなことが何回あっただろう? 
おいらのガンはなくなったのに、糖尿病はなくなんないらしいな。
(つづく)

Vol.0221■アニキ、再びⅡ

2007-01-26 | 猫の病気
また連れ合いと子どもが帰ってこない。
あのペラペラの家を持ってどっか行って寝てるらしい。なにが楽しいんだ?
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アイツらはワーワー、キャーキャー、庭で遊んでた。
アニキがどうなってるか、
ぜんぜん気がついてなかった。

そのうちまた誰か来て、みんなで話始めた。
おいらはその横を通って家に入った。

(ドアが開いたらやっぱり外に出たいさ、こんな季節はね→)

アニキは部屋のすみにいた。じっとしてる。
寝てるみたいに見えるけど、違う。起きてるさ。でも、いつもと違う。頭で交信できないから。
フツーに起きてたら、おいらたちは頭と頭で交信できる。
アニキが思ってることや見てることが、二本足のテレビみたいにおいらにも見えるんだ。

でも、そのときはなんにも見えなかった。頭の中のテレビが白くなっててなんにも映ってない。
寝てるときはテレビもないから、すぐわかる。寝てるんじゃない。
アハハハハハハハ
外で話してるアイツらの声。
おいらはまた小さい子のベッドに戻った。

そのうちドヤドヤみんなが家に入ってきた。
「ピッピー、またボクのベッドで寝てるかニャン。」
とか言って小さい子が入ってきたけど、すぐに出て行った。アイツはキッチンへ行ってガタゴト。
連れ合いもサンデッキで大きい子となんかやってる。片付けてるんだろう。
誰もアイツらの部屋にはいかなかった。

ジャージャー、水を出してる音。
ガタガタ、外の椅子をしまってる音。
ドタドタ、小さい子が走り回ってる音。
カチャカチャ、なんか片付けてる音。

外にゴミを捨てに行ったり、ランドリールームになんかを入れたり、トイレに行ったり、みんな行ったり来たりしてるのに、誰もアイツらの部屋には行かなかった。
おいらはぼんやりなんにも映ってないアニキのテレビをみたてけど、そのうち寝ちまった。

「ちょっと来て!チャッチャの様子がおかしいんだ。」
連れ合いのデカい声が響いて目が覚めた。キッチンにいたアイツが廊下を走ってった。
気がついたらしい。
(つづく)

Vol.0220■アニキ、再び

2007-01-23 | 猫の病気
ガンも大変だけど、糖尿病も大変みたいだな。
おいらは治ったけど、アニキはずっとがまんしてんのか?
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またアニキが大変なことになった。
注射のせいでケットウチとかいうのが下がっちまったのさ。
その日は二本足がいっぱいきてて、みんなでワイワイ、ゲラゲラやってた。おいらはいつも通り小さい子の部屋で、アニキはアイツらの部屋で寝てたんだ。

ちょっとデカい子が来ると、いろんな部屋を行ったり来たりするからおちおち寝てらんないんだけど、その日に来たのはヨタヨタ歩いてるような小さいやつで、おいらたちはぐっすり寝てたんだ。
邪魔されなけりゃ、少しくらいうるさくたって寝るさ。トシだし、ずっと二本足といるからね。
慣れちまってるのさ。

それがまずかった。
アニキは朝ちょっと喰って、インシュリンの注射をした後、ずっと寝ちまったんだ。すぐ近くに好きなネコ缶が入ったボールがあったのに、目が覚めなきゃ喰うわけない。その間にケットウチが下がっちまったらしい。

途中で目が覚めたかもしれないけど、もういつものアニキじゃない。
起きれたかもしれないけど、ボールまで行けなかったんだろう。
とにかく、アニキは喰えなかった。

二本足は相変らず、ワイワイ、ゲラゲラ。
途中でアイツが部屋に入ってったけど、いつものところで寝てるアニキを見ただけだったんだろう、すぐに行っちまったからね。
でも、アニキは寝てたんじゃない、動けなかったんだ。

(最近のアニキは部屋のすみっこで小さくなって寝るのが好き→)

「バイバーイ」
とか言う声がして、いっぱい来てた二本足が帰ってった。でも、アイツらはそのまま庭にいた。
外に行ったら、子どもだけじゃない、アイツも連れ合いも手になんか持ってワーワー遊んでたぜ。

「あらぁ~、ピっピ、どっから出てきたの?」
って聞かれたけど、ドアなんか開けっ放しさ。アニキだって出てきてもいいはずだった。ずっと家の中にいたんだからね。トイレだってしたいはず。
でも、アニキは出てこなかった。
アイツらはワーワー、キャーキャー。
気がつかなかった。
(つづく)

Vol.0219■おいらと連れ合い

2007-01-19 | 猫の海外暮らし
最近のおいら、ずっと小さい子の部屋にいる。昼間はおいら1匹。夜は一緒に寝るんだ。
だから「ルームメイト」って呼ばれてるんだけど、なんだ?新しい名前か?
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連れ合いがおいらのブログを読んで、
「これじゃ、オレって、まるでワル者じゃないか~」
ってブツブツ言うときがある。でも、なんかウレシそうなんだ。アイツは、
「そう?」
としか言わない。

かと思うと、
「よく寝るよなぁ、ネコは。40のオレより絶対寝てるぜ、14歳のくせに。
ねっ?そう思わない?絶対寝てるよね?」
とアイツに聞いてる。

アイツが、
ぶははははははははは
と笑ってると、
「あっ、これ、ブログに載せていいからね。」
とか言ってる。
おいおい、これはおいらのブログだってば。なんで連れ合いが決めんだよ。
でもね、こいやってちゃんと載せたからよく読めよな。

「ピッピはかわいいねぇ。この通りで一番かわいいシロ猫だニャン。」
とか言って、珍しくおいらをナデナデ。アイツは、
「ひっどぉ~~い!どうしてこの通りだけなのよ?
この通りにはピッピしかシロ猫がいないじゃない!
「だから、一番!その通りだろ?」

「じゃ、チャッチャは?」
「えっ?チャッチャ? チャッチャは宇宙一かわいいトラ猫さ。」
「なんで、チャッチャだけ宇宙一なのよぉ。」
「自分だっていつも言ってるじゃないか!」(この話はコッチで)
「それは、ピッピもよ。2匹ともなの!」

「▽%○$X@+*%><・・・・¥!!!!」
「◇♯◎ヰ¥α≧÷△?β・・・・↑!!!!」
ゲラゲラ笑いながら、また言い合いだ。

連れ合いはアニキが好き。それでいいじゃないか。
おいら?もちろん、仲良くしてるぜ。どれぐらい仲良くしてるかっていうと、

これぐらい
一緒に昼寝してるとこ。

Vol.0218■おいらのブログとアニキの写真

2007-01-16 | 猫の海外暮らし
おいらもだけど、アイツだって写真が大っ嫌いなんだぜ。
だったら、こっそり撮るなよな~、せっかくいい気持ちで昼寝してんのに。
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おいらのブログ、アニキの写真がいっぱいだ。やっぱ、トラ猫は絵になるのかね?
ひがんでるかって?
意味わかんないけど、なにが聞きたいかわかるぜ。
だから、「ひがんでない」、さ。
おれたち四つ足にそんなものないのさ。おいらのブログったって、おいらは話すだけ。

それにおいらは写真が大っ嫌い。代わりにアニキが写ってくれるんだったら、それでいい。
アニキはおいらと違ってネコがいい。
アイツがご飯の入ったボールを持って追いかけてくれば、腹がいっぱいでも一口二口は喰う。
それでもひつこく追いかけてきたら、逃げる。
なんにも悪いことしてなくてもね。

アイツが注射を持ってくれば、立ち止まる。
ドアが開けば,出かける。
また開けば、帰ってくる。

カメラを向けられたら動かない。
名前を呼ばれればそっちを向く。

ハ~イ、パシャ!
で写真が撮れるってわけさ。

カメラを向けられたら、「あっち向いてホイ!」
名前を呼ばれたら、「こっち向いてホイ!」
のおいらとはぜんぜん違う。
だから、おいらのブログにアニキの写真がいっぱいでいいんだ。

それにおいらのブログったって、読んでる二本足がいるから続いてるんだ。いくらおいらだって、聞いてくれるヤツがいなけりゃ、こんなに長く話さないさ。四つ足どおしだったら、頭の中で交信できるから、二本足みたいにペラペラ話たりしないんだ。

だから、
ピントが合ってなくても
(おいらが高速でアニキを舐めてるとこ)







背中だけしか写ってなくても
(デカすぎるってことでカット)

これでいいんだ。(つづく)

Vol.0217■古くても新しくても

2007-01-12 | 猫の海外暮らし
きょうはスゴい雨。いつもの木の下で止むのを待ってたけど、どんどんひどくなった。
あんまりひどいと上からだけじゃなくて、下からも跳ねてくるんだよな。今日はそんな日。
もう出かけないで寝てよっと。
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新しい年になってずい分経った。
もうアイツらも誰かに「オメデト」なんて言わなくなった。子どもが学校に行かないくらいで、あとはいつもとおんなじだ。子どもはいつから学校へ行くんだ?

古い年でも新しい年でも、外はおんなじ。暑いか、雨が降ってるか。
ときどきクルマが通って、ときどき他の四つ足が歩いてく。子どもが通るときだけ声がデカい。
夜になれば寒いのもおんなじ。四つ足も二本足もみんなベッドに入ってグーグー寝るんだ。
もうおいらの見回りもテキトーさ。それよりあったかいとこで寝てる方がいい。
(これが古い年→)

ご飯もホントにおんなじ。
アニキのネコ缶、おいらのネコ缶。おいらの方がちょっと安いらしい。
アイツらは安いとウレシイんだ。だからおいらは「安上がり」なんだと。ときどきアジが出てくるのもおんなじ。

朝は朝ご飯。昼間はテキトーで、夜は夜ご飯。
「チャッチャ~~、チャッチャ~~」
って、ヘンな声を出しながら、ご飯の入ったボールを持ってアイツらがアニキの後をくっついて歩くのも一緒。アニキがしっかり喰ってくれないと糖尿病の注射が打てない。注射が打てないと出かけられないから、アイツらも一生けんめいさ。アニキは喰ったり喰わなかったり。これもおんなじ。

夜になると、ドアを開けて今度は外に向かって、
「ピッピィ~~、チャッチャ~~」
って、ヘンな声を出す。おいらたちが帰らないと、寝られないからな。おいらも外で寝たことがあったけどあれは辛かった。(あん時の話はコッチから)だから、ヘンな声を聞いたら帰るようにしてる。でも、ちょっと隣の家まで行ってたりすると、帰る前にガチャってドアが閉まっちまうんだ。
(これが新しい年→)

今度は別のドアから
「ピッピィ~~、チャッチャ~~」
って、ヘンな声を出してる。ヤレヤレと思ってそっちへ行くと、今度はそっちのドアもガチャ。
また違うドアから、
「ピッピィ~~、チャッチャ~~」
「おかしいわね。どこ行っちゃったのかしら。」
「困ったヤツらだニャン」

とか言ってる。

こうやっておいらたちは庭をグルグル。なかなか家に入れない。
アイツらも家の中をグルグル。なかなか寝られない。
これも、古い年でも新しい年でもいっしょなんだ。
(つづく)

Vol.0216■ホリデー猫

2007-01-09 | 近所の猫
こうしてみると、ストリートファイターなんて呼ばれてたころがずっと前みたいに思えるな。
丸くなったって?どういう意味だ?寝るときゃ、いつも丸いぜ。
あのころの話はこっちで。
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連れ合いと子どもがキャンプで遠くまで寝に行ってるころ、うちには四つ足がいっぱいいた。
おいらとアニキだけじゃない、あと2匹。
アイツらがシィンとタビって呼んでるヤツらだ。

シィンは隣の家の四つ足で、おいらたちが引っ越して来るまではここを自分ちだと思ってたらしい、とんでもない子ネコだ。
最初は自分ちに帰って来るみたいに、フツーに家に入ってきて、何度もアニキやおいらとやり合った。
特にアニキはすっごく怒ってたぜ。

(こいつがシィン。今、2歳なんだと。若いんだ。
ホントに毎日来るぜ→)

それでもアイツが水をあげたりするもんだから、よくサンデッキに上がって来る。
魚を喰ったことがないみたいで、おいらたちのご飯は喰わない。
ヘンなヤツだ。おいらたちが喰わない肉ばっか喰ってんだろう。

もう1匹はクロ猫だけど、足の先だけ白い、タビだ。
タビは二本足が足につけてる靴下とかいうのの仲間らしい。おいらにはどれが靴下でどれがタビだかわかりゃしないけど。とにかく、白いとこがタビに見えるからタビなんだと。

(←すっごくデカいタビ。
「ピッピの1.5倍はありそうだから体重10キロ近くあるわね」

ってアイツが言ってた。どうりでよく喰うわけだ、よその四つ足のものを!)

もともとシィンは毎日、タビもときどき庭に来てた。
でも、ここんとこヤツらはずっと庭にいた。ゴロゴロ昼寝までしてやがる。おいらが通っても起きなかったりね。おいおい、ちったぁ、緊張しろって。そういうおいらもトイレに行ってすぐに帰ってきたりするんだけど。昼間の庭はけっこう暑いから、家のソファーの方が涼しくていいんだ。

なんでヤツらが庭にいるかっていうと、アイツがいるからだ。
アイツが濡らした服を乾かしに行ったり、ゴミを捨てに行ったりすると、サーっと出てくる。
ニャ~~~(シィン)
ニャーーー(タビ)
2匹でアイツを挟んで前と後、横と横でいっしょに鳴いたりする。

アイツは喜んじゃって、
「あらぁ、シィンくん、タビちゃ~ん」
とか言って、ナデナデしてる。おいおい、そんなヤツらにするヒマあんならおいらにしてくれよ!
水をあげたり、カリカリをあげたりもする。大喰いのタビなんか、なんだって、いっくらだって喰うぜ!あーあ、そんなことするからヤツらはますます帰らない。メーワクな話だよな~。

なんでアイツがいるといいのかっていうと、ヤツらの家の二本足がどっか行っていないからなんだ。
家に帰ればカリカリはあるけど、ナデナデしてくれるヤツがいないのさ。だからヒマなんだ。
特にシィンはいっつも水を飲みたがってた。
「ホリデー猫なのねぇ。さびしい?」
とアイツが言ってた。ホリデーネコ?二本足がどっか行ってる四つ足ってことなんだろう。
ふ~ん。

でも、かわいそうだなんて思わないぜ、四つ足だからね。
家に入ろうとすれば徹底的に追い出すさ。まっ、庭はちょっと大目に見るか。ちょっとだけだぜ。
(つづく)

Vol.0215■ペラペラの家 

2007-01-05 | 猫の海外暮らし
そういえば、ずっと出てたヘンな木がなくなったな。
外に行けば本物の木がいっぱいあんのに、なんであんなヘンなものを置いとくんだ?
おいらもアニキも、もうかじったりしないさ。どうせかじるなら本物の草のがいいよ。
かじってた頃の話はコッチから。
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連れ合いと子どもが帰ってきた。また3人で旅行に行ってたんだ。
今度は、キャンプとかいうとこに行ってた。
おいらたちを連れてくのどうのと、ガチャガチャ言ってたアレだ。

今度のはなんかヘンなんだ。おいらは知ってんぜ。
なにがヘンかっていうと、家を持ってたんだ、クルマに入れて。
こんなやつ!

庭にこんなペラペラの家を建てて3人でなんかやってたからな。
夜もこの家で寝たんだぜ!
あんなフカフカのベッドがあるのに、なにが楽しいんだか? おかげでおいらはアイツとグースカさ。連れ合いがいないとベッドが広い。文句はないさ。

でも、もっとヘンなのが、3人はときどき帰ってくる。小さい子どもも、大きい子どもも、連れ合いも、みんなだぜ。いっぺんに帰って来ないで1人ずつ来るからけっこううるさい。そのたんびにドアをガチャガチャさせるからな。なんで帰ってくるかっていうと、
トイレに来るのさ!

四つ足ならトイレは絶対外だぜ!
ここがおいらたちの家だってことを、勝手に庭をウロウロしてる連中に知らせとかないとね。雨なんか降ったら、すぐに行ってもう1回だぜ。
でも、外で寝るのはヤだよ。ベッドもご飯も水もないし、寒いしね。なんにもいいことなんかない。

ところがどうだい、二本足ときたら外で寝て、トイレだけは家だ。
まったくわかんないヤツらだよな。トイレも外でしてみろよ、気持ちいいぜ。

ベッドもご飯も水もなくて、あんなペラペラの家で寝るなんて、しかもそれを持ってキャンプまで行って寝てくるなんて、14年いっしょにいてもホント二本足のやるこたぁわかんないよ。

(←寝るならベッドさ!)
(つづく)

Vol.0214■新しい年

2007-01-01 | 猫の海外暮らし
知ってるぜ、2007年なんだってな。それって、ウレシイことなんだってな。
アイツは喜んでるぜ、家にひとりしかいないのに。
おいらは生きてるし元気だ。アニキも糖尿病の注射打ち打ち、元気だぜ。
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「ニャー」(お~い、なにやってんだよ~)
「ニャー」(水がちょっとしかないんだけど)
「ニャー」(他のヤツらはどこだよ~)
「ニャー」(いやに静かじゃないか、家ん中)
「ニャー」(あーぁ、なんかヒマだよな~)

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
アイツはずっとパソコンの前。普通、これぐらい鳴けば抱っこになって、少しはナデナデなんだけど。足元をウロウロしてるおいらの背中を、足でゴリゴリするくらい。
足じゃダメなんだ、手じゃないと。なんのために手がついてんだ?

「できたぁ!!!!!!!!!」
おいおい、なんだよ、いきなり飛び上がったりして、危ないじゃないか。踏むなよな。
「できた!できた!できた!できた!できた!で・き・たっ!さぁ、仕事も終わって今度は掃除よ!あと30分で年が明けちゃうからね、早くしなきゃ!

ブツブツ言いながら、アイツは自分たちのトイレにしゃがみこんでガタガタガタガタ。
次においらたちのトイレをゴトゴトゴトゴト。サ――――――っていっぱい砂入れてる。
今度は真っ暗な外にと飛び出してって、バケツの水を玄関の階段にこぼしてる。
そうそう、おいらさっきそのへんでちょっと吐いたんだっけ。毛玉が詰まっててね。

びしょびしょのそのへんをブラシでゴシゴシゴシゴシ。こんなに暗くて見えてんのか? 二本足はホントに目がワルいからな。あっ、毛玉がない。そうか見えてんのか。今度はキッチンだ。水をジャージャー出して洗ってる。洗うより舐めるほうが絶対きれいになるけど、おいらたちのご飯のボールはやっぱ洗ってあった方がいい。アイツら、絶対舐めないから。

あーぁ、けっきょくナデナデなしか。おいらはソファーで寝てるアニキの横に行って、前足にあごを乗っけてくっついた。アニキはよく寝てる。そのとき、突然アイツがやってきて、おいらとアニキを抱き上げた。おいおい、今度はなんだよ?

明けましておめでとう!ピッピとチャッチャ!!
2007年よ、新しい年よ。ピッピとチャッチャは2006年を全部生きたの、生き延びたのよ!すごいじゃな~い。2007年も全~部生きて、来年も、再来年も、ずーっとずーっといっしょにいようね!」

はぁ?2007年?新しい年?生き延びたぁ?
なんの話だ? ぐっすり寝てたアニキなんかボーっとしてるぞ。

そのとき、
ドドドドドドドォ――――ン
とすごい音がした。思わずおいらとアニキは首をすくめた。

知ってんぜ、これ。前にもこんなことがあった。こんな音がして空が明るくなって、アイツらは「おめでとう」とか言ってウレシイんだ。

そうか、またアレが来たのか。しかし、デカい音だな。アニキは迷惑そうにまた寝だした。アイツは外でドドドォ―――ンを観てる。
そうか、これが新しい年なのか。

(←今年もよろしくニャン)