シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0239■アニキとお供え

2007-04-03 | アニキ物語
「わ~い♪ 曜日はちょっとズレちゃったけど、3月のメルマガ、全~部出たわ!」
ってアイツが喜んでるとこみると、ホントはいつも全部出てないのか?
おいおい、聞いてないぜ、そんな話。
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糖尿病のアニキの行くとこご飯あり、だ。
いつもご飯が置いてあるはずのとこにご飯がないときは、アニキを探せばいい。
グーグー寝てるアニキの目の前、目が覚めたら真っ先に見えて、においがする鼻先にご飯が置いてある。しかも、混合削り節たっぷりなやつが。前は削り節なんてどうでもよかったけど、おいらも最近はあった方がいいかな?

でも一番いいのは開けたてのネコ缶さ。あの白いデッカ~い箱の中で冷たくしてないやつ、ね。
しばらく置いといて、上の方が乾いてるのはね~、今ひとつおいしくないんだ。
えぇ?贅沢だって?
でも、出てくるネコ缶が2種類しかないんだから、これぐらいは言わせてくれよな。

そうそう、ア二キとご飯の話だった。
なんでこんなにひつこく喰わせるかっていうと、糖尿病のインシュリンを打ったあとにケットウチが下がり過ぎないようにするためさ。ここでも何度も言ってるとおり。ちょっとしか喰ってないでぐっすり寝ちまうときが一番アブナイ。だからアイツらがみんなで出かけたり、寝ちまったときに問題が起きるんだ。(アブナかったときの話はコッチから)

「首からご飯をぶらさげて、いつでも食べられるようにできないかしら?」
アイツはいつもそう言ってる。見たことないぜ。首からフタの開いたネコ缶ぶらさげた四つ足なんて。ホントに二本足は自分たちの思いどおりにしたいんだな。

アニキも気の毒さ。喰いたくないときに「喰え喰え攻撃」にあったり、気持ちよく寝てる目の前でネコ缶のにおいがプンプンしたり。あんまりひどいと、クルっと後ろを向いて寝てるぜ。背中にご飯がくるようにね。それでもダメだと、ほかの部屋に行ったり、ソファーの上なら別のソファーに移ったり。



でもね、二本足はひつこくて、頭がワルい。そんなんじゃ、あきらめない。なんでアニキが逃げ出すのか、わかろうともしない。
「あら、またご飯にお尻向けてる!」
「今度は子どもの部屋だ!」
とかなんとか言いながら、アニキの目の前にまたドンとボールを置く。



それが「オソナエ」に見えるんだと。
なんだ、ソレ? で、

「チャッチャにオソナエしてある?」
ときた。まっ、そのせいもあってか、ここんとこアニキはけっこう元気なんだけどさ。
(つづく)

Vol.0235■猫ホームヘルパー3級

2007-03-21 | アニキ物語
昼ミンミン鳴いてた虫がずい分減った。
夜キリキリコロコロいろいろ鳴いてる虫もちょっと減ってきたな?
そういや、ノミもいなくなった。
夏が終わったってことか。
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最近のアニキ、調子いいぜ。
アイツらがけっこう見張ってるからな。ここんとこあんまり出かけないんだ。
代わりよく二本足が来る。でも友だちじゃなくて、家の周りを一緒にウロウロしたり、
しゃがんで芝になんかかいてたりする。家をどうかするらしい。
まっ、引越しじゃなけりゃなんでもいいよ。おいらにゃ、関係ないさ。

でも、糖尿病のアニキへの「喰え喰え攻撃」は相変らずだ。
インシュリンを打っても喰わないと倒れちゃうからね。
「目パチパチしてない?」
「スフィンクス座りしてない?」
「これってただ寝てるだけ?それとも???」
と、まぁ、うるさい。うるさい。
ちょっと寒くなってきたからね、そのうちガツガツ喰うようになるんじゃないか?

だけど、待てないのが二本足。なんでもすぐに思い通りにならないとヤなんだ。
アニキにも今すぐ、目の前で、いっぱい喰ってほしんいんだ。
ボールが空になってても、おいらが喰ったのかアニキが喰ったのかわかんないとヤなのさ。
そんなのにおいを嗅げばすぐわかるのに。自分たちの鼻がワルいもんだから、見てるとこで喰ってほしいんだ、アニキにはね。おいらじゃない。

で、連れ合いが始めたのが、ご飯の入ってるボールを寝てるアニキの目の前に突き出す、っていうやり方。目が覚めてビックリしたアニキはボーっとしたまんま喰うんだ、これが。
「やっぱりチャッチャはネコがいいね。」
と連れ合いは大喜び。
「お腹空いてたんだろ?」
とかなんとか言いながら、ひつこく何回もやる。

アニキだってそんなには喰えないさ。一口二口喰ったら止める。
でも、連れ合いは喰ってくれればウレシいので何回もやる。
「ほらほら、また食べてる。おいしいかニャン?」
とか、アイツに自慢しながらね。

「おいしいかニャン」たって、出てくるものはおんなじじゃないか。
毎日聞くなよな。
これで、連れ合いは
猫ホームヘルパー3級
ってことになった。アイツがそう決めたんだ。なんだそりゃ?
(つづく)

Vol.0186■夜鳴きネコⅣ

2006-08-15 | アニキ物語
アイツは忙しいらしいけど、おいらは忙しくない。
アイツはよくわかんないけど、おいらは几帳面。
アイツのメルマガはよく止まるけど、おいらのはそうでもないぜ。
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引越してからしばらく、毎晩、落ち着かなかったおいら。
アイツは寝たいもんだから、とうとう自分たちのベッドにおいらを連れてきた。
アイツらの部屋は引越し荷物がいっぱい広がってて、おいらが舐めたいビニール袋もあちこちにあるから、ずっと入れなかったんだ。ビニールより寝たいってことか?

やっぱり落ち着かない。
しかもアイツらのベッドは子どものより高いから、うまく降りられない。
トシとったからね、上るのも大変だけど降りるのも大変なんだ。
降りられそうなところがないかウロウロした。

連れ合いなんか山みたいだから、一生けんめい上って反対側に降りる。
途中で動いたりするからアブナイ、アブナイ。落っこちゃうじゃないか。
そのとき、少し開いてたドアがもっと開いた。二本足にはわかんないだろうけど、おいらたちは風を感じるんだ。
アニキだ!

アニキはサッとベッドに上がってきた。音もしないし、爪も引っ掛けなくていい。おいらとは大違い。
においをかぎながら、ウロウロしだした。
アニキもアイツを踏んだり、連れ合いを乗り越えたり。
(←イスが精一杯のおいらには絶対できないこと)

でも連れ合いの頭の中のテレビにはなんにも映ってないから、寝てるんだ。
からだの上でなにかが動き回ってても起きないなんてスゴいよな。

アイツのテレビはぼんやりだけど、まだついてる。起きてる。
おいらがアニキの尻枕で寝てるとこが映ってる!
こうやって静かに寝てくれってことなんだろう。

アニキが連れ合いから降りかけたとき、ヤツが、
「ウーン。」
とデカい声を出してグルッと寝返った。アニキは一声、
「ニャー」

「うわーっ!!なっ、なんだぁぁぁぁぁ!」
ベッドが折れ曲がったのかと思うくらい連れ合いがガバッと起き上がった。おいらもアニキももうちょっとで落っこちるとこだった。

「なっ、なんだぁ?ネコが耳元で鳴いたぞ!」
「ここにいるからよ。」
「なんでこんなとこにいるんだ?静かに寝ろよ、ピッピ。」
「ピッピじゃないわ、チャッチャよ。ピッピは私の足の上!」
「え?チャッチャだって?」

アニキが大好きな連れ合いは詰まった。
チャ助ク~ン、ひどいじゃないかぁ、人が寝てるときに。」
「ニャー」
とアニキ。
「P(おいらのこと)!鳴かないで寝るんだぞ。あー、びっくりした。」
ふん、自分でネコ間違いしたくせに。
ほらね、連れ合いは子どもとおいらは怒っても、アニキは怒れないんだ。
(つづく)

Vol.0181■アニキの失踪 Ⅳ

2006-07-31 | アニキ物語
今日は雨。外から帰ったら、
「やっだ~。汚い足で入って来ないで~」
っておこられた。帰って来なくて困るのはそっちだろ?
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「チャッチャ、お外で寝るのかな~?」
小さい子がフレンチドアに頭をくっつけて外を見てる。おいらは前足にあごをのっけてソファーで丸くなった。交信してみた。交信してアニキが見てるもの、してることを見るんだ。昼間はアニキが周りに集中しすぎててほとんど見れなかった。今ならちょっとは見える。

暗い。外にいる。
ときどき明かりがチラチラする。窓の下を歩くときだけ、ちょっと明るい。どっかの庭だ。どこかはわかんない。歩いてるのは芝に上。でも、この家じゃない。それはわかる。

けっこう木がある庭だ。木の下には芝がなくて今度は落ち葉の上を歩いてる。木と木の間を抜けると、二本足が庭のはじに立てる細い棒がいっぱい並んだ物も見える。二本足はこの棒の間を通れないけど、おいらたちは通れるからなんの意味もない。アニキはそこを通り抜けた。

別の庭に出た。
今度は階段が見える。アニキは見上げてちょっと止まった。上の方は電気で明るい。上った。1段、2段・・・ゆっくりと。椅子やテーブルの足が見える。上がったところはサンデッキ。階段よりももっと明るい。

おいらはさっき小さい子が立ってたフレンチドアの前に行った。夜の窓は遠くから見ると真っ黒なのに、近くに行くとけっこう外が見える。おいらはドアの前に座った。

「あれ?ピッピ?」
家の中でボールを転がしてた小さい子がやってきた。

「ママー!チャッチャ!!チャッチャが帰ってきたよー!」
気がついた。
「どこどこ?」
キッチンにいたアイツが走ってきた。
「ほら、そこ。デッキにいるよ。」
「きゃー!!!チャッチャ、おかえり~!」
アイツはワーワー言いながらフレンチドアを開けた。

「やったー!ボクが見つけたんだよ!」
と小さい子は大いばり。
違うぜ。見つけたのはおいらだ。
アニキがこの家の庭に入って階段を上ってくるのがわかったんだ。

「大冒険だったわね~、チャッチャ。5時間以上も外にいたのよ。さぁ、お水飲んでご飯食べて。」
「フレンチドアにピッピが映ってるのかと思ったら、チャッチャだったんだ。すごーい、ボク!」
「寒かったでしょう?どこ行ってたの?迷子になってたの?」
「パパー、ボクね、チャッチャ見つけたんだよー。」
(やっぱりアニキの尻枕がいいニャン→)

2人は勝手なことを言いながら、家の中をドタバタドタバタ。
アニキは黙って水。そして飯だ。
こうやって引越して最初の夜になった。
(つづく)

Vol.0180■アニキの失踪 Ⅲ 

2006-07-26 | アニキ物語
今の家に来てからいっぱい寝ていっぱい起きていっぱい喰った。
これを二本足は2週間って言うんだと。
何日経っても寝て起きて喰っては一緒なんだけどね。
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「チャッチャー、チャッチャー」
外からアイツの声がする。いなくなったアニキを探してんだ。もう外は真っ暗だ。二本足じゃなにも見えないだろう。
「チャッチャー、チャッチャー。寒いから帰ってらっしゃい。」

(←昼はあったかいけど夜は寒いぜ)

玄関のドアが開いてる。いろんなにおいと一緒に冷たい空気が入ってくる。おいらはドアの前に座って迷った。外に出ようかどうしようか。
昼間この新しい家に連れて来られたときはキャビネットから出られなかったけど、もう家の中なら歩いてる。アニキがいないとおいらも落ち着かないんだ。
どうしよう。出るか、待つか。

「チャッチャー、チャッチャー。ご飯よー。あら?ピッピ。出てきたの?一緒に探してくれない。チャッチャがどこにいるかわかる?」
「ニャー」
なんとなくなんか言ったほうがいいような気がして、おいらは鳴いた。
「お庭を回ってみよっか?どっかに隠れてるかもよ。」

アイツはおいらを抱き、アニキを呼びながら、玄関から花がある前庭、階段のある家の横を通って木がある裏庭に回った。そしてまた玄関へ。おいらも何回か鳴きながらアイツの腕の中で家を一周した。自分で歩いてみないとよくわかんないけど、とにかくグルッと回って来れるってことはわかった。

「いないわね。なんとなくお庭にはいない気がするの。遊びに行っちゃったのかしら?迷子になってないといいけど。」
ここにはアニキはいない。においは残ってるけど、どっかに行ってる。そこまではわかるけど交信してもどの庭かはわかんない。

「あっ、ママ。」
突然、大きい子どもが現れた。
「見つかった?前の家まで見てきたけどいなかったよ。」
「ありがとう。やっぱりそんな遠くまではいけないわよね。」
「こんなに寒くて外で寝たら死んじゃう?」
小さい子どもも家から出てきて聞いてる。

「大丈夫よ。これだけみんなで大きい声出して明かりもつけてるから、ここがお家だってわかってるでしょう。そのうち帰ってくるわよ。さっ、寒いから中に入りましょう。」
おいらも抱っこのまんま、家に入った。
(つづく)

Vol.0179■アニキの失踪 Ⅱ

2006-07-22 | アニキ物語
ずっと更新サボってたらしいから、がんばるニャン。
ホントは四つ足はがんばらないんだけど、二本足は好きなんだろ?
がんばるヤツが、さ。
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「ねぇ、チャッチャ遅くない?遠くまで行っちゃったのかしら?」
キッチンでガサゴソやってたアイツが子どもに聞いてる。
「迷子になったのかな?」
「冒険に行ったんじゃない?」
「前のお家に帰っちゃったとか!」
みんなで好き勝手なこと言ってる。

実はおいらもキャビネットから出てきて、ウロウロしてた。こんな知らない場所でアニキの姿が見えないのはさすがに不安だ。一生けんめい交信してみるけど、暗いところでじっとしているアニキか、おいらの知らない庭を歩いているアニキしか映らない。返事もない。

そんなに遠くじゃなさそうだけど、どこにいるのかわからない。おいらは鳴いた。さっきよりもっと大きく、腹の底から絞り出す声で鳴いた。アニキには聞こえただろう。でも、返事の交信はなかった。きっと初めての場所に気持ちが集中してるんだ。いろんなにおいを覚え、道を探してるんだ。

「ねぇ、2人でお庭の周り見てきてくれない?」
「いいよ。」
子どもは灯りが出る短い棒のようなものを持って出て行った。呆れた。二本足だとこの明るさでもよく見えないのか?

「チャッチャー、チャッチャー。どこ?帰っといで。」
「お家はこっちだよー。もう引越しちゃったんだよー。」
2人の声が庭から聞こえてきた。サンデッキへ見に行くと、丸い灯りをあちこちやりながら、探してるような遊んでるような。(アニキ、どこだ?→)

「いないよ。」
すぐに帰ってきた。
家の庭にはいない。それだけはわかった。でも、どこにいるだ?
「ニャー」
おいらは二本足がビックリするくらい大きい声で鳴いた。
(つづく)

Vol.0178■アニキの失踪

2006-07-21 | アニキ物語
新しい家ね~。
はっきり言って慣れたよ。
けっこう柔軟なんだ、おいらたち。
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おいらたちが引越してきたのは、まだ明るい時間だった。
「いいじゃない、明るくて。」
とアイツが喜んでたからな。おいらたちはそれどころじゃない。明るくても暗くてもどうでもいい。
ニャー (前の家に帰してくれ!)」
と腹の底から鳴き続けた。

でも、通じるわけない。通じたところで、おいらたちの言うことをきくわけない。いつも四つ足が二本足の言うことをきいて、その逆はないんだ。あんまり鳴いてさすがに疲れた。歩き回るのも恐ろしい。おいらはそのへんの開いてるキャビネットに入った。

そこにはデカいバッグが入ってて隠れられた。二本足が全然見えないところに行きたいわけでもない。こんな知らないところで、アイツらまで見えなくなったら、それはそれでもっと大変だ。でも、とにかく隠れられるところにいたかった。ソファーにゴロンとする気になんか全然なれない。

「やっだー!見てよ、ピッピ。これこそ頭隠して尻隠さずね!」
と通りかかったアイツが笑う。頭がどうしたって?
「それでも目いっぱい隠れてるつもりなんじゃないか。顔だけあっち向けてさ!」
と連れ合いも出てきた。2人とも楽しそうな声だ。ほっといてくれよ!

アニキは家の中をひととおり見終わってから、ソファーの上でじっとしていた。物がゴチャゴチャしている間にアニキの好きな毛布が置いてあった。アイツがアニキをそこに連れて行くと、そのまま座り込んだ。やっぱりアニキはネコがいい。

二本足は大人も子どももみんなでガタガタやってた。聞きなれない音もおいらにはイヤだった。ホントになんでこんなところに来ちまったんだ? どうして前の家じゃいけないんだ? そのとき小さい子が、
「外行ってきまーす!」
と言って、サンデッキに出るドアを開けようとした。
(←なんでこんなとこに連れて来たんだよー)

「チャッチャも出る?」
とアニキに話しかけてる声がする。
「ママー、チャッチャお外に出してもいいの?」
と聞いてる。

「大丈夫かしら?迷子にならないかな?」
と言いながらも、アイツの頭の中のテレビには、
「庭からは出ないでしょう。そんなに遠くには行かないだろうし・・・」
と映ってた。アニキにもわかったはずだ。

「あっ、出ちゃった。」
小さい子が言った。アニキはデッキのにおいを確認してから階段をゆっくり降りていき、その後、何かを見つけたのか急に走り出して、おいらの交信がよく届かないところに行っちまったんだ。
(つづく)

Vol.0175■サンデッキでピクニック

2006-07-04 | アニキ物語
子どもが学校へ行かない。ふたりとも元気になったみたいだから、また休みになったんだろう。
これでまた昼間ベッドで寝られなくなる。最近、外があったかいから今のうちはいいけど。
雨になったらちゃんと寝かせろよな。
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「チャッチャを1人で食べさせる方法が見つかったんだ!」
ボーっとしながら部屋から出てきたアイツに、連れ合いがウレシそうに言った。アイツはここんとこ病気でちっとも部屋から出てこなかったから、おいらたちの世話は連れ合いがしてた。

相変わらずお手々まんまなんか絶対やりたくない連れ合いが考え出した、アニキの食べさせ方とは!
ピクニックだ。
そ、外で食べること。

最近ずっと天気がいいから、おいらたちはけっこうサンデッキにいる。コンコンやってる誰かとベッドで寝てるより、ずっと静かなんだ。あったかいしね。冬の外は捨てたもんじゃないぜ。
そこに目をつけた連れ合い、アニキの目の前に混合削り節たっぷりのネコ缶を置いてみた。

「喰うじゃないか。」
おいらでもそう思ったくらいだから、連れ合いが喜ばないわけない。
「いいぞー、チャッチャ。もっと喰うか?」
と、どんどん出してくる。おいおい、おいらの順番は?

「で、朝からボール3杯も喰ってんだぜ。インシュリンの注射なんかとっくに終わったよ。」
と、ウレシそうに言う連れ合い。お手々まんましないで喰わせたことが、よっぽど自慢みたいだ。
「勝った!」
と思ってるんだろうな。

なんでアニキが喰う気になったのかは、なんで喰わないのかと同じくらいナゾ。
まっ、気持ちいいのはわかるけど。
喰い終わったら、そのままその辺にゴロ~ンでもかまわないしね。

でも、アイツがいつもみたいに起きてくるようになると、また元通り。
アニキは廊下やアイツらの部屋や、とにかくカーペットの敷いてあるところで、
ニャ~
そのたびにアイツがテンヤモンをデマエしてる。
(なんで廊下?かね~→)
ときどきサンデッキにデマエして、ピクニックもしてるけど。

このピクニック、実は前にもアイツがちょっとやってたことがあったんだ。でも問題があって止めたんだ。
そんなことはぜんぜん知らない連れ合い。その問題って・・・(つづく)

Vol.0160■アニキと出前

2006-05-07 | アニキ物語
ごめんよ、パソコンが壊れたんだと。
今は新しいのが家に来て、ジャーンと机の上に乗ってんぜ。
これでメルマガもブログも再開なんだと。
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「おい、チャッチャがデマエ待ってんぞ。」
と連れ合いが言うと、
「は~い♪」
とアイツがキッチンに飛んでった。

「デマエ?なんだ?」
と思ってたら、アイツがおいらたちのご飯のボールを持ってきたじゃないか!
お手々まんまか?
と思って見てると、アニキは自分で喰いだした。
ふ~ん。

「ほらね、やっぱりテンヤモノがいいんだ。」
と連れ合いがうれしそうに言う。いまだにアニキにお手々まんまなしで喰わせることに燃えてる連れ合いには、どんな理由でもアニキが自分で喰うとうれしいらしい。
けっこう、ひつこいんだ。

アニキがちょっとは自分で喰ってるのには訳がある。

ひとつは、だんだん寒くなってきて、とにかくいおいらたちは腹が減る。もっと寒くなる前にたっぷり太っとかなきゃいけないんだ。二本足は服なんて面倒なものを着るけど、おいらたちは太っておしまい。なっ?簡単だろ? 二本足もやればいいのに。そうしたら洗濯もいらないんだぜ。

もうひとつは、最近のアニキ、カーペットの上でしか喰わないんだ。
カーペットがないキッチンだと肉球が冷たいのかね?
まさかだよな。このまま外を歩き回ってんだからさ。
いつものことだけど、なんでかは知らない。

アニキはカーペットの上でしか喰わない――
それだけのこと。
(お尻があったかいニャン→)

で、アイツらがせっせとテンヤモノをデマエしてる。

「なんで~?なんで~?」
って言いながら。
なんでか知ろうとするのは、あきらめるんだな。

Vol.0159■元通り 

2006-04-28 | アニキ物語
連れ合い「これだけ読んだら連れ合いはすごい悪いヤツみたいじゃないか!」
アイツ「・・・・・・・・・」
おいら「・・・・・・・・・」
連れ合い「そう思わないかニャン、えっ?チャッチャ」
アニキ「ニャー」
やっぱりアニキはネコがいい。
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(この話はいよいよ最終回!初めてだったらVol.0152から読んでくれよニャン。)

朝ごはんを喰っちまうと、あとは水だけ。
たま~にカリカリのドライフードがちょびっと残ってることもあるけど、それもたまに。

連れ合いは本気だった。
「1日2回ドカ喰いしてくれれば十分・・・」
と思ってる。小鳥食いのおいらには大変だ。そんなにいっぺんに喰えないよ。

起きてる時間が長い夜はもっと大変だった。なんにもないってわかっててもキッチンを一周してソファーに戻る。待ってると朝って遅い。明るくなっても二本足が起きてくるまでは時間がある。起きてきても子どもがガチャガチャやってる間は、連れ合いは忙しい。足元をウロウロしてると、うっかり蹴飛ばされそうだ。

待って、待って、待って、待って・・・
やっと朝ごはん。
それもアニキが先で、最後においら。
これで長~い夜がやっと終わる。外はもうポカポカしてる。

そんな夜が何回か続いた。
腹ペコで、おいらもかなりドカ喰いできるようになった。
でも、やっぱり夜は長い。

そこへひょっこり、いっぱい荷物を持ったアイツが帰ってきた。
「きゃ~、ピッピとチャッチャぁぁぁぁぁ♪♪」
の大騒ぎの後、
「あれ?なんでご飯が出てないの?」
と聞いてる。
「あぁ、それはね~」
連れ合いが得意になっていない間の話、最後には「勝って」もう二度とお手々まんまが要らなくなった話をしてる。

話を聞き終わらないうちに、アイツはツナの缶詰をカパッと開け、
「さぁ~、好きなだけ食べなさい。いいのよ、ネコなんだから~♪」
とボールに大盛りにした。
(お帰りだニャン、腹ペコだニャン→)

その日からアニキのお手々まんまも始まって、なにもかも元通りに戻ったとさ。
(この話はこれでおしまいだニャン)

Vol.0158■連れ合いの高笑い

2006-04-25 | アニキ物語
「なんだか爺さんくさいな~、チャッチャ。シャキっとしないか、シャキっと!」
連れ合いがいとおしそ~にアニキを抱きながら言ってる。
「どうだ?バイアグラでも飲んでみるかニャン?」
とも言ってる?
なにを飲むって?
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「ハハ~。お腹空いてんだろ?」
キッチンでウロウロしてるおいらたちを見下ろしながら、連れ合いが言った。下から見上げるこういう時の連れ合いは、いつもよりずっとデカく見える。上の方に付いてる顔がうれしそうだ。おいらたちが腹ペコなのが、ホントにうれしいんだろう。

「ニャー」
「ニャー」

おいらたちは鳴いた。飼い猫らしく返事をしてるように聞こえるかもしれないけど、そうじゃない。文句を言ってるだけさ。

でも、なんだかわかんない連れ合いはますますうれしそうに、
「そうだろ、そうだろ。自分で食べる気になっただろ?チャッチャ。えぇっ?」
と言いながら、ツナの缶詰をカパッ・・・
いい音だ。

サカサカサカ・・・
スプーンで混ぜてる音がして、
トン
とアニキの目の前にボールが置かれた。
おいらの目の前じゃない。

アニキはツナをジッと見る。
口の周りをペロッと舌なめずり。
「喰わないんだったら、おいらが喰うぜ。今日はいつものたしなみなんかナシだ。」
(←いつもはあるぜ、た・し・な・み)
と交信してみた。返事がないまま、アニキはそろ~りと首を伸ばし、顔をボールに入れた。連れ合いだけじゃなくて、おいらまでジッと見守ってた。それくらい腹ペコなんだ。

はふっ
喰った。アニキが喰った。でも、ここまでは普段もあること。

はふっ
はふっ
はふっ
そこからはいつもと違った。2、3口だけ喰ってプイッと行っちまうんじゃなくて、腰を落として足を踏ん張って、しっかり喰う体勢だ。

「ほらね~。ちゃんとひとりで食べられるじゃないか。エラいぞ、チャッチャ!」
連れ合いは満足そうだ。
「勝った!」
と思ってる。
「ほら見ろ、やっぱりお腹が空けば自分で食べるじゃないか。」
とも思ってる。
「もうお手々まんまなんか、二度とするもんか!」
とも。

おいおい。ということは、これからもずっとひもじい日が続くってことか?
「アイツはいつになったら帰ってくるんだ?」 
おいらは連れ合いの足元で、ゆっくりゆっくり喰ってるアニキを見てた。
(つづく)

Vol.0157■初めてのひもじさ

2006-04-21 | アニキ物語
朝、外に出ると足の裏がすごく濡れる。雨が降ってなくてもね。そうそう、寒くなるといつもこうなんだ。思い出したぞ!
==============================

朝と夜だけのドカ喰いなんて困るよ~。おいらは小鳥食いが好きなんだ。
と思ってみたところでむだだった。アニキに自分で喰わせることしか頭にない連れ合いに、おいらのことなんてどうでもよかったのさ。
「ピッピはいつでもガツガツ喰うから心配ない。」
そんな風にしか思われてない。

二本足が寝ちまってからが、おいらたちの時間。
グーグー寝ちゃうこともあるけど、けっこう動き回ってる。それに飯も喰うんだ。前だったらキッチンに行けばなんかあるから、少しくらいツナの表面が乾いててもけっこう喰ってた。あいつが寝る前にドライのキャットフードをたくさん出しておくのを忘れると、最後の一粒まで喰った。それぐらい夜中は腹が減るんだ。
(いつもなにかあったのにな~→)

でも、今はなんにもない。
ちょびっとキャットフードが残ってる時もあるけど、そんな時にかぎってアニキが最後まで喰っちまう。腹ペコだ~。
「ニャー」
と一声鳴いてみる。
わかっちゃいるけど、誰も起きてこない。

こんなときはいつもよりビニール袋が舐めたくなる。
アイツはこのせいでおいらがガンになったって言うけど、舐めたくなると我慢できない。でも、今じゃしっかり片付けてあるから、おいらが届きそうなところにビニール袋なんかない。

ウロウロ歩いてドアのはじっこに顔や耳をこすってみたり、アニキの目ヤニを舐めて怒られたり・・・。なにをしてても腹が減る。いったい、いつになったら起きてくるんだ?もう外は明るいぜ。アニキまでキッチンにやってきた。2匹でその辺をウロウロ。
ひもじいって、こういうことなのか。
(つづく)

Vol.0156■連れ合いの逆襲

2006-04-18 | アニキ物語
「復活の日」が終わったらしい。でも、なんにも起きなかったぜ。
どっか行ってたデカい方の子どもが帰ってきて、小さい方が喜んでる。
おいおい、2人とも学校行かないのか?家にいるなら、静かにしろよな。
==============================

(これは続き話。初めてだったらVol.0152から読んでくれよニャン。)
(どーも寒いなと思ったら、爆睡してるうちに日陰になっちゃった。
最近、日が短いよな~。もう家に入ろっと→)

「最近、あきらめてばかりだな。」
前回そう言ったけど、これで引き下がる連れ合いじゃない。そんなこたぁ、14年も一緒に住んでりゃわかるさ。せっかくアニキが自分の手からツナを喰ったっていうのに、もう別の作戦を考え初めてた。やっぱり、
「お手々まんま」なんかやってられっか。
腹が減りゃ、喰うだろう。

と思ってる。

頑固なアニキに再挑戦ってことか、どうすんだろね?どっちも頑固だよな。それに比べりゃ、おいらなんて従順。なんでもOK でいいヤツじゃないか。と思いながら、キッチンに行くと、
「あれ?」
おかしい。ご飯がない。いつもキッチンに出しっぱなしになってるのに。

待てよ、においはする。でも、ないんだ。おかしいな。
「このにおいはどこから来るんだろう?」
と、その辺をウロウロしてると連れ合いがキッチンに入ってきた。
「おっ、ピッピ、なんか喰うか?」
と言いながら、高いところに載せたボールを降ろしてきた。おいおい、なんでそんなとこにあんだ?

はふはふ喰いながら、
「もしかして・・・」
と四つ足にしちゃぁ、珍しく考えてみた。
予想的中!
連れ合いは朝と夜以外、おいらたちが何も喰えないように、ボールを高いとこに上げとくことにしたらしい。思い切り腹を空かせといて、一気に喰わそうってことなんだろう。

でも、ちょっと待ってくれよ。そうやってインシュリンを打たなきゃいけないのはアニキだけで、おいらは全然関係ないんだぜ。こう見えても、おいらはけっこう小鳥喰いで、1日何回もちょっとずつお上品に喰うのが好きなんだ。
朝と夜だけのドカ喰いなんて、困るよ~。
あ~ぁ、なんだか大変なことになってきちまった。
(つづく)

Vol.0155■連れ合いのお手々まんま

2006-04-14 | アニキ物語
「ピッピ、チャッチャ、復活するニャン、復活!」
と最近おいらたちを抱くたびに叫んでた連れ合い。
「復活って・・・まだ生きてんだけど?」
と思ってたら、どうも今日はそのイースターとか言う「復活の日」らしい。
なんだかな~。
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連れ合いはとうとうあきらめた。
「絶対やらない」と決めてた「お手々まんま」を始めた。これ以外、アニキを喰わす方法が見つからなかったんだ。
注射の時間が迫ってた。

アニキは目の前に差し出された、アイツの手よりかなりデカい手にどっさり載ったツナにたじろぎながらも、そろ~りと顔を近づけてきた。においをかいでる。
「大丈夫だよ、ニュージーランドに来てから1日おきに喰ってる缶詰のツナだよ。いつもとおんなじさ。」
とおいらは軽く交信してみた。なんたって、おいらたちが好きなネコ缶は2種類しかないから、それが1日おきに出てくるだけなんだ。においをかぐまでもない。

はふっ。

喰った。アニキが喰った。もう一回、
はふっ。

連れ合いの手はデカいから、いつもより首を伸ばして喰ってる。それに手を床の上に置いてるからアニキは背中を丸めて猫背になって喰ってる。これだと喰ったものが何本も残ってない歯の間から落っこちゃうんだ。
でも、そんなこたぁ、連れ合いは知らない。

「喰った~」
と思ってるだけだ。頭の中のテレビがホッとしてる。
「でも・・・」
と別のことも考えてる。おいおい、二本足ってのはここでまた考えちゃうのか?せっかくうまくいったのに?

アニキにもそれがわかったらしい。3、4口喰っただけで、またジリっと2、3歩後ずさり。そのままプイッと行っちまった。手の上にこんもりツナを載せた連れ合いは簡単に追いかけられず、呆然としたままアニキを見てる。

「チャッチャ~、もうちょっと食べよう。」
アニキは廊下の角を曲がって見えなくなった。
(←「アニキ、復活だってよ!」)

連れ合いはそばにいたおいらを見た。
「ピッピが食べないかな?」
と頭のテレビに映ってる。
「やだよ。おいらはボールに入ったのしか喰わないぜ。」
通じないのはわかってるけど、おいらは交信で返した。

わかったとは思わないけど、連れ合いはどっこらしょと立ち上がった。あきらめたんだろう。最近、あきらめてばかりだな。キッチンの方から、
「カリッカリッカリッ」
とアニキがドライのキャットフードを喰ってる音がする。連れ合いのお手々よりマシってことか。いいじゃないか、何でも喰ってくれれば、注射できんだろ?
(つづく)

Vol.0154■連れ合いの敗北

2006-04-11 | アニキ物語
ひつこく続く、連れ合いの話。うれしくないみたいだ。でも気にしない、四つ足だからね。
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アニキはツナの入ったボールの前にぺタリと座り込んだ。立ってれば、顔を突っ込んで喰いだすかもしれないけど、座ったとなると、もう自分で喰う気がないってこと。
これは完全に「お手々まんま」の待ちポーズ。
(これはね、ぜんぜん気合が入ってない喰い方。
しっかり喰うときゃ、四つ足をしっかり踏ん張って喰うんだ→

アイツならここで、
「お待たせぇ~♪」
とか言ってすっ飛んで来て、ツナを手の上に載せて食べさせるんだろうけど、連れ合いには通じない。

連れ合いまでしゃがみこんだ。1人と1匹で向かいあってる。
「チャッチャ、お腹空いてるだろう?ゆうべから食べてないんだから。ねっ、食べよう?」
「・・・・・・・・」
アニキは待ってる。後ずさりしないだけ、きのうよりマシってことか。

「せめてあれに削り節がまぶしてありゃな~」
おいらは思った。アニキはあのにおいに、てきめん弱い。においだけで、一口、二口は喰うんだ。アイツならまず削り節を試す。それでダメだったら「お手々まんま」に切り替える。でも連れ合いはそこまで知らない。

1人と1匹のにらめっこは連れ合いの負けで終わった。
とうとう、連れ合いがボールに手を突っ込んで、ツナを手に載せ、「お手々まんま」をやったんだ!
なぜか、
「これだけはやらない!」
って決めてたのに。

おいらには連れ合いの頭の中のテレビが見えるから、わかるんだ。ゆうべも何度も、
「絶対やらない!」
って映ってた。

あきらめたんだろうな。これ以上、なにも喰ってないアニキにインシュリンを打てないって思ったらしい。二本足っていうのは、あれこれ死ぬほど考えたり、しゃべったりするのに、けっこう簡単に考えを変える。言ってることとやってることが合わないのは、このせいか。
さて、これでおいらも朝飯かな~?
(つづく)