シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0261■初めての肉Ⅲ

2007-06-17 | 猫の海外暮らし
夜はけっこう寒くなってきたぜ。湯たんぽ争奪戦に負けてるおいらはアイツらと寝てるんだ。
次男だからね。
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アニキが肉を喰ったのは別にライバルイシキじゃないさ。
ただ、そこに肉があったから喰ってみた。
喰ったらうまかった。
だからもっと喰った。
アイツが見つけて、大騒ぎになった。
まっ、それだけの話。

(ライバルイシキはないけど、やつがいると外に出にくいんだよな~。まさか、いないだろうな?→)

ついでに言えばアニキはもっと前から喰ってた。ほんのちょっとだけどさ。
だってタビはきれいに舐めてくから、喰うほど残ってないんだ。アイツが見つけたときは、タビが喰ってる途中に連れ合いと子どもがワイワイ帰ってきたもんだから、やつは姿を消したのさ。その後、見回りから帰ったアニキがボールに残ってた肉を見つけたってわけ。

もっと言えば、おいらだって喰ってたぜ。誰も気がつかなかったけど。おいらはかっぱえびせんも、コーンフレークも喰わないけど、肉は喰った。うまいとも思った。ただ、アイツは魚しか出さないから、その後も魚を喰ってたってわけ。

その頃は少し涼しくなってた。四つ足が太り出す時期だった。
しっかり太っとかないと、冬は寒いからね。二本足みたいにどんどん服を着るわけじゃないから、とにかく喰うのさ。だから、肉が出れば肉を、魚が出れば魚を喰う。なんでもいいんだ、うまけりゃ。

次の日からおいらたちにも肉が出た。
「この歳になって肉ねぇ。」
なんでトシと肉が関係あんだ?四つ足が肉喰ったっていいじゃないか。
二本足がネコ缶喰ってもいいんだぜ。うまいぜ、試してみろよ。

わかったのは、最初から小さく切ってある肉はベタベタして喰いにくいってこと。デカい肉をアイツが小さく切ったのはうまいし、喰いやすい。
「贅沢ねぇ。ひき肉だと残すくせに、トップサイドだときれいに食べるわ。」
と、アイツは残しても全部喰っても、どっちでもブツブツ。残ってもタビが全部喰ってくからいいじゃないか。

今じゃおいら、ネコ缶もビーフになって毎日、肉喰ってんだ。
アニキはさんざん肉を喰ったあと、またいつものツナのネコ缶に戻ってった。混合削り節たっぷりのやつに。肉も出れば喰うけどやっぱり魚の方がいいみたいだ。ビーフのネコ缶はぜんぜん喰わない。だからおいら、独り占めさ。
(つづく)

Vol.0260■初めての肉Ⅱ 

2007-06-14 | 猫の海外暮らし
チキンは今ひとつかな?ビーフがいいな。なるべく赤いのがいい。白いとこはうまくないんだ。
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「チャッチャ~!!!どうしたの?」
と、小さい子ども。
「たまにはいいよね、肉も。魚ばっかりじゃねぇ。」
と、大きい子ども。
「こんなジジイが肉食?いったいどうなってんだ?」
と連れ合い。

「この間ピッピが空のボールのにおいをかいでたから、チャッチャもにおいをチェックしてるんだと思ったの。でも、ボールに顔を入れたまま頭も上下に揺れてて、“まるで食べてるみたい~”と思って近くまで来たら、ホントに食べてたの!もうビックリよ。「15年も食べてないのよ、肉なんて。」
「どうしたんだ、いったい?」
「ここに来たとき入ってた検疫所でも、“チキンを食べない猫がいるなんて!”って驚かれたのにね。」
「チキンはヤだけど、ビーフならいいのか?」

みんなでアニキを囲んで見下ろしながらワイワイガヤガヤ。
喰い終わったアニキはさっさとずらかろうとした。でも、こんなときは絶対ダメだ。アイツがサッと抱き上げて、
「おいしかった?なんだぁ、チャッチャってお肉食べられたのね。知らなかったわ。」
アニキだって知らなかったさ。だって、ずっと喰ったことなかったんだから。でもアニキは、かっぱえびせんだって、コーンフレークだって喰うんだから肉くらい喰ってもいいはずさ。

「そういえば、20歳くらいのネコが、新入りが来てライバル意識に目覚めたのか、急に若返ってご飯もバクバク食べて元気に走り回るようになったって友だちから聞いたけど、チャッチャもそうなのかしら?タビちゃんがお肉をバクバク食べるから、ついその気になったのかな?」

「若返ったってこと?」
「これからチャッチャが走り回るの?」
「どう見てもジジイだけどね。」
ゲラゲラゲラゲラ・・・・


いいじゃないか、なに喰ったって。なんだよ、ライバルイシキって?
(つづく)

Vol.0259■初めての肉

2007-06-10 | 猫の海外暮らし
おいら、毎晩背中の皮をつかまれてプルプル振られてるんだ。これが四つ足のケンコウホウなんだと。で、スゴいことが起きたんだけど、この話はまたいつか、な。
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ずっとタビの話ばっかりだったから、たまにはおいらたちの話もしよう。まぁ、いろいろあるけど元気にやってるよ。

そうそう、びっくりするかもしんないけど、
おいらとアニキ、肉喰ってんだぜ。
(ほらな→)

「肉なんか臭くて。魚の方がずっといい。」
ってずーっと前に思った。それからアイツは魚しか出さなくなった。おいらもアニキもそれでよかった。毎日おんなじもんでもよく喰った。違う魚が出るとそれも喰った。
アジが一番うまい。でもカツオでもツナでもいいんだ。

でも白い魚はあんまり喰わない。タイとかね。
「高いのよ、これ。」
とアイツはおこるけど、なにが高いんだ?高くても低くても、うまいもんはうまいし、そうじゃないもんはそうじゃない。二本足だっていつもうまいもん喰ってんだろ?
(この最初から小さく切ってある肉はベタベタして喰いにくいんだ→)

なんで肉なんか喰い始めたかっていうと、タビが喰うからさ。
「タビちゃんてさ、やっぱりガイジンだからお肉が好きなんじゃない?」
ってアイツが言って肉を出したら、タビはきれいに喰った。あの頃のタビはホントに腹を空かせてたから、パンだって野菜だってなんだって喰ったかもよ。

「やっぱりガイジンなのね~。生肉食べるなんて、スゴ~い。ピッピやチャッチャと違う生き物みたい~。」
とかなんとか、アイツはワーワー言って、毎日肉を置いた。タビは毎日喰ってった。おいらはプンプンしてる肉のにおいをかぎながら、玄関先で喰ってるタビの横を通って庭に出た。タビは顔も上げないで必死で喰ってる。
肉ねぇ。

(めんどくさがんないで、自分で小さく切ってくれよな。おいらたち、歯ないし。それからなるべく白いとこがない肉、頼むよ→)

タビはボールになにが入ってたのか、わかんないくらいきれいに喰ってくけど、わかんないのは二本足だけさ。四つ足はにおいをかげばすぐわかる。ある日、空になったボールのにおいをかいでチェックしてると、
「ピッピも食べてみたい?」
いつの間にかそばに来てたアイツが聞いた。
ふん、だ。

最初に見つけたのはアイツだった。
「大変、大変、大変、たいっへ~~ん!!チャッチャがお肉食べてるぅぅ!!
「えぇぇぇぇぇぇぇ?」
もう家中、大騒ぎ。
(つづく)

Vol.0258■タビ物語-3度目の正直

2007-06-08 | 近所の猫
最近、メルマガ読み始めてくれた二本足、ありがとニャン。
おいらの話なのにどういうわけか他の四つ足の話してんだ。止まんないんだ、これが。
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アイツはニヤニヤしながら3匹目のネズミも土に埋めた。
「おかげでどんどん木が元気になりそう。」
と思ってた。おいらは穴を掘るのをちょっと見てたけど、暑いから家に入った。
夏が終わるはずなのに、暑い日がずっと続いてた。窓からはいい風が入ってきた。

「あら、タビちゃん。」
「ニャー」

窓からアイツの声がした。珍しくタビも返事をしてる。ホントは返事じゃないんだけど、二本足はなんか言ったときに四つ足が鳴くと、
「返事をした」
「通じた」
って喜ぶんだ。なにを言ってるかわかんないくせに。

タビちゃん、毎日ネズミをありがとう。上手に捕まえるのね~。本当にキレイだものね。傷も血も探してもわからないくらい。でも、もう捕まえてこなくていいわ。タビちゃんの気持ち、よ~くわかったから。ご飯も、お魚も毎日出すから心配しないで。たくさん食べていきなね。」
アイツがタビに話してる。おいらにも、近くにいたアニキにもはっきり聞こえた。もちろん、頭の中のテレビもよく見える。山盛りのご飯をガツガツ喰ってるタビが映ってる。

話しかけるアイツを不思議そうに見てたタビは、話が終わると前足をなめはじめた。これは四つ足がゆっくりしてるってこと。おいらたちは家の中だし、アイツはなんだかご飯をいっぱいくれるらしいし、ホッとしたんだろう。おまけに天気もよかった。タビはホントにホッとしたみたいだった。

ネズミの贈り物はそれで終わった。
タビはアイツの言ってることが全部わかってるから、もう持ってこなかった。アイツはせっせとご飯をくれて、もう捕まえてこなくていいって言ってる。タビはその通りにした。

やつの居場所も隣の家とうちの間の木の下から、庭のはじっこの木の下、アイツの部屋の隣の木の下と、だんだん家に近くなってきた。おいらたちが昼寝場所にしてるサンデッキには回ってこなかったけど、そのうち、こっちにも来るだろう。今じゃ、タビを見ない日はなくなってた。

「ねぇ、ママ。タビちゃんてうちのペットなの?」
小さい子が聞いてる。
「そうね~。」
とアイツ。
「違うよ。」
と連れ合い。子どもはクスクス笑ってる。

(なんかこう邪魔なんだよね、そういうとこにいられると→)

「次のペット」って言ったのは連れ合いだったのにな。
(つづく)

Vol.0257■タビ物語-2度あることは

2007-06-06 | 近所の猫
ゴメンよ、ずっと忙しかったんだ・・・
って、アイツのことだけど。おいらはいっつもおんなじさ。最近、段ボールで寝るのがお気に入り。あったかいんだ。ビンボくさいって言われるけど、なんだビンボって?
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「困るよな。毎日毎日死んだネズミが玄関先にあったら。」
「なにが困るの?」
「えっ?何がって?」
「なにが困るの?」
「えっ?片付けなきゃいけないし。死んだ動物だよ。」
「でも、タビちゃんの気持ちじゃない。ウレシいと思わない?」
「思わない。」

アイツらがボソボソ話してる。最近はいっつもタビの話だ。
「タビちゃんがあの木の下でお昼寝してた。」
「タビが通りの向こうを歩いてった。」
「タビちゃんがヨーグルトを食べた。」
「タビちゃんが・・・」
「タビが・・・」

(あ~ぁ。よく喰うニャン。まだ喰ってんのか?→)


タビをどうするかって話ばっかりで、放っとくってことは考えてないらしい。
特にアイツはタビがどこの四つ足で、どこで寝てて、どうしてよくここに来るのか、ホントに知りたがってた。
雨が降れば、
「タビちゃんどこにいるのかしら?」
ちょっとでもご飯が残ってると、
「今日は来ないのかしら?」
頭の中はタビのことでいっぱいだった。

「2度あることは3度あるっていうからな、明日もネズミが置いてあるかもよ。」
「まさか~。」
「“もうけっこうです”って、ちゃんと言ったほうがいいんじゃないか?ネズミがなくても、ネコ缶ぐらい出す、って言っとかないと。」
「そうかしら?」
アイツはゲラゲラ笑って本気にしなかった。

次の日、アイツが玄関を開けるとネズミはなかった。気をつけて周りを見たけど、なかった。
「ほらね。そんなに続くもんですか。」
と思って花に水をかけてると、アイツらの部屋の横、いつもタビが昼寝をしてるあたりの芝の上にネズミがあるのを見つけた。
3匹目だ!
(つづく)