シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0206■春ネコ

2006-10-31 | 猫の海外暮らし
最近、雨が多い。雨が上がると、近所の四つ足もいっせいに出てくる。
みんなで鉢合わせ。でも、ケンカなんかしない。トイレや見回りで忙しいんだ。
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もうとっくに春だ。
暑いときは、おちおち外で寝てらんないくらい。目つぶっててもまぶしいぜ。
前に秋ネコの話をしたけど(「おいらとアニキの写真館」の5月を見てくれよな)、今のおいらたちは春ネコってとこだな。

春になるとどうなるかっていうと、
毛が抜ける。
これはスゴいぜ。ソファーでしばらく寝てて起き上がると、その辺真っ白。アイツが掃除機を持ってきてガーガー吸い取るくらいだ。
外によく出る。
寒くないし、他の四つ足も出てくるからつい気になって何回も行っちゃうんだ。トイレも外のほうが気持ちいいしね。

痩せる。
足とかほっそり。でも、丸顔のアニキは相変わらず顔が丸いぜ。そんでもって背中は、
「ぎゃー☆ 背骨がゴツゴツぅ!」
とアイツが心配するくらい、けっこう痩せてる。でもケットウチの問題さえなければ元気だ。
よく寝る。
外に出てないときはけっこう寝てる。寒いときみたいに家の中をウロウロすることがなくなったからかな? えっ?いつも寝てるって? それもそうなんだよな、トシだからか?

それなのに、最近のおいら、けっこう喰ってんだ。
春ネコが太ってどーする?
って感じなんだけど。
アニキへの「喰え喰え作戦」で、「寝まんま」 してるだろう?
(丸顔のアニキ。まずいよな、この「寝まんま」→)

目が覚めたときにご飯があると、つい喰っちまうのはおいらも同じ。
で、足はほっそりなのに、お腹は丸々・・・。

「一時は痩せて、走るとお腹の皮が左右にプラプラ揺れてたのにね~。最近、また揺れなくなっちゃったわ~。」
ってアイツに言われるまでもないんだ。だいたい、走んないし。もう掃除機かけ始めても、急に雨が降ってきても、雷が鳴っても、走って逃げたりしないぜ。
堂々としたもんさ!

えっ、それと太った春ネコとは話が違うって?
そうなんだよな~。どうすっかな?
連れ合いは「ピッピ隔離作戦」を考えてるらしいけど、おいらをどーすんだって?
(つづく)

Vol.0205■猫と夜なべ

2006-10-29 | 猫の海外暮らし
きょうは雨だった。
アイツだけじゃなくて、子どもたちまで家で布をチョキチョキ。
ホント、なにやってんだ?
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「シロ猫さんからお手紙ついた。トラ猫さんたら読まずに引っかいた。し~かたがないので、お手紙書~いた。さっきの手紙のご用事なぁに♪」

「トラ猫さんからお手紙ついた。シロ猫さんたら読まずにかじった。し~かたがないので、お手紙書~いた。さっきの手紙のご用事なぁに♪」

アイツがデカい声で歌を歌いながらリビングでなんかやってる。
夜は子どもが寝るとだいたいパソコンの前なのに、珍しいよな。
で、おいらは見に行った。

テーブルや椅子の上には布がいっぱい広がってる!
おおおぉ!目ざといアニキは椅子に置いたタオルの上でもう寝てっぞ。
ふ~ん。
なにやってんだかね?

どっこらしょ、どっこらしょと2回やって、テーブルの上に出た。
おおおぉ!スゴいぞ!ヒモや糸もいっぱいだ。
ちょんとつつくと、爪に引っかかってくるじゃないか。
こりゃ、いい。

「ダメ、ダメぇぇ、ピッピ!」
ほらな~、おいらたちが好きなことはアイツがキライなこと。ホントにうまくいかない。
「ニャー」(いいじゃないか、なにやったんだニャン?)
「縫い物よ。」
「ニャー」(・・・?)
「このヒモの端っこなら遊んでもいいわ。」
「ニャー」(これだけか?でもないよりましかぁ。)

ガジガジガジガジ・・・
とりあえず、前足で挟んでかじってみる。
うまくはないけどちょっとは面白いかな?
ガジガジガジガジ・・・
「やぁね~、よだれだらけじゃない。もう使えないわね、このヒモ。」

ちっ、そんないっぱい持ってて、ちょっとぐらいいいじゃないか。
まっ、パソコンよりヌイモノのほうが、おいらにはいいかな?
でっ、ホントなにやってんだ?
(←こんなものができたらしいけど、おいらたちには
カンケーなさそう。なんだこりゃ?)
(つづく)

Vol.0204■寝まんま

2006-10-27 | 猫の病気
床に紐が落ちてた。ちょっと前足で払ったらスッと動いた。
へぇ~
また払った。また動く。で、また払った。
トシとってからでも、けっこう面白いじゃないか。
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この間話したオショクジドコロはうまくいかなかったみたいだ。
アイツはすぐにやめちまった。食べ物は出しとくと、上のところが乾いてあんまりうまくないんだ。
いっぱい出しても、みんな上のところがカラカラじゃね、アニキはますます喰わないだろう。

めんどうくさがんないで、よーく混ぜてカラカラがないようにして、手で喰わせる「お手々まんま」すんのが一番じゃないか?
おいらだって、よく混ぜてあった方がいいよ。
えっ?聞いてないって?
たまには聞いてくれよな。そりゃ、なんでも喰うけどさ!

次にアイツが始めたのが
「寝まんま」
アニキがグーグー寝てる目の前にドーンとボールを置いとく。  (これが噂の「寝まんま」→)

目が覚めたアニキはネコがいいから、起きたばっかりでボーっとしてて、腹が減ってるのかどうかも思い出せないうちに喰い始めちゃうんだ。

ちょっと喰ってから、
「外でトイレしたかったんだ。」
とか、
「喉が渇いたんだ。」
と思い出したりしてるみたいだぜ。

でも、外に行ったり、水飲んだりする前にちょっとでも喰ってくれるからアイツはウレシイらしい。
この間、ケットウチが下がって大変になったときも寝てる間に下がったしな。
なかなかいい手を考えたもんだ。
こうなると、アイツのひつこさとアニキの頑固さの勝負だな。
どっちもそう簡単には直んなそうだけど。

あんまり喰わなかった夜なんかはボールが2つ出る。
アニキはボールに挟まれて寝てるぜ。
これなら目が覚めたときに、絶対においがする。
アニキはとりあえず喰う。
で、また寝る。
また目が覚める。
また喰う・・・

「きゃ~☆ きれーに食べたわね~♪ なにが入れてあったかわかんないくらい、ピッカピカ☆ ボールを洗わなくてもいいくらいだわ。誰が食べたのかしら? ピッピ?
おいおい、なんでおいらにふるんだよ。朝まで一緒のベッドで寝てただろう? どうやってリビングのソファーの上のアニキの真横まで喰いに行くんだよ?
(つづく)

Vol.0203■得意技

2006-10-20 | 猫の海外暮らし
きょうはアイツら、朝からみんなでどっか行ったんだ。
アニキはこの間、ケットウチが下がって大変なことになったばっかりだったから、行く前に2人で
「喰え!喰え!」
ってやってたぞ。ネコがいいアニキは必死で喰ってた。
ガンも大変だったけど、糖尿病も大変だな。
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この家に引越してきてからおいらとアニキには得意技ができた。
アニキが得意なのは、
窓越え。
子どもの部屋の窓からひょいっとサンデッキに降りて外に行くんだ。帰って来るときもおんなじ。デッキから窓枠に飛んで、ひらっと部屋に入る。

カッコいいよな。
椅子に上るのが精いっぱいのおいらにゃ、絶対ムリだ。
アイツらにドアを開けてもらわなくても出入りできるのはいいよな。おいらなんて、ドアのところでニャーニャー鳴いて、誰かを呼ばなきゃなんない。

ウトウト昼寝してるときでも、
タンッ
って音がすると、
「あっ、アニキ帰って来たな。」
ってすぐわかる。あの窓は1日中開けっ放しだからホントに便利なもんさ。

おいらの得意技?
体当たり。
今の家、ドアがいっぱいあんだけど押せば開くドアがけっこうあるんだ。それで自然に覚えた。
外に出たとき、ニャーニャー鳴いても誰も来ないときは、
ドンッ
ってやる。

けっこうデカい音がするから、ドアが開かなくても誰か飛んでくるぜ。
「なんだ~、ピッピかぁ。」
ってくやしそうな顔すんのはどいう意味だ? 
最近じゃ鳴かないで、いきなり、
ドンッ
ってのもけっこうあるかな? その方が早く中に入れるから。

(↑見えてんだったら開けろニャン!おいらだって見えてんだぜ。)

アニキと2匹で外に出たときも、体当たりするのはおいらの係。アニキはちょっと後で待ってんだ。ドアがガラスだから夜だと、白いおいらが前にいた方が良く見えるってこともある。二本足は暗くなるとホント目が見えないからな~。

最近じゃ、
「当たり屋」
って呼ばれてんだぜ。また、名前が増えちまったよ。
(つづく)


Vol.0202■お食事処 

2006-10-17 | 猫の病気
昨日は1日中大雨だったけど、今日はいい天気。
アイツらは服を濡らして乾かして、おいらは外で日向ぼっこ。
濡らしてないからすぐに毛がふわぁぁぁ~~だ。ほら、やっぱり水なんか使わないほうがいいんだ。
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アニキが大変だったんだ。
いつもみたいに糖尿病のインシュリンを打ったんだけど、あんまり食べないで寝ちまったもんだから、その間にケットウチとかいうのが下がって、歩けないほどフラフラになったんだ。
どれぐらい大変だったかは、アイツが書いたらしいからコッチを見てくれよな。
(元気がない時の四つ足は「ごま塩モード」。
いつもより白っぽく見えるんだ→)

すっかり心配になったアイツはいつもよりひつこく、ご飯の入ったボールを持ってアニキを追いかけまわした。でも、すっかり弱っちまったアニキはあんまり喰いたくなさそう。
目の前にドンっとボールを置かれても、グルッと回って行っちまう。
困ったアイツはいつでもお手々まんまができるように、手の上にご飯を載せて追いかけ始めたけど、これも上手くいかなかった。

中身だって違うんだぜ。
普段はあんまり出てこない、二本足が自分たちで喰ってるツナ缶に混合削り節を山のように混ぜたのが出てきた。
アニキはこれなら少しは喰った。
アイツは大喜び。キコキコおんなじ缶をたくさん開けてる。
「そんなに喰えんのか?いつもより喰えないってのに。」
と思いながら、おいらは足元でカリカリ喰ってたんだ。四つ足のだってうまいぜ!

喰い終わって部屋に行こうとしたら、びっくりだ。家中、ご飯だらけ・・・
まず、キッチンに1個。
アニキが好きなソファーの下に1個。
廊下に出たところに1個。
小さい子の部屋の前に1個。
アイツらのパソコンのある部屋に1個。
アイツらが寝る部屋に1個・・・

「なんだこりゃ?」
と思ってたら、
「いっぱいお食事処を作ったの。これだけあれば、どこかで食べるでしょう♪」
って、アイツが連れ合いに説明してる。
オショクジドコロ??
喰わないアニキにどっかで喰えってことか!

「チャッチャ、いい子だから食べてね。また、昼間みたいになったら大変でしょう?」
とアイツは何度もアニキに言い、寝ちまった。
ふ~ん。
オショクジドコロねぇ。

おいらは端から喰ってった。
みんなおんなじじゃないか!全部二本足のツナと削り節。
まずくはないけど、なんか味がないんだよな~、二本足のって。削り節は口の中にくっつくしさ。
やっぱりおいらはいつものネコ缶がいいなぁ~と思ってキッチンに行くと、
なっ、ない!いつものネコ缶がない!

ちぇ。
しょうがないから、キッチン、廊下、子どもの部屋の前、パソコンの部屋、アイツらの部屋と、
ちょっとずつハフハフ喰いながらアイツのベッドへどっこらしょ。
もう、寝てる。
「おいおい、おいらのご飯も忘れないでくれよな。」
(つづく)

Vol.0201■旅行もワルくない 

2006-10-13 | 猫の海外暮らし
静かだった家の中がスッゲーうるさい。連れ合いはノシノシ。アイツはペチャクチャ。子どもはドタバタ。ドアはバタンバタン。天井までガラガラ・・・と思ったら、これは雷なんだって。
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帰って来たぜ、連れ合いと子どもが。
いったい、旅行ってのはなんなんだろうね。デッカいカバンを持ってどっかに行って、しばらくすると必ず帰ってくる。帰って来るなら行かなきゃいいのに、と思うけど二本足はそうは思わないらしい。

どっかに行ってどっかの二本足の家で寝てるんだろう。
とてもあいつらが外で寝てるとは思えない。
で、そのどっかの二本足とケンカもしないんだろう。
「みんなで仲良く。」
とか言って、一緒にいるんだ。

四つ足だったら、知らないヤツでも知ってるヤツでも家に入って寝てったりしたら大騒ぎだ。
おいらとアニキのケンカどころの話じゃない。
いっくらトシとってのんびりしてるおいらたちでも、そんなヤツを見つけたら絶対追い出すぜ!
でも、二本足は違うらしい。
まっ、おいらたちを検疫所に預けたりしないなら、どこに行ってなにしててもいいぜ。

でも、最初はなにが起きたのかよくわかんなかった。
「元気でね、ピッピとチャッチャ。」
「帰って来るまで生き延びるんだぞ!」
とか言いながら、旅行カバンを持って4人で出てっちまったときはね。
あとでアイツだけ戻って来たけど、またどっかに行っちまうのかと思った。

だからおいらもアニキも、アイツの後をウロウロしてた。
外で濡れた服を乾かしてるときも、
キッチンでなんかしてるときも、
トイレのときも、
後をついて行った。

夜になった。いつもはしないのに、おいらたちはアイツと寝た。
夜中に起きても、アイツはひとりで寝てた。どこにも行かないつもりらしい。
朝になった。
アイツはまだいた。連れ合いと子どもはいない。

それからおいらたちはずーっと一緒だった。もうアイツの後をウロウロしなくてもいい。
置いてかれないんだったら見てなくてもいいさ。
外で昼寝したり隣の家まで散歩したり、いつもとおんなじだ。

一緒に寝ると、
「今日はパーセント寝!」
とか
「今日はT字寝!」
とか、アイツはゲラゲラ笑うけど、おいらにはなんだかわかんない。とにかくアイツが真ん中にまっすぐ寝て、おいらとアニキが両側で丸くなって寝るんだ。

(←これがパーセントの○なんだって。なんのことかわかるか?)


連れ合いがいないとベッドは広いし、みんなでくっつきゃあったかいしね。
これなら旅行もワルくないじゃないか!
(つづく)

Vol.0200■あれから10年

2006-10-10 | 猫の病気
おいらのメルマガ200号!
スッゲー続いたよな~。まだ生きてるからね、おいら。
ちょうど2年前に始まったんだ。最初はこんなだったんだぜ。
なんでおいらが話せるかは、こっち
こっちからどーぞだニャン。
(メデタイしね、きれいにしなきゃ。ペロペロ→)
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おいらの悪性リンパ腫とかいうガンが治ったのは2004年4月23日。
・・・って、おいらはそんなこたぁ知らないけど、そうなんだと。
なんでこの日かって言うと、アイツが決めたから。
なんでそう決めたのかはアイツが書いた「闘病日記」でどうぞだニャン。

で、それから2年半経ったんだと。
これもアイツがそう言うから。
で、それは四つ足のトシで言うと10年なんだと。
これもアイツがそう言ってる。

10年っていうのはうちの小さい子が生まれてから今までくらいの長さらしい。
ぜんぜんよくわかんないけど、そういうことなんだと。二本足はそう決めてるらしい。
まぁ、その、いっぱい生きたってことだよな?

「悪性リンパ種にかかったネコは治療が成功しても1年半後の生存率は10~15%なんだとさ。生き残った以上、おいらは10~15%に入って長生きするぞ~!アイツは20年生きろと言ってるけど。」
って、ネコ屋敷のプロフィールにあるけど、ホント長生きしてるよ、おいら。


これって15匹の悪性リンパ腫の四つ足がいたら1匹しか残んないってことなんだってな?
15匹って・・・・、いっぱいじゃないか!

前に話した図々しい「黒トラ」
跳べるけど歩けない「ジャック」
前の家の隣のいつもヒマな「オブリ」
もう1軒の隣の家に住んでた「リリー」
ずっとオブリと間違えられてた「イライジャ」
どっから来たのか知らない服を着た「ヨボヨボ爺さん」
迷子になった「ベージュ」

今の家によく来る「スィン」
犬みたいにデカくておいらの庭でウンチまでしてく「犬ネコ」
アニキにそっくりだけど顔が汚い「偽アニキ」
1回しか見たことないけどオブリの黒をトラ模様にしたような「トラオブリ」
こいつも1回だけ遠くから見たこの辺じゃ珍しいおいらみたいなシロ猫
オブリをもっと黒くして足の先っぽだけ白くさせたような「タビ」
そして、アニキとおいらを全~部合わせたくらいってことだろ?
おいらの知ってる四つ足全部じゃないか!

そん中の1匹ねぇ。ふーん。
まぁさ、これからも生きてくよ。あったかくなったし、ガンもなさそうだし、痛いとこもかゆいとこもないし。生きてくにはちょうどいいぜ。

メルマガの200号も、いっぱいってことらしいな。
読んでくれてありがとニャン。おいらが生きてる限り続くぜ。

(↑よし、きれいになったぜ!これからもよろしくニャン)
(つづく)

Vol.0199■近所の四つ足-イライジャ

2006-10-09 | 近所の猫
連れ合いと子どもはまだ帰ってこないぞ。
静かだけど、ドアを開けるのがアイツしかいないのがちょっとね。
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久しぶりに、前の家の近所の四つ足の話でもしよう。
今日はイライジャだ。
背中や足、顔の半分が黒くて腹が白いヤツだった。
目も鼻も良くなさそうなアイツらは、こいつとオブリの区別が長いことつかなかった。

ぜんぜん違うじゃないか!見てわかんないのか?
においをかげば一発でわかるのに。
同じなのは白黒ってことぐらい。
どれぐらい違うかはこっちを見てくれよ!

(スゴスゴ逃げてくのはイライジャ→)



ある日、イライジャとオブリが庭でケンカしてたもんだから、アイツはびっくり!
「大変、大変!オブリがオブリとケンカしてるぅぅぅ!!」
んなワケないだろ?よく見ろよ。

(トボトボ誰もいない家に帰るのはオブリ→)


それから、「毛が長い方のオブリ」はイライジャっていう名前になったんだ。
二本足ときたら、名前がないとホントに区別がつかないらしい。
大変だよな、目も鼻もワルいってのは。
(←もうわかるだろう?こいつがどっちか)

この名前、近所にオブリとイライジャっていう子どもがホントにいたんだ。
あいつらは兄弟だったけど、四つ足のオブリとイライジャはぜんぜん違う家に住んでた。イライジャの家の方がちょっと遠かったからあんまり来なかったけど、ヒマなオブリは毎日来てたぜ。

イライジャはおっとりしたヤツでおいらは相手にしなかった。その前にいつも防人ネコのアニキが追っ払ってたから、ケンカになんなかったのさ。
何回かウ~~ウ~~やりあったけど、それぐらいだったかな?
サンデッキにズカズカ上がってくる黒トラジャックに比べれば大人しいやつだった。

アイツはいつも、
「さすがイライジャ。お上品だわ~♪」
とか言ってたけど、どんなもんだか。
他の四つ足と区別もつかないやつに褒められてもね~。
(つづく)

Vol.0198■置き去りⅡ

2006-10-03 | 猫の海外暮らし
家の中は静かなもんさ。子どもがいないとこうも違うかね。
日替わりでいろんなベッドでお昼寝さ!
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「じゃ、行ってくるからね。」
「元気でね、ピッピとチャッチャ。」
「帰って来るまで生き延びるんだぞ!」
アイツらはそう言って、クルマに旅行カバンをいっぱい積んで出て行った。

あとに残ったおいらとアニキ。
家の中はガラーンとしてる。
窓もドアも閉まってる。
ご飯と水だけはたっぷりあるけど、トイレは掃除していかなかった。

いつもはどっかにしまってあるデカいカバンが出てきたときから、ヘンだと思ってたんだ。
おいらはなにが嫌いって、アイツらが旅行に行くことと、飛行機やクルマ乗るのが嫌い。
写真も嫌いだけど、そんなのたいしたことない。すぐ終わるしね。

でもアイツらは行っちまった。
天気が良くても外に出らんない。
おいらとアニキはまだあったかいアイツらのベッドで、くっついて寝た。
他にすることもなかった。
(←こういうときは寝るのが一番)

どれぐらい寝たんだろう?
玄関のドアがガチャガチャいう音で目が覚めた。
誰か来た!
このにおいは・・・

アイツだった。

ドアが開くと、プーンとクルマのにおいもした。
クルマで帰ってきたんだ。
でも、アイツだけ。連れ合いも子どももいない。

「これからしばらく、ママとピッピとチャッチャだけで暮らすのよ。一緒に寝ようね。」
だって。どういうことだ?
そうか、連れ合いと子どもだけ旅行に行ったのか!

「もうみんなで旅行には行かないわ。ピッピとチャッチャを置いていけないからね。心配しなくていいのよ。どこにも行かないから。ずーっとっずーっと長生きしてね。ママは旅行なんてどうでもいいの。今までいっぱいしたしね。これからはずーっと一緒よ。」
だって。ホントか?

その夜、おいらはアイツのベッドで寝た。連れ合いがいないと寝るところがいっぱいある。始めは足の方で寝てたけど、朝になって手が見えたから頭の方に行った。
やっぱりね、寝ながらナデナデしてもらったぜ!
そっか、もうみんなで旅行には行かないのか~。
(つづく)