シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0320■ガンとタビ

2007-09-23 | 最後のメッセージ
アニキがだんだんおいらを探せなくなってきた。
朝起きると、デカい声を出して探してる。交信しても届かないみたいなんだ。
あの声は、ツラいよな。まだこんなに近くにいるのに。
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アイツはずっと、タビが来たことがおいらのガンの理由じゃないかと思ってた・・・。
そりゃ、ずーっとずっとアニキと2匹だけの方がよかったけど、ヤツは家の下に住み着いて、アイツはせっせとご飯なんかあげてる。
もう元には戻んないってことはよくわかってた。
そうとなったら、受け入れるのさ、四つ足は。
ブツブツ文句を言ったりはしない。言っても聞いてもらえるわけがないし。

数えきれないほどの引越しも、クルマや飛行機に乗るのも、アイツらが旅行に行くのも、検疫所に入れられるのも、獣医に行くのも、みんなみ~んなヤだったさ。でも、そう思っても二本足が、
「じゃ、や~めた。」
って言うか?いつもヤツらが決めて、その通りになるのさ。タビもこともそうだった。

ホントは何度も、
「タビちゃんと仲良くできる?」
「タビちゃん、ここにいてもいい?」
「タビちゃん、お家に入ってきても平気?」
とか聞かれてたけどね。ホントにタビがソファーで寝てたこともあったな。

でもね、何度聞かれても、おいらは答えなかった。
だって、アイツは決めてたから。決まってることを聞かれても、答えようがない。四つ足の交信にそういうのはないんだ。

おいらのガンはずっとからだの中にあったんだと思う。
何度かアイツが、
「えっ?これってガン?」
っていうのを見つけたことがあったから。でも、いつもすぐに消えちゃうらしくて、
「なんだ~、またシボウの塊だったのね。」
とか言ってたからな。

なにもなければ消えちまうはずのもんが、消えなくなった。それどころか、どんどこデカくなっておいらのノドを全部埋めちまった。飲んだって喰ったって、通ってくのはおいらのヒゲくらい細いとこになっちまった。

消えちまうはずのもんが消えなくなる理由は、なんでもよかったんだと思うぜ。
おいらがホントに、からだの中の中からドッキリすることなら。
アニキの糖尿病がもっともっとひどくなってたとか、
また引越しがあったとか、
アイツらが前みたいに会社に行って家に誰もいなくなってたとか、
香港の家みたいに外に出られなくなってたとか・・・
どれでも、ガンになったかもしれないんだ。
タビはそんな理由のひとつだったのさ。

だからタビのせいにしないでほしい。
ガンになったのはおいらのせい。

タビはタビで生きて、おいらもおいらで生きて、そして死んだんだ。

おいらより何度も危ない思いをしたアニキはどっこい生きてる。
スゲーじゃないか。
これでいいんだよ、ホント、心配なんかすんなって。

(死ぬか生きるかだったら、アニキのほうがよっぽど何度も危ない目に遭ってるんだぜ。でも、ホントに最後の最後まで優しかったな~。
大好きだよ、アニキ→)
(たぶん、つづく)


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