今日は雨。外から帰ったら、
「やっだ~。汚い足で入って来ないで~」
っておこられた。帰って来なくて困るのはそっちだろ?
==============================
「チャッチャ、お外で寝るのかな~?」
小さい子がフレンチドアに頭をくっつけて外を見てる。おいらは前足にあごをのっけてソファーで丸くなった。交信してみた。交信してアニキが見てるもの、してることを見るんだ。昼間はアニキが周りに集中しすぎててほとんど見れなかった。今ならちょっとは見える。
暗い。外にいる。
ときどき明かりがチラチラする。窓の下を歩くときだけ、ちょっと明るい。どっかの庭だ。どこかはわかんない。歩いてるのは芝に上。でも、この家じゃない。それはわかる。
けっこう木がある庭だ。木の下には芝がなくて今度は落ち葉の上を歩いてる。木と木の間を抜けると、二本足が庭のはじに立てる細い棒がいっぱい並んだ物も見える。二本足はこの棒の間を通れないけど、おいらたちは通れるからなんの意味もない。アニキはそこを通り抜けた。
別の庭に出た。
今度は階段が見える。アニキは見上げてちょっと止まった。上の方は電気で明るい。上った。1段、2段・・・ゆっくりと。椅子やテーブルの足が見える。上がったところはサンデッキ。階段よりももっと明るい。
おいらはさっき小さい子が立ってたフレンチドアの前に行った。夜の窓は遠くから見ると真っ黒なのに、近くに行くとけっこう外が見える。おいらはドアの前に座った。
「あれ?ピッピ?」
家の中でボールを転がしてた小さい子がやってきた。
「ママー!チャッチャ!!チャッチャが帰ってきたよー!」
気がついた。
「どこどこ?」
キッチンにいたアイツが走ってきた。
「ほら、そこ。デッキにいるよ。」
「きゃー!!!チャッチャ、おかえり~!」
アイツはワーワー言いながらフレンチドアを開けた。
「やったー!ボクが見つけたんだよ!」
と小さい子は大いばり。
違うぜ。見つけたのはおいらだ。
アニキがこの家の庭に入って階段を上ってくるのがわかったんだ。
「大冒険だったわね~、チャッチャ。5時間以上も外にいたのよ。さぁ、お水飲んでご飯食べて。」
「フレンチドアにピッピが映ってるのかと思ったら、チャッチャだったんだ。すごーい、ボク!」
「寒かったでしょう?どこ行ってたの?迷子になってたの?」
「パパー、ボクね、チャッチャ見つけたんだよー。」
(やっぱりアニキの尻枕がいいニャン→)
2人は勝手なことを言いながら、家の中をドタバタドタバタ。
アニキは黙って水。そして飯だ。
こうやって引越して最初の夜になった。
(つづく)
「やっだ~。汚い足で入って来ないで~」
っておこられた。帰って来なくて困るのはそっちだろ?
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「チャッチャ、お外で寝るのかな~?」
小さい子がフレンチドアに頭をくっつけて外を見てる。おいらは前足にあごをのっけてソファーで丸くなった。交信してみた。交信してアニキが見てるもの、してることを見るんだ。昼間はアニキが周りに集中しすぎててほとんど見れなかった。今ならちょっとは見える。
暗い。外にいる。
ときどき明かりがチラチラする。窓の下を歩くときだけ、ちょっと明るい。どっかの庭だ。どこかはわかんない。歩いてるのは芝に上。でも、この家じゃない。それはわかる。
けっこう木がある庭だ。木の下には芝がなくて今度は落ち葉の上を歩いてる。木と木の間を抜けると、二本足が庭のはじに立てる細い棒がいっぱい並んだ物も見える。二本足はこの棒の間を通れないけど、おいらたちは通れるからなんの意味もない。アニキはそこを通り抜けた。
別の庭に出た。
今度は階段が見える。アニキは見上げてちょっと止まった。上の方は電気で明るい。上った。1段、2段・・・ゆっくりと。椅子やテーブルの足が見える。上がったところはサンデッキ。階段よりももっと明るい。
おいらはさっき小さい子が立ってたフレンチドアの前に行った。夜の窓は遠くから見ると真っ黒なのに、近くに行くとけっこう外が見える。おいらはドアの前に座った。
「あれ?ピッピ?」
家の中でボールを転がしてた小さい子がやってきた。
「ママー!チャッチャ!!チャッチャが帰ってきたよー!」
気がついた。
「どこどこ?」
キッチンにいたアイツが走ってきた。
「ほら、そこ。デッキにいるよ。」
「きゃー!!!チャッチャ、おかえり~!」
アイツはワーワー言いながらフレンチドアを開けた。
「やったー!ボクが見つけたんだよ!」
と小さい子は大いばり。
違うぜ。見つけたのはおいらだ。
アニキがこの家の庭に入って階段を上ってくるのがわかったんだ。
「大冒険だったわね~、チャッチャ。5時間以上も外にいたのよ。さぁ、お水飲んでご飯食べて。」
「フレンチドアにピッピが映ってるのかと思ったら、チャッチャだったんだ。すごーい、ボク!」
「寒かったでしょう?どこ行ってたの?迷子になってたの?」
「パパー、ボクね、チャッチャ見つけたんだよー。」
(やっぱりアニキの尻枕がいいニャン→)
2人は勝手なことを言いながら、家の中をドタバタドタバタ。
アニキは黙って水。そして飯だ。
こうやって引越して最初の夜になった。
(つづく)