シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0268■アニキの低血糖 

2007-07-16 | 猫の病気
きょうはアニキの調子が悪いから、アニキのツナは花がつお入り。
うまいじゃないか!混合削り節より。
つい、おいらまで喰っちまったよ。
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今日は糖尿病のアニキが軽いテイケットウを起こして、元気なかった。
おいらどころじゃない。アイツが慌てて砂糖水飲ませてたっけ。
ひどいときは、吐いたり下したりするけど、きょうは大丈夫だった。
もっとひどいときはガタガタガタガタ震えが止まんなくなって、ホントやばいんだ。

アニキは小さい子のベッドで1日じーっと動かなかった。

(こういうスフィンクス座りになるとテイケットウのサイン。最近はこうやって足を1本曲げてることが多い。だからパッと見でスフィンクスかどうかわかんないんだと。これで目がパチパチし出したら、アイツらがドタドタドタドタ~って走り出すんだ→)

まっ、きょうも寒かったからおいらも毛布にくるまってグースカ寝てたんだけどね。

起きてもやっぱりガンだった。
いつも目が覚めて首の邪魔くさいものに気がついて、
「あー、やっぱりガンか。」
って思う。そのまま、また寝ちゃうことも多いけどね。

夜になってストーブがついてからはストーブの前へ。
おいらはストーブが大好き。あったかいからね~。なんで1日中つけないのかと思うよ。アニキはそばに来たり離れたり。おいらみたいにずっと近くにはいない。
きょうはずっと違う部屋にいたから、ちょっとナメナメしてあげた。
あんまり元気なかったけど、おいらだってすっごい元気ってわけじゃない。
だからおんなじくらいかな?

一緒に生まれて、一緒に育って、一緒にトシとってるんだよな、おいらたち。
あしたはおんなじくらい元気になって、散歩に行きたいよ。
その前に止んでくんないかな、この雨。
(つづく)

Vol.0231■アニキ、再びⅩⅡ 

2007-03-08 | 猫の病気
アニキは元気にしてる。ケットウチさえ下がんなきゃ、おいらとおんなじさ。
昼間はグーグー寝て、ときどきなんか喰って、夜は見回りが終わったらグーグー寝る。
これが一番いいんだ。
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糖尿病でケットウチが下がってフラフラになっちまったアニキは、吐いて、オシッコして、水みたいなウンチをして、腹の中が空っぽになった。

「もうすぐ10時よ。問題に気付いたのが6時だから、かれこれ4時間!今までで一番長いわね。しかもまだ食べ始めないし。」
「トシとともにワルくなってるのかな?」
アイツらがボソボソ話してる。

アニキはスタスタと部屋に戻って、アイツが作った小さなベッドに入った。
弱ってるときは二本足のデッカいベッドよりもこういう小さいベッドがいいんだ。なんでかな?
背中がくっつくようなところで丸くなって寝るんだ。おいらもガンのときはそうだった。
今は元気だから、ぜんぜん作ってくれないぜ、おいらのベッドなんて。

アニキは寝だした。すぐにぐっすりだ。いびきもかいてる。疲れたんだろう。
おいらが外に出て戻ってきてもまだ寝てた。雨が止んでるのも知らないだろうな。
寝られるのはいいことだ。ホントに苦しいと寝られないんだ。
元気になるのを待つには寝るのが一番なのさ。

連れ合いが先に寝て、アイツだけが起きてた。パソコンをカタカタやってる。
おいらは小さい子の部屋で寝てた。
「あれ?」
アニキの頭のテレビがついてる!
歩いてる。においをかいでる。喰ってる!
違う部屋にいてもテレビがつけば、アニキがなにしてるのかわかるのさ。

「チャッチャ~!!!」
アイツも気が付いた。1人でデカい声を出してるぞ。
「6時間よくがんばったね~。もう12時すぎよ!」
長い長い時間ってことだろう。
「もう大丈夫ね?ひとりで食べられるんだから。よかったね。ホントによかったね。ありがとう。」

アイツは寝た。アニキも寝た。アニキの頭のテレビが消えて、おいらも寝た。
朝になったらいつもどおりだろう。いつもと同じなら、それが一番いい。
ずっとアニキの話だったけど、この話はこれでおしまいだ。
(おさわがせしましたニャン→)

おいら?おいらは元気だぜ。
(つづく)

Vol.0230■アニキ、再びⅩⅠ

2007-03-02 | 猫の病気
アニキのケットウチが下がったときのことを長々と話してるうちに、また大変なことになった。おいらもビックリでずっと見てたよ。近所の四つ足まで来てドアの外で鳴いてたくらいだ。
このことはアイツが話してるから、コッチでどうぞだニャン。
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ケットウチが下がって大変なことになった糖尿病のアニキ。
吐いたり、連れ合いに抱かれたまま上に向かってオシッコをしたり、そのたびにアイツらはドタバタドタバタ。タオルやトイレにある紙を持って走り回ってる。

今回はけっこうすぐに歩けるようになったんだけど、なかなか頭の中のテレビがつかない。
やっぱりなんかヘンだ。いつもと違う。ケットウチを上げるためにアイツらが何度も砂糖水を飲ませてるのに、なかなかよくならないんだ。
もうアニキの顔の周りは固まった砂糖でガチガチなんだぜ。

水やご飯が置いてある廊下でウロウロしてるから、また水を飲むのかと思った。
でもおいらはそのまま隣の小さい子どもの部屋に入った。
いくら四つ足でも夜中ずっと起きてるわけじゃない。やっぱり眠いさ。
どっこらしょ、とベッドに上がったとき、
「キャ―――」
とアイツの声。今度はなんだ?

スゴいにおいがしてきた。
今度はウンチだ。しかも水みたいなやつ。見にいかなかったけどにおいでわかった。
でも、アニキはちゃんとトイレでした。
廊下をウロウロした後、おいらたちのトイレに入ってしたんだ。
スゴいだろ。頭の中が真っ白でも、四つ足はこういうことができる。
ホントにきれい好きなんだぜ。

ただ問題は、トイレに入ってふちに足をかけたまではよかったんだけど、
向きがね、反対だったんだ。
いつもはトイレの中に向かってするんだけど、それが外向きだったんだ。
だからね、壁がね・・・。においも広がるわけさ、水みたいなんだから。

「よかった。今度はタイル直撃で。」
って言いながらアイツがせっせと掃除してる。汚してもおこられない。
そうなんだ、ケットウチが下がったときは、だいたいいつも吐いて、オシッコして、水みたいなウンチをする。これでアニキの腹の中は空っぽってことさ。もうなんにも出ない。喰ってないんだから。

あとは喰い始めるのを待つだけ。
だからバスルームがスゴいにおいになってもアイツはうれしいのさ。

(これがおいらたちのトイレ!ブログに出るのは初めてじゃないか?アニキはふちに足をかけてするのが好きだけど、おいらは中にすっぽりが好きなんだ。アニキが見てても平気。
四つ足だからね→)

(つづく)

Vol.0229■アニキ、再びⅩ

2007-02-27 | 猫の病気
なんか最近ヒマらしいぜ、アイツ。
だからおいらのブログが続くんだ。
わかりやすいよな。
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砂糖水を飲んでよくなったみたいだったのに、アニキは吐いた。
すごい量だ。これが糖尿病なんだ。アイツは何度も何度も床を拭いた。二本足にだってわかるくらいのにおいなんだから、おいらにゃ、そりゃよくわかるさ。

連れ合いがアニキをタオルで巻いて抱いてる。
でもアニキはさっきよりしっかりしてる。聞こえてるし、見えてる。抱っこを嫌がって下に下りようとしてる。力がある。わかってる。
「急に水を飲んで苦しくなったのかしら?」
「とにかくなんか口にしただけでもましだよな。」
アイツらがアニキを挟んで話してる。

そのときだった。
ニャ―
アニキが一声デカい声で鳴いたかと思うと、連れ合いに上向きに抱かれたまま空中にオシッコをしたんだ。オシッコは上に丸くなって下に落ち、床の上でバシャバシャバシャバシャ音をたてながらそこに溜まった。

雨が止んだかドアの前で様子を見ていたおいら。
ビックリしてなんにも言えないアイツら。
オシッコが終わって、もぞもぞしてるアニキ。

(ホントはこうやってやるんだけどね→
終わったらちゃんとカキカキすること。
でもオシッコに触ると足が汚れるから、おいらはいつも関係ないとこカキカキするんだ。)

「チャッチャく~~ん、すごいじゃないか!こんなとこに、こんないっぱいオシッコして!」
大笑いしながらアニキと床の水を見比べてる連れ合い。
「良かった~、パソコンの方に向いてなくて。反対向きに座ってたらキーボード直撃よ!」
さっそく床を掃除してるアイツ。
きょうは床を拭いてばっかり。家がきれいになるぞ。

アニキはきれいになった床に下りた。ちゃんと立てるし、歩ける。
廊下をウロウロしてる。また水を飲むのか?(つづく)

Vol.0228■アニキ、再びⅨ

2007-02-21 | 猫の病気
「ピッピも喰うか?」
ボールを持ってアニキに喰わそうとしてた連れ合い。喰ってくれないもんだからおいらのとこに持ってきた。おいらはいつも2番めさ。生まれたのも、ご飯も。
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ケットウチが下がってなんにもわかんなくなったまま、雨の中に30分座ってたアニキ。
帰ってくると、急に水を飲みだした。吐いたりもらしたりで、アニキの毛はとっくにゴワゴワだ。こういうのを二本足はダッスイショウジョウっていうんだ。

(なんか見てるみたいだけどケットウチが下がってるときは見えてない。耳も聞こえないから動かないんだ→)

こうなったら、背中の皮を引っ張っても簡単には元に戻んない。ゆっくりゆっくり戻る。
口の中はカラカラなんだけど、飲めないんだ。おいらもそうだった。なんにもわかんなくなってるからね。のどが渇いてることもわかんないのさ。

だからアニキが水を飲んだのはいいことだった。良くなってる。
でも、頭のテレビにはなんにも映ってないな。さっきほど真っ白じゃないけど。
なんか見えてるんだろうけど、それがなんだかわかってないんじゃないか?

おいらも外に行きたかった。でも、雨に濡れるのはかんべんだ。
ドアのそばにいって隙間から外のにおいをかいだ。まだ、降ってる。すごい水のにおいがする。でも音はずっと小さい。さっきより降ってないのかもな。
どうしようかな・・・。

グゲェェェェェグゲェェグゲェェ
そのとき急にヘンな音がした。
「吐いたぞ!」
連れ合いが叫んでる。
バタバタバタバタバタバタ
アイツが走る。

水を飲んだアニキはドアが開いてた大きい子の部屋にひょいっと入り、そこで突然吐いた。
電気がついて、連れ合いがアニキを抱いて飛び出してきた。アイツはしゃがんで後片付けだ。
大きい子は明るい電気の下で寝てる。スゴいよな、こんなにうるさくても明るくても起きない。

「大丈夫か?チャッチャ?」
連れ合いが聞く。アニキは抱っこを嫌がって下に下りようとしてる。力があって、しっかりしてる。これでも良くなってるんだろう。
(つづく)

Vol.0227■アニキ、再びⅧ

2007-02-18 | 猫の病気
「スゴいじゃない、ピッピ。アクセスが増えてるわよ!」
「なにが増えてるって?」
と思ったら、ブログを読んでる二本足が増えてるんだとさ。ありがとニャン。
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糖尿病のアニキ。
ケットウチとかいうのが下がると、大変なことになる。
目も見えないし、音も聞こえない。もちろん、においもわかんない。
だから、食べ物が見つけらんない。目の前に出てても、見えなくてにおわないから喰えない。
というか、喰うことじたいがわかんなくなる。喰わないとケットウチは上がんない。
もっと大変なことになる――ってわけさ。

だから、アニキは目の前の食べ物が入ったボールの中に足を突っ込んで、そのまま通り過ぎていっちまう。なんにもわかんないんだ。アイツがお手々まんまなんかしたって、もちろんムダさ。わかんないんだから。なんにも見えない真っ黒な目でぜんぜん関係ない方をキョトキョトしてる。

こうなると、砂糖水しかないんだ。
普通の四つ足だったら絶対飲もうなんて思わないヘンなにおいのする水なんだけど、これをスポイトで飲ませるとアニキは元に戻る。クルマに乗って獣医に行かなくてもいいんだ。まっ、獣医に行ってもこれを飲まされるらしいけど。

ケットウチが下がったまま、雨の夜にサンデッキに出たアニキ。
砂糖水を飲んで、目が見えて、音も聞こえるようになったんだろう。歩けるようになった。
でも、頭のテレビにはなんにも映ってないから、やっぱりよくわかってないみたいなんだ。
ただただ外に出たかったんだろうな。雨で毛や肉球が濡れてるのもわかんないみたいだった。

でも、それ以上は歩けなかった。じっと座ってるだけ。
後には傘を差して濡れてもいいヘンな服をきた連れ合いが立ってる。
1匹と1人はずっとそこにいた。

おいらは雨だから家にいた。いつもだったらこんな天気のときはアニキだって家にいるさ。アニキはじっと座ったままだ。

(元気で雨がふってなきゃ、夜の散歩は最高なんだけど→)

そのうちやっと歩き出してドアに向かい、とうとう家に入った。
「ご苦労さま。どう?良くなってる?」
「じゃないか、歩いてるし。」
「30分ぐらい居たかしら?」
「かもね。雨でも外がよかったんだろうな。でも、なにも喰わないなぁ。」

アイツらがボソボソ話してると、アニキはスタスタとご飯の置いてあるところに向かった。
においがわかったんだろう。
ピチャピチャピチャピチャ
急に水を飲み始めた。喰わなくてもアイツらは大喜びだ。口になんか入れることを思い出したんだからな。(つづく)

Vol.0226■アニキ、再びⅦ

2007-02-17 | 猫の病気
またテレビでしょっちゅうラグビーをやるようになった。
おいらも二本足と一緒にソファーに座る。どっちが勝つかなんて、どうでもいい。
気になるのはどれだけアイツらにナデナデしてもらえるか、だけさ。
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アニキはタオルからそっと出た。床に立つと不思議そうに周りを見てる。
少しは目が見えてきたのかもな。でも、頭のテレビにはまだなんにも映ってない。
「大丈夫か?チャッチャ。」
「歩けるかしら?」
「砂糖水が効いてきたのかな?」
アイツらが見下ろしてる。

アニキはゆっくりとフレンチドアに向かった。歩ける。
夜だからドアは閉まってる。しかも外は雨だ。
アニキはドアの前に座った。今度はスフィンクス座りじゃない。
ちょっとはよくなったんだろう。

「外行きたいか?チャッチャ。」
「座れるじゃない、すごいわ。外の空気吸っておいでよ。」
こういうとき、アニキは外に出たがる。おいらだってそうすると思う。
歩けるようになったら、元気になりたかったら、とにかく外だ。
(外は気持ちがいい。ウロウロしてるだけでも元気になるさ→)

連れ合いは上から下まで黒い服を着てきた。歩くとガサガサ音がするヘンなもんだ。
これを着てると雨に濡れないらしい。
めんどくさいよな、天気で服が違うなんて。
手には灯りが出る棒を持ってる。これぐらい暗いと二本足は見えないんだ。

(だからっておいらがトイレしてるとこ勝手に写真とんなよな。いいのか?このへん、草ぼうぼうだぜ!→)

ドアが開くとアニキはゆっくりサンデッキに出た。
連れ合いが棒に電気をつけて、丸い灯りが出た。灯りの中をキラキラしながら雨が落ちてく。
でも、そこまでだった。アニキは濡れたデッキの上に座った。
階段を降りてくほど元気じゃないんだろう。
連れ合いもそこで止まった。アイツが傘を持ってきた。

1人と1匹は傘を差してずっとそこにいた。
(つづく)

Vol.0224■アニキ、再びⅤ

2007-02-06 | 猫の病気
とうとう子どもが学校へ行くらしい。
「明日からまた静かになる・・・・」
って、アイツと連れ合いが喜んでるぜ。
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連れ合いと子どもが帰ってきた。連れ合いはアニキを見に来たけど、そのまま行っちまった。
寝てると思ったんだろう。確かにそう見える。でもアニキの頭の中のテレビはまた真っ白だ。
交信なんかできない。これはやっぱりヘンだぜ。
(寝てるようにも見えるけどね→)

「ただいま~。誰かママにお水ちょうだーい。」
デカい声がして、アイツが帰ってきた。ゼーゼーハーハーしてる。外を走ってきたんだろう。そんなことしてなにが楽しいんだか。

ニャー
そのとき、アニキがスゴいデカい声で鳴いた。
「えっ?今のチャッチャ!!」
ドタバタみんながソファーに走ってく。

「チャッチャー!大丈夫?」
「大変、さっきよりワルくなってる。」
「ぐったりだ。」
「砂糖水、砂糖水!」
「がんばれ、チャッチャ。しっかりするんだ。」
「その前にタオル!これはきっと、おもらしするわよ。」

ニャー
アニキはまたスゴい声で鳴いた。苦しいんだろう。
あっという間に家の中が騒々しくなった。こんなことは初めてだ。よくなってからまたワルくなるなんて。

ニャー
普段は絶対出さないような腹の底から絞り出すような声でまた鳴いた。
「ダメだわ。うんちしちゃった。」
「誰か濡れタオルもってきて、あったかくして・・・」
大きい子が走り、連れ合いがアニキを抱き、アイツが砂糖水を飲ませてる。アニキは嫌がってる。

アニキをくるんだタオルが変わり、アイツがアニキのお尻を拭いてる。今のアニキには自分で舐めるのなんて無理だ。
「もうちょっと飲んでくれないかしら。」
「さっきより、ワルいな。」
「大きいのが出たから、今度はおもらしするかもね。いつもそうじゃない。」
「吐くかもな。効いてないのかな、砂糖水。」
「もういっぱい飲ませる?」

アイツらがガタガタやっていると、アニキは突然鳴き、そして吐いた。
飲まされた砂糖水が全部出た。床から砂糖のにおいが上がってきた。
(つづく)

Vol.0223■アニキ、再びⅣ

2007-02-03 | 猫の病気
新しい年になったら、けっこう続いてんじゃないか、おいらのブログ。アイツがヒマになったのか?
毎日ホント、いろんなことがあるぜ。忘れちまわないようにどんどん更新してくれよな。

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隣の家まで行って帰ってくると、サンデッキにアニキがいた。
「アレ?もうよくなったのか?」
と思ったけど、なんかヘンだ。

そう、あの座り方→
なんでも名前を付けるのが好きなアイツらが、
「スフィンクス座り」って呼んでる、あれだ。
ケットウチが下がったとき、アニキは必ずこうやって座る。立てないんだ。
おいらだってめったにしないぜ、こんな座り方。腹が苦しいじゃないか。
ごろんと横になるかネコ正座の方がぜったいいい。

それに頭の中のテレビがあいかわらず白い。
さっきみたいに真っ白じゃないし、なにか映ってきそうだったけど、やっぱりなんにも映ってない。
ヘンだ。なんにも見えてないのかもしれないな。隣を通りすぎても、動かなかった。
「いいのか。このままで。」
と思って家に入ったら、連れ合いとアイツがいた。中からアニキを見てたらしい。

「前のときよりよさそうね。目も見えてるみたいだし。あたりかまわずイヌみたいに、においをかぎ回ったりしないところをみると、においもわかってるんじゃない?」
「あのときは大変だったよな。」
「そうよ~、鼻の頭を床にこすりつけてそこら中かぎまわって、壁に何度も激突してたじゃない。」
「それに比べたら、ずっといいよな、今回は。」
「軽症だったのね。早く気づいてよかったわ。そのうち歩くでしょう。」
とか言ってる。
ふ~ん。

アイツはキッチンに戻り、連れ合いはそのままアニキを見てた。おいらは小さい子の部屋に戻った。
カツカツカツカツ
少ししたらアニキが爪の音を立てながら廊下を通ってった。いつもの音と違うけど、歩いてった。

「大丈夫そうだな。ソファーにも自分で乗ったし。」
「でも、なんにも食べてないわね。これでもうケットウチ戻ったのかしら?」
「大丈夫じゃないか?歩けるんだから。」
「そうね。今回は早かったわね。よかった、たいしたことなくて。」
アイツらは喜んでた。でもアニキのテレビにはまだなんにも映ってない。

「じゃ、行ってくるよ。」
そのうち連れ合いが小さい子と出かけていった。アイツはキッチンでカタカタやってた。そのうち、
「ママちょっとジョギングに行ってくるわね。チャッチャも大丈夫そうだし。パパたちすぐに戻ってくるわ、郵便出しに行っただけだから。」
とかなんとか、大きい子に言ってる。

「はーい。」
大きい子は、自分のベッドで字がいっぱい書いてある紙をジーっと見たまま返事した。大きい子は動かない。アニキもソファーでじっとしたまま動かない。
(つづく)

Vol.0222■アニキ、再びⅢ

2007-01-30 | 猫の病気
連れ合いと子どもが帰ってきた。今じゃみんな家で寝てるぜ。
やっぱり家のがいいんだろう。どっか行っても必ず帰ってくるもんな。
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「ワナワナしてるわ。目もパチパチしてるし。」
「チャッチャ、がんばるんだ。大丈夫か?」
「歩ける?」
「無理だろう。」
「意識はしっかりしてそうね。目も見えてそう。すぐ砂糖水を作ってくるわ。」
「パパー、チャッチャどうしたの?」

家の中が急に騒がしくなった。アイツが子どもよりドタバタ走り回ってる。ちゃんと喰わないでインシュリンの注射を打つと、糖尿病のアニキはフラフラになる。いつもだったら注射の後も喰うのに、あの日はぐっすり寝ちまったんだ。いっぱい二本足が来てたから、おいらもずっと部屋で寝てた。

フラフラになったら砂糖水ってもんを飲む。
フツーの水じゃなくて、なんか違う水らしい。おいらもガンのときに使ってたスポイトで口に入れる。
(こうやってね。おいらもこんなことやってたんだ→)
あれはヤなもんだぜ。口を無理に開けさせられてさ。フラフラだってアニキもヤなんだろう。
口を開けない。

「チャッチャ~。がまんしようね。これ飲んだらよくなるよ~。」
アニキを抱っこしてる連れ合いがヘンな声で言ってる。
アイツは黙って、アニキの顔を押さえながらスポイトで飲ませてる。
「もうちょっと。」
「あと1回。」

とかなんとか。

アニキはタオルにくるまれて連れ合いの腕の中。下から見てるおいらには見えない。
「もっと飲ませる?」
「吐くかな?」
「目のパチパチが止まらないわね。」
「まだ、効いてきてないんじゃないか。」
「早く、早く!」
「チャッチャ、苦しいか?」
ふたりでゴソゴソ話しながら、タオルの中のアニキを見てる。
良くないんだろう。アニキの頭の中のテレビはずっと真っ白でなんにも映ってない。

おいらは開いてたドアから外に出た。
こんなことが何回あっただろう? 
おいらのガンはなくなったのに、糖尿病はなくなんないらしいな。
(つづく)

Vol.0221■アニキ、再びⅡ

2007-01-26 | 猫の病気
また連れ合いと子どもが帰ってこない。
あのペラペラの家を持ってどっか行って寝てるらしい。なにが楽しいんだ?
==============================
 
アイツらはワーワー、キャーキャー、庭で遊んでた。
アニキがどうなってるか、
ぜんぜん気がついてなかった。

そのうちまた誰か来て、みんなで話始めた。
おいらはその横を通って家に入った。

(ドアが開いたらやっぱり外に出たいさ、こんな季節はね→)

アニキは部屋のすみにいた。じっとしてる。
寝てるみたいに見えるけど、違う。起きてるさ。でも、いつもと違う。頭で交信できないから。
フツーに起きてたら、おいらたちは頭と頭で交信できる。
アニキが思ってることや見てることが、二本足のテレビみたいにおいらにも見えるんだ。

でも、そのときはなんにも見えなかった。頭の中のテレビが白くなっててなんにも映ってない。
寝てるときはテレビもないから、すぐわかる。寝てるんじゃない。
アハハハハハハハ
外で話してるアイツらの声。
おいらはまた小さい子のベッドに戻った。

そのうちドヤドヤみんなが家に入ってきた。
「ピッピー、またボクのベッドで寝てるかニャン。」
とか言って小さい子が入ってきたけど、すぐに出て行った。アイツはキッチンへ行ってガタゴト。
連れ合いもサンデッキで大きい子となんかやってる。片付けてるんだろう。
誰もアイツらの部屋にはいかなかった。

ジャージャー、水を出してる音。
ガタガタ、外の椅子をしまってる音。
ドタドタ、小さい子が走り回ってる音。
カチャカチャ、なんか片付けてる音。

外にゴミを捨てに行ったり、ランドリールームになんかを入れたり、トイレに行ったり、みんな行ったり来たりしてるのに、誰もアイツらの部屋には行かなかった。
おいらはぼんやりなんにも映ってないアニキのテレビをみたてけど、そのうち寝ちまった。

「ちょっと来て!チャッチャの様子がおかしいんだ。」
連れ合いのデカい声が響いて目が覚めた。キッチンにいたアイツが廊下を走ってった。
気がついたらしい。
(つづく)

Vol.0220■アニキ、再び

2007-01-23 | 猫の病気
ガンも大変だけど、糖尿病も大変みたいだな。
おいらは治ったけど、アニキはずっとがまんしてんのか?
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またアニキが大変なことになった。
注射のせいでケットウチとかいうのが下がっちまったのさ。
その日は二本足がいっぱいきてて、みんなでワイワイ、ゲラゲラやってた。おいらはいつも通り小さい子の部屋で、アニキはアイツらの部屋で寝てたんだ。

ちょっとデカい子が来ると、いろんな部屋を行ったり来たりするからおちおち寝てらんないんだけど、その日に来たのはヨタヨタ歩いてるような小さいやつで、おいらたちはぐっすり寝てたんだ。
邪魔されなけりゃ、少しくらいうるさくたって寝るさ。トシだし、ずっと二本足といるからね。
慣れちまってるのさ。

それがまずかった。
アニキは朝ちょっと喰って、インシュリンの注射をした後、ずっと寝ちまったんだ。すぐ近くに好きなネコ缶が入ったボールがあったのに、目が覚めなきゃ喰うわけない。その間にケットウチが下がっちまったらしい。

途中で目が覚めたかもしれないけど、もういつものアニキじゃない。
起きれたかもしれないけど、ボールまで行けなかったんだろう。
とにかく、アニキは喰えなかった。

二本足は相変らず、ワイワイ、ゲラゲラ。
途中でアイツが部屋に入ってったけど、いつものところで寝てるアニキを見ただけだったんだろう、すぐに行っちまったからね。
でも、アニキは寝てたんじゃない、動けなかったんだ。

(最近のアニキは部屋のすみっこで小さくなって寝るのが好き→)

「バイバーイ」
とか言う声がして、いっぱい来てた二本足が帰ってった。でも、アイツらはそのまま庭にいた。
外に行ったら、子どもだけじゃない、アイツも連れ合いも手になんか持ってワーワー遊んでたぜ。

「あらぁ~、ピっピ、どっから出てきたの?」
って聞かれたけど、ドアなんか開けっ放しさ。アニキだって出てきてもいいはずだった。ずっと家の中にいたんだからね。トイレだってしたいはず。
でも、アニキは出てこなかった。
アイツらはワーワー、キャーキャー。
気がつかなかった。
(つづく)

Vol.0208■頑ネコ 

2006-11-07 | 猫の病気
これ、メルマガ読んでる二本足が送ってくれたんだと。
アイツと連れ合いはゲラゲラゲラゲラ。
「ハロー♪ハロー♪ママ♪ママ♪ なんでもいいからしゃべって~☆」
いい気持ちで昼寝してんのに、うるさいな~。
==============================

「おー、チャッチャ!生きてたか?」
「また会えたね~。よかった♪」
「元気だった?腰抜けてない?」
「ママ、チャッチャ、歩けるよ!」

ガヤガヤ帰って来たアイツらは、みんなでワッとアニキを取り囲む。やっと外に出られると思って玄関に行ったアニキは外に出してもらえないまま、抱っこにナデナデだ。こういうときの抱っことナデナデはけっこう大変なんだ。外に出てトイレがしたいからね。最近、アイツらがずっといなかった日はいつもこうだ。

糖尿病のアニキのケットウチが下がって大変なことになってから、アイツらはアニキに、
「長生きしろ!」
「死んじゃダメだ!」
「しっかりするんだ!」
と、そりゃウルサイのなんのって。しかもケットウチを下げないための「喰え喰え作戦」で、アニキはボールを持って追いかけ回されてる。誰もおいらにはボールを持って追いかけてこないぞ!

そりゃ、アニキが元気なのはいいことだけど、ケットウチが下がらなけりゃいつも通りなんだ。だから喰いたくないときだってある。
(そんなときは背中を向けて→)

それでも喰わないと、
「頑固ネコ、略して“頑ネコ”だな!」
だなんて、連れ合いにまで言われて大変だよな。

きょうはあんまり暑くもなかったし、散歩するにはいい天気だった。家中のドアも開けっ放しだから、どこからでも出入りできる。アニキはあっちのドアから出てこっちのドアから入ってと、忙しそうに行ったり来たり。水を飲みに帰ってきちゃ、また出てく。なんだかんだとほとんど外にいたんじゃないかな?

これじゃ、ひつこいアイツもさすがに「喰え喰え作戦」ができない。最後にはあきらめてボールを投げ出した。で、いつもよりず~っと遅い時間に注射してたぜ。
「わーん、どうしよう。次の注射は夜中の3時になっちゃう~~」
とかなんとか言いながら。今回は“頑ネコ”の勝ちみたいだ。
(つづく)

Vol.0204■寝まんま

2006-10-27 | 猫の病気
床に紐が落ちてた。ちょっと前足で払ったらスッと動いた。
へぇ~
また払った。また動く。で、また払った。
トシとってからでも、けっこう面白いじゃないか。
==============================

この間話したオショクジドコロはうまくいかなかったみたいだ。
アイツはすぐにやめちまった。食べ物は出しとくと、上のところが乾いてあんまりうまくないんだ。
いっぱい出しても、みんな上のところがカラカラじゃね、アニキはますます喰わないだろう。

めんどうくさがんないで、よーく混ぜてカラカラがないようにして、手で喰わせる「お手々まんま」すんのが一番じゃないか?
おいらだって、よく混ぜてあった方がいいよ。
えっ?聞いてないって?
たまには聞いてくれよな。そりゃ、なんでも喰うけどさ!

次にアイツが始めたのが
「寝まんま」
アニキがグーグー寝てる目の前にドーンとボールを置いとく。  (これが噂の「寝まんま」→)

目が覚めたアニキはネコがいいから、起きたばっかりでボーっとしてて、腹が減ってるのかどうかも思い出せないうちに喰い始めちゃうんだ。

ちょっと喰ってから、
「外でトイレしたかったんだ。」
とか、
「喉が渇いたんだ。」
と思い出したりしてるみたいだぜ。

でも、外に行ったり、水飲んだりする前にちょっとでも喰ってくれるからアイツはウレシイらしい。
この間、ケットウチが下がって大変になったときも寝てる間に下がったしな。
なかなかいい手を考えたもんだ。
こうなると、アイツのひつこさとアニキの頑固さの勝負だな。
どっちもそう簡単には直んなそうだけど。

あんまり喰わなかった夜なんかはボールが2つ出る。
アニキはボールに挟まれて寝てるぜ。
これなら目が覚めたときに、絶対においがする。
アニキはとりあえず喰う。
で、また寝る。
また目が覚める。
また喰う・・・

「きゃ~☆ きれーに食べたわね~♪ なにが入れてあったかわかんないくらい、ピッカピカ☆ ボールを洗わなくてもいいくらいだわ。誰が食べたのかしら? ピッピ?
おいおい、なんでおいらにふるんだよ。朝まで一緒のベッドで寝てただろう? どうやってリビングのソファーの上のアニキの真横まで喰いに行くんだよ?
(つづく)

Vol.0202■お食事処 

2006-10-17 | 猫の病気
昨日は1日中大雨だったけど、今日はいい天気。
アイツらは服を濡らして乾かして、おいらは外で日向ぼっこ。
濡らしてないからすぐに毛がふわぁぁぁ~~だ。ほら、やっぱり水なんか使わないほうがいいんだ。
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アニキが大変だったんだ。
いつもみたいに糖尿病のインシュリンを打ったんだけど、あんまり食べないで寝ちまったもんだから、その間にケットウチとかいうのが下がって、歩けないほどフラフラになったんだ。
どれぐらい大変だったかは、アイツが書いたらしいからコッチを見てくれよな。
(元気がない時の四つ足は「ごま塩モード」。
いつもより白っぽく見えるんだ→)

すっかり心配になったアイツはいつもよりひつこく、ご飯の入ったボールを持ってアニキを追いかけまわした。でも、すっかり弱っちまったアニキはあんまり喰いたくなさそう。
目の前にドンっとボールを置かれても、グルッと回って行っちまう。
困ったアイツはいつでもお手々まんまができるように、手の上にご飯を載せて追いかけ始めたけど、これも上手くいかなかった。

中身だって違うんだぜ。
普段はあんまり出てこない、二本足が自分たちで喰ってるツナ缶に混合削り節を山のように混ぜたのが出てきた。
アニキはこれなら少しは喰った。
アイツは大喜び。キコキコおんなじ缶をたくさん開けてる。
「そんなに喰えんのか?いつもより喰えないってのに。」
と思いながら、おいらは足元でカリカリ喰ってたんだ。四つ足のだってうまいぜ!

喰い終わって部屋に行こうとしたら、びっくりだ。家中、ご飯だらけ・・・
まず、キッチンに1個。
アニキが好きなソファーの下に1個。
廊下に出たところに1個。
小さい子の部屋の前に1個。
アイツらのパソコンのある部屋に1個。
アイツらが寝る部屋に1個・・・

「なんだこりゃ?」
と思ってたら、
「いっぱいお食事処を作ったの。これだけあれば、どこかで食べるでしょう♪」
って、アイツが連れ合いに説明してる。
オショクジドコロ??
喰わないアニキにどっかで喰えってことか!

「チャッチャ、いい子だから食べてね。また、昼間みたいになったら大変でしょう?」
とアイツは何度もアニキに言い、寝ちまった。
ふ~ん。
オショクジドコロねぇ。

おいらは端から喰ってった。
みんなおんなじじゃないか!全部二本足のツナと削り節。
まずくはないけど、なんか味がないんだよな~、二本足のって。削り節は口の中にくっつくしさ。
やっぱりおいらはいつものネコ缶がいいなぁ~と思ってキッチンに行くと、
なっ、ない!いつものネコ缶がない!

ちぇ。
しょうがないから、キッチン、廊下、子どもの部屋の前、パソコンの部屋、アイツらの部屋と、
ちょっとずつハフハフ喰いながらアイツのベッドへどっこらしょ。
もう、寝てる。
「おいおい、おいらのご飯も忘れないでくれよな。」
(つづく)