シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0229■アニキ、再びⅩ

2007-02-27 | 猫の病気
なんか最近ヒマらしいぜ、アイツ。
だからおいらのブログが続くんだ。
わかりやすいよな。
==============================
 
砂糖水を飲んでよくなったみたいだったのに、アニキは吐いた。
すごい量だ。これが糖尿病なんだ。アイツは何度も何度も床を拭いた。二本足にだってわかるくらいのにおいなんだから、おいらにゃ、そりゃよくわかるさ。

連れ合いがアニキをタオルで巻いて抱いてる。
でもアニキはさっきよりしっかりしてる。聞こえてるし、見えてる。抱っこを嫌がって下に下りようとしてる。力がある。わかってる。
「急に水を飲んで苦しくなったのかしら?」
「とにかくなんか口にしただけでもましだよな。」
アイツらがアニキを挟んで話してる。

そのときだった。
ニャ―
アニキが一声デカい声で鳴いたかと思うと、連れ合いに上向きに抱かれたまま空中にオシッコをしたんだ。オシッコは上に丸くなって下に落ち、床の上でバシャバシャバシャバシャ音をたてながらそこに溜まった。

雨が止んだかドアの前で様子を見ていたおいら。
ビックリしてなんにも言えないアイツら。
オシッコが終わって、もぞもぞしてるアニキ。

(ホントはこうやってやるんだけどね→
終わったらちゃんとカキカキすること。
でもオシッコに触ると足が汚れるから、おいらはいつも関係ないとこカキカキするんだ。)

「チャッチャく~~ん、すごいじゃないか!こんなとこに、こんないっぱいオシッコして!」
大笑いしながらアニキと床の水を見比べてる連れ合い。
「良かった~、パソコンの方に向いてなくて。反対向きに座ってたらキーボード直撃よ!」
さっそく床を掃除してるアイツ。
きょうは床を拭いてばっかり。家がきれいになるぞ。

アニキはきれいになった床に下りた。ちゃんと立てるし、歩ける。
廊下をウロウロしてる。また水を飲むのか?(つづく)

Vol.0228■アニキ、再びⅨ

2007-02-21 | 猫の病気
「ピッピも喰うか?」
ボールを持ってアニキに喰わそうとしてた連れ合い。喰ってくれないもんだからおいらのとこに持ってきた。おいらはいつも2番めさ。生まれたのも、ご飯も。
==============================

ケットウチが下がってなんにもわかんなくなったまま、雨の中に30分座ってたアニキ。
帰ってくると、急に水を飲みだした。吐いたりもらしたりで、アニキの毛はとっくにゴワゴワだ。こういうのを二本足はダッスイショウジョウっていうんだ。

(なんか見てるみたいだけどケットウチが下がってるときは見えてない。耳も聞こえないから動かないんだ→)

こうなったら、背中の皮を引っ張っても簡単には元に戻んない。ゆっくりゆっくり戻る。
口の中はカラカラなんだけど、飲めないんだ。おいらもそうだった。なんにもわかんなくなってるからね。のどが渇いてることもわかんないのさ。

だからアニキが水を飲んだのはいいことだった。良くなってる。
でも、頭のテレビにはなんにも映ってないな。さっきほど真っ白じゃないけど。
なんか見えてるんだろうけど、それがなんだかわかってないんじゃないか?

おいらも外に行きたかった。でも、雨に濡れるのはかんべんだ。
ドアのそばにいって隙間から外のにおいをかいだ。まだ、降ってる。すごい水のにおいがする。でも音はずっと小さい。さっきより降ってないのかもな。
どうしようかな・・・。

グゲェェェェェグゲェェグゲェェ
そのとき急にヘンな音がした。
「吐いたぞ!」
連れ合いが叫んでる。
バタバタバタバタバタバタ
アイツが走る。

水を飲んだアニキはドアが開いてた大きい子の部屋にひょいっと入り、そこで突然吐いた。
電気がついて、連れ合いがアニキを抱いて飛び出してきた。アイツはしゃがんで後片付けだ。
大きい子は明るい電気の下で寝てる。スゴいよな、こんなにうるさくても明るくても起きない。

「大丈夫か?チャッチャ?」
連れ合いが聞く。アニキは抱っこを嫌がって下に下りようとしてる。力があって、しっかりしてる。これでも良くなってるんだろう。
(つづく)

Vol.0227■アニキ、再びⅧ

2007-02-18 | 猫の病気
「スゴいじゃない、ピッピ。アクセスが増えてるわよ!」
「なにが増えてるって?」
と思ったら、ブログを読んでる二本足が増えてるんだとさ。ありがとニャン。
==============================

糖尿病のアニキ。
ケットウチとかいうのが下がると、大変なことになる。
目も見えないし、音も聞こえない。もちろん、においもわかんない。
だから、食べ物が見つけらんない。目の前に出てても、見えなくてにおわないから喰えない。
というか、喰うことじたいがわかんなくなる。喰わないとケットウチは上がんない。
もっと大変なことになる――ってわけさ。

だから、アニキは目の前の食べ物が入ったボールの中に足を突っ込んで、そのまま通り過ぎていっちまう。なんにもわかんないんだ。アイツがお手々まんまなんかしたって、もちろんムダさ。わかんないんだから。なんにも見えない真っ黒な目でぜんぜん関係ない方をキョトキョトしてる。

こうなると、砂糖水しかないんだ。
普通の四つ足だったら絶対飲もうなんて思わないヘンなにおいのする水なんだけど、これをスポイトで飲ませるとアニキは元に戻る。クルマに乗って獣医に行かなくてもいいんだ。まっ、獣医に行ってもこれを飲まされるらしいけど。

ケットウチが下がったまま、雨の夜にサンデッキに出たアニキ。
砂糖水を飲んで、目が見えて、音も聞こえるようになったんだろう。歩けるようになった。
でも、頭のテレビにはなんにも映ってないから、やっぱりよくわかってないみたいなんだ。
ただただ外に出たかったんだろうな。雨で毛や肉球が濡れてるのもわかんないみたいだった。

でも、それ以上は歩けなかった。じっと座ってるだけ。
後には傘を差して濡れてもいいヘンな服をきた連れ合いが立ってる。
1匹と1人はずっとそこにいた。

おいらは雨だから家にいた。いつもだったらこんな天気のときはアニキだって家にいるさ。アニキはじっと座ったままだ。

(元気で雨がふってなきゃ、夜の散歩は最高なんだけど→)

そのうちやっと歩き出してドアに向かい、とうとう家に入った。
「ご苦労さま。どう?良くなってる?」
「じゃないか、歩いてるし。」
「30分ぐらい居たかしら?」
「かもね。雨でも外がよかったんだろうな。でも、なにも喰わないなぁ。」

アイツらがボソボソ話してると、アニキはスタスタとご飯の置いてあるところに向かった。
においがわかったんだろう。
ピチャピチャピチャピチャ
急に水を飲み始めた。喰わなくてもアイツらは大喜びだ。口になんか入れることを思い出したんだからな。(つづく)

Vol.0226■アニキ、再びⅦ

2007-02-17 | 猫の病気
またテレビでしょっちゅうラグビーをやるようになった。
おいらも二本足と一緒にソファーに座る。どっちが勝つかなんて、どうでもいい。
気になるのはどれだけアイツらにナデナデしてもらえるか、だけさ。
==============================

アニキはタオルからそっと出た。床に立つと不思議そうに周りを見てる。
少しは目が見えてきたのかもな。でも、頭のテレビにはまだなんにも映ってない。
「大丈夫か?チャッチャ。」
「歩けるかしら?」
「砂糖水が効いてきたのかな?」
アイツらが見下ろしてる。

アニキはゆっくりとフレンチドアに向かった。歩ける。
夜だからドアは閉まってる。しかも外は雨だ。
アニキはドアの前に座った。今度はスフィンクス座りじゃない。
ちょっとはよくなったんだろう。

「外行きたいか?チャッチャ。」
「座れるじゃない、すごいわ。外の空気吸っておいでよ。」
こういうとき、アニキは外に出たがる。おいらだってそうすると思う。
歩けるようになったら、元気になりたかったら、とにかく外だ。
(外は気持ちがいい。ウロウロしてるだけでも元気になるさ→)

連れ合いは上から下まで黒い服を着てきた。歩くとガサガサ音がするヘンなもんだ。
これを着てると雨に濡れないらしい。
めんどくさいよな、天気で服が違うなんて。
手には灯りが出る棒を持ってる。これぐらい暗いと二本足は見えないんだ。

(だからっておいらがトイレしてるとこ勝手に写真とんなよな。いいのか?このへん、草ぼうぼうだぜ!→)

ドアが開くとアニキはゆっくりサンデッキに出た。
連れ合いが棒に電気をつけて、丸い灯りが出た。灯りの中をキラキラしながら雨が落ちてく。
でも、そこまでだった。アニキは濡れたデッキの上に座った。
階段を降りてくほど元気じゃないんだろう。
連れ合いもそこで止まった。アイツが傘を持ってきた。

1人と1匹は傘を差してずっとそこにいた。
(つづく)

Vol.0225■アニキ、再びⅥ 

2007-02-09 | 猫の海外暮らし
子どもたちが学校へ行き始めた。やった!これで昼間のベッドはおいらのもの。
でもね、夜は一緒でもいいぜ。あったかいから。
==============================

アイツらは焦ってた。
「どうしよう、せっかく飲んだのに。全部砂糖水、吐いちゃったわ。」

アニキは朝からなんにも喰ってないから、出たのは砂糖水だけだ。
ケットウチとかいのはぜんぜん変わってないんだろう。アニキの頭のテレビは真っ白だ。
どんどん白くなって、ホントにもうなんにも映らなくなりそうだ。

連れ合いはアニキをくるんだタオルをまた替えて、アイツは砂糖水をまた作り始めた。
子どもたちは黙って飯を喰ってる。もう寝る時間なんだ。
誰も床の掃除をしないから、においがどんどん強くなってきた。
病気のにおい。弱った四つ足のにおい。アニキはよくなってない。

「飲ませすぎたのね。今度はもっと濃くしてみたわ。量は少ないけど・・・」
「とにかく、少しずつゆっくりあげてみようよ。」
「あんまり飲み込んでないわよね?これも吐いたら・・・」
「あーぁ。脇からもれたのが固まって、毛が砂糖でガチガチだ。」
「どれぐらい飲んでるのかしら?もっとあげたらまた吐いちゃう?」

アニキはもう鳴かなかった。
いつも言ってるけど、おいらたち四つ足はきれい好きだ。アニキはもらしたり吐いたりするとき、必ず鳴いて知らせた。ほんとうはそうしたくないからね。自分でできるなら、絶対そういしたいさ。できないから鳴くんだ。

でも、もう鳴かない。
出るものがないのか、鳴く元気もないのか?どっちもか?
真っ黒のなんにも見えてない目を大きく開いたまま、じっとして物みたいに抱かれてる。
においもわかんないし、音も聞こえてないだろうな。いつもだったら音のする方に勝手にクルクル動く耳が止まったまんまだ。

砂糖水を飲まされるのだけは嫌みたいだけど、さっきほど嫌がらない。もう力が出ないんだろう。
「どうか吐きませんように。」
アイツが立ち上がった。全部飲ませたんだ。

子どもたちが順番に「おやすみなさい」を言いにきて寝に行った。
アイツはノロノロと床そうじ。アニキは連れ合いに抱かれたままだ。

おいらはそのへんをウロウロ。夜だし、こんなに大騒ぎだし、ソファーで寝るって感じじゃなかった。四つ足だからね、においには敏感なのさ。
特に誰かが弱ってるにおいには。

(寝てるみたいだけど起きてるさ。
アイツが大っ嫌いなカメラで狙ってるしね。
ギューっと目つぶってんだ→)

「おっ、動いた。降りてみるか、チャッチャ?」
連れ合いが聞いてる。タオルにくるまれてずっと見えなかったアニキが顔を出した。
(つづく)

Vol.0224■アニキ、再びⅤ

2007-02-06 | 猫の病気
とうとう子どもが学校へ行くらしい。
「明日からまた静かになる・・・・」
って、アイツと連れ合いが喜んでるぜ。
==============================

連れ合いと子どもが帰ってきた。連れ合いはアニキを見に来たけど、そのまま行っちまった。
寝てると思ったんだろう。確かにそう見える。でもアニキの頭の中のテレビはまた真っ白だ。
交信なんかできない。これはやっぱりヘンだぜ。
(寝てるようにも見えるけどね→)

「ただいま~。誰かママにお水ちょうだーい。」
デカい声がして、アイツが帰ってきた。ゼーゼーハーハーしてる。外を走ってきたんだろう。そんなことしてなにが楽しいんだか。

ニャー
そのとき、アニキがスゴいデカい声で鳴いた。
「えっ?今のチャッチャ!!」
ドタバタみんながソファーに走ってく。

「チャッチャー!大丈夫?」
「大変、さっきよりワルくなってる。」
「ぐったりだ。」
「砂糖水、砂糖水!」
「がんばれ、チャッチャ。しっかりするんだ。」
「その前にタオル!これはきっと、おもらしするわよ。」

ニャー
アニキはまたスゴい声で鳴いた。苦しいんだろう。
あっという間に家の中が騒々しくなった。こんなことは初めてだ。よくなってからまたワルくなるなんて。

ニャー
普段は絶対出さないような腹の底から絞り出すような声でまた鳴いた。
「ダメだわ。うんちしちゃった。」
「誰か濡れタオルもってきて、あったかくして・・・」
大きい子が走り、連れ合いがアニキを抱き、アイツが砂糖水を飲ませてる。アニキは嫌がってる。

アニキをくるんだタオルが変わり、アイツがアニキのお尻を拭いてる。今のアニキには自分で舐めるのなんて無理だ。
「もうちょっと飲んでくれないかしら。」
「さっきより、ワルいな。」
「大きいのが出たから、今度はおもらしするかもね。いつもそうじゃない。」
「吐くかもな。効いてないのかな、砂糖水。」
「もういっぱい飲ませる?」

アイツらがガタガタやっていると、アニキは突然鳴き、そして吐いた。
飲まされた砂糖水が全部出た。床から砂糖のにおいが上がってきた。
(つづく)

Vol.0223■アニキ、再びⅣ

2007-02-03 | 猫の病気
新しい年になったら、けっこう続いてんじゃないか、おいらのブログ。アイツがヒマになったのか?
毎日ホント、いろんなことがあるぜ。忘れちまわないようにどんどん更新してくれよな。

==============================

隣の家まで行って帰ってくると、サンデッキにアニキがいた。
「アレ?もうよくなったのか?」
と思ったけど、なんかヘンだ。

そう、あの座り方→
なんでも名前を付けるのが好きなアイツらが、
「スフィンクス座り」って呼んでる、あれだ。
ケットウチが下がったとき、アニキは必ずこうやって座る。立てないんだ。
おいらだってめったにしないぜ、こんな座り方。腹が苦しいじゃないか。
ごろんと横になるかネコ正座の方がぜったいいい。

それに頭の中のテレビがあいかわらず白い。
さっきみたいに真っ白じゃないし、なにか映ってきそうだったけど、やっぱりなんにも映ってない。
ヘンだ。なんにも見えてないのかもしれないな。隣を通りすぎても、動かなかった。
「いいのか。このままで。」
と思って家に入ったら、連れ合いとアイツがいた。中からアニキを見てたらしい。

「前のときよりよさそうね。目も見えてるみたいだし。あたりかまわずイヌみたいに、においをかぎ回ったりしないところをみると、においもわかってるんじゃない?」
「あのときは大変だったよな。」
「そうよ~、鼻の頭を床にこすりつけてそこら中かぎまわって、壁に何度も激突してたじゃない。」
「それに比べたら、ずっといいよな、今回は。」
「軽症だったのね。早く気づいてよかったわ。そのうち歩くでしょう。」
とか言ってる。
ふ~ん。

アイツはキッチンに戻り、連れ合いはそのままアニキを見てた。おいらは小さい子の部屋に戻った。
カツカツカツカツ
少ししたらアニキが爪の音を立てながら廊下を通ってった。いつもの音と違うけど、歩いてった。

「大丈夫そうだな。ソファーにも自分で乗ったし。」
「でも、なんにも食べてないわね。これでもうケットウチ戻ったのかしら?」
「大丈夫じゃないか?歩けるんだから。」
「そうね。今回は早かったわね。よかった、たいしたことなくて。」
アイツらは喜んでた。でもアニキのテレビにはまだなんにも映ってない。

「じゃ、行ってくるよ。」
そのうち連れ合いが小さい子と出かけていった。アイツはキッチンでカタカタやってた。そのうち、
「ママちょっとジョギングに行ってくるわね。チャッチャも大丈夫そうだし。パパたちすぐに戻ってくるわ、郵便出しに行っただけだから。」
とかなんとか、大きい子に言ってる。

「はーい。」
大きい子は、自分のベッドで字がいっぱい書いてある紙をジーっと見たまま返事した。大きい子は動かない。アニキもソファーでじっとしたまま動かない。
(つづく)