シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0247■アニマル・コミュニケーター 

2007-04-28 | お知らせ
スゴいことがあったんだ。
タビの話の途中だけど、先にそっちの話をするよ。
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おいら、知らない二本足と交信したんだ。
ホントに話したんだ。

その日は大きい子どもの部屋で寝てた。アニキは小さい子の部屋。アイツは庭にしゃがんでなんかしてて、連れ合いはパソコンをカタカタやってた。天気のいい日で、けっこう暑かったからおいらはウトウトしてた。

「ピッピちゃん?」
突然、交信がきた。でも、普通の四つ足のとは違う。二本足みたいに話すんだ。頭の中のテレビも見えるけど、そんなにはっきりしてない。でもアイツのヘタクソなのから比べればよくわかる。
なんなんだ?この二本足。誰なんだ?

「元気?」
「うん。」
おいらはわかんないまんま答えた。どうせ二本足のことはいつもわかんない。だから慣れっこさ。

「今、シアワセ?」
「うん。」
これもそうだ。シアワセって「文句がない」ってことだろ?

「身体とか痛くない?」
「うん。」
別に痛いとこはない。

「ママが心配してるみたいだけど。」
「心配しないで。」
おいらに心配がないんだから、アイツが心配するこたぁない。それに誰かが心配しだすと、それが周りに移っちゃうからね、心配なんてしない方がいい。いつも言ってるけど比べないこと。
心配があるときに心配がなかったときと比べないこと。
そんなこと、意味ないからね。

「新しいお友達ができたの?」
「うん・・・」
そうか!タビのことだ。すぐにわかった。だって知らない二本足のテレビにはクロ猫が映ってたから。でもホントのタビよりずっと小さい。タビのデカさはあんなもんじゃない。

「ママがそのコがピッピちゃんのストレスなんじゃないかと心配してるけど。」
「ちがう。来たときはびっくりしたけど今はそうじゃない。」
って答えた。ときどき引っかいたりもするけどね。タビは毎日来て食ってくし、アイツらもご飯をあげて、「タビちゃん、タビちゃん」って言ってるから、もう元には戻んないだろう。
タビが来なくなるとは思えないし。

他にもいろいろ話した。怖くもないし、嫌な感じもしなかった。その二本足はアイツらの友だちなんだろう、後でおいらとなにを話したか、パソコンに送ってきたらしい。アイツはパソコンを見ながら泣いて、おいらのとこにも来てまた泣いた。おいらの交信がわかったのが嬉しいらしい。いつも同じこと伝えてるんだけど、アイツはわかってないからね。わかんないと心配になるのさ。

こういうことができる二本足をアニマル・コミュニケーターっていうんだと。
長い名前だよな。でもスゴいじゃないか、足が二本しかなくてもそんなことができるなんて。
で、自分のペットと話をしてほしい二本足がいたら代わりに話してくれるんだと。
ココから連絡してくれよな。今月中までなんだってさ。

そのとき、
「シロ猫ピッピの紹介」
って言ってくれってさ。たくさんの四つ足の写真が送られてきて大変みたいだぜ。
こんな風に誰かに交信してもらうのもいいかもな。だってアイツら、ホントに優しくなったもん。

(えっ?寝てるみたいに見えるって?交信の後は水をいっぱい飲むから水を忘れないで→)

(つづく)

Vol.0246■タビ物語-飯屋

2007-04-26 | 近所の猫
「ネコが一番、子どもが二番、3時のおやつは文明堂」
って連れ合いが歌ってる。
ホントだろうな?
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「ゆうべは大変だったのよ。夜中にタビちゃんが来てさ~」
朝からアイツが子どもと話してる。
「スゴい音だったよね、ママ。ビックリしたよ。泥棒が来たのかと思っちゃった。」
小さい子もデカい声で話してる。自分だけ見られなかった大きい子はちょっと悔しそうに言った。
「泥棒がニャーって鳴きながら来るの?」
みんなはゲラゲラ笑って、そのまま学校へ行った。

また夜になった。
アイツは夜中にタビが戻ってきて、きのうの夜みたいに騒がないか心配してた。
おいらもいつもよりちょっと長めに見回りをした。
でも、やつは庭にいなかった。ご飯も喰いに来なかった。

交信してみると、どっかの家にいる。でも、暗くて家の中なのか外なのかよくわかんない。
ドアの横に丸くなってじっとしてるのがぼんやり見えた。
とにかく、今夜は来ないだろう。
おいらとアニキとアイツは一緒に寝た。アイツは両脇においらたちがいるので大喜び。2匹をナデナデしながらすぐにグースカ、グースカ。

「おとといの夜は大変だったのよ。夜中にタビちゃんが来てさ~」
アイツは旅行から帰ってきた連れ合いにおんなじ話をしてる。
「へー。あのデカいクロ猫がね~。この辺に野良猫なんてまずいないだろうから、どっかの飼い猫なんだろうにね。よっぽどここで喰ったカリカリが気に入ったんじゃないか?」

「それで夜中に体当たりのおねだり?ずい分、荒っぽいわね。」
アイツはゲラゲラ笑いながら言った。
「困るなぁ。ここは飯屋じゃないんだから。よく言って聞かせないと。」
誰が誰になにを言って聞かせるって?その日もタビは来なかった。
(つづく)

Vol.0245■タビ物語-おやすみ

2007-04-24 | 近所の猫
子どもたちがまた学校へ行き出した。アイツらはすんごく喜んでる。
これでも「かわいがってる」って言うのか?
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「おやすみ。」
小さい子は自分の部屋へ。
「おやすみ。」
アイツはベッドへ。

アニキとおいらは廊下に残った。
ガラスのドアの向こうには外の電気に照らされて、頭から尻尾まではっきりわかる黒ネコのタビがいた。すごすごベッドになんか戻れるもんか。おいらたちはドアに寄って警戒した。やつはまるでドアを蹴破って来そうな勢いだった。

ガタガタ、ドンッ
ニャー
ガタガタ、ドンッ
ニャー


アイツが声をかけて、一瞬止まった体当たりがまた始まった。
アイツはベッドの中で起きてたけど、戻ってこなかった。



「お家に帰りなね。お家に・・・」
とヘタクソだけど、交信しようとしてる。こんなにヘタじゃ、タビには通じない。

ガタガタ、ドンッ
ニャー
ガタガタ、ドンッ
ニャー


しばらく音が続いた。スゴいやつだ。でも、アイツは寝ちまってヘタクソな交信も終わった。
とうとう外の電気が消えた。

ドアが開かないことがわかったタビは、あきらめた。
アニキがソファーに引き上げて、おいらもアイツの部屋に戻って、また足元に丸くなった。
もう戻ってこないだろう。四つ足だからね、タビの交信ぐらいわかるさ。今度は朝までぐっすり眠った。
(つづく)

Vol.0244■タビ物語-体当たり 

2007-04-21 | 近所の猫
おいらたちの話だと更新が遅れたりするのに、タビだとこんなに早いのはどういうこった?
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けっきょく、おいらはアイツと一緒に寝た。
連れ合いも一緒で2人と1匹じゃ、そろそろ暑い頃だったけど、1人と1匹ならワルくない。おいらはアイツの足の方に丸くなって寝てた。アニキはちょっとだけ一緒にいて、水を飲みに行ったついでにいつものソファーに戻っていった。

夜行性のおいらだって寝てたぐらいだから、そうじゃないアイツはホントにぐっすり寝てた頃、突然、玄関のドアがガタガタ鳴った。
おいらとアイツは同時に起きた。

ガタガタガタガタ
スゴい音だ。
アニキの頭のテレビもついてる。この音じゃ誰でも起きるぜ。

連れ合いのいない夜にこんなことになって、アイツは、
「どうしよう。」
と思ってた。でも、起き上がって、見に行こうとした。

そのときだった。
ニャー
デカい鳴き声がした。
タビだ。

ガタガタ、ドンッ
ニャー
ガタガタ、ドンッ
ニャー


タビはドアにぶつかりながら鳴いてる。
そうでなけりゃ、こんな音しないぜ。
アイツの部屋は玄関に近いからよく聞こえるんだ。

玄関に行くと外の電気がついてた。タビが動き回ってるから、電気が消えない。
ガタガタガタガタ、ドンッドンッ
ニャーニャー


家の中の電気がついてアイツが出てきたのがわかったタビは、もっと音を立てた。
デカい黒いからだをガラスのドアに押し付けてるから、頭から尻尾まで全部見える。

ガタガタ、ドンッドンッ
ニャーニャー
ニャーニャー


「タビちゃん、きょうはもう遅いからダメよ。ご飯ならお家に帰って食べて。この時間はみんな寝てるの。静かにしてね。おやすみ、またね。」
アイツはそう言っただけで、ドアを開けなかった。

「ママ、どうしたの?」
小さい子が起きてきた。アイツの声が聞こえたんだろう。
「あの黒いネコが騒いでるの。どうしたのかしらね。またご飯がもらえると思ったのかしら?ほうっておけば帰るでしょう。大丈夫よ、もう寝なさい。ママも寝るわ。」

でもタビは帰らなかった。
(つづく)

Vol.0243■タビ物語-鳴けば開くドア

2007-04-19 | 近所の猫
パソコンの調子も戻ったらしいし、話も長いしでどんどん更新だ。
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タビは知ってたんだ。
このドアは鳴けば開くってことを。
おいらたちがいつもそうしてるのを、遠くから見てたから。
だから玄関で鳴いたんだ。この間の昼間も、今夜も。

タビは真剣だった。腹を空かしてた。
やつの頭のテレビにはいろんなもんが映ってた。おいらの知らないもんもいっぱいあった。とにかく、アイツに一生懸命交信しようとしてたけど、通じるわけない。

「どうしたのかしら、こんな時間に。お腹空かしてるの?なんでお家に帰らないの?野良猫じゃないんでしょう?」
アイツにはタビの頭のテレビなんかまったく見えてなかった。勝手にあれこれ考えながら、とりあえずカリカリを出した。この間とおんなじだ。

腹ペコのタビは交信を止めて喰い始めた。
交信より飯だ・・・
相当腹を空かしてる。
(真夜中にやってきたタビ。喰うのに必死だった→)

「大きいからよく食べるのね。ホントに大きいものね。ピッピよりずっと大きいから10キロぐらいあるのかしら?足なんてスゴく太いものね~。まるでイヌネコだわ。どこのネコなのかしら?前からたまに見かけてたけど。」
喰ってるタビを見下ろしながら、アイツはつらつら考えてた。

おいらたちはその後から見てた。本当だったら、こんな時間のこんなやつ、絶対追っ払うところだけど、あっちは外、おいらたちは中。まぁ、きょうのところはいっか、って感じだった。飯だけ喰ったら帰るだろう。

ガツガツ喰ってボールから顔を上げたタビは、アイツを見上げてまた交信してきた。はっきりと。
でもアイツには通じない。
「お腹いっぱいになった?お家帰りなね、もう遅いから。」
とか言ってる。

アイツが空になったボールを取って、ドアを閉めようとすると、タビはその隙間から家に入ろうとした。
「ここはあなたのお家じゃないからダメよ。お腹いっぱいになったんでしょう?おやすみ。」
アイツはドアを閉めた。ドアのガラス越しに座ってるタビがはっきり見える。
でももう鳴いてない。

すぐに外の電気が消えた。動くものがないとこの電気は消える。
タビは行っちまったのか、座り込んでるのか。
(つづく)

Vol.0242■タビ物語-真夜中の訪問者

2007-04-17 | 近所の猫
アニキの長い話の次は、近所の四つ足の長い話。おいらのブログだけど、まっ、いいよな。
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その日は連れ合いがいなかった。
朝早くクルマが迎えに来て、1人でどっかに行った。
旅行のときしか使わないバッグを持ってったから旅行に行ったんだろう。

アイツと子どもはいつも通りだった。学校へ行ったり、パソコンでカタカタやったり、なんか喰ったりベラベラしゃべったり。おいらたちもいつも通りだった。連れ合いがいないくらいでなにも変わりゃしないさ。

ただアイツが、
「きょうは一緒に寝ようね~♪」
と、おいらとアニキを何回も抱いちゃ言ってた。夏の初めだったからそんなに寒くもなくて、その頃はよくソファーで寝てたんだ。
「まぁ、一緒に寝るのもいいかな?」
と思った。

子どもが寝て、おいらたちは夜の見回りやトイレで出たり入ったり。アイツはドアを開けたり閉めたりするのが自分しかいないから、面倒くさがってた。でもね、行かなきゃいけないときもあんのさ。アイツのシャワーも終わって、そろそろ寝る時間だった。

そのとき、玄関でニャーニャー鳴き声がした。
「えっ?ピッピ?チャッチャ?まだ外?」
アイツはあわてて玄関に行き、ドアのカギに手をかけた。でも、このときは気がついた。

声を聞いて、おいらとアニキも見に来たもんだから、廊下に1人と2匹が揃ったんだ。
さすがにぼんやりのアイツも、おいらたちじゃないってわかった。
ニャーニャー
ニャーニャー
外の声はもっと大きくなった。

ニャーニャー
ニャーニャー
なんてデカい声なんだ。

ピカッ
そのとき突然、外の電気がついた。夜に誰かが通るときだけつく電気がついた。
ガラスのドア越しに黒いデカい影が映った。

「タビちゃん!」
アイツはガチャガチャやってドアを開けた。
「どうしたの?こんなに遅く。もう夜中よ。お腹空いちゃったの?」
ニャーニャー
ニャーニャー
タビは鳴き続けた。
(つづく)

Vol.0241■タビ物語-出会い

2007-04-15 | 近所の猫
涼しくなってきたぜ、ニュージーランド。
毎日、毎日一生懸命喰ってるぜ。もっと寒くなる前にしっかり太っとかないとね。
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長い話をするよ。スゴく長くなるだろうな。だって、この話は今も続いてるから。
でもね、そろそろ話した方がいいだろう。

まだそんなに暑くない夏の初めの頃だった。
玄関でニャーニャー鳴き声がした。アイツはドアを開けた。
おいらたちだと思ったんだ。でも、そこにいたのはデカいクロ猫だった。たまに庭を横切ってくぐらいで、あんまり見ないやつだった。

アイツはビックリして、飛び上がりそうだった。
「どっ、どうしたの?うちの猫じゃないわ。玄関に?猫のお客さん?」
おいおい、声でわかんないのか? においでわかれとは言わないけど、声でもわかんないのか?
今度はおいらがビックリだ。アイツはワーワー言いながら、どういうわけか廊下にあったカリカリを出した。おいおい、それはおいらたちのだってば!

クロ猫はキョロキョロしながらもサッと喰った。野良猫みたいだ。
でも、やつは野良猫じゃない。おいらが行ったことのない道の向こうから来る。
あっちに家があるはずだ。でも腹を空かせてた。のども渇いてた。カリカリなんか喰ったら、もっとのどが渇くぞ。でも、けっこう喰った。

喰った後も玄関の前に座って、すぐには帰らなかった。
アイツは喜んでカメラを持ってきて写真なんか撮り始めた。カメラを向けてもぜんぜん平気。慣れてる。普通の四つ足だったらあんなもん向けられたら、すぐにズラかるさ。二本足に慣れてる証拠だ。

「キレイな靴下ね~。タビはいてるみたい。本当に真っ白じゃない。」
アイツはブツブツ言いながら写真をいっぱい撮った。やつはジッと見てるだけで逃げも動きもしない。堂々としたもんだ。そのうち、ゆっくりと帰っていった。

その日から、あのデカいクロ猫は正式に、
タビ
って呼ばれることになったんだ。
(つづく)

Vol.0240■マニュアル喰いとオートマ喰い 

2007-04-11 | 猫の海外暮らし
また子どもたちが、学校に行かないでずっと家にいるぞ。
昼寝の場所をどこにすっかな?
そうそう、パソコンが壊れちまって困ってるらしいぜ、アイツ。
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ケットウチが下がらないように、糖尿病のアニキの行くとこご飯あり、って話をしたけど、アニキもそうそう嫌がってるばかりじゃない。元々ネコがいいから、アイツらがそうしてほしんいんだったら、一生懸命がんばるほうなんだ。おいらとはぜんぜん違う。

どういう風にがんばるかっていうと、
「寝起き喰い」
これは連れ合いがやるんだけど、グーグー寝てるアニキの目の前、足や鼻先に触るようにボールを置く。わざと起こしてるようなもんさ。アニキは起きたばっかりでビックリ。なにがなんだかわかんない。だから、目と鼻の先のボールに顔をつっこんでとにかく喰いだすんだ。

「ほらね、やった、やった。ネコがいいぞぉ!」
と連れ合いは大得意。喰ってるアニキもなんで喰ってんのかわかんないはずだ。腹が減ってるかどうかも。顔を動かしようがないくらい目の前にボールがあるから、開いたところ、つまりボールの中に顔を入れただけってとこかな。

おんなじように、起きてるアニキの顔にボールをグッと近づけて喰わすやり方、
「はめ喰い」
もある。
これなんかも顔にボールがはまるようなもんだから、後ろにでも下がんない限り喰うっきゃない。
これも連れ合いがやるんだ。なんとかお手々まんまを しなくていいように、自分の手が汚れないように、ってそれしか考えてないんだ。わかるぜ。

アイツもやってるにはやってるけど、連れ合いほどひつこくない。いざとなったらお手々まんまをすればいいと思ってる。まぁ、その詰めの甘さで失敗してるんだけど。アニキの近くにボールを置いとくぐらいじゃダメなことはわかってるだろう?かといって連れ合いのひつこさもね。
こりゃ、大変だ、アニキ。

とにかく、世話を焼かないと喰わないってことで、これは、
「マニュアル喰い」
って呼ばれてんだ。こんなもんにまで名前つけんなよな~、二本足。他にやることないのか?

な~んにも手がかかんないおいらは、
「オートマ喰い」
なんだと。そっ、それがどうしたんだよ?ふん。

(さ~て、これは誰が喰ったか? 答え:2匹→)

(つづく)

Vol.0239■アニキとお供え

2007-04-03 | アニキ物語
「わ~い♪ 曜日はちょっとズレちゃったけど、3月のメルマガ、全~部出たわ!」
ってアイツが喜んでるとこみると、ホントはいつも全部出てないのか?
おいおい、聞いてないぜ、そんな話。
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糖尿病のアニキの行くとこご飯あり、だ。
いつもご飯が置いてあるはずのとこにご飯がないときは、アニキを探せばいい。
グーグー寝てるアニキの目の前、目が覚めたら真っ先に見えて、においがする鼻先にご飯が置いてある。しかも、混合削り節たっぷりなやつが。前は削り節なんてどうでもよかったけど、おいらも最近はあった方がいいかな?

でも一番いいのは開けたてのネコ缶さ。あの白いデッカ~い箱の中で冷たくしてないやつ、ね。
しばらく置いといて、上の方が乾いてるのはね~、今ひとつおいしくないんだ。
えぇ?贅沢だって?
でも、出てくるネコ缶が2種類しかないんだから、これぐらいは言わせてくれよな。

そうそう、ア二キとご飯の話だった。
なんでこんなにひつこく喰わせるかっていうと、糖尿病のインシュリンを打ったあとにケットウチが下がり過ぎないようにするためさ。ここでも何度も言ってるとおり。ちょっとしか喰ってないでぐっすり寝ちまうときが一番アブナイ。だからアイツらがみんなで出かけたり、寝ちまったときに問題が起きるんだ。(アブナかったときの話はコッチから)

「首からご飯をぶらさげて、いつでも食べられるようにできないかしら?」
アイツはいつもそう言ってる。見たことないぜ。首からフタの開いたネコ缶ぶらさげた四つ足なんて。ホントに二本足は自分たちの思いどおりにしたいんだな。

アニキも気の毒さ。喰いたくないときに「喰え喰え攻撃」にあったり、気持ちよく寝てる目の前でネコ缶のにおいがプンプンしたり。あんまりひどいと、クルっと後ろを向いて寝てるぜ。背中にご飯がくるようにね。それでもダメだと、ほかの部屋に行ったり、ソファーの上なら別のソファーに移ったり。



でもね、二本足はひつこくて、頭がワルい。そんなんじゃ、あきらめない。なんでアニキが逃げ出すのか、わかろうともしない。
「あら、またご飯にお尻向けてる!」
「今度は子どもの部屋だ!」
とかなんとか言いながら、アニキの目の前にまたドンとボールを置く。



それが「オソナエ」に見えるんだと。
なんだ、ソレ? で、

「チャッチャにオソナエしてある?」
ときた。まっ、そのせいもあってか、ここんとこアニキはけっこう元気なんだけどさ。
(つづく)