シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0151■一時休戦

2006-03-31 | アニキ物語
「なにが言いたいんだよ~。チャッチャはキミがいない間も、元気で生きてたじゃないか~」
と、連れ合いがブツブツ言ってる。アイツはシカトでメルマガの配信ボタンをクリック~。
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ガ――――――――――――――――ン。
連れ合いは可愛がってるアニキが逃げてって、すごいショックみたいだ。おいらがなにしたって、こうはならないだろう。ネコなで声どころか、ネコまたぎになっちゃったんだから仕方ないか。

「チャッチャがこの半分でも喰ってくれれば・・・」
ハフハフ喰ってるおいらを見下ろして、連れ合いはそう思ってた。いっしょうけんめい喰ってても、それくらいはわかるさ。
「ハ~」
ため息までついてる。トホウニクレルってやつか? よく意味は知らないけど。

アニキは子どものベッドの下に隠れてるはずだ。
さっきの子どもを怒るみたいな声を聞いてホントにびっくりしたんだろう。きっと、しばらく出てこないぞ。デッカい連れ合いがあの下に入るのは無理だろうな。

お手々まんまじゃないなら徹底的に喰わない気らしい。それはそれで、見上げたド根性。
「おいらにはぜんぜんわかんないけど・・・」
と思ってるうちに、けっこう喰った。連れ合いはキッチンで皿洗いを始めてた。
一時休戦ってことか。

喰い終わったおいらはキッチンへ。いつものようにドアの前に座る。泡だらけの手で連れ合いがドアを開ける。おいらは外へ。ペコペコだった腹もけっこういっぱい。その辺、ぶらっとしてこよう。

アニキは腹減ってんだろうな。外にも出たいはず。もしかしたら注射も打ってほしいかもな。アニキはインシュリンをぜんぜん嫌がってないから、ちったあ気持ちいいのか、それともネコがいいから我慢してんのか? まっ、おいらには関係ないけど。

「早く帰って来いよ。」
へ~、珍しい。連れ合いがおいらのことを気にしてるのか? そうか!おいらが帰ってこないと自分が寝れないってことか? どうするんだろ?このひとりと1匹。

←たまにはおいらの写真で。
(つづく)

Vol.0150■ネコまたぎ

2006-03-29 | アニキ物語
150号ってのはすごくいっぱいってことらしいな。なっ?四つ足だって続くもんなんだぜ。寝てばっかいても、けっこう話せばいろいろあるよな~。
いつも読んでくれてありがとニャン。
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「ボクはオトコのコだからね、チャッチャの気持ちがよ~くわかるんだ。」
連れ合いはよくこう言ってるけど、わかんないじゃないか。
アニキは逃げちゃたぜ、どーすんだよ。おいらだって腹ペコさ。
早くそのボールを下に置いてくれって。

「チャッチャ、ご飯だよ。早く食べて注射しよ。」
「ネコなで声」を出してんのがバカバカしくなったのか、連れ合いの声は普通の声になった。でも、頭の中はイライラカリカリ。
「早く喰わして、食器洗わなきゃ。」
とかね。

アイツが突然、香港なんかに行っちまったから、大変なんだろう。二本足にしてみりゃそうかもしれない。でも四つ足には関係ない。特に頑固なアニキにはね。
(部屋のすみでイジケ寝→)
アイツがいなくて「お手々まんま」がないなら、
腹がへってても、
ヤなもんはヤなのさ。

ドン。
連れ合いはアニキの前にもう1度ボールを置いた。今度は鼻の真下だ。においを嗅がせて喰わそうってことなんだろう。廊下のすみで、それ以上逃げられなくなったアニキはちょっと身を引くと、パッとボールを飛び越えた。
「ネコまたぎ」
ってやつ。

「チャッチャ~~!!」
今度は普通の声よりもっとコワかった。子どもを怒るときの声だ。アニキはとっくに走っていっちまった。あ~あ。おいらだってわかったぜ、こうなるってさ。

「ピッピ、喰うか?」
置いてかれた連れ合いは、とうとうそばにいたおいらに振ってきた。
もちろん、喰うさ!
(つづく)

Vol.0149■連れ合いの試練

2006-03-25 | アニキ物語
きのうは二本足がいっぱい来てたぜ。おいらたちは誰もいない部屋でグーグースースー。
「みんな帰ったな~」
と思ったら、子どもがふたり残って寝てった。これじゃ、子どものベッドで寝らんない。しょうがないからソファーで引き続きグーグースースー。
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連れ合いは廊下にいるアニキの前にツナ缶の入ったボールをドンと置いた。
「あ~ぁ、こんな置き方、絶対喰わないな。」
と思って見てると、やっぱり!
アニキはジリっと後ずさりすると、そのまま行っちまった。

ダメなんだ。アニキはこうやって
「喰え!」
って感じにされると絶対喰わない。なんでか知らないけど、そうなんだ。
もう14年近くも一緒にいるんだから、「なんで」じゃなくて、「そういうこと」ってことにしないと、どうにもなんないぜ。

「チャッチャ、ご飯にしよ。ねっ、まんまんだよ~」
連れ合いがボールを持ってアニキの後に続く。おいらたち四つ足にとって、こういうときの二本足がどんなにデカく見えるかわかるか?いくら一緒に住んでても警戒しちゃうさ。
特に連れ合いはデカいし、なにしでかすかわかんないし。

連れ合いは「ネコなで声」を出しても効かないから、かなりカッカきてた。
おいらたちはね、頭の中のテレビが見えちゃうから、いくら妙な声を出しても、なに考えてんのか、すぐわかっちゃうのさ。

「早く喰えよ、インシュリンが打てないじゃないか。ったく世話が焼けるネコ!」
って具合にね。
これじゃ、アニキがとっとこ逃げ出すのも無理ないよな。
(←でも、腹へったニャ~)

ところでおいらの飯は?
(つづく)

Vol.0148■連れ合いの挑戦

2006-03-21 | アニキ物語
久しぶりにアイツがブラッシングしてくれた。
気持ちいいニャ~ン♪
こういうときだけは、手があって物を使うのもいいな、と思う。
こういうときだけね。
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「チャッチャ~、ご飯だよ~」
連れ合いがおいらたちのボールを持って呼んでる。
呼ばれるのはアニキだけ。

アニキは糖尿病だから、インシュリンを打つ前にどうしてもなにか喰わせなきゃいけないんだ。おいらはガンで死にそうになったけど、どっこい生き残って今じゃ丸々太ってる。だから声もかかんない。
「てめえで喰え。」
ってことらしい。言われなくたって喰うさ、しっかりね。

「チャッチャ~、まんまんだよ~」
アニキが出てくる気配がないので、連れ合いの声はもっと優しく、薄気味悪くなった。
「ネコなで声」
って言うんだろ、こういうの。やだよ、こんなんでなでられたら。

アニキもそう思ったのか、出てこない。腹が減っても気が向かなければアニキは喰わない。背中の骨がつかめるほど痩せても、気が向かなければ喰わないんだ。それで一度、検疫所で大変なことになった。(その時の話はこっちから)

「チャッチャ~、さっ、まんまんしよう♪」
とうとう連れ合いはボールを持って歩き出し、アニキのいる廊下に向かった。連れ合いが持つと見慣れたボールが小さく見える。でも、あの中にはアニキの好きなネコ缶がたっぷり入ってる。おいらも好きなんだけどね。アニキが喰い終わんないと喰えそうにない。

連れ合いは座っているアニキの目の前にボールを置いた。

アニキはジリっと2、3歩後ずさりすると、そのままとことこ歩いて行っちまった。なんだか時間がかかりそうな気配。おいらはいつ喰えるんだ~?
(嫌なものは嫌でね~。ワルいけど、プイっ→)

(つづく)

Vol.0147■お手々まんま

2006-03-17 | アニキ物語
すっかり涼しくなってきて、昼間の日向ぼっこが気持ちいい。
ついついグーグー寝込んでたら、アイツらが出かけちまった。
あーん、昼寝の後は喉が渇くのに水がないニャ~ン!
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「要介護ネコ」なんて呼ばれて、アイツの掌から好きなもんだけ喰ってたアニキ。同じものがボールに入っててもたいして喰わないくせに、アイツの手からだと喰うんだ。
これが「お手々まんま」と呼ばれてずっと続いてた。

どこでも出歩けるほど元気なのに、なんでこんなことをするのかって?
高さがちょうどいい
(あんまり下を向かずに喰えるから。おいらたちは歯がほとんど残ってないから、あんまり下向くと口に入れたものが落っこちゃうんだ)

食べ物の表面が平らにならない
(知ってるだろうけど、おいらたちは箸やスプーンを使わない。足しかないから手も使わないで喰う。舌ですくうんだけど、何度もすくっているうちに食い物の表面が舌で押されて平らになっちゃう。こうなるといくら喰いたくても舌に引っかかってこなくて、喰えなくなっちまうんだ。舌も疲れてくるしね。でもアイツが指を動かしていつも食い物の表面が「お山」になるようにするから、アニキは喰いやすい)

ネコがいいから勧められると断れない
(いつも言ってるようにアニキはネコがいい。腹がいっぱいでもあいつが顔の下にグイっと手を差し出すと、ついつい喰っちまうみたいなんだ)

・・・と、四つ足にしては珍しく、「お手々まんま」の理由を考えてみた。

歯がないことにかけちゃ、おいらの方がもっとない。
表面が平らになると確かに喰いにくいけど、腹がすきゃおいらはがんばって喰うぜ。アニキのネコがいいのはもう、生まれつき。

というわけで、おいらには理由はよくわかんない。おいら?もちろん、しないさ、「お手々まんま」なんて。アイツはおいらがひがむんじゃないかと、何回もおいらにも勧めたけど、
んなもん、喰えっか! 
(←いろいろうるさくってスイマセンね~。寝るときは暗くて、こうやって四足全部の肉球がどこかにくっついてるといいんです。)

アイツが2週間も香港に行っちまったから、「お手々まんま」なんて一度もやったことがない連れ合いが、とうとう代わりをすることになったんだ。
(つづく)

Vol.0146■要介護ネコ

2006-03-13 | アニキ物語
前回はアイツがいなかった間の、おいらのことを話したけど、
今回はアニキのこと。
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アイツが2週間いなくて、
「なにが変わったかっていうと、なにも変わんなかった。ホントだぜ。」
って言ったけど、これはおいらに限っての話。
アニキにとってはおおいに違った2週間だったんだ。

というのも、アニキはアイツらが「お手々まんま」と呼んでるように、
アイツに手で喰わしてもらってたんだ!
あ~ぁ、バラしちゃった。
だからアニキの別名は、「要介護ネコ」。
(これが噂の要介護ネコ。「介護しろニャ~ン」→)

なんでそんなことをするかというと、
その1.アニキは気が向いた時に気が向いたものしか喰わない
その2.アニキは頑固
その3.アニキは糖尿病
その4.アイツらはいつも忙しい

ちゃんと喰わないで糖尿病のインシュリンを打つと、ケットウチとかいうのが下がって大変なことになる。
アニキはフラフラ、アイツらは真っ青。
まっ、今までに何度かそういうことがあったわけだ。
(それで病院に駆け込んだこともね。詳しくはこっち↓で)
「アニキ、万事休す」
「アニキ、万事休すⅡ」
「アニキ、万事休すⅢ」
「アニキの帰宅」

そうならないようにするためには、
「注射を打つ前にしっかりアニキに喰わせる」
ということになった。アニキがいつ、どれぐらい喰ったか見届けようというわけさ。
さて、どうするかだ。アニキは、その1でその2なんだぜ。

そこでアイツが「お手々まんま」を編み出した。
アニキが好きそうなものを手に載せて、辛抱強く食べさせる。これが忙しいアイツらには一番手っ取り早い方法だった。
アニキはキッチンの床の上ではあんまり喰わなくなり、腹が減ると廊下のカーペットに座って「ニャー」と鳴き、アイツを待つようになった。
そこへアイツが、
「はいは~い、お待たせぇ~♪」
なんていって暢気に出てくる。

「いいのかぁ、こんなに甘やかしてて。ピンピンしてるのに。」
と思ってたんだけど、アイツが香港に行っちまって、
要介護ネコ、ピンチ!
(つづく)

Vol.0145■オトコ暮らし

2006-03-10 | 猫の海外暮らし
アイツは自分がいなかった間の出来事にキョウミシンシン。
じゃ、ホントのこと言うよ。
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「ボクはオトコのコだからね、チャッチャの気持ちがよ~くわかるんだ。」
連れ合いはよくこう言う。
おいおい、おいらもオトコのコなんだけど。おいらの気持ちはわかんないのか?
連れ合いはとことんアニキが好きらしい。

アイツが香港に行っている間、家の中はオトコばかり。
連れ合い。
子ども2人。
おいらたち2匹。

で、なにが変わったかっていうと、なにも変わんなかった。ホントだぜ。
朝になってニャーニャー鳴くと、ドアが開く。
外に出て庭を一周。
腹が減って家に帰ると、ツナの缶詰がカパッと開く。

てきとーに喰って腹がいっぱいになったら、ソファーかアイツらのベッドか子どものベッドか、その日の気分で場所を決めて、あとはひたすら寝るだけ。
ときどき、掃除機や電話の音で邪魔が入るけど、どうってことない。
気が向けば外にも出るし、水も飲む。

子どもが帰ってきて、友だちが来てうるさくなったり、
みんなで出かけていって、静かになったり。
夜になって、また飯。
朝の残りを冷蔵庫から出すからちょっと冷たいけど、かまわないぜ。
これもいつもとおんなじだ。

でもひとつ違ったことがあった。
アイツが焼いてったらしいアジがときどき出るんだけど、これが違う。
なにが違うかというと、ツナと混ぜてあるんだ。アジのにおいでツナを喰わそうってわけらしい。
ちびちびちびちび出てきて、ちびちびちびちび喰う。

アジならアジ。
ツナならツナ。
はっきりしてほしかったけど、まっ、それもどうでもいい。
(←くっ、苦しいんだけど、アニキぃ。おいらの首に足が。これもオトコ暮らしの現実?!)
おいらは気にしない。がまん強いしね。出てくりゃ、喰うのさ。これがおいらたちのオトコ暮らし。

(つづく)

Vol.0144■アイツが帰って

2006-03-09 | 猫の海外暮らし
アイツが帰ってきた。おみやげは・・・なかった。
別にいいんだけどね。
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アイツが香港から帰ってきた。
「きゃー、ピッピ!太ったわね~」
抱き上げて顔をのぞきこんで、いきなりこれだ。自分だって丸々太ってんじゃないか。
ほっとけよな!

旅行になると出てくるおいらが大っ嫌いなスーツケースといい、靴といい、服といい、
どれもミョーなにおいがする。香港のにおいというよりも、いろんな二本足の数えられないくらいたくさんのにおい。ゲップが出そうだ。

アイツはワーワー興奮しながらしゃべってた。ずっと家にいなかったから、いろいろ話すことがあんだろう。頭で交信できないって、たいへんだよな。
いちいちこうやって顔を合わせて、口を忙しく動かして、言葉にしないと相手に言いたいことが伝わらない。
しかも二本足っていうのは、どうでもいいことをどうしても誰かに言いたいらしい。

静かになったな~
と思ったら、今度はグーグー寝だした。まだ外が明るいうちから。四つ足のおいらだってまだウロウロしてるっていうのに! 
アイツらのベッドで寝られなくなったので、おいらはアニキと一緒に子どものベッドへ。ほんとは別々でゆっくり寝たいんだけど、しょうがない。おいらたちにはベッドがないからね。
(おっ、重いんだけど、アニキぃ→)

これでいつも通りだ。
アイツがいないからって、なにがどうなるってもんでもなかった。連れ合いが忙しそうにしてただけだ。おいらたちのトイレも洗ってたし。
なんだ、やればできるじゃないか。

でも、なんとなく、みんなが揃ういつも通りの方がいいんだ。
ニャーと鳴けば、誰かがすっ飛んできてドアを開ける。3人より4人いた方がいい。
でも5人、6人と増えてくと、今度はおいらたちの居場所がなくなるような気になる。

だからね、
4人と2匹がちょうどいいみたいなんだ。
(つづく)