シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0198■置き去りⅡ

2006-10-03 | 猫の海外暮らし
家の中は静かなもんさ。子どもがいないとこうも違うかね。
日替わりでいろんなベッドでお昼寝さ!
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「じゃ、行ってくるからね。」
「元気でね、ピッピとチャッチャ。」
「帰って来るまで生き延びるんだぞ!」
アイツらはそう言って、クルマに旅行カバンをいっぱい積んで出て行った。

あとに残ったおいらとアニキ。
家の中はガラーンとしてる。
窓もドアも閉まってる。
ご飯と水だけはたっぷりあるけど、トイレは掃除していかなかった。

いつもはどっかにしまってあるデカいカバンが出てきたときから、ヘンだと思ってたんだ。
おいらはなにが嫌いって、アイツらが旅行に行くことと、飛行機やクルマ乗るのが嫌い。
写真も嫌いだけど、そんなのたいしたことない。すぐ終わるしね。

でもアイツらは行っちまった。
天気が良くても外に出らんない。
おいらとアニキはまだあったかいアイツらのベッドで、くっついて寝た。
他にすることもなかった。
(←こういうときは寝るのが一番)

どれぐらい寝たんだろう?
玄関のドアがガチャガチャいう音で目が覚めた。
誰か来た!
このにおいは・・・

アイツだった。

ドアが開くと、プーンとクルマのにおいもした。
クルマで帰ってきたんだ。
でも、アイツだけ。連れ合いも子どももいない。

「これからしばらく、ママとピッピとチャッチャだけで暮らすのよ。一緒に寝ようね。」
だって。どういうことだ?
そうか、連れ合いと子どもだけ旅行に行ったのか!

「もうみんなで旅行には行かないわ。ピッピとチャッチャを置いていけないからね。心配しなくていいのよ。どこにも行かないから。ずーっとっずーっと長生きしてね。ママは旅行なんてどうでもいいの。今までいっぱいしたしね。これからはずーっと一緒よ。」
だって。ホントか?

その夜、おいらはアイツのベッドで寝た。連れ合いがいないと寝るところがいっぱいある。始めは足の方で寝てたけど、朝になって手が見えたから頭の方に行った。
やっぱりね、寝ながらナデナデしてもらったぜ!
そっか、もうみんなで旅行には行かないのか~。
(つづく)