涼しくなってきたぜ、ニュージーランド。
毎日、毎日一生懸命喰ってるぜ。もっと寒くなる前にしっかり太っとかないとね。
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長い話をするよ。スゴく長くなるだろうな。だって、この話は今も続いてるから。
でもね、そろそろ話した方がいいだろう。
まだそんなに暑くない夏の初めの頃だった。
玄関でニャーニャー鳴き声がした。アイツはドアを開けた。
おいらたちだと思ったんだ。でも、そこにいたのはデカいクロ猫だった。たまに庭を横切ってくぐらいで、あんまり見ないやつだった。
アイツはビックリして、飛び上がりそうだった。
「どっ、どうしたの?うちの猫じゃないわ。玄関に?猫のお客さん?」
おいおい、声でわかんないのか? においでわかれとは言わないけど、声でもわかんないのか?
今度はおいらがビックリだ。アイツはワーワー言いながら、どういうわけか廊下にあったカリカリを出した。おいおい、それはおいらたちのだってば!
クロ猫はキョロキョロしながらもサッと喰った。野良猫みたいだ。
でも、やつは野良猫じゃない。おいらが行ったことのない道の向こうから来る。
あっちに家があるはずだ。でも腹を空かせてた。のども渇いてた。カリカリなんか喰ったら、もっとのどが渇くぞ。でも、けっこう喰った。
喰った後も玄関の前に座って、すぐには帰らなかった。
アイツは喜んでカメラを持ってきて写真なんか撮り始めた。カメラを向けてもぜんぜん平気。慣れてる。普通の四つ足だったらあんなもん向けられたら、すぐにズラかるさ。二本足に慣れてる証拠だ。
「キレイな靴下ね~。タビはいてるみたい。本当に真っ白じゃない。」
アイツはブツブツ言いながら写真をいっぱい撮った。やつはジッと見てるだけで逃げも動きもしない。堂々としたもんだ。そのうち、ゆっくりと帰っていった。
その日から、あのデカいクロ猫は正式に、
タビ
って呼ばれることになったんだ。
(つづく)
毎日、毎日一生懸命喰ってるぜ。もっと寒くなる前にしっかり太っとかないとね。
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長い話をするよ。スゴく長くなるだろうな。だって、この話は今も続いてるから。
でもね、そろそろ話した方がいいだろう。
まだそんなに暑くない夏の初めの頃だった。
玄関でニャーニャー鳴き声がした。アイツはドアを開けた。
おいらたちだと思ったんだ。でも、そこにいたのはデカいクロ猫だった。たまに庭を横切ってくぐらいで、あんまり見ないやつだった。
アイツはビックリして、飛び上がりそうだった。
「どっ、どうしたの?うちの猫じゃないわ。玄関に?猫のお客さん?」
おいおい、声でわかんないのか? においでわかれとは言わないけど、声でもわかんないのか?
今度はおいらがビックリだ。アイツはワーワー言いながら、どういうわけか廊下にあったカリカリを出した。おいおい、それはおいらたちのだってば!
クロ猫はキョロキョロしながらもサッと喰った。野良猫みたいだ。
でも、やつは野良猫じゃない。おいらが行ったことのない道の向こうから来る。
あっちに家があるはずだ。でも腹を空かせてた。のども渇いてた。カリカリなんか喰ったら、もっとのどが渇くぞ。でも、けっこう喰った。
喰った後も玄関の前に座って、すぐには帰らなかった。
アイツは喜んでカメラを持ってきて写真なんか撮り始めた。カメラを向けてもぜんぜん平気。慣れてる。普通の四つ足だったらあんなもん向けられたら、すぐにズラかるさ。二本足に慣れてる証拠だ。
「キレイな靴下ね~。タビはいてるみたい。本当に真っ白じゃない。」
アイツはブツブツ言いながら写真をいっぱい撮った。やつはジッと見てるだけで逃げも動きもしない。堂々としたもんだ。そのうち、ゆっくりと帰っていった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/a0/4469e8e1ae6f76f37c5fd4232a6bbdd1.jpg)
タビ
って呼ばれることになったんだ。
(つづく)