シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0241■タビ物語-出会い

2007-04-15 | 近所の猫
涼しくなってきたぜ、ニュージーランド。
毎日、毎日一生懸命喰ってるぜ。もっと寒くなる前にしっかり太っとかないとね。
==============================

長い話をするよ。スゴく長くなるだろうな。だって、この話は今も続いてるから。
でもね、そろそろ話した方がいいだろう。

まだそんなに暑くない夏の初めの頃だった。
玄関でニャーニャー鳴き声がした。アイツはドアを開けた。
おいらたちだと思ったんだ。でも、そこにいたのはデカいクロ猫だった。たまに庭を横切ってくぐらいで、あんまり見ないやつだった。

アイツはビックリして、飛び上がりそうだった。
「どっ、どうしたの?うちの猫じゃないわ。玄関に?猫のお客さん?」
おいおい、声でわかんないのか? においでわかれとは言わないけど、声でもわかんないのか?
今度はおいらがビックリだ。アイツはワーワー言いながら、どういうわけか廊下にあったカリカリを出した。おいおい、それはおいらたちのだってば!

クロ猫はキョロキョロしながらもサッと喰った。野良猫みたいだ。
でも、やつは野良猫じゃない。おいらが行ったことのない道の向こうから来る。
あっちに家があるはずだ。でも腹を空かせてた。のども渇いてた。カリカリなんか喰ったら、もっとのどが渇くぞ。でも、けっこう喰った。

喰った後も玄関の前に座って、すぐには帰らなかった。
アイツは喜んでカメラを持ってきて写真なんか撮り始めた。カメラを向けてもぜんぜん平気。慣れてる。普通の四つ足だったらあんなもん向けられたら、すぐにズラかるさ。二本足に慣れてる証拠だ。

「キレイな靴下ね~。タビはいてるみたい。本当に真っ白じゃない。」
アイツはブツブツ言いながら写真をいっぱい撮った。やつはジッと見てるだけで逃げも動きもしない。堂々としたもんだ。そのうち、ゆっくりと帰っていった。

その日から、あのデカいクロ猫は正式に、
タビ
って呼ばれることになったんだ。
(つづく)


最新の画像もっと見る