ホントにいつまでもあったかい。ときどき寒くなるときもあるけど、そんなときはアイツらのベッドにもぐりこんじゃう。いいよな、自分たちばっかりベッドがあって。おいらもほしいぜ。
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「きれいね。ちょっと前まで生きてたんでしょう。なんだか動き出しそうよ。
血もほとんど出てないし、苦しまなかったかな?怖かったかもしれないけど、ありがとうね。タビちゃんの贈り物になってくれて。土に返って天国に行ってね。そして、この木も元気になりますように。」
アイツは手袋をはめた手にネズミを載せて話した。離れていてもおいらにはアイツの頭のテレビが見えるから、これぐらいのことはわかるのさ。アイツはネズミの目を閉めようとしたけど、ダメだった。ネズミはアイツをジッと見たまま土の中に眠った。
おいらにもわかったぐらいだから、道の向こうにいたタビにだってわかっただろう。
もちろん、家の中でウトウトしてたアニキにも。タビが家に来るようになったのは夏の初め。今はまだ暑いけど、だんだん夏が終わりかけてた。夜になると虫がいっぱい鳴くようになって、草も濡れてる。ずい分、時間が経ったてことだ。
アイツは穴を掘った道具を片付け、家に入ろうとしたとき、
「タビちゃん!」
別の木の下にいるタビに気が付いた。いつの間にか庭に入ってきてたんだ。
「タビちゃんなの?ネズミを持ってきてくれたのは?」
「・・・・・・・・」
「どうもありがとうね。」
「・・・・・・・・」
「あなた、おうちがないの?どしていつもここにいるの?」
「・・・・・・・・」
「おうちがあるなら帰った方がいいと思うけど。ここには年をとった病気のネコが2匹もいるから、一緒には住めないわ。わかる?でも、ご飯ならあげられるわ。お腹が空いたらおいでね。」
「・・・・・・・・」
アイツは手を伸ばしてタビの頭をなでた。タビは首を引っ込めながらもなでられてた。
アイツの言ったことは全部わかっただろう。でもアイツは、タビの思ってたことはなんにもわかんなかった。
「タビちゃんて、妊娠してるんじゃない?」
「はぁ~、オスじゃないのか?あんなにデカいんだぜ。」
「からだは大きいけど大人しそうだし。なんとなく女の子のような気がする。とにかくよく食べるでしょ?おうちでも食べてるんだろうけど、足りないからここでも食べてくんじゃない?」
「オスだよ、タビくんだよ、絶対。」
アイツらは2人でボソボソ。
ほらね、やっぱりアイツはタビの思ってることなんか、これっぽっちもわかっちゃない。
(つづく)
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「きれいね。ちょっと前まで生きてたんでしょう。なんだか動き出しそうよ。
血もほとんど出てないし、苦しまなかったかな?怖かったかもしれないけど、ありがとうね。タビちゃんの贈り物になってくれて。土に返って天国に行ってね。そして、この木も元気になりますように。」
アイツは手袋をはめた手にネズミを載せて話した。離れていてもおいらにはアイツの頭のテレビが見えるから、これぐらいのことはわかるのさ。アイツはネズミの目を閉めようとしたけど、ダメだった。ネズミはアイツをジッと見たまま土の中に眠った。
おいらにもわかったぐらいだから、道の向こうにいたタビにだってわかっただろう。
もちろん、家の中でウトウトしてたアニキにも。タビが家に来るようになったのは夏の初め。今はまだ暑いけど、だんだん夏が終わりかけてた。夜になると虫がいっぱい鳴くようになって、草も濡れてる。ずい分、時間が経ったてことだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/5d/226ff6fa073915e5cc1e55bd6fb6e4cf.jpg)
「タビちゃん!」
別の木の下にいるタビに気が付いた。いつの間にか庭に入ってきてたんだ。
「タビちゃんなの?ネズミを持ってきてくれたのは?」
「・・・・・・・・」
「どうもありがとうね。」
「・・・・・・・・」
「あなた、おうちがないの?どしていつもここにいるの?」
「・・・・・・・・」
「おうちがあるなら帰った方がいいと思うけど。ここには年をとった病気のネコが2匹もいるから、一緒には住めないわ。わかる?でも、ご飯ならあげられるわ。お腹が空いたらおいでね。」
「・・・・・・・・」
アイツは手を伸ばしてタビの頭をなでた。タビは首を引っ込めながらもなでられてた。
アイツの言ったことは全部わかっただろう。でもアイツは、タビの思ってたことはなんにもわかんなかった。
「タビちゃんて、妊娠してるんじゃない?」
「はぁ~、オスじゃないのか?あんなにデカいんだぜ。」
「からだは大きいけど大人しそうだし。なんとなく女の子のような気がする。とにかくよく食べるでしょ?おうちでも食べてるんだろうけど、足りないからここでも食べてくんじゃない?」
「オスだよ、タビくんだよ、絶対。」
アイツらは2人でボソボソ。
ほらね、やっぱりアイツはタビの思ってることなんか、これっぽっちもわかっちゃない。
(つづく)