シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0255■タビ物語-タビの妊娠?!

2007-05-24 | 近所の猫
ホントにいつまでもあったかい。ときどき寒くなるときもあるけど、そんなときはアイツらのベッドにもぐりこんじゃう。いいよな、自分たちばっかりベッドがあって。おいらもほしいぜ。
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きれいね。ちょっと前まで生きてたんでしょう。なんだか動き出しそうよ。
血もほとんど出てないし、苦しまなかったかな?怖かったかもしれないけど、ありがとうね。タビちゃんの贈り物になってくれて。土に返って天国に行ってね。そして、この木も元気になりますように。」

アイツは手袋をはめた手にネズミを載せて話した。離れていてもおいらにはアイツの頭のテレビが見えるから、これぐらいのことはわかるのさ。アイツはネズミの目を閉めようとしたけど、ダメだった。ネズミはアイツをジッと見たまま土の中に眠った。

おいらにもわかったぐらいだから、道の向こうにいたタビにだってわかっただろう。
もちろん、家の中でウトウトしてたアニキにも。タビが家に来るようになったのは夏の初め。今はまだ暑いけど、だんだん夏が終わりかけてた。夜になると虫がいっぱい鳴くようになって、草も濡れてる。ずい分、時間が経ったてことだ。

アイツは穴を掘った道具を片付け、家に入ろうとしたとき、
「タビちゃん!」
別の木の下にいるタビに気が付いた。いつの間にか庭に入ってきてたんだ。

「タビちゃんなの?ネズミを持ってきてくれたのは?」
「・・・・・・・・」

「どうもありがとうね。」
「・・・・・・・・」

「あなた、おうちがないの?どしていつもここにいるの?」
「・・・・・・・・」

「おうちがあるなら帰った方がいいと思うけど。ここには年をとった病気のネコが2匹もいるから、一緒には住めないわ。わかる?でも、ご飯ならあげられるわ。お腹が空いたらおいでね。」
「・・・・・・・・」

アイツは手を伸ばしてタビの頭をなでた。タビは首を引っ込めながらもなでられてた。
アイツの言ったことは全部わかっただろう。でもアイツは、タビの思ってたことはなんにもわかんなかった。

「タビちゃんて、妊娠してるんじゃない?」
「はぁ~、オスじゃないのか?あんなにデカいんだぜ。」
「からだは大きいけど大人しそうだし。なんとなく女の子のような気がする。とにかくよく食べるでしょ?おうちでも食べてるんだろうけど、足りないからここでも食べてくんじゃない?」
「オスだよ、タビくんだよ、絶対。」
アイツらは2人でボソボソ。

ほらね、やっぱりアイツはタビの思ってることなんか、これっぽっちもわかっちゃない。
(つづく)


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