ハスの種子は堅い果皮に被われているため水中に落ちてもなかなか発芽しないことはよく知られている。それ故千年を越えて眠り続けることが出来るのである。しかし、土中で長く眠り続ける種子はまれで、多くは何らかの原因で果実の内部に水が浸漬して発芽に至る。大賀池でも毎年幾つかの自然発芽種子を見つけることができる。今朝池を見に行った際に、池の縁で小さな葉 が出ているのを見つけ、土中を探ってみると、つい最近発芽した種子であっ た。大賀先生や豊田氏はハスの自然発芽はきわめて珍しいことであると、報告されているが、日本ではハスが自然に近い状態で生育している所が少ないことと、周囲を草に被われたり水深が深かったりするため、発芽がまれというより、発芽種子が見つかるのがまれといった方がいいのかも知れない。
東京の府中市立中央図書館の館長さんから「府中市図書館だより」が届きました。その巻頭に館長さんが『大賀文庫と大賀蓮のこと』を寄せられています。それによりますと、図書館で保存してきた大賀文庫を図書館移転に伴い整備することになったとのことです。その整備作業を要約しますと4点になります。①図書をデータベース化しインターネット上で検索できるようにする。②「大賀文庫目録改訂版」を発行する。③資料保存のための延命処理をする。④蓮に関する図書を広く収集し、大賀文庫を中核として、関連分野包含した蓮文化を全国に発信する。
それと図書館有志による‘大賀蓮開花プロジェクト’もそれにあわせてスタートしたようです。府中市の‘水と緑ネットワーク事業本部’から大賀蓮の蓮根を分けてもらい、それを図書館2階のベランダに植えられたようです。また当池で採取した果実10粒も差しあげており、明日の7日にその発芽処理をされる予定だと聞いています。ちなみに大賀先生が検見川より出土した3粒の発芽処理を始めたのは1951年5月6日でした。
大賀先生は生前『府中は蓮のメッカなり』とよくおっしゃっていたそうですが、没後40年をへてその言葉が蘇ってきたのです。図書館の整備計画④では全国発信となっていますが、英語版のHPも併設されて全世界へ【蓮文化】を発信していただきたいものです。
大賀文庫を初めとして蓮文献が充実した新しい図書館、その傍らで大賀蓮が咲いている。大賀先生が生きておられたら、その光景を見てきっと『端座瞑目感涙滂沱』と発せらるでしょう。
府中市立図書館のHPは http://lib.city.fuchu.tokyo.jp/