第4章『”命のシナリオ”に耳を傾ける』の 「農薬を使った作物に生命のエネルギーはない」を要約します。
自然界にあるもの全てはつながりをもっており、互いに影響し合いながら微妙なバランスを保っている。そのため、人間から見ると「不要」なものでも、自然界にとって「必要」なものがある。
人間は農作物を育てるとき、害虫被害を防ぐために農薬を使う。実は、害虫であれ益虫であれ、虫が作物にとまることによって増える栄養素がある。虫から植物に取り込まれた栄養素は、その植物を食べた動物の生命維持に貢献している。しかし、この栄養のチェーンは、現在の農薬によって断ち切られてしまっている。
農薬はさらに、農作物のエネルギーの根源でもある土壌生物たちの命を奪っている。やせた土地に作物が十分育たないので、そこに化学肥料がまかれる。化学肥料の力で作物はできるが、それは形だけのエネルギーのないものになってしまう。日本の農作物の栄養素の量が年々減ってきているのは、このためである。
次に、農作物に及んでいる人工的な被害として、「水」の汚染問題がある。人間の体に入った
毒素は、よい水を飲むことである程度排出されるが、これは植物も同じ。しかし、その毒素を浄化するはずの水自体がが汚染されているとしたら、毒素はたまる一方である。
そして、3つ目の問題はハウス栽培である。ハウス栽培の目的は、害虫被害の軽減と室温管理だが、ビニールよって太陽光線が遮断されるデメリットがある。ビニールなどで太陽光を線を遮断すると、植物に降り注ぐ紫外線が減り、結果としてビタミンやポリフェノールなどの抗酸化物質の含有量が減ってしまう。
私たちは食べ物からエネルギーをもらっているのだから、その食べ物自体にエネルギーがなければ、いくら食べても健康になれない。自然な環境で育った食べ物を食べない人間が、自然の中で強く健康に生きられるはずがない。
日本では、多くの農家が農薬や化学肥料を使っているが、無農薬や有機栽培に取り組んでいる人も増えている。値段は、一般的に高いが、それは文字通り「命」の値段である。命を養えるのは、命だけである。生命エネルギーをもつ作物は、生命エネルギーのある土地でしか作れない。土壌細菌が健全であれば、野菜も果物も穀物も、とても健康に育つ。健康に育った食物は、体に入った時に、腸の中にいる腸内細菌を健全にしてくれる。農薬は危険なものであることを再認識してほしい。