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インテリアコーディネーターのブログ。
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12月19日 2007年インテリアトレンド大予測!

2006-12-19 | インテリア/建築
キーワードは
本物志向

各種のメーカー、好まれるインテリアのスタイル・・・流行を発信していく機関、それから全国の自治体に至るまで、どうやら、この言葉に集約されるような気がしてなりません。

まず、住宅に携わる各種のメーカーの商品展開を見てみましょう。

2006年のミラノサローネで発表された内容を踏まえ、各社とも、次代に発信していくべきテーマを絞り込んで来ました。
わかりやすいところで言うと、樹脂シートがかなりリアルな木目を表現しているという点です。恐らく、来年度中にはどのメーカーからも新しい木質を強調した商品が発表され、2008年を迎える頃には、トレンドの中心的な役割を担っているのではないでしょうか。


トステム 室内建具 ウッディライン(プラム色)


YKKAP 玄関ドア デュガードG-taste(レアルウォールナット色)

システムキッチンや洗面化粧台などの水まわり設備においても、その傾向は高まりつつあり、ここ数年ですっかり主流となった鏡面パネルとは対照的に、空間に溶け込む家具のような木質感が数多く展開されてくることが予測されます。


INAX システムキッチン イスト(アジャストオーク色)


INAX 洗面化粧台 L.C.(アップルブラウン色)

それでは、好まれるインテリアスタイルの傾向を考えてみましょう。

「流行」について考える時に、「たまごが先か?にわとりが先か?」ということをいつも考えます。「流行」には必ず仕掛け人が居ます。しかし、それが受け入れられなければ、その「流行」は成立しません。
そういった点から考えると「消費者」は、単純に発信された「流行」に乗っているわけではなく、きちんと選択して取り入れる。最終的な「流行」を形成しているのはやはり、「消費者自身」である。ということがわかります。

そこで、この木質素材との結びつきを考えてみましょう。

特に、団塊の世代に代表されるような、ある程度の年齢の消費者にとって、「木」が「木らしくあること」を見過ごせない方はたくさんおられるのではないでしょうか。「モダン」なテイストは、一歩間違えると「安っぽい」印象さえ与えてしまう。
どっしりした落ち着きを追求すると、やはり「木目」は捨てられない。しかし、これまでのような「オーク材」では古臭い感じが否めない・・・。

と、いうわけで、前述のような新しい木質材の展開が次代にとって不可欠な存在となるわけです。
じぃ~っと見ていると、良いものは良いですよね。
それらを若い世代の人たちが受け入れるには、差ほど時間がかからないハズです。幅広い年齢層に受け入れられる、そして、10年後も20年後も色褪せない存在感が、求められていると思います。

次に、流行の発信者サイドや自治体といった大きな力を持つ機関の方向性について考えてみましょう。

例えば、JAFCAが2006年から2007年にリビングカラーとして次のように発表しています。
カラーテーマ
Cultivation-極める喜び
色のニュアンスを深めるカラー展開を

●カラーパレットのコンセプト
 近年、先進諸国が標準化し、どの国にいっても同じような都市の顔がみられる。そのような世界標準になるために実は抑圧して壊してきたものはなかっただろうか、その生活は体も心も快適だろうか。
 今、地球規模で好まれるデザインを考えると同時に、その国の風土にあった自国独自のデザインを探す動きが活発になってきている。特に日本人の色彩感覚は四季折々の自然を取り入れながら微妙で繊細な感性があるといえるだろう。
 今回のカラーではそうした日本人の繊細な色彩感覚を基本にし、色のニュアンスを表現することを大事に考えている。

●カラーの特徴
 アップトレンドカラーは、市場動向を考慮にいれて選定している。今回はダークブラウンを中心に据え、回りに相性のよい色を配置した。全体に色調を柔らかい方向にしている。これらの色の中からいくつかの色をミックスしてもいいし、表面に凹凸、不規則に光る材料を混入する、あえてムラを作るなど、各色とも単調な表現ではなく、ひと手間加えたことが分かるような仕上がりを期待したい。
(JAFCAのサイトより引用)

さらに、2006年12月14日付の日本経済新聞には、次のような記事がありました。
「街の景観」規制で守る。
全国の自治体が、街中の景観保護に動き出した。東京都は2007年度から、高層建築物の外壁の色を規制。京都市は看板などの広告物の屋上設置と点滅式ネオンの使用を市内全域で禁止する。
(以下略。)


先日、京都で施行される条例案の概略については、私も目を通しました。内容はこれまでの生活から勘案するとかなり厳しいもので、少し無理のあるものもあります。ですから、簡単には受け入れることのできない条例だとも思いますが、「色」の部分に限定して考えると、個人的には良い内容だと感じています。

例えば、横浜市で起こったピンクマンション事件などは、私の記憶にも新しいのですが、今、(そういえば、そんなこともあったなぁ~。)と思い出された方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
1997年、もともと梅林だった横浜市青葉台に突然ピンクのグラデーションのマンションが建ち、周辺住民と対立しました。これはオーナーの個人的な趣味で行ったものだそうで、当時はテレビをつける度に、対立の様子が報道されていたように思います。
私は、当然その後、塗り替えられたものだと思っておりましたが、未だ、ピンクのまま、そこに存在しているそうです。

このような景観を壊す配色を「騒色(そうしょく)」と呼びます。

これまで、個人的な趣味というあいまいなものでつくられてしまう、これらの騒色を、規制することができませんでした。その為に日本には様々な色があふれてしまったように思います。改正景観条例では、色の三要素「色相・明度・彩度」を数値で段階的に表現するマンセル記号を使い、使用できる色に制限がつけられます。

海外の街並みに酔いしれて帰国すると、日本の不統一な住宅にがっかりしてしまうことがあります。「日本の住宅のスタイル」がすっかり明確ではなくなりました。
「和風」「洋風」なんて言葉もありますが、「洋風」住宅も立派な日本の住宅に違いありません。それを見た観光で訪れる外国人の人たちは、日本の街並みをどんな風に感じるのだろう。と考えることもあります。

JAFCAもテーマとして掲げたように、体も心も快適な暮らしとは、自国の風土にあった自国のデザインを追及することなのかも知れません。
これもまた、「本物」。つまり数十年、数百年後も色褪せない、長く大切にできる住宅をつくることが、これからの新しいテーマ。
そして、2007年はそれを現実化させるべく、具体的に取り組むスタートの年となるのではないでしょうか。