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インテリアコーディネーターのブログ。
住まいのこと。インテリアのこと。仕事のこと。子どものこと。。。

12月28日 仕事おさめ

2007-12-29 | インテリア/建築
本年も大変お世話になりました。
明日12月29日(土)より2008年1月6日(日)までお休みさせて頂きます。
皆様が、素敵な年末年始をお過ごしになられますことを心よりお祈り申し上げます。

2007年、平成19年という年号にようやく慣れた頃、今年も終わろうとしています。
毎年、「早かったぁ~。」という会話をしている様な気がしますが、今年は私にとって特別に短い一年でした。

女性が必ずかかると言われる病気、「30歳までに○○病」。
私も、例に漏れず、それにかかりました。意識し始めたのは、ちょうどこのブログを立ち上げた2005年。
2005年、2006年、2007年・・・その日が近づくにつれて、ますますその病は重くなったような気がします。

2007年の幕開けと同時に私のタイムリミットは10ヶ月。

超えてみたら別に何でもなかったのに、なぜ、あんなにも焦ったのだろう?

そんな時間を超えた人の多くが、その頃を振り返ってそう言います。
確かに、超えてみたら別に何も変わらない。でも、この3年が私にとって、今後の人生において大きな3年だったと、2008年を目前に迎えた今、確信しています。(なんだかとっても大袈裟かもしれないけれど。)
焦ったから出来た。焦らなければ出来なかった時間の過ごし方だったのかも知れません。

2005年当初、私がぼんやりと掲げた自分に対するノルマ、「30歳までにこうなっていたい」という自分像は、その日が近づくにつれて膨らみました。
あの時掲げた目標、あの時に見た今現在の私に、私はそれほど期待をしていませんでした。だから、この程度で満足するのは、恥ずかしいことかも知れないけれど、出来過ぎだったかなぁ。とも思っています。

2007年12月28日、仕事おさめの今日の内に今年1年を振り返っておきたかったのだけれど、0:00をまわってしまいました。今年最後のブログだというのに、なんだかまとまりがつかないけれど、とにかく、格別に短く感じた2007年は、公私共に、私を大きく成長させてくれた1年でした。

2008年は、新たな一歩を踏み出す年、新しいスタートを切る年にしたいと思います。

本年もありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い致します。

12月25日 向日市の家開発秘話 完結編

2007-12-25 | インテリア/建築
「せっかくいい家になったし、外構も何かした方がいいと思うし、プラン頼むわ。」
向日市の家がそろそろ完成を迎えようとしていたある日、営業の担当者からそんな依頼がありました。
その翌朝、いつものように出勤し、席に着こうとした時のことです。
現場担当I:「今日これから時間あったら、現場見に行きたいんですけど?」
どうやら昨日の依頼は、急ぎでプランを作る必要があった様。早速、Iの車に乗り込みます。
私「外構って、どこまでするの?予算は?」
I「・・・・・・」
ハチセが建てる平均的な新築住宅の場合、外構プランといっても、カースペース部分のほんのわずかな空間。ところが、この住宅に限っては通常の数倍の広い庭を持っています。予算を聞いたところで、それに見合ったプランなんて、実は検討もつきません。
ただ、あきらかに違うのは、現場担当者と営業担当者のテンション。
(さて、どちらを信じるか・・・。)

工期を迫られた現場は、騒然としており、掘り返された庭には球根が散らばっていました。ちなみに、改装工事に入る前は、こんな感じでした。
 

雑然としてはいるものの、仕上がった外観は立派なものでした。
改めて、庭の前に立ち、そっと目を閉じて見ます。
私の頭の中に、美しい庭が出来上がるまでには、それほどの時間を要しませんでした。

会社へ戻る車の中で改めて考えます。
営業担当者からの直接の依頼、通常なら現場担当者を介するのに、わざわざ直接・・・。
(まずは、必要以上に予算にとらわれない計画でいいのではないだろうか?)

図面の中にプランを落とし込んでいきます。いつもそうとはいきませんが、ここのプランには多くの時間を必要としませんでした。イメージができるとそのイメージに沿ったアイテムを探します。うまくプランが進む時というのは必ずこの順序で作業が進みます。逆に思い通りに進まない時は、商材選びから始まります。

翌日には、見積りを依頼をします。
数日後あがってきた金額は、ハチセの平均的な新築住宅(土地面積30坪程度)の場合の4~5倍程度。それでも、私なりにコストにも気を配り、抑えられる部分は抑えて作成したプランでした。
見積書とプランとともに、担当者会議が行われます。
その現場に関わる担当者に社長を加えた総勢6名。
(さて、どの部分が削られるだろうか?)
そんな私と現場担当者の思いは、良い意味で裏切られました。
「バーベキューコンロ、いるやろう?」
「以前から生えている木は、植え替えた方が良くない?!」
など、要望は増えるばかり。
(それなりのプランを提出しておいて良かった。)
と、胸を撫で下ろす瞬間でした。
ここから先は、プロにお任せします。予算と要望に合わせて、私の作成したプランを足し算、引き算・・・。

 
あたたかくなり芝が育てば、太陽の光を浴びて、赤いレンガとのコントラストがより一層引き立つことでしょう。実はまだ、完成の様子を見に行けていません。来年早々には見に行きたいと思っています。

新しいシリーズとして全6回でお届けした開発秘話も今日で完結編。この住宅以外にもその完成までには数々の物語があります。これからはそんなお話しも取り上げていきたいと思っています。また、この向日市の家は、一般公開後すぐに旅立って行きました。深く関わった住宅が早々に生活の場となることには、何度経験しても感無量です。

12月21日 向日市の家開発秘話Vol.5

2007-12-21 | インテリア/建築
今日は前回の予告通り、LDKの設備についてご紹介したいと思います。
まずは、ここに設置する窓選びから。
南向きに大きく面する大空間リビング。そして目の前には庭が広がるという最強の空間。

担当者I:「全開放サッシを取り付けて、ウッドデッキをリビングの床とフラットに仕上げようと思います。どの商品がいいですか?」
私:「開口の寸法を重視する?それとも・・・?」

大開口サッシに分類される商品群は、各社様々なタイプが出揃っています。その中から数点について、詳しい資料を出しました。担当者が営業の担当者と相談の上、決定したのが、YKKAPの大開口サッシです。これは、2006年6月に公開したハチセ初の新築モデルハウスでも採用した商品、「三枚連動片引戸 ワイドスライディング」。

仕様決定の決め手となったのは、手動式のシャッター雨戸が対応しているということ。各社とも、大開口により拡がりのある空間演出のための創意工夫には余念がありませんが、意外に見落とされているのが、雨戸です。
(防犯を考えても、台風などの天災を考えても、雨戸が設置できると安心なのだけれど・・・。ついでに、京都市内なら、(準)防火地域の対応としても考慮して欲しいのだけど。)
それに対するメーカー側の見解は、①防犯合わせガラスを採用して頂ければ大丈夫②窓が割れる程の台風なんて滅多にありませんから③(準)防火地域のような建物が密集した地域で採用されることは想定にありません。と、いったところ。
(いくら、合わせガラスを採用しても、確かに侵入はされないにしても、割られた(或いは傷付けられた)ガラスの交換費用は、一体誰が負担してくれるの?)
そんな風に思ってしまいます。そんなわけで、私としては、そしてハチセとしては、『雨戸付き』ということが重要なポイントとなったわけです。

確かに、全開口ではありませんが、十分に拡がりが感じられると思いませんか。

ちなみにこの窓、W2,870×H2,000mm 247,200円(ガラス代別)、網戸が31,900円、シャッター雨戸が155,300円、合計で434,400円。
何気なくご覧になられていると思いますが、実はかなりのお金を掛けています。(新築のモデルハウスで、この商品を初めて採用した時には、工事をお願いした工務店の社長に怒られてしまいました。いいもの選び過ぎだって。)

次に収納キャビネットです。
担当者I:「今回は、この部分に収納家具を設置したいと思っています。」
たしか、そんな風な相談があったと思います。
この言葉を聞いた瞬間、ふつふつと湧き上がったイメージを大慌てで見せました。担当者も気に入ってくれたみたい。

当初は、下部の収納だけの計画でした。壁面に既存の窓が残される計画だったからです。
(窓のバランスが悪いよねぇ~。)
なんていう会話を交わしていた時のこと、「だったら、この窓、やめてしまいましょう!」と担当者。(おお!なかなか男前な発想☆)
そんなわけで、すっきりした壁面には新たにウォールキャビネットをプラス。これらの納まりについては、トステムさんの協力を得て細かな打ち合わせを重ねました。化粧部材の取り合いは、キャビネットを美しく見せる上でも重要なポイントです。設置の際には現場で大工さんと打ち合わせをして、慎重に組み立ててもらいます。

そして、システムキッチン。

こちらは、水まわり設備の枠を超えて、この空間のメインとなる家具の一つですね。建具類は、トステム。キッチンはINAXと、異なったメーカーの商品ですが、色味も表情も本当に良く似ており、しっくりと納まってくれました。このあたりのカラー展開は、2006年のミラノサローネの影響を大きく受けているように思います。

さて、次回はいよいよ最終回。広い庭を中心にお話ししたいと思います。

12月20日 吐水口回転式シングルレバー混合水栓

2007-12-20 | インテリア/建築
12月3日、吐水口が回転する水栓がINAXより発売されました。中学生や高校生時代、体育会系に属していた私は、当たり前のように利用していた吐水口の回転。下を向けて手を洗う。くるっと上を向けて、水を飲んだり、うがいをしたり、時には手を使わずに顔を洗ってしまったり・・・。
学校生活では当たり前だった、水栓の活用。

大人になってから、吐水口が回転すると聞くと「おお~っ!」と驚いてしまいました。そう、すっかりコップを使うことが当たり前になりました。そして、水道水を飲むことは、ほとんどなくなりましたからね。

この水栓、どの様な経緯で開発、そして販売に至ったのでしょう。
まずは、公共施設パウダールームでの男女別の使い方による調査結果をご覧ください。

【女性】
どの場所でも上位2つは「手を洗う」「化粧直しをする」。しかしオフィストイレは、「歯磨き」や「うがい」をする人が多い。
【男性】
どの場所でも「手を洗う」「髪を整える」がベスト2で、オフィストイレの場合は、女性同様「歯磨き」「うがい」が多くなっており、女性と比べて「洗顔」する人が多いことも特徴です。

同じ公共空間でも、オフィスの洗面の場合は、歯磨きやうがいを昼休みなどに行う人が多くなるという大きな特徴が現れました。一方、住宅では、歯磨き・洗面用に、2階の踊り場などのちょっとしたスペースに、第2の洗面器を設置するケースが増えています。しかし、いずれの洗面でも、個人のコップの置き場までは、なかなか確保しにくいのが実情です。そこで発売に至ったのがこの商品。その特徴は次の通り。
1.吐水口の先端が回転し、手洗いも歯磨きも快適にできます

下向き吐水:ソフトな泡沫吐水で快適に手洗いができます。


上向き吐水:うがいしやすい高さ・角度に吐水され、吐水口を汚しません。


左右に首振りができるので、鉢洗浄にも便利です。

2.回しやすさを配慮した吐水口の形状
 
吐水口の先端を平面にし、つかみやすく回転操作がしやすい形状。

メーカー希望小売価格:51,450円

オフィス空間だけではなく、住宅空間でも便利なアイテムの一つとなりそうです。

参考:INAXホームページ
http://www.inax.co.jp/company/news/2007/010_equipment_1128_185.html

12月14日 向日市の家開発秘話Vol.4

2007-12-15 | インテリア/建築
今日ご紹介するのは、住宅のメイン空間LDKです。その中でも特に、仕上げ材のお話しをしたいと思います。
まずは、床材選びから。
カタログの中から「これは」と思うものに片端からチェックを入れていきます。
ナラ、タモ、ピンカド、タガヤサン、カリン、スギ(上小節、無節)・・・。
取り寄せたサンプルは13点を超えました。これについては、担当者と何度も何度も検討を重ねました。
担当者「今回は濃い色の材を使いたいと思っています。」
コストにも気を配りながら、選びます。(これは黒すぎる)(こっちは赤すぎる)(そしてこれは、色味が足りない・・・)許されたコストの範囲内で、私たちが求める材を見つけることはできませんでした。
「塗装で対応する?」
結局行き着いたのは、着色により、空間のイメージに合わせるということ。
町家の改装で頻繁に利用されるスギは、とりあえず検討から外しました。いつもとは違った味を出す為です。着色をしてしまうので、材種よりもサイズを基準にして選定。
そうして選ばれたのは、「ポンデロサパイン」。

写真は128mm巾のものですが、実際に使用したものは、17×171×4000の超巾広タイプ。例えば松下電工の標準的なフロアーが12×75.75×1818ですから、その差は歴然。価格は松下電工が19,400円/3.3㎡なのに対し、31,350円/㎡。これは、無塗装品の価格ですので、加えて塗装の費用がかかります。
ところでポンデロサパインとは、米国西部を代表するマツの一種です。ソフトな雰囲気の色合いに大きめの節が散在する大らかな表情と柔らかな木目が特徴で、施工後年月を経て深い飴色に変化していきます。松材にありがちなヤニつぼが少なく、材質が均一なことも特徴です。(参考:株式会社マルホン 木材見本帖)
この、豊かな風合いを持つムク材に自然の塗料で着色を施します。選んだのは環境問題との取り組みにも永い経験と実績を持ち、天然素材の良さを知り尽くしているドイツのメーカー、オスモ社の製品。
有色ウッドワックスを塗装の後、フロアクリアーラピッド(ツヤ消し)で仕上げます。
それぞれの成分表は下記の通り。

●ウッドワックス
【バインダー40%】
ひまわり油、大豆油、アザミ油
【ワックス10%】
カルナバワックス、カンデリラワックス
【溶剤40%】
脂肪族炭化水素-脱芳香族化した白色ミネラルオイル(ベンゾールは含まず、DAB10ffドイツ薬局方第10巻の純度規定に適合したもの)
【顔料5%】
鉱石ベースの鉱物顔料;二酸化チタンと酸化鉄(黄、赤、黒)
有機顔料(黄、赤、緑、青)でGerman industrial Norm DIN53160(唾液と汗溶解テスト)とEuro Norm EN71(玩具安全基準)に適合し食品のまわりでの使用が許可されているもの
【土類5%】
鉱物顔料;有機性粘土※使用されている鉱物顔料と土類は精製し、すべての毒物成分(重金属等)を取り除いてあり、生物学的に安全
【添加物1%未満】
オクチル酸亜鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム(個々の鉱物より採取、無鉛)、ポリシロキサン(ケイ酸ベース)

●フロアクリアーラピッド
基本的に上記の成分と同じですが、顔料の代わりにつや消し剤5%(ポリシロキサン)

次に壁の仕上げを選びます。
こちらも自然素材にこだわり、珪藻土を採用。更に、広い空間における画一的な印象を防ぐため、フォーカルポイントとなる壁に「エコカラット プレシャスモザイク カッセ」を施工しました。


こうして、家族が集うリビング空間は、健康にも環境にも配慮した仕上げ材で完成しました。際立った豪華さには欠けるのかも知れませんが、自然ならではのぬくもりが家族の笑顔を包む優しい空間に仕上がりました。気が付けば、自然と家族が集う場所、それがこの空間であって欲しいと思います。

次回は、設備やサッシ、家具などのご紹介を致します。

12月13日 インテリアコーディネーターに関係する資格

2007-12-13 | 資格対策
「インテリアコーディネーターとして働くには、どのような資格が必要なの?」
時々、そんな質問をされることがあります。「インテリアコーディネーター」に資格は必要ありません。そもそも、「インテリアコーディネーター」の職域は曖昧で、所属する企業の業種、業態などによって、求められる能力も違います。
資格に勝る技術やコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力があれば、身体一つあれば十分な仕事だと思います。でも、そんな能力をまわりの人たちに認めてもらうことは容易ではありません。初めてお会いしたお客様の信頼を得ることも簡単ではありません。
そんな時に活躍してくれるのが、「ライセンス」。私はそんな風に考えています。
そこで、私の経験を踏まえながら、私の身近にある資格をご紹介したいと思います。内容はあくまでも、私自身が調べ、自分なりに検証したものです。
中には間違った捉え方をしているものもあるかも知れません。何卒、優しい目で読み流してください。これから何か勉強を始めようとする方の参考になれば幸いです。

1. インテリアコーディネーター
http://www.interior.or.jp/examination/ic_intro/index.html
インテリア産業協会が主宰する試験。
毎年、10月の体育の日に行われ、受験資格もなく誰でも受験できます。
一次試験は、「インテリア商品と販売」、「インテリア計画と技術」の2科目。どちらか片方を合格すると、次年度から3年間は、合格科目の受験が免除されます。
二次試験は、論文とプレゼンテーション。こちらは、一次試験の合格者のみ受験可能です。
こちらも不合格の場合は、次年度から3年間、一次試験の受験を免除されます。

タイトルがタイトルだけに、まずはインテリアコーディネーターから紹介しました。OLさんにも人気の資格ですが、この資格取得は、一筋縄ではいきません。相当広い知識が必要です。分野ごとに専門家が問題を作成されているらしく、広い上に深い知識が要求されます。厄介なのはハンドブックに掲載されていないことまで問題として登場することがあること。合格率から見ても、試験レベルは極端に高いわけではありませんが、非常に勉強のし辛い、受験者に冷たい資格試験のような気がします。
また、協会から、合格基準や解答例が発表されないことにも不満が残ります。この点においては、受験経験者として、今後の改善を求めたいところです。

2. インテリアプランナー
http://www.jaeic.or.jp/ip.htm
インテリアコーディネーターより更にインテリアの専門知識を追求した資格とされています。国土交通省所管の財団法人 建築技術教育普及センターが行う試験で、受験年の4月1日現在で20歳になっていなければ受験できません。
11月の第3日曜に学科及び設計製図の試験が同日に行われます。
どちらか一方を合格すると、次年度より3年間は合格科目が免除されます。

私が、住宅を主とする業界で働く中では、インテリアコーディネーターに比べて認知度が低いように感じます。(資格の保有者に出会う機会が少ないです。)どちらかといえば、店舗デザインなどに活躍されるのではないでしょうか。資格があるにこしたことはありませんが、コーディネーターかプランナーどちらか一方を持っていれば、十分だと思います。資格の取得よりも経験を積むことの方が大切だと思います。

3. 福祉住環境コーディネーター
http://www.kentei.org/fukushi/index.html
これからの時代には、特に注目度の高い資格です。私は、とにかくインテリアコーディネーターの資格が欲しい。という気持ちが強かったため、こちらにまで手が回らなかったのですが、周りの人たちからは、インテリアよりも福祉を取った方がいいよ。と言われました。

東京商工会議所が行う試験で、3級から1級までの資格がありますが、3級と2級は受験資格もなく、誰でも受験することができます。マークシート方式の学科試験で、100点満点で70点以上を合格。7月と11月の年2回開催されます。

1級は、2級に合格していることが条件となります。
こちらは、1次の学科試験が9月、その合格者を対象とした2次の実技試験が11月に行われます。2006年の合格率が3.9%、合格者数53名の超難関試験です。全国的にも合格者が少ないことと、施設の設計にはこの資格の取得者に意見を求められることも多いことからも現場に必要とされる資格の一つだと思います。

4.キッチンスペシャリスト
http://www.interior.or.jp/examination/ks_intro/index.html
インテリア産業協会が主宰する試験。
毎年12月の第2日曜日に行われ、受験資格もなく誰でも受験できます。
学科試験と実技試験が同日に行われ、どちらか一方を合格した場合、次年度より3年間は合格科目を免除されます。
水周り設備系のショールームで働くコーディネーターさんに人気の資格です。

5.照明コンサルタント
http://www.ieij.or.jp/
社団法人照明学会が行う通信教育を受講して得る資格で、毎年3月~5月頃に募集があり、8月に開講されます。通信教育を受け、5回の試験と1回のレポート提出が課せられます。60点以上で合格。7月に開催されるスクーリングを受けて、照明コンサルタントの称号が与えられます。

こちらも認知度の低い資格だと思いますが、ようやく日本の住宅も「照明」について考え始めるようになりました。資格の取得だけでなく、勉強できるといった意味でも受講する価値はありそうです。私も今後の検討に入れている資格の一つです。

6.AFT色彩能力検定
http://www.aft.or.jp/index.htm
1995年度より文部科学省の認定試験となり、注目を集め、2006年度からは同省後援の技能検定となりました。2・3級は6月と11月の年2回開催、1級は11月に一次試験、12月に二次試験が行われます。
色がふんだんに用いられた試験で、特に女性の方は比較的入りやすい資格だと思います。
色の知識は、日常の生活やファッション、ウェブ関係など、インテリアだけでなく幅広く活用できます。色は女性の強みでもありますので、私も取得しようと思ったのですが、残念ながら、私の働く場ではあまり重要視されていません。
また、一緒に働く人たちに、色のことを深く理解している人が居なければ、色を数値化して共通の認識とすることも不可能なため、なかなか活用する機会がありません。

私は、2.3級を独学、1級をヒューマンアカデミーの対策講座を受講して取りました。独学で取れないこともありませんが、資格取得だけでなく、色を深く理解するためには、学校に通う方が良いと思います。また、私が2.3級を受験した当時、1級の合格率は10%台でした。
ところが2006年、私が一級を受験した時には26%の合格率。数字だけ見るとかなり通りやすくなったように感じられます。テキストは2006年度に改正され、試験項目も増え、難しくなったと言われているハズの試験の合格率が上昇している理由の一つとして、ヒューマンアカデミーをはじめとする各種の専門学校による成果だというウワサもあります。
検討されている方は、受講されることをオススメします。

7.カラーコーディネーター
http://www.kentei.org/color/
東京商工会議所が行う試験で、2.3級は6月と12月の年2回、1級は12月の年1回行われます。最近ではかなり色を使った試験に変わってきているようですが、色彩検定に比べて、より学術的イメージのある試験です。こちらは、1級が細分化されており、「ファッション色彩」「商品色彩」「環境色彩」から選択して受験できることから、それぞれの分野における専門的な知識を証明する資格だと思います。
私は、学生時代に、こちらの資格を取得しようと、テキストを購入しました。ところが、数ページ開いたあたりで限界でした。あまりにも面白くなくて・・・。
この経験から、「カラー」の資格というものを避けていたのですが、色彩検定の存在を知り、色に対する興味が増しました。

色彩検定とカラーコーディネーター、自分に合った資格を選ばれるのも一つだと思います。色を専門にされている方は、どちらの資格も持っているという方も少なくはありません。

8.1級建築士、2級建築士
http://www.jaeic.or.jp/k-seidozenpan.htm#1
国家資格であることから、とても認知度が高く、業界以外の人も良く知っている資格だと思います。受験資格も厳しく、2級の場合、建築・土木系の学歴がない場合、7年の実務経験が必要です。さらに、1級建築士を受験するには、2級合格後4年の実務経験、建築・土木系の学校を卒業の場合でも、定められた実務経験が必要となります。
(耐震偽装問題発覚後法改正があり、2009年より試験方式、受験資格等が変わります。)
何の資格でも早く取得された方が良いことは、みなさんも良くご存知だと思いますが、特に一級の試験に関しては、年々難易度も上がり、とんでもないことになっている。という噂を聞きます。
二級についても、一級の影響を少なからず受けているようです。2007年は過去10年で最低の合格率だったようですが、2008年にはその記録を更新することも十分に予想できます。
「いつか取得するつもり」なら、早めに挑戦する方が良いかも知れませんね。


資格の取得。
私は、どちらかというと否定的でした。
その理由は資格を持っていることが、必ずしも良い仕事に通じるとは言えないような気がしていたから。
「事件は会議室で起きているんじゃない!」ですね。
でも、いくつかの資格取得に挑戦する内に少し変化がありました。資格取得のために勉強することで、学べることも、得られることも大きく、改めて現場を理解することもできるということ。そしてその結果についてくる信頼は、自分の期待以上のもの。

むかし、祖母にこんなことを言われたことがあります。
「資格と技術だけは、お金で買えないし、誰にも奪われない」

言い回しは多少違うかもしれませんが、ず~っと前に聞いたこの言葉が、ようやくきちんと理解できるようになった気がします。
最後に、インテリアコーディネーターハンドブック(販売編)に記載されている一文をご紹介します。

インテリアコーディネーターは、自己に優れた感性を身につけ、高い見識を持ち業務に携わることは当然であるが、客観的に優れたもの・美しいものを創造することや、自分の作品を買ってもらうことが本来の役割ではなく、あくまで顧客に満足を与えることが目的である。だれが見ても完全な間違いである事柄は正しく導いてあげることは必要であるが、顧客一人一人はそれぞれ異なった価値観をもち、ライフスタイルをもっているものであることには、顧客のどんな欲求でも否定すべきものではなく、肯定的でなければならない。たとえインテリアコーディネーターの感覚や意にそぐわない生活空間になったとしても決して不名誉となるものではない。

私にとっては、これが学べたことだけでも、インテリアコーディネーターの資格にチャレンジした意味があったと思っています。ぜひ、これから勉強される方にも読み落とさず、心に留めて欲しい内容です。

12月12日 向日市の家開発秘話Vol.3

2007-12-12 | インテリア/建築
今日ご紹介するのは、トイレ空間です。
こちらも、通常より広めのスペースが計画されていました。担当者からは特にこれといった要望もなかったので、かなり前から温めていた計画を取り入れてみました。
アジアンテイストに竹を用いたカウンターと、信楽焼の手洗い器です。現場の都合からか(?)水栓が私の指定した品番とは違うものが採用されてしまっているのが少し残念なのですが、こんな感じに仕上がりました。

完成を間近に控えたころ、現場を訪れるといつものペーパーホルダーと、いつものタオルリングがカウンターの上に佇んでいました。
(うん・・・。確かに似合わない。)
現場サイドでも、その取り付け位置がわからず、保留されていたようです。
(よかったぁ。いつも通りに取付けが終わっていなくて。)
せっかく、期待以上に仕上がったトイレットルームなのに、プラスチック製の紙巻器や金属製の丸いタオルリングでは、その空間をぶち壊してしまいます。
そして、カウンター同様、黒竹を利用して、つくることになりました。写真に写るそれは、ハチセのアフターズのお手製品なのですよ。

次が寝室。
計画当初に写真付で空間イメージに要望のあった部屋です。
「ホテルのようにしてください。」
最近流行りの『ホテルライク』。新築住宅の場合には、この要望も珍しくなくなりました。おおよそ、みんながイメージするところの『ホテルライク』というものが私の中でも出来上がってきた感があります。
今回はそのイメージを決して「ライク(=~のような)」と甘んじることなく、とことん意識して計画しました。

(手前に見えているのは、クローゼット。内部の壁を仕上げず、制震装置がどのように取り付けられているのか、ご確認頂けるようにしています。ご購入者が決まり次第、仕上げを行います。)

ポイントは間接照明です。メラトニンの分泌を妨げない、柔らかく暖かい光を、直接目線に入ってこない下からの光で計画。鉛直面の配光を最小限に抑え、足りない照度はスタンドライトで補います。
実際にそこで生活される方のプロフィールがわからない状態でこのような照明計画をすることには、かなり勇気が必要です。場合によっては、受け入れて頂けないケースもあります。実際の仕上がりにも賛否両論。研究はまだまだ必要です。
今回は、挑戦的にも、あくまでも「ホテル」の「落ち着き」を表現するため、天井に照明を付けないことにこだわりました。あかりの重心を下げ、空間に落ち着き感やくつろぎ感演出しています。
また、担当者の意向もあり、主となるスタンドライトを予め設置しましたが、これも最低限の計画です。実際に住まわれる方の必要に応じて、照明を追加して頂き、好みの空間に変化できるよう計画しています。具体的には、ベッドサイドテーブルの設置を想定して、その上に低め(高さ350~600程度)のスタンドライト等を置いて頂くことをイメージしました。床に埋め込んだコンセントは、この想定に基づく計画です。
ご購入者様のオリジナルの空間、一日の疲れを癒す最高の寝室となってくれれば、これ以上に嬉しいことはありません。

12月8日 向日市の家開発秘話Vol.2

2007-12-08 | インテリア/建築
今日は、洗面室の計画ご紹介します。
通常よりも少し広めの洗面空間。1800×3,150mm程度の大きさ。
廊下から奥に長い空間をどのように計画するのかというと・・・

担当I「奥(1,800mmの壁面)に洗面化粧台を計画してもらって、手前(入口横)に洗濯機を置きます。とりあえず、予算は気にせず、ホテルみたいな感じでお願いします。」

仕事において、予算を気にせず、計画できるほど幸せなことはありません。まるで学生のプレゼンのように、あらん知識を寄せ集めて、ただただかっこいいものを考えれば良いのですから。もちろん、既製品なんて使いません。一から考えていきます。

壁芯1,800mmの空間ですから、有効で1,650mm程度のものが計画できます。
まずは、収納力の確保。ヘアケア用品や化粧品などの小物類の収納計画、それからタオルや洗剤といった比較的かさばるものの収納計画をしていきます。
検討の結果、収納ユニットについては既製品で対応することにしました。

洗面器を選びます。

格好の良さももちろんですが、個人的に重視したいのは、その大きさ。私は普段、シルクなどドライクリーニングが必要のないものに関しては全て手洗いをしています。(ユニクロ製品は洗濯機で洗ってしまいますが。)だから、セーターが容易に洗える容量は絶対に必要なのです。

次にカウンターです。
町家の場合は、ヒノキのムク板を使うことも少なくありません。それからタイルで仕上げることもあります。ヒノキは確かに水に強い材です。しかし、やはりお手入れには気を使って頂かなければなりません。私、そういうことをものすごく「面倒だなぁ。」って思ってしまいます。タイルの目地だって気になります。
そうして、選ばれたのがTOTOのマーブライトカウンター。たくさんのカラーバリエーション、材質バリエーションがあり、空間イメージに合わせて選ぶことができます。今回は特に「高級感」を重視するため、深い色味を持ちながらも、透明感のある「オニックスブラウン」を選びました。

それから、それらを組み合わせた図面を起こします。まずはラフに手書きで立面図を。それから、CADで立ち上げ、3Dでその空間の仕上がりを検証。この作業の際に合わせて光のまわりこみを考えていきます。(実はここまでのことをするのは初めて。ほぼ一日をこの作業に費やしました。)
洗面化粧台は、外壁面に沿って据えられることになりました。そうすると、窓(=自然の光)を取れるスペースが限られます。まずは、洗面化粧台の上部を利用することを考えます。この部分に引き違い窓を計画してみます。
(あれ?この窓を開けるためには、脚立が必要になるなぁ・・・)
(採光を重視して、通風はいいかなぁ?)
そんな時に思い出したのが、三協立山アルミの「よこスリム窓 開きタイプ」。


「洗面や、トイレ空間にこんな風に使って頂けるんですよぉ。」
メーカーさんが来訪くださった時に頂いた商品情報。こういう時に役立ちます。『企画力(=コーディネート力)』=『知識』ですから。やはり、情報量が勝負です。
(カウンターと鏡の間に設置してみようか?)
(それとも、足元に設置しようか?)
その他の納まりや、3Dモデルを確認した結果、足元に設置することになりました。これで通風も確保。

最後に照明計画です。
肌の色を忠実に表現するため、2種類のランプを用いることにしました。
まず、顔に影ができないよう、主照明の位置を検討。天井からの光を蛍光灯で補います。


それから、鏡の裏(上下)に間接照明としてクリプトン球を用いました。調光器を設置したので、お客様のお好みにあわせて光の量を調節して頂くことが可能です。

無理のない姿勢でお化粧をして頂くため、鏡を手前に出すことを検討しました。間接照明は、これを利用して計画しています。鏡の付近に電球を用いることで表情を立体的に美しく見せる効果もあるんですよ。

通常より広い空間は、エクササイズスペースとしても活躍。

「ジョーバ」や「ロデオボーイ」など、手軽なエクササイズマシンを置いてお楽しみください。

12月6日 女性の品格

2007-12-06 | ひとりごと
今年最も売れた本、それが「女性の品格」なのだそうです。おそらく手にした方の大半は女性ですよね・・・。きっと。

女性の品格。

書店を訪れた時、平積みされたそれに目が留まりました。
2006年に最も売れた本、それが「国家の品格」。こちらは私も読みました。そして、2007年は「女性の品格」。話題になっていて、結構気になってはいるものの、頑なにページを開くことはありませんでした。もちろん、購入していません。棚にならぶそれを遠くから眺めるだけです。なんだか『他人の褌~』のような気がして・・・。
スミマセン。ひねくれてます。そしてこれこそ、「品格がナイ」とか言われそうです・・・。

でも、こういう本が話題になること事態、平和というか、豊かなんだなぁ。って感じています。

先日、親友から1通のメールがやってきました。彼女とは中学時代からの付き合いです。
バスケ部のチームメイトとして、苦楽を共にしました。特に362日を練習に費やした2年生の時は、クラスも同じでした。だから、活動している時間の大半が一緒でした。別々の高校に進学した後も、友人関係が続けられたのは、彼女が根気強く連絡をくれていたおかげです。
昔から彼女のことは尊敬しています。そしてその尊敬は、日を追うごとに大きくなっています。妻の顔も母の顔も持つ彼女はとっても忙しい。会社の中では、他業種の私からみても、スゴイということが容易に想像できるポジションで業務をこなしてしまう。
そんな彼女がくれたメールにこんなことが書いてありました。

「日経WOMAN」という雑誌に載っていた「働く女性の品格手帳」買ってしまいました。
30歳からはやっぱり「品」だなぁ。と思って(笑)。

「品」かぁ・・・。の前に「日経WOMAN」読んでるんだぁ(驚☆)。
改めて、みんなとっても勉強熱心だなぁ。と感じました。「女性の品格」という本がこんなに売れているのもそう。「自己実現」に対する欲求の高まりのような気がします。

私は、「女性の品格」は読んでいませんが、ある番組の中でその内容に関することがクイズ形式で取り上げられていました。一部ではあるにしろ、その全ての答えがわかりました。(隣に居た母の微妙な表情に、それらを答えられることが果たして良いことなのか。考えなければなりませんでしたが。)ビジネス書に分類されるマナー本の中で取り上げられる内容は、ほとんどどれも変わりません。「敬語の使い方」「前向きなことば使い」など、当たり前のことで、良く知っていること、わかっていることばかり。でも、それがきちんとできているかというと、下を向かなければなりません。行動を伴うことは簡単ではありません。

一方、「下を向いて歩こう」「鈍感力」など、どちらかというと後ろ向きな感じのするものを「良し」とする考え方を提唱する本も話題になりました。

どちらも読んだわけではないので、その言わんとすることを正確に理解できているわけではありませんが、そんな本たちが話題になると、私もふと立ち止まらなくては、ならなくなりました。

Advance

高校時代から座右の銘として、ずっと刻み続けている言葉。
私に関わる多くの場面で登場する単語。「前進・前向き・向上・・・」。
もしかして、無理をしているのだろうか?

そういえば、「求めない」という詩集も話題になりましたよね。
私はこれを、30歳の記念に頂き、読みました。

求めない
すると本当に必要なものが見えてくる

求めない
すると自由になる

美しいことば。そしてある種、超越とか達観したからこそ、行き着いたようにかんじる内容。

求めない

著者である加島祥造さんは1923年生まれ、現在84歳。
30歳の私が「求めない」ことで自由を得るには、まだ少し早いような気がしています。

何が言いたいのか良くわからなくなってきてしまっていますが、みんなそれぞれ、いろいろなトコロで悩みながら、迷いながら、毎日を過ごしているんだなぁ。と思います。そして、時には「本」を通して、他人の言うことに耳を傾け、凛とすることができたり、またある時は、「本」を通して立ち止まる勇気をもらったり。

悩んだり、迷ったりできることも、最低限の欲求である「食べること」「眠ること」を約束された環境で、いまを生きることが出来ているからでしょうね。
思い通りに進まない現実も、重くのしかかるストレスやなんだかわからないイライラ、それから将来に対する不安。そんな風に感じられること全てが、豊かな生活の上に成り立っていることを気付かされたような気がします。

12月5日 向日市の家開発秘話Vol.1

2007-12-05 | インテリア/建築
ようやく完成を迎える向日市のリ・ストック住宅。久しぶり(?)にハチセのこだわる改装だけれど、町家ではありません。そして、ハチセで人気の高い和風住宅でもありません。

ところでこの計画は、いつ頃始まったのだっただろうか?
今朝、そんなことを思い出しました。改めて改装前のデータを検索してみます。
写真の日付は2007年3月26日。完成まで8ヶ月。不動産会社の常識ではあり得ない時間のかけ方、かえって同業者の方は理解に苦しまれるかも知れません。
もちろん、時間をかければ良い。というわけではありません。しかし、コンセプトを守るためにはこれだけの時間が必要だったのです。

3月から現場担当者がしたことは、現状の建物がどれほどの構造耐力があるかどうかを調べることでした。そして、不安がある構造耐力を補強(耐震)し、さらに制震装置をプラスすることで、耐震診断評点1.0以上まで引き上げます。(これらの詳しい解説は、長くなるので割愛します。ご興味のある方はホームページでご確認ください。)この作業に費やした時間、およそ2ヶ月。それからようやく具体的な建物の仕様を決める作業に入って行きました。

私が初めて現場を訪れたのは、主の居ない、荒れた広い庭に力強く咲く、チューリップが美しい4月のことでした。
その当時、担当者にとっては初めての大型改装。ハチセのリ・ストック住宅の中でもかなりのコストを費やすことが許された住宅。自然と力が入ります。
私が動き始めた時には、すでに屋根材のサンプルの請求も、研究も進んでいました。担当者自らがサンプル請求をするなんて、珍しいことなのです。
それから、住宅のイメージを聞きました。寝室のイメージとして写真も渡されました。

「良い家にしようなぁ。」

担当者の熱い気持ちに、心が動かないハズがありません。私にとっても、俄然気合の入る、そんな物件でした。だから、この住宅にはアチコチに小さなコダワリがつまっています。
せっかくだから、そんな小さなコダワリたちを公開することにしました。
完成した住宅に訪れた方には、当たり前に存在するアイテムだけれど、そこに当たり前に存在するためには、検討に検討を重ねているのです。
そんなコダワリの中から、今日ご紹介するのは、和室。


「ここ、和室にしようと思っています。」そう言って通されたのは、階段の中腹に位置する中2階のこじんまりしたスペースでした。

担当I:「畳は縁なしにして、モダンな感じでお願いします。」
私:「そこの出窓はどうする?障子でもつける?内側につけて、出窓スペースを有効に使える方がいい?それとも奥にして部屋の広がりを優先させようか?」
I:「う~ん。でも、柱もありますからねぇ。内側にしましょう。」

最初に現場で話したのはこんなところでした。会社に戻った後、更に詳しく掘り下げます。

I:「どこかになぐりの床を使いたいんですけど。」
私:「じゃあ、畳を真ん中にして、周囲をフローリングにしようか?」
I:「入口付近に段差が必要となるので、手前を板間として調整しなければならないと思います。」
私:「ところで、お布団はどこにしまうの?収納が必要よね。なぐりを魅せるためにも、吊収納にしてしまう。っていうのはどう?高さはどうする?」
I:「もう一度現場を測って、考えてみます。」
私:「じゃあ、任せとくね。」

ここでいう「なぐりの床」とは、これ。

マリタイムパイン(スプーンカット)。

木の表情からは、和の空間にしっくりなじむ和の趣ある一品ですが、実は外材。フランス、ランド地方の海岸にナポレオン三世が防砂林として植林したのが現在のマリタイムパインの森の始まりだそうです。日本の地松のように年輪が広く、赤みを帯びた大らかな風合いの材面に、丸みのある大きめの凹凸をつける「なぐり」と「ブラッシング」により素材の味を高めた一品。

この材をどのように使うか?実際に使われたのは、ほんの小さなスペースなのだけど、これを中心に企画は進みました。吊収納の高さをどの程度取るのか?その上下に間接照明を仕込もうか?など、あらゆる方向から検討を重ねましたが、天井がフラットに仕上がらないことや、天井の高さが取れないことなどから、こんな風に仕上がりました。

天井には、墨色の和紙調クロスを採用し、「座」の暮らしを演出。低く落ち着きある空間を強調しました。照明はなるべくその存在を消したかった。影を見方につける光の配光を計算。ブラックフレームのダウンライトは、見事にその役割を果たしてくれました。


床部分に敷かれたフローリングには、この凹凸を美しく映し出すために集光性の高いダイクロイックハロゲン球を選びました。


写真のような船形の花器など低めの器を用いて、お花を生けて頂ければ、より一層引き立ちます。
こじんまりした空間は、想像以上に寛げます。触れてみて、天然木のあたたかさも柔らかさも、そして自然が持つ独特の優しさも感じることができる空間になりました。

いよいよ今週末、初披露
町家ではないハチセの改装も、ぜひ、ご覧になってください。

12月3日 期間限定☆PASSO Colors

2007-12-03 | インテリア/建築
2005年9月に2ヶ月間限定で販売されたシャワー一体型便器「サティス」「サティス アステオ」のビビッドカラー仕様『カラーズ』。(2005年10月29日付ブログ参照。)
受注がメーカーの予想を大幅に上回る大きな反響を呼び、翌2006年11月には、ラインナップを拡充し、注文生産品として登場しました。

そして今日ご紹介するのが、シャワートイレシートタイプ「PASSO Colors(パッソ・カラーズ)」です。リフォームにも対応しやすく、より、手軽に楽しめる今回の企画。11月21日からの3ヶ月間、期間限定で登場しました。

価格:156,450円(税込)

カラーは全11色。
かわいいパステルカラーから、オレンジやライムのビタミンカラー、シャープなブルー系にシックなモノトーンカラーなど、つくりたい空間イメージや好みに応じて選べるバリエーション。気軽に楽しく演出してもらおう。というのがメーカーのコンセプトのようです。

もちろん、機能面にも充実。操作部のでっぱりがないスリムでスタイリッシュなボディ。自動でフタが開閉する「フルオート便座」など。


詳しくは、INAXホームページをご覧ください。
http://www.inax.co.jp/company/news/2007/010_equipment_1029_178.html

ついに10万アクセス突破!!(2005年9月11日からカウントをはじめ、2007年12月1日までの集計による。)
今日も最後までおつきあいいただき、ありがとうございます。そして、応援のワンクリックお願い致します。

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