黒山もこもこ、抜けたら荒野 デフレ世代の憂鬱と希望 (光文社新書)水無田 気流光文社このアイテムの詳細を見る |
面白い本に出合いました。
「黒山もこもこ、抜けたら荒野 デフレ世代の憂鬱と希望」
なんのこっちゃ?不思議なタイトル。それから「水無田気流」というこれまたなんのこっちゃ?というヘンテコな名前。
この本は、著者の自伝コラム形式で展開されているのですが、これが実に社会を捉えていて、その時代観察眼は、いくつかのレビューの中でも高い評価を受けています。
私は、そんな数々のレビューの中から、特に朝山実さんが書いた日経ビジネス「毎日一冊!日刊新書レビュー」を読んで、購入を決めたのですが、ページを開くなり、その面白さに引き込まれてしまいました。
(ただ、あとがきの中で、「とりわけ第4章は趣味に走りすぎたせいか、かなり脱線気味となっている」。と著者自身も言うように、4章に差し掛かるころには、私の感覚ではついていけなくなってしまいました。個人的には前半部分が特に面白かったです。)
著者は1970年生まれ。私より7年先輩。
著者に言わせれば、7年も後に生まれてきた私は、もしかしたら「まだマシ」な世代を生きてきたのかも知れない。だから、一緒にされたくはナイかもしれないけれど、共感できることがたくさんありました。
例えば、「中学校は一学年九組。高校に至っては一学年十一組もあった。」というくだりがありましたが、私だって、中学校、高校ともに一学年十組ありました。そのせいで(?)卒業した後には、同級生か否かの見分けだってつきません。中学2年の頃には、とうとう教室が足りなくなり、私が在籍した6組は、図書館を改装した教室が与えられました。改装したといっても、廊下側の壁に設置された本棚が取り払われただけの空間。つまり、廊下側には窓がなく、風の通り抜けることができない、息苦しい教室でした。
夏場は最悪で、各教科担当の先生たちも教室に来ることを嫌がるほど・・・。(先生は一時間我慢すれば済むけれど、私たちは一日中この空間に居るんですけど。)教室に入るなり、その環境に文句を言う教師たちに、ぼんやりとそんなことを考えていました。
そんなマンモス校と称される中学時代は、クラブだって大所帯。私の所属したバスケ部は同級生が30人超。下級生も含めたチーム総数は70人超。スタメン(=スターティングメンバー)5人、ベンチ入り15人のルールにより、熾烈なレギュラー争いを強いられたのは言うまでもありません。
気になるページに付箋を付け始めると、ついには収拾がつかなくなり、どれが大切なのかわけがわからなくなってしまったほど。
そして、社会というか時代に対するモヤモヤとした不満を、私に代わってバッサリと切り捨ててくれる著者に、なんだかすっきりします。
特に、この世代を生き、就職氷河期の最中になんとか職に就くことができたものの、著者の言う「テレビドラマに出てくるように『適当に仕事をこなしつつきらびやかに消費生活を謳歌している』わけではない」ほとんどのOLの方々。
または、そんな時代のせいで正規雇用を受けられず、フリーターや派遣社員として働いているたくさんの人たちには、きっと頷けることがたくさんある本で、ほんの少しだけ元気になれる内容だと思います。
それから、バブル崩壊以前に、買い手市場といわれる中で自由に就職に就くことができ、いまや企業の上層で優雅に働くおじさま達にも、ぜひとも読んでいただきたい、そんな一冊です。
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