毎日新聞 2014年04月15日 21時17分
【ドネツク(ウクライナ東部)真野森作】親露派の武装勢力による行政・治安機関庁舎の占拠が拡大しているウクライナ東部ドネツク州で、こうした動きに反対する政党や社会団体でつくる「ドンバス愛国勢力委員会」が15日、記者会見した。米露と欧州連合(EU)、ウクライナの4者協議が予定される17日の午後6時にドネツク市中心部で1万人規模の大規模デモを行うと発表し、平和的手段で対抗する構えを示した。
青と黄色のウクライナ国旗を背にし、小政党「ウクライナ民族党」代表のクリメンコ氏ら同委幹部4人が会見に臨んだ。「世論調査によれば、ロシア編入を望む層は2割に満たない」と強調し、「我々が多数派であることを見せる必要がある」とデモを実施する理由を説明。市民に参加を呼びかけた。
会場として予定するレーニン広場は、親露派が本部とする州政府庁舎から1キロほどと近い。親露派の襲撃や衝突の恐れもあるが、志願者で約1000人の非武装の自衛部隊を構成し、「デモを平和的に完遂する」とした。
同委コーディネーターで、地元ニュースサイト「オストロフ」編集者のセルゲイ・ガルマシ氏は毎日新聞の 取材に「世界に対して市民の意思をアピールする」と語った。一方で、「親露派にはヤヌコビッチ前大統領が資金援助しているとの確たる情報がある。これを断 ち切る必要がある」とも述べた。
同委員会は3月中旬に結成された。新政権の中心政党「祖国」など各政党の地方支部のほか、宗教組織や非 政府組織などが加わっている。立場の違いを超え、(1)ドネツクの平和(2)国家統一の維持(3)秩序回復(4)市民間の対話(5)人権と自由の保護−− を希求するという。
また、親露派との交渉にも当たっているルキヤンチェンコ・ドネツク市長も15日、記者会見し、「住民の 多くが求めているのは地方分権。地域経済や汚職への不満が親露派の行動につながっている面もある」と述べ、全国的な行政改革の必要性を訴えた。任命制の州 知事と異なり、市長は公選制で、ルキヤンチェンコ氏は市長を10年以上務めている。